お墓を継ぐ人がいない場合はどうなる?しておきたい相続対策とは?

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司法書士日野 修亮

 監修者:日野 修亮

この記事を読む およそ時間: 8

お墓は仏壇や家系図などと同様に、祭祀財産として受け継がれます。

しかし、子供がいない人などお墓を継いでくれる人がいない場合、放置されたお墓は無縁仏となってしまいます。
無縁仏になってしまうと、最終的に先祖の遺骨が他の遺骨と一緒に埋葬され引き取ることができなくなるのでご注意ください。

お墓を継ぐ人がいない場合は、自分の代で墓じまいも検討しましょう。

本記事では、お墓を継ぐ人がいないとどうなるのか、墓じまいの流れについて詳しく解説します。
お墓の相続については、下記の記事で詳しく解説しているので、ご参考にしてください。

お墓を相続する方法とは?メリット・デメリットから手続きの流れまで

1章 継ぐ人がいないお墓はどうなる?

お墓を継ぐ人がいなく、放置されたお墓は無縁仏となってしまいます。
無縁仏になった後は、一定期間は行政や霊園、墓地の管理者がお墓の管理を代わりに行います。
そして、一定期間を超えると他の遺骨と一緒に埋葬され、個別に引き取ることができなくなるのでご注意ください。

無縁仏となってしまい、先祖代々受け継いできたお墓を放置する、故人の遺骨を大切に扱わないことを罰当たりに感じる人もいるでしょう。
自分が亡くなった後にお墓を継ぐ人がいない場合は、自分の代で墓じまいすることもご検討ください。

祭祀承継者の優先順位に決まりはある?お墓の相続方法や注意点

娘もお墓を受け継げる

お墓や仏壇などの祭祀財産を受け継ぐ人物は、性別に関する決まりはありません。
したがって、子供が娘しかいない場合でも、お墓を受け継いでもらうことができます。

ただし、娘全員が遠方に嫁いだ場合など、お墓の管理が難しいようであれば墓じまいも検討するのが良いでしょう。

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2章 お墓を継ぐ人がいないときの対処法

お墓を継ぐ人がいないときは、墓じまいもしくは永代供養のお墓に移すなどの対処をしておく必要があります。
お墓を継ぐ人がいなくなってしまうと、無縁仏になってしまうからです。

対処法をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 墓じまいする

墓じまいとは、お墓の墓石を撤去し墓地の管理者に敷地を返還することです。
墓じまいの際に、お墓に納めてある遺骨については、別の墓地に移す、永代供養墓地に移すなどの手続きをします。

このように墓じまいは、お墓を単に撤去するだけではなく、先祖の遺骨を別の形で供養することです。
したがって墓じまいには、お墓を処分してしまうというマイナスイメージだけでなく、先祖の遺骨を違った形で供養する、負担のない形で供養するといったプラスのイメージもあります。

2-2 永代供養のお墓に移す

墓じまいをした後の遺骨については、永代供養墓に移せば遺骨の管理を寺院や霊園に任せられます。
永大供養墓は、下記の種類に分けられます。

お墓の種類概要
合祀型遺骨を個別安置せず、他の人の遺骨と一緒に埋葬や納骨する
個別型通常のお墓と同様に個別区画に納骨する
回忌安置型一定期間は個別に安置した後、合祀される

上記のようにそれぞれ納骨方法が異なり、それに応じて費用も変わってくるので、永代供養をするなら複数の寺院や霊園を比較検討するのがおすすめです。


3章 墓じまいの流れ

墓じまいは、家族や親族に相談する、墓じまい後の供養方法を決めるなどの流れで進めていくのが一般的です。
墓じまいの手順は、下記の通りです。

  1. 家族・親族に相談する
  2. 遺骨を確認する
  3. 墓じまい後の供養方法・お墓を決める
  4. 菩提寺・石材店に相談する
  5. 受け入れ証明書と埋葬証明書を用意する
  6. 改葬許可申請書を作成する
  7. 改葬許可証を取得する
  8. 遺骨のメンテナンスをする
  9. 閉眼供養(へいがんくよう)を行う
  10. お墓の解体を行う
  11. 離檀料を支払う
  12. 改葬許可証を提出する
  13. 開眼供養(かいげんくよう)を行う

それぞれ詳しく見ていきましょう。

STEP① 家族・親族に相談する

墓じまいは自分1人で決断するのではなく、家族や親族に相談して行うことが大切です。
家族が親族が墓じまいに反対し、後々トラブルになってしまうケースは珍しくないからです。

家族や親族にお墓の管理が負担であること、自分が亡くなった後に管理してくれる人物がいないことなどを相談し、これからのお墓の管理について納得できる方法を見つけましょう。

STEP② 遺骨を確認する

家族や親族が墓じまいに納得したら、現在のお墓に納骨されている遺骨の確認を進めましょう。
墓じまいの手続きを進める際には、下記の情報などが必要になるからです。

  • 遺骨が何体あるか
  • 誰の遺骨か
  • 遺骨の汚れや破損はあるか

STEP③ 墓じまい後の供養方法・お墓を決める

続いて、墓じまい後の供養方法について決めましょう。
墓じまいをした後は、別のお墓に移動させる、永代供養墓に移すなどの選択肢が考えられます。

それぞれ費用などが異なってくるので、比較検討して自分たちの希望に合う方法を見つけましょう。

STEP④ 菩提寺・石材店に相談する

墓じまい後の供養方法について決めたら、墓地を管理していた菩提寺に相談しましょう。
離檀料を巡ってトラブルが起きる恐れもあるので、早めに墓じまいについて相談するのがおすすめです。

また、墓じまいの実作業については石材店が行うため、依頼先の石材店を選定、相談しておく必要があります。

墓じまいでは、墓石を解体、撤去して更地にした状態で菩提寺などに返還しなければなりません。
お墓を管理している菩提寺や墓地の立地によっては、下記の理由で高額な費用もかかる恐れがあるのでご注意ください。

  • 菩提寺が提携している石材店にしか依頼できない
  • 山奥に墓地があり、石材店への依頼費用がかさむ

石材店を選ぶ際には、事前に費用の見積もりを取っておくことをおすすめします。

STEP⑤ 受け入れ証明書と埋葬証明書を用意する

菩提寺および石材店への連絡が完了したら、下記の行政手続きを進めます。

  • 新たな遺骨の受け入れ先に「受け入れ証明書」を発行してもらう
  • 現在の菩提寺に遺骨が埋葬されていることを証明する「埋葬証明書」を発行してもらう

STEP⑥ 改葬許可申請書を作成する

続いて、元々のお墓がある市区町村の役所から「改葬許可申請書」を取得し必要事項を記入します。
役所によっては、自治体HPから改葬許可申請書をダウンロード可能です。

改葬許可申請書は、遺骨1体につき1枚必要となりますので、STEP②で確認した遺骨の数だけ記入する必要があります。

STEP⑦ 改葬許可証を取得する

STEP⑤、⑥で取得、作成した書類を現在のお墓がある市区町村役場に提出すると「改葬許可証」を発行してもらえます。
改葬許可証は、遺骨を取り出すときと新しい納骨先に納骨するときに必要な場合が多いです。

改葬許可証の発行は時間がかかる場合もありますので、早めに準備しておくと良いでしょう。

STEP⑧ 遺骨のメンテナンスをする

取り出した遺骨の破損やカビをきれいにしておきたい人は、このタイミングで専門業者に依頼されることをおすすめします。

STEP⑨ 閉眼供養(へいがんくよう)を行う

現在のお墓から遺骨を取り出すときには、ご先祖様の魂を抜くための「閉眼供養」を行いましょう。
お墓を管理している菩提寺と相談し、日程を決めましょう。

STEP⑩ お墓の解体を行う

閉眼供養が完了したら、石材店にお墓の解体を行ってもらいましょう。

STEP⑪ 離檀料を支払う

お墓を更地にしたら、お墓の管理をしてくれた菩提寺に離檀料を支払います。

離檀料は感謝の気持ちであり、明確に金額が決められていない場合もあります。
いくら支払えばいいか不明な場合は、事前にお寺に相談しておきましょう。

STEP⑫ 改葬許可証を提出する

墓じまいが完了したら、次のお墓に改葬許可証を提出しましょう。

STEP⑬ 開眼供養(かいげんくよう)を行う

次のお墓に納骨したら、新しいお墓にご先祖様の魂を戻すために「開眼供養」を行ってもらいましょう。


4章 墓じまいにかかる費用の内訳・相場

墓じまいにかかる費用は合計50万円程度であり、内訳は下記の通りです。

費用の内訳相場・概要
墓石の撤去費用一般的な墓石の撤去費用相場は8〜15万円/㎡です。
閉眼供養のお布施3〜10万円程度
離檀料20〜30万円程度

お布施は感謝として渡すため、明確に金額が決まっているわけではありません。
不安であれば事前にお寺に相談しておくと安心です。

離檀料についてもお布施同様に感謝として渡すものであり、金額について明確な決まりがない場合もあります。
事前にお墓を管理しているお寺に確認しておきましょう。


5章 永代供養墓の選択肢

墓じまいをして家族や親族で受け継いでいく一般墓でなく永代供養墓に移す場合、樹木葬も選択肢として考えられます。
それぞれの特徴や費用相場を見ていきましょう。

5-1 永代供養墓

永代供養墓とは、お寺や霊園に遺骨の管理を永代にわたり任せられるお墓です。
永代供養墓は納骨方法によって、下記の種類に分類できます。

お墓の種類概要
合祀型遺骨を個別安置せず、他の人の遺骨と一緒に埋葬や納骨する
個別型通常のお墓と同様に個別区画に納骨する
回忌安置型一定期間は個別に安置した後、合祀される

永代供養墓に遺骨を移した場合の費用相場は、下記の通りです。

  • 合祀型:10~30万円
  • 個別型:30~100万円
  • 回忌安置型:20~60万円

5-2 樹木葬

樹木葬とは、遺骨を樹木や草花の下に埋葬し、植物を墓標とする形のお墓です。
樹木葬は下記のように分類できます。

種類概要
里山型許可を得た里山に遺骨を埋葬する
都市型寺院墓地や霊園内の庭園区画に遺骨を埋葬する

また、上記の分類だけでなく永代供養墓のように合祀型や個別埋葬型、集合墓型など埋葬方法も複数用意されています。
樹木葬をした場合の費用相場は、下記の通りです。

  • 合祀型:8~20万円
  • 個別埋葬型:30~80万円
  • 集合墓型:15~60万円

6章 お墓を継ぐ人がいない場合は相続対策もしておこう

身寄りがない人や子供がいなくお墓を継いでくれる人がいない場合は、墓じまいだけでなく相続対策もしておく必要があります。
相続人がいない場合、遺産は最終的に国のものになってしまうからです。

自分が希望する人物に財産を残したい場合、下記の方法で相続対策をしておきましょう。

  1. 遺言書の作成
  2. 家族信託
  3. 生前贈与
  4. 生命保険
  5. 養子縁組

それぞれ詳しく解説していきます。

相続人がいない場合の遺産の分け方・対処方法を相続のプロが徹底解説

6-1 遺言書の作成

遺言書を作成すれば、自分が希望する人物に財産を遺せます。
例えば、内縁の妻や夫、再婚相手の連れ子など本来であれば相続権を持たない人物にも財産を遺せます。

相続対策として用いられる遺言書は複数の種類がありますが、信頼性が最も高く原本を公証役場で保管してもらえる公正証書遺言を作成するのがおすすめです。
ただし、自分で様々な可能性を考慮して遺言書を作成するのは難しいので、相続対策に詳しい司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。

公正証書遺言作成に必要な費用と専門家の報酬をまとめて紹介

6-2 家族信託

家族信託の基本的な仕組み

家族信託を利用すれば自分が認知症などで判断能力を失ったとき、信頼する家族に自分の財産の管理や運用、処分を任せられます。
家族信託は財産管理に特化した制度であり、契約内容によっては不動産のリフォームや売却、運用なども行えます。

また、家族信託では自分が亡くなった後のさらにその次の承継先まで指定できるので、代々受け継いできた財産などがある人にもおすすめです。

家族信託は認知症対策や相続対策として優れている一方で、比較的新しい制度であり提案できる専門家が少ないのが現状です。
自分で家族信託の手続きを行うことは現実的ではないので、認知症対策や家族信託に詳しい司法書士や弁護士などに相談するのが良いでしょう。

家族信託とは|メリット・デメリットや活用事例をわかりやすく解説

6-3 生前贈与

生前贈与をすれば、自分が希望する人物に希望のタイミングで財産を受け継げます。
遺言と異なり、生前贈与は受贈者と贈与者が合意したタイミングで行えるため、結婚や出産、進学などお金がかかるタイミングで行うことも可能です。

ただし、年間110万円を超える贈与を行うと、贈与を受けた側に贈与税がかかります。
贈与税を節税するには、生前贈与に詳しい税理士に相談し、税金のシミュレーションや節税対策を行ってもらうのが良いでしょう。

生前贈与とは?メリット・デメリットや贈与税の計算方法について

6-4 生命保険

自分の葬儀費用や相続税の納税資金、自分が亡くなった後の家族の生活費を遺したいのであれば、生命保険に加入しておくのがおすすめです。
生命保険金は相続が発生してから比較的早いタイミングで支払われるため、当面の生活費や葬儀費用に使用できます。

保険会社によっては、内縁の妻や夫を受取人にした生命保険に加入することもできるので、確認してみると良いでしょう。

生命保険が相続対策になる4つの理由と相続対策のポイント

6-5 養子縁組

財産を遺したい人物がいる場合は、養子縁組も選択肢のひとつです。
養子縁組をすれば法律上の親子となるため、自分が亡くなったときに養子が相続人として財産を受け継ぎます。

養子縁組には2種類あり、相続対策として用いられるのは普通養子縁組です。
ただし、普通養子縁組を行い相続対策するときには、下記の点に注意しましょう。

  • 養子縁組は簡単に解消できない
  • 節税目的だけの養子縁組は税務署に否認される恐れがある

養子縁組には上記の注意点もあるので、自己判断で行うのではなく相続対策に詳しい司法書士や弁護士に相談し、他の方法と比較検討した上で手続きするのが良いでしょう。
普通養子縁組の手続き方法および必要書類は、下記の通りです。

手続きする人養親または養子
手続き先養親または養子の本籍地のある市区町村役場
必要書類
  • 養子縁組届
  • 届出人の本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
  • 養子縁組許可審判書の謄本(養子が未成年の場合のみ)
  • 養親と養子の戸籍謄本(本籍地の市区町村に届出をする場合は不要)
  • 養子縁組に関する配偶者の同意書(配偶者がいる場合のみ)
  • 外国の法律に関する資料(外国籍の人を養子縁組する場合のみ)
特別養子縁組とは?普通養子縁組との違いや相続の取扱いについて
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まとめ

お墓を継ぐ人がいなく放置されたお墓は無縁仏となってしまいます。
無縁仏になり一定期間を過ぎると遺骨を引き取ることができなくなるので、ご注意ください。
無縁仏になることを避けたいのであれば、自分の代で墓じまいすることも検討しましょう。

また、身寄りがない人や子供がいなくお墓を継ぐ人がいない場合は、墓じまいだけでなく認知症対策や相続対策もしておきましょう。
認知症対策や相続対策には複数の方法があるので、自分に合う方法がわからない場合は、相続に精通した司法書士や弁護士に相談しましょう。

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