
- 相続人のいない土地は誰が受け継ぐのか
- 相続人のいない土地が国のものとなるまでの流れ
- 相続人がいないときにすべきこと
相続人のいない土地は、誰が受け継ぎ、管理するのか不安に思う方もいるでしょう。
少子高齢化や未婚化が進む現代では、配偶者や子供がおらず、財産を誰に受け継いでもらうか悩む方も増えています。
相続人がいない場合、財産はすぐに国へ引き取られるわけではなく、複数の手続きを経て最終的に国のものとなります。
本記事では、相続人不存在となる主なケースから、相続人のいない土地が国のものとなるまでの流れを解説します。
目次
1章 相続人のいない土地はどうなる?
相続人が1人もいない土地は、最終的には国のものとなってしまいます。
ただし、相続人がいない場合であっても、すぐに国に引き取られるわけではなく、決められた手続きに沿って、土地の引き継ぎ先が段階的に決まる仕組みです。
本章では、相続人のいない土地がどうなるのかを解説していきます。
1-1 債権者・受遺者が受け継ぐ
相続人がいない土地であっても、債権者や受遺者がいる場合には、まず債権者への弁済や受遺者への引渡しが行われます。
債権者とは、故人に対して貸付金や未払い代金などの請求権を持つ者であり、受遺者は遺言書によって財産取得を指定された人を指します。
例えば、故人が「従姉妹に土地を譲る」などといった遺言書を用意していたのであれば、従姉妹が土地を受け継ぎます。
1-2 特別縁故者が受け継ぐ
債権者や受遺者がいない場合や、債権者への支払い等が完了しても、土地が残る場合には、特別縁故者が土地を受け継ぐ可能性があります。
特別縁故者とは、故人と特別な関係にあった人であり、例えば以下のような人物が該当します。
- 長年にわたり生計を同じくしていた内縁の配偶者
- 介護や看病を継続的に行っていた親族以外の人(従姉妹、再婚相手の連れ子など)
特別縁故者は相続権こそありませんが、故人との密接な関係性が認められるため、家庭裁判所の判断により、残余財産の全部または一部を取得できることがあります。
ただし、特別縁故者が財産を取得するには、家庭裁判所への申立てが必要であり、土地を受け取るまでに最短10ヶ月程度かかることがほとんどです。
1-3 最終的に国庫に帰属する
債権者や受遺者、特別縁故者への財産分与がすべて終わり、それでも土地が残っている場合、最終的にその財産は国のものとなります。
相続人がいない土地を最終的に国が引き取るのは、土地の管理者不在の状態を解消することが目的です。
2章 相続人がいなくなるケース
相続人が1人もいない状態というのは、故人に身寄りがない以外にもいくつかの状況が考えられます。
具体的には、以下のようなケースでは相続人が1人もいなくなります。
- 法定相続人が1人もいない
- 相続人全員が相続放棄している
- 相続人全員が相続欠格・相続人廃除されている
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 法定相続人が1人もいない
相続人が1人もいない状況のうち、最も想像しやすいものが、そもそも法定相続人が1人もいないケースでしょう。
法律では、以下のように相続人になれる人物と優先順位が決められています。
上記に記載されていない「従姉妹」や「甥・姪の子供」などは法定相続人にはなれません。
したがって、以下のような場合には法定相続人が存在しません。
- 子供や孫がいない
- 配偶者がすでに死亡している、いない
- 父母や祖父母といった直系尊属が全員亡くなっている
- 兄弟姉妹もいないか、全員亡くなり、その代襲相続人(甥・姪)もいない
近年は、未婚化や単身世帯の増加に伴い、配偶者も子供もいないまま生涯を終える人が増えており、相続人がいない状況は珍しいケースではなくなっています。
2-2 相続人全員が相続放棄している
次に多いのが、相続人は存在するものの全員が相続放棄をしているため、結果的に相続人がいなくなるケースです。
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しなくする手続きであり、相続放棄が認められると最初から相続人ではない扱いとなります。
相続放棄は、故人が多額の借金を遺していた場合や、遺産に資産価値の低い不動産しかない場合などに選択されます。
相続人全員が相続放棄した場合、相続人が1人もいなくなるため、故人が所有していた土地は最終的に国のものとなる可能性があります。
2-3 相続人全員が相続欠格・相続人廃除されている
少し特殊なケースですが、法定相続人が存在していても、全員が相続欠格または廃除により相続権を失っている場合も、相続人が1人もいない状態となります。
相続欠格とは、民法で定められた「重大な非行」に該当する場合に自動的に相続権を失う制度です。
例えば、故人を殺害しようとした方や遺言書の偽造や変造、破棄をした方は相続欠格となります。
相続人廃除は、家庭裁判所の審判によって相続人の相続権を奪う制度です。
例えば、故人に対する虐待や暴力、重大な侮辱などをしていた相続人は相続人廃除となる可能性があります。
3章 相続人のいない土地が国庫に帰属するまでの流れ
相続人のいない土地は、ただちに国のものとなるわけではなく、債権者や受遺者、特別縁故者などがいないか調査されます。
具体的には、以下のような流れで相続人のいない土地は最終的に国のものとなります。
- 相続財産清算人選任の申立てをする
- 相続人が捜索される
- 土地が国庫に帰属する
それぞれ詳しく解説していきます。
STEP① 相続財産清算人選任の申立てをする
法定相続人が1人もいない場合や相続人全員が相続放棄した場合、相続財産清算人選任申立てが行われます。
相続財産清算人とは、相続人がいないときに遺産を管理する人物です。
相続財産清算人の申立て方法や必要書類は、以下の通りです。
| 申立てする人 |
|
|---|---|
| 申立て先 | 故人が最後に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所 |
| 費用 |
|
| 必要書類 |
|
STEP② 相続人が捜索される
相続財産清算人が選任された後は、公告による相続人の捜索手続きに入ります。
家庭裁判所は、官報などを利用して一定期間にわたり、法定相続人が名乗り出る機会を設けます。
この期間中に相続人が見つかった場合には、相続財産清算人の職務は終了し、通常の相続手続きへと移行します。
期間満了までに相続人が現れない場合、相続人不存在が確定し、次の手続きへと進みます。
相続人不存在として確定したら、相続財産清算人は債権者や受遺者への弁済を行い、さらに特別縁故者への財産分与を行う場合もあります。
特別縁故者への財産分与は、「財産分与審判の申立て」をする必要があるのでご注意ください。
STEP③ 土地が国庫に帰属する
債権者や受遺者、特別縁故者による請求がすべて完了し、それでも土地が残っている場合には、最終的にその土地は国のものとなります。
これは、相続人がいない土地を社会的に適切に管理するための仕組みであり、不動産の放置による防災・衛生・景観上の問題を防ぐ役割を担っています。
ただし、相続不動産が故人と第三者(法定相続人以外の方や相続放棄した方)との共有状態だった場合には、故人の持ち分は残りの共有者のものとなります。
4章 相続人がいないときにすべきこと
相続人がいない土地は最終的に国のものとなってしまう可能性があります。
代々受け継いできた土地や思い入れのある土地を信頼する人物に引き継いでほしいのであれば、遺言書の作成などの準備をしておくことが大切です。
本章では、相続人が1人もいないと予想されるときにしておきたいことを解説します。
4-1 遺言書を作成する
法定相続人がいない場合でも、土地を託したい人がいるのであれば、遺言書を作成することをおすすめします。
遺言書によって、土地を受け継ぐ人物を指定しておけば、受遺者がスムーズに土地を取得できるからです。
遺言書がなくても特別縁故者として土地を受け継げる可能性はありますが、特別縁故者が財産を受け取るには相続発生から1年前後の期間が必要です。
また、特別縁故者は望めば必ず認められるわけではなく、家庭裁判所による審判が必要であり、必ずしも望む結果となるとは限りません。
遺された方に土地を譲りたいのであれば、元気なうちに遺言書を作成しておきましょう。
4-2 自治体・企業に寄付する
土地を譲りたい人物がいないのであれば、自治体や公的機関、企業などに土地を寄付することを検討しても良いでしょう。
土地の面積や立地によっては、社会貢献につながる活用も期待できます。
ただし、すべての自治体や企業が土地の寄付を受け付けているわけではありません。
価値が低く使い勝手の悪い土地は、寄付を断られる恐れもあるのでご注意ください。
自治体や企業への寄付を検討している場合には、自分が元気なうちに寄付先に相談しておくことが大切です。
4-3 元気なうちに売却する
相続人がいない場合、土地をそのままの状態で遺すのではなく、売却して現金化してしまうのも選択肢のひとつです。
現金であれば土地よりも管理しやすく、寄付もしやすくなるでしょう。
また、土地は管理に手間がかかりますし、地価下落などのリスクもあります。
そのため、高齢になるにつれ、土地の管理が負担に感じることもあるでしょう。
このような問題も、土地を現金化してしまえば解決可能です。
まとめ
相続人のいない土地は、債権者や受遺者、特別縁故者が受け継ぐ場合があります。
これらの人物がいない場合、土地が最終的には国のものとなってしまいます。
先祖代々受け継いできた土地を親族に譲りたい場合や、お世話になった方に譲りたい場合には、元気なうちに相続対策しておくことをおすすめします。
例えば、遺言書を作成すれば、自分が希望する人物に土地を譲れます。
グリーン司法書士法人では、遺言書の作成についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
相続財産清算人は誰が選ばれますか?
相続財産清算人は、法律実務に精通した弁護士が選ばれることが一般的です。
相続財産の規模や内容に応じて、複数名が選任される場合もあります。
相続財産清算人の報酬は誰が払いますか?
相続財産清算人の報酬や実費は、相続財産から支払うのが原則です。
相続財産清算人は裁判所へ報酬付与の申立てを行い、裁判所が適正額を審査した上で決定します。
ただし、相続財産が非常に少ない場合や、ほとんど価値のない土地しか残っていない場合には、申立人が予納金を支払わなければならない場合があります。
生前に不要な土地を自治体へ寄付できますか?
結論から言うと、多くの自治体は不要な土地の寄付を受け付けていません。
資産価値が低く活用が難しい土地を寄付されても、管理コストがかかってしまいメリットが少ないからです。
一方、自治体が活用できる土地であると判断されれば、寄付が認められる可能性があります。










