相続税申告が不要になるケースは約9割!課税されないケースや注意点

相続税申告が不要になるケースは約9割!課税されないケースや注意点
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司法書士日野 修亮

 監修者:日野 修亮

この記事を読む およそ時間: 4
この記事でわかること

  • 相続税が申告不要となるのはどのようなケースか
  • 相続税申告が不要なケースはどれくらいあるのか
  • 相続税の申告要否を判断するときに確認すべきこと

相続税の申告は「自分には関係ない」と思われがちですが、実際には判断を誤ると後から追徴課税などのトラブルにつながることもあります。
相続税は遺産総額が基礎控除以内であれば申告不要です。

相続税額が0円でも、特例や控除を使う場合は申告が必要になることもあるのでご注意ください。

本記事では、相続税申告が不要となるケースや、申告要否を判断するために確認すべきことを解説します。


1章 相続税が基礎控除以内であれば申告は不要

遺産の基礎控除図解

遺産を受け取ったとしても、相続税がかかるとは限りません。
相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除が用意されており、遺産総額が基礎控除以内であれば相続税の申告は必要ありません。

例えば、法定相続人が3人(配偶者と子供2人)の場合、相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」であり、遺産総額がこの範囲に収まれば相続税は申告不要です。

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2章 相続税申告が不要なケースは9割ほど

実際に相続税の申告が必要となるケースは、全体のごく一部に限られます。

国税庁が公表している令和5年度の統計によると、相続案件約157万件のうち、相続税の申告が行われたのは約15万5,000人です。
これは、先ほど紹介した令和5年度の相続案件約157万件のうち約9.9%にすぎません。
つまり、9割以上の相続では相続税の申告が不要ということになります。

多くのケースでは、相続税の申告は必要ないと考えても良いでしょう。
ただし、地価が高い都市部では、不動産を1件所有しているだけでも基礎控除を超えることがあります。特に、都心やその近郊に自宅を所有している場合は、思いのほか土地の評価額が高く、相続税の申告が必要になるケースも珍しくありません。

そのため、相続が発生した際には「うちはそんなに資産がないから大丈夫」と自己判断せず、税理士に相続財産の評価を依頼することをおすすめします。

相続税がかかる人の割合は約1割弱!相続税がかかる遺産は何?

参考:令和5年分 相続税の申告実績の概要


3章 【注意】相続税がかからなくても相続税申告が必要な場合がある

相続税の申告で注意すべきなのは、相続税額が0円でも相続税申告が必要なケースがあることです。
相続税の控除や特例を適用して相続税が0円になる場合には、申告が必要になる場合があります。

適用後に相続税がかからない場合でも、申告が必要な控除や特例は、主に以下の通りです。

相続税申告をしないでいると、控除や特例が適用されず、税負担が重くなってしまう恐れもあるのでご注意ください。


4章 相続税の申告要否を判断するときに確認すべきこと

相続税の申告が必要かどうかを判断する際には、財産が基礎控除以内かどうかを確認するのみでは不十分なこともあります。
具体的には、以下のようなことも確認しておきましょう。

  • 相続財産調査に漏れがないか
  • 相続発生3~7年以内に生前贈与が行われていないか
  • 故人が相続時精算課税制度を利用していないか

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 相続財産調査に漏れがないか

まず重要なことは、相続財産の全容を正確に把握することです。
相続財産は、現金や預貯金、不動産だけでなく、以下のように多岐にわたります。

相続財産とは

  • 現金・預貯金
  • 不動産(宅地や農地、自宅、建物、借地権、借家権など)
  • 自動車や骨董品、絵画、宝石類などの動産
  • 有価証券
  • 賃貸人、賃借人などの契約上の地位
  • 損害賠償請求権、損害賠償義務などの権利義務
  • 借金や滞納家賃、滞納税金などの負債
  • 死亡保険金
  • 死亡退職金
  • 死亡の3~7年前までに相続人へ贈与された財産
  • 弔慰金

相続財産に入ると知らずに計算から漏れてしまう場合もありますし、相続人が知らない故人の預金口座や、過去に購入していた株式などが後から見つかることも決して少なくありません。
相続財産を漏れなく把握するためには、預金通帳や確定申告書、固定資産税の納税通知書、証券会社の取引報告書などを丁寧に確認していく必要があります。

自分たちで行うことが難しい場合や、ミスなく確実に調査したい場合には、相続に精通した司法書士や行政書士に調査を依頼するのが良いでしょう。

相続財産とは?【簡単】正しく理解するために知っておくべき基礎知識

4-2 相続発生3~7年以内に生前贈与が行われていないか

次に注意すべきことは、故人が亡くなる3〜7年以内に生前贈与をしていないかどうかです。
相続開始3〜7年以内に相続人に対して行われた贈与は原則として相続財産に加算されます。
例えば、亡くなる直前に子供へ現金を贈与していた場合、贈与財産は相続税の課税対象となるため、ご注意ください。

さらに、特定の贈与が繰り返されていたり、贈与契約書がなく曖昧なやり取りだったりした場合、過去の相続財産に含めるべきかどうかの判断が難しくなることもあります。
そのため、故人が生前贈与を行っていた場合には、過去の贈与を相続税の計算対象に含めるべきか、一度税理士に相談することもご検討ください。

生前贈与加算とは?2023年の税制改正内容や対象者を解説

4-3 故人が相続時精算課税制度を利用していないか

最後に確認すべきことは、故人が相続時精算課税制度を利用していたかどうかです。

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、最大2,500万円までを非課税で贈与できる一方で、相続時にその贈与分を相続財産に合算して再計算するという仕組みです。
したがって、故人が相続時精算課税制度を利用していた場合には、贈与税の基礎控除を超えた分を相続税の計算対象に含めなければなりません。

生前贈与は2500万円まで贈与税が非課税|相続時精算課税で節税は可能?

まとめ

遺産総額が相続税の基礎控除を下回る場合には、相続税の申告は必要ありません。
ただし、相続財産には様々な種類があるので、遺産総額を計算する際には相続財産調査に漏れがないよう注意しなければなりません。

また、控除や特例を適用した結果、相続税がかからなくなったとしても、相続税申告が必要な場合もあるのでご注意ください。

相続税申告をはじめとする相続手続きに不安がある場合には、相続に精通した専門家に相談することをおすすめします。

グリーン司法書士法人では、相続手続きについての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

相続税申告では住民票や印鑑証明書の提出は不要ですか?

相続税の申告書を税務署へ提出する際、住民票や印鑑証明書の添付は原則として必要ありません。
ただし、相続税申告時にはマイナンバーを確認できる書類を提出しなければなりません。
マイナンバーカードや通知カードがない場合には、マイナンバーが記載された住民票の写しを提出する必要があります。
また、配偶者控除や小規模宅地等の特例を適用する場合には、相続人全員の印鑑証明書の提出が必要です。

相続税申告では残高証明書の提出は不要ですか?

相続税申告をする際には、原則として金融機関が発行する残高証明書を添付する必要があります。
相続開始日(被相続人の死亡日)時点の預貯金残高を正確に把握するために、金融機関から残高証明書を取り寄せましょう。
発行には数週間程度かかることもあるので、早めに準備しておくことをおすすめしますを

相続税申告では遺産分割協議書の提出は不要ですか?

法定相続分と異なる割合で遺産分割する場合や、配偶者控除の特例や小規模宅地等の特例を適用する場合には、遺産分割協議書を提出する必要があります。
一方、相続人が1人しかいない場合や、法定相続分で遺産を相続するのであれば遺産分割協議書の提出は必要ありません。

遺産がいくらまでであれば相続税はかかりませんか?

遺産総額が相続税の基礎控除内に収まれば、相続税はかかりません。
相続税の基礎控除は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。
ただし、遺産総額が基礎控除額を上回っていても、控除や特例を適用した結果、相続税がかからなくなるケースもあります。

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