
- 葬儀の準備を親と相談するタイミングはいつが良いのか
- 葬儀の事前準備を親としておくメリット
- 葬儀の準備と併せて親に確認すべきこと
「葬儀の話なんて縁起でもない」と思う方も多いかもしれませんが、親が元気なうちに希望を聞いておくことは、親にとっても遺される家族にとっても大切なことです。
葬儀の形式や費用について希望を尋ねておけば、親の希望を実現しやすくなりますし、いざというときに慌てず葬儀の手配を行えるはずです。
また、高齢になった親とは葬儀の話をするだけでなく、延命治療や終末期医療、相続、お墓についても確認しておくと安心です。
本記事では、親と葬儀の話をするタイミングや、葬儀の事前準備をするメリットを解説します。
1章 葬儀の準備を親と相談するタイミングはいつが良い?
葬儀の準備について親と相談するのに適したタイミングは、主に以下の通りです。
- お盆やお彼岸などでお参りをしたとき
- お正月など家族が集まるとき
- 親が体調の変化を意識しだしたとき
- 知人・友人の訃報があったとき
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1 お盆やお彼岸などでお参りをしたとき
お盆やお彼岸にお墓参りに出かけたタイミングは、先祖や故人の供養を通じて、死について考える自然なきっかけになります。
例えば、「おじいちゃんのときはこうだったけど、自分のときはどうしたい?」というように、実際の葬儀や供養の話題から、葬儀について話しやすくなるでしょう。
1-2 お正月など家族が集まるとき
お正月や連休など、家族が一堂に会する機会も葬儀について話しやすいタイミングのひとつです。
兄弟姉妹など関係者が揃っているため、親の希望を複数人で一度に確認可能です。
「もしものときはどうしようか」という会話を複数人で共有できれば、後々の認識違いやトラブルも防ぎやすくなるでしょう。
1-3 親が体調の変化を意識しだしたとき
親が健康診断の結果に不安を感じたり、持病が気になり始めたりしたときも、自然と終活への関心が高まりやすくなります。
このようなタイミングで、財産整理や延命治療の希望とあわせて、葬儀の形式や規模について希望を聞いておくと良いでしょう。
1-4 知人・友人の訃報があったとき
親しい知人や友人の訃報をきっかけに、自分の最期について考える方も少なくありません。
「〇〇さんの葬儀は家族葬だったけど、自分のときはどうしたい?」など、実際の事例をベースに希望を聞くのも良いでしょう。
親が希望を伝えたがらない場合には、「家族として何をすれば良いのか不安だから教えてほしい」といった形で尋ねると、親も話しやすくなります。
2章 葬儀の事前準備を親としておくメリット
葬儀について、親と話しておき事前に準備しておくメリットは、主に以下の通りです。
- 親の希望を反映した葬儀を実現しやすくなる
- 葬儀費用の相場がわかる
- お布施の目安がわかる
- 地域ごとのしきたりを把握しやすい
- 親と相談しながら葬儀の準備を進められる
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 親の希望を反映した葬儀を実現しやすくなる
葬儀の希望について親に尋ねておけば、その希望を実現しやすくなります。
葬儀には、宗派や形式、会場、参列者の範囲など、様々な選択肢があります。
いざというときに迷わなくて済むように、親と希望をすり合わせておくと安心です。
また、最近では「葬儀はしなくていい」「家族だけで静かに見送ってほしい」といったニーズも増えており、事前に確認しておかないと家族内で意見が分かれてしまいトラブルが起きることもあります。
このようなトラブルを避けるためにも、元気なうちから親としっかり話し合っておくことをおすすめします。
2-2 葬儀費用の相場がわかる
葬儀の準備を進めていく過程で、葬儀費用の相場や内訳も把握しやすくなります。
葬儀は、形式や葬儀会社によって費用が大きく変わり、場合によっては100万円から数百万円近くかかる場合もあります。
生前のうちに見積もりを取っておけば、予算に応じた葬儀のプランを比較検討できますし、葬儀費用が予想以上にかかってしまうトラブルも回避しやすいでしょう。
2-3 お布施の目安がわかる
読経を依頼する場合はお布施が必要になりますが、金額の相場や渡し方に迷う方も少なくありません。
葬儀について事前に準備をしていく中で、親の宗派や菩提寺の有無を確認し、お布施の相場を確認しておくと良いでしょう。
お布施の相場は地域や寺院によって異なりますが、通夜・葬儀・初七日を含めて数十万円程度かかるのが一般的です。
2-4 地域ごとのしきたりを把握しやすい
地域によっては、葬儀の習慣やしきたりが色濃く残っている場合があります。
親と事前に葬儀について話しておくことで、こういった習慣やしきたりも把握しやすくなるでしょう。
こういった地域独自の習慣はインターネットでは調べにくく、暗黙の了解となっていることも多くあります。
「うちの地域ではこうする」といったルールを知っておけば、親族や近隣とのトラブルを避けられるでしょう。
2-5 親と相談しながら葬儀の準備を進められる
親と葬儀について話しておくことで、具体的な段取りを確認しやすくなり、落ち着いて葬儀の準備を進められるようになります。
葬儀についての話や準備そのものも、親とのコミュニケーションのひとつとなりますし、親のこれまでの人生を振り返る良い機会にもなるかもしれません。
3章 葬儀の準備と併せて親に確認すべきこと
親の老後について考える際には、葬儀について話をするだけでなく、以下のようなことも確認しておくと良いでしょう。
- エンディングノートの有無・保管場所
- 遺言書の有無・保管場所
- 親が希望している老後の過ごし方
- 介護や入院に関する希望
- 延命治療や終末期医療に関する希望
- お墓の希望
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 エンディングノートの有無・保管場所
親がエンディングノートを作成しているかどうかや、作成している場合の保管場所についても確認しておきましょう。
エンディングノートとは、本人の希望や家族へのメッセージを自由に記すことができるものです。
遺言書と異なり、法的な効力はありませんが、医療や介護、葬儀、相続などに関する考えを整理しておくことで、家族が迷わずに意思決定しやすくなります。
3-2 遺言書の有無・保管場所
エンディングノートだけでなく、親が遺言書を用意しているかも確認しておきましょう。
遺言書がある場合には、原則としてその内容通りの遺産分割が行われるからです。
また、遺言書には複数の種類があり、それぞれ保管方法や相続発生後に行う手続きも変わってきます。
そのため、どの遺言書を作成したかや、保管場所についても確認しておくと良いでしょう。
3-3 親が希望している老後の過ごし方
親が老後をどのように過ごしたいと考えているのかも、事前に聞いておきたいポイントのひとつです。
例えば、以下のことなどを確認しておくと、親の希望を実現するために準備しやすくなるはずです。
- 自宅で暮らし続けたいのか
- 元気なうちはどのような暮らしをしたいのか
- 自宅で暮らすことが難しくなった場合には、どのような暮らしをしたいのか
生活設計や人生観は人それぞれですので、元気なうちに、親の本音を聞いておくと良いでしょう。
3-4 介護や入院に関する希望
介護が必要になったときに備えて、誰に頼みたいのかや、施設と在宅のどちらを希望するのかなども確認しておくと安心です。
高齢になってくると、病気やケガなどで急に入院し、その後は介護が必要になってしまうケースも多くあります。
緊急時に備えて、かかりつけ医や健康保険証、医療費の管理方法なども共有しておくことをおすすめします。
3-5 延命治療や終末期医療に関する希望
いざというときのために、延命治療や終末期の医療についても、親の気持ちを確認しておきましょう。
親の希望や考えがわからないまま、延命治療について判断を迫られる家族の負担は非常に大きいものとなるからです。
延命治療をするにせよしないにせよ、後から「本当にあのときの選択は正しかったのだろうか」と悩んでしまうこともあるでしょう。
可能であれば、エンディングノートなどで延命治療や終末期医療について記録しておいてもらうこともおすすめです。
3-6 お墓の希望
葬儀に関する希望だけでなく、埋葬に関する希望も確認しておきましょう。
親が先祖代々のお墓に入りたいのか、それとも納骨堂や樹木葬、散骨など新しいスタイルを希望しているのかによって、必要な手続きや費用も変わってくるからです。
親がお墓をすでに購入している場合には、場所や契約者名義の確認も忘れずにしておきましょう。
まとめ
葬儀の準備は、死に直面する暗い話ではなく、家族のことを考えた前向きな行動です。
親の葬儀に関する希望を確認しておけば、葬儀の準備も計画的に進められますし、費用などの確認も事前にできるでしょう。
また、葬儀について話し合うだけでなく、場合によっては老後の過ごし方や相続についても希望を訪ねておくと良いでしょう。
エンディングノートや遺言書の有無や保管方法、介護や終末期医療の意思などを聞いておけば、いざというときにも家族が慌てずに対応できるはずです。
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