成年後見人は複数人設定できる!権限行使方法やメリット・デメリット

成年後見人は複数人設定できる!権限行使方法やメリット・デメリット
facebookでシェアする Twitterでシェアする このエントリーをはてなブックマークに追加する LINEでシェアする
司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 4

成年後見制度とは認知症になり判断能力を失った人や知的障害の人の生活をサポートする制度です。
制度を利用する被後見人のかわりに成年後見人が契約行為や法的手続きを行います。

成年後見人は1人ではなく複数人が就くことも可能です。
複数人で成年後見人になると一人あたりの負担が軽減される一方で、共同権限の場合は法的手続きや財産の処分時に成年後見人全員の合意が必要など手間がかかる可能性もあります。

複数人で成年後見人となる場合はメリットとデメリットを理解した上で、申立て手続きを行いましょう。

本記事では、複数人で成年後見人となるケースやメリット、デメリットを解説します。
成年後見制度については、下記の記事で詳しく解説しています。

成年後見制度とは?利用方法からメリットデメリットまで簡単理解!

1章 成年後見人は複数人がなることも可能

認知症になり判断能力を失った人や知的障害を持つ人の生活をサポートする成年後見人は、1人だけでなく複数人がなることも認められています。
また、成年後見人の権限の行使方法もいくつか種類がありますので、財産の種類や成年後見人に合う対応を選べます。

成年後見人は家族や親族もなれる?なれないケースや就任時の注意点
成年後見でお悩みの方へ。成年後見の経験豊富な司法書士が「認知症対策」から「手続き」まで徹底サポート。一人で悩まず無料相談

2章 複数人が成年後見人になるときの権利行使方法

成年後見人が複数いる場合、権利行使方法はそれぞれの成年後見人が単独で権限を行使する、共同して行使するなど下記の3つの方法を選べます。

  1. 各後見人が単独で権限を行使できる
  2. 後見人全員が共同して権限を行使する
  3. 権限を分掌し各後見人が行使する

それぞれ解説していきます。

2-1 各後見人が単独で権限を行使できる

成年後見人の申立て時に家庭裁判所が権限について定めなかった場合は、複数の成年後見人がそれぞれ単独で権限を行使可能です。

2-2 後見人全員が共同して権限を行使する

成年後見人の申立て時に家庭裁判所が権限行使について個別に定めた場合、複数の成年後見人が共同で権限を行使します。
例えば、成年後見人が2人いる場合は2人が合意しなければ契約手続きや法的行為を行えません。

2-3 権限を分掌し各後見人が行使する

家庭裁判所が申立て時に認められば、成年後見人ごとに担当する後見事務を割り当てられます。
このように、複数の成年後見人が各後見事務を割り当てられることを「権限分掌」といい、各後見人は自らの権限の範囲内で契約や法的手続きを行います。


3章 複数人が成年後見人になるケース

1人ではなく複数人が成年後見人となり後見事務を行うことで、1人あたりの業務量を減らせる場合があります。
複数の成年後見人が就任し、後見事務を行う代表的なケースは、下記の3つです。

  • 兄弟同士が成年後見人になり監督しあうケース
  • 専門家と家族・親族が成年後見人になるケース
  • 財産の所在地ごとに成年後見人を用意するケース

それぞれ解説していきます。

3-1 兄弟同士が成年後見人になり監督しあうケース

親が認知症になり判断能力を失い成年後見制度を利用する際に、子供たち全員が成年後見人となれば1人あたりの負担を軽減できますし、それぞれが行う後見事務を監督し合えます。
成年後見制度は一度利用すれば原則として被後見人が死亡するまで続きますし、成年後見人の負担は大きいです。

子供たち全員で成年後見人となれば、それぞれの事務負担を減らせます。
また、成年後見人となった兄弟姉妹が単独で被後見人の財産を管理や処分することもなくせます。

成年後見制度の問題点8つ!回避方法と対処法をわかりやすく解説

3-2 専門家と家族・親族が成年後見人になるケース

成年後見人は被後見人の家族や親族だけでなく、司法書士や弁護士などの専門家も就任可能です。
成年後見人を家族や親族、専門家が職務を分担して行えば、下記のように後見事務を分担できます。

成年後見人後見事務
司法書士や弁護士法律行為(入院や入所、賃貸住宅の契約)
家族や親族
  • 日々の身上監護
  • 財産管理(年金受取や施設利用料の支払い)

3-3 財産の所在地ごとに成年後見人を用意するケース

被後見人が各地に不動産を所有しているなど、成年後見人1人では管理が難しいケースも複数人が後見人に就任すれば後見事務を分担可能です。

  • 大阪:被後見人の自宅や他人に貸している賃貸物件、預貯金
  • 東京:被後見人が入居している施設がある

例えば、上記のケースでは大阪に住む親族が成年後見人となって管理し、東京で行う必要がある被後見人の身上監護や財産管理は東京に住む別の親族が成年後見人に就任するのも良いでしょう。
複数人で成年後見人となれば、1人あたりの後見事務の負担を軽減可能です。


4章 成年後見人を複数人で行うメリット

複数人が成年後見人に就任すれば、後見事務の負担を減らせますし後見人とそれ以外の兄弟姉妹のトラブルなどを回避できます。
また、成年後見人を専門家と家族や親族の共同で行えば、専門家に財産管理を任せ家族や親族は身上監護を行えるなどのメリットもあります。

成年後見人を複数人で行うメリットを詳しく見ていきましょう。

4-1 成年後見人の負担が軽減される

複数人で成年後見人になれば、1人あたりの後見事務の負担を軽減可能です。
成年後見制度は一度利用を開始すると被後見人が亡くなるまでやめることができませんし、成年後見人は下記のように役割や責任が大きいです。

  • 家庭裁判所に成年後見人の業務を定期的に報告する
  • 家庭裁判所の指示や注意に従って被後見人のために行動する
  • 被後見人の意思を尊重した上で、心身と生活に配慮して財産管理を行う

被後見人の子供のうち1人が成年後見人になった場合、後見事務の多さや責任が負担になる可能性もあるでしょう。
また、他の子供たちは「成年後見人になった兄弟姉妹が財産を横領していないか」などと疑う恐れもあります。

このような1人に負担と責任が重くなることを避け、兄弟姉妹で不信感を持たないようにするためにも、複数人で成年後見人となるのは有効です。

4-2 財産管理を専門家に任せられる

成年後見人を専門家に任せれば、被後見人の財産の使い込みなどの不祥事が起きるリスクを減らせます。
被後見人の資産が多い場合や様々な種類の資産を保有している場合は、専門家に後見業務を依頼するのが良いでしょう。

複数人が成年後見人になったときは、権限を分掌し各後見人がそれぞれの後見業務を行うことも可能です。

  • 財産管理や法的手続き:専門家
  • 身上監護:家族や親族

上記のように、成年後見人の権限を分掌すれば、財産を適切に管理でき被後見人の生活をサポートしやすくなるはずです。


5章 成年後見人を複数人で行うデメリット

複数人が成年後見人になり家庭裁判所が共同で権限を行使すると定めた場合は、法的行為や契約締結のたびに成年後見人全員の合意が必要です。
結果として、成年後見人が1人で後見業務を行うよりも、複数人で行う方が時間と手間がかかってしまうリスクがあります。

成年後見人同士で意見が対立した場合、被後見人の生活のサポートに支障が出る恐れもあるでしょう。

認知症の程度によっては家族信託や任意後見制度を利用できます

重度の認知症になり判断能力を失ってしまうと成年後見制度しか利用できませんが、認知症の症状が軽度であれば家族信託や任意後見制度を利用できる可能性があります。
家族信託や任意後見制度も認知症になった人の財産管理を行う点では共通していますが、成年後見制度よりも柔軟な財産管理や運用、処分を行えるのが特徴です。

家族信託や任意後見制度を利用できるか知りたい場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談し、医師の診断を受けるのがおすすめです。

家族信託と後見人制度どちらを選ぶべき?ケースや費用を徹底比較
成年後見でお悩みの方へ。成年後見の経験豊富な司法書士が「認知症対策」から「手続き」まで徹底サポート。一人で悩まず無料相談

まとめ

成年後見人は1人だけで就任するのではなく、複数人で就任できます。
複数人が成年後見人となったとき、それぞれの後見人が単独で権限を行使するだけでなく、各後見人で権限を分掌することも可能です。

複数人が成年後見人となれば、1人あたりの後見事務の負担を軽減できる場合もあるので、被後見人の希望や資産状況に合った方法を選びましょう。
また、認知症の症状が軽度であり判断能力が残っていれば、家族信託や任意後見制度などを利用できる可能性もあります。

認知症対策には様々な方法があり、症状や本人の希望、資産状況によって対応が異なります。
自分に合う認知症対策を知りたい場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。

グリーン司法書士法人では、成年後見制度を始めとする認知症対策に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事は参考になりましたか?

参考にならなかった参考になった! (まだ評価がありません)
読み込み中...

生前対策のすすめを無料ダウンロード!

この記事を読む およそ時間: 4
  •  家族信託について
  •  身元保証について
  •  遺言書の活用
  •  遺留分対策
  •  生前贈与について
  •  相続税対策
  •  任意後見契約
  •  死後事務委任契約

 早めの対策が大切です!

生前対策のすすめダウンロード実物

生前に行う相続対策について、わかりやすく解説させていただいております。状況によって利用する制度や手続きが異なるかと思いますので、生前対策のすすめが対策を始めるきっかけになったり、生前対策の手助けとなれば幸いです。

無料ダウンロードはこちら

不安なことは、グリーン司法書士法人にご相談ください。一緒に、最適な相続対策を考えていきましょう。

グリーン司法書士法人の強み

  • 1,過去5年間の相続相談実績は約5000件!日本有数の実績で安心して任せられる。
  • 2,サポート内容の広さと相談窓口の一元化を実現!独自のネットワークでどこよりも早い迅速対応!
  • 3, 蓄積されたノウハウを元に相談者一人一人にあった提案が可能!

電話でのお問い合わせはこちら0120-002-110

お電話または下記よりお問い合わせいただければ、無料で直接ご相談をいただけます。 相続に関して少しでも不安や疑問があればお気軽にお問い合わせください。

30名を超える相続のプロが徹底サポート

  • 相続手続きといっても何から始めればいいのかわからない
  • しっかりとした遺言書を作成したい
  • 認知症生前対策をしておきたいけどよくわからない

グリーン司法書士では相続に関する悩みや疑問をしっかりとお聞きし、理想の相続実現をサポートします。

相続に関して少しでも不安や疑問があればお気軽にお問い合わせください。

電話でのお問い合わせはこちら

受付時間 9:00-20:00(土日祝10:00〜17:00)
[休業日] 年末年始

※「記事をみた」とお伝えください。