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【種類別】遺言書の保管方法とは?保管時の注意点も解説

【種類別】遺言書の保管方法とは?保管時の注意点も解説
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 4

元気なうちに遺言書を作成しておけば、自分が希望する内容で遺産分割をしてもらえますし、遺された家族や親族の相続手続きの手間を減らせます。
しかし遺言書の内容を実現するためには、自分が亡くなるまで遺言書を大切に保管し、亡くなった後は家族や親族に遺言書を見つけてもらわなければなりません。

相続対策で用いられる遺言書には、下記の3種類があります。

種類概要
自筆証書遺言遺言者本人がすべて自筆で書く形式の遺言書
公正証書遺言公証役場で公証人が作成する遺言書
秘密証書遺言遺言書の存在だけを公証役場で証明し、遺言内容自体は秘密にする形式の遺言書

上記のように、遺言書は種類によって保管方法が異なります。
遺言書の改ざんや紛失リスクをなくしたいのであれば、公正証書遺言の作成もしくは自筆証書遺言の作成後に法務局の保管制度を利用しましょう。

本記事では、遺言書の種類別の保管方法を解説します。
遺言書の種類については、下記の記事で詳しく解説しているのでご参考にしてください。

遺言書の種類は3種類!自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴について

1章 自筆証書遺言の保管方法

自筆証書遺言とはすべて自署で作成する遺言書であり、作成後は自分で保管するか法務局による保管制度を利用します。
自筆証書遺言の保管方法は、主に下記の4通りです。

  1. 法務局の遺言書保管制度を利用する
  2. 自分で保管する
  3. 専門家に預ける
  4. 相続人に預ける

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自筆証書遺言とは?書き方と作成するメリット・デメリット【まとめ】

1-1 法務局の遺言書保管制度を利用する

自筆証書遺言の保管方法として最もおすすめできるのは、法務局の遺言書保管制度を利用することです。
法務局の遺言書保管制度は相続法改正により開始された制度で、下記のメリットがあります。

  • 自筆証書遺言書を法務局で保管してもらえるため、紛失や改ざんリスクをなくせる
  • 自分で書いた遺言書が法的な要件を満たしているか、法務局で確認してもらえる
  • 保管制度を利用した自筆証書遺言書は、家庭裁判所での検認不要
  • 相続開始後に相続人は自筆証書遺言書のデータを閲覧可能
  • 相続人の一人が遺言書の情報を閲覧した際に、他の相続人に連絡が届く
  • 遺言者が死亡したとき、事前に指定した人物(法人)に遺言書が保管されていることを通知してもらえる

上記のように、法務局による遺言書保管制度を利用すれば遺言書の紛失や改ざんリスクもなくなりますし、自分が亡くなったときに遺言書が発見されない可能性も排除できます。

一方で、法務局による遺言書保管制度は、遺言書の形式に問題がないかは確認してくれますが、内容については確認してくれません。
そのため、偏った内容の自筆証書遺言を作成しており遺留分を侵害していたとしても、指摘されることはありません。

相続トラブルが起きにくい内容の遺言書を作成したい、自分の希望する内容に合う遺言書を作成したい場合は、相続に精通した司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。

法務局による自筆証書遺言の保管制度とは?申請方法について

1-2 自分で保管する

作成した自筆証書遺言は、自宅で大切に保管しておくことも可能です。
紛失や改ざんリスクはゼロではありませんが、専門家や公的機関を通さなくてすむのでより手軽に保管できるのがメリットといえるでしょう。

自宅で遺言書を保管する場合、保管場所について吟味しなければなりません。
簡単に人に見つかる場所に保管していると、紛失や改ざんリスクが高くなってしまいます。
一方で、人に見つかりにくい場所に保管してしまうと、相続発生後に家族や親族が遺言書を発見してくれない恐れもあります。

そのため、遺言書を保管する際には大切な書類とともに保管しておく、エンディングノートに保管場所を記載しておくなどの対策が必要です。

1-3 専門家に預ける

自筆証書遺言の作成や相続対策について専門家に依頼した場合、作成した遺言書を専門家にそのまま預けても良いでしょう。
専門家に預けておけば、遺言書の紛失や改ざんリスクも減らせるはずです。

専門家に遺言書を預けた後は、配偶者や子供などに「遺言書は〇〇先生に預けてあるから、自分が亡くなった後は連絡して相続手続きを進めるように」と伝えておけば遺言書が放置される可能性もなくせます。

グリーン司法書士法人でも遺言書の保管を一括払いで税込5万5,000円もしくは年払いとして税込3,300円でお受け可能です。
相続発生後の手続きや遺言書の検認申立てまで一括で対応できるので、お気軽にお問い合わせください。

1-4 相続人に預ける

作成した遺言書を相続人の1人に預けているケースも多いです。
相続人に遺言書を預けておけば、自分が亡くなった後に遺言書が見つからず放置されてしまうリスクを減らせます。

一方で、遺言書を預かった相続人が遺言書を捨ててしまう、内容を改ざんするリスクはゼロではありません。
また、遺言書の内容が預かった相続人が遺産を多く受け継ぐ内容だった場合、他の相続人から遺言書が無効ではないか、無理やり書かせたのではないかなどと疑われる恐れもあります。

そのため、相続トラブル回避のために遺言書を作成するのであれば、相続人に預ける以外の方法を検討すると良いでしょう。貸金庫に遺言書を保管してはダメな理由

大切な書類を保管する場所として銀行の貸金庫が思いつく人も、中にはいるのではないでしょうか。
しかし、遺言書を貸金庫に保管すると下記のデメリットやリスクがあります。

  • 遺族が貸金庫に保管された遺言書に気付かない恐れがある
  • 相続発生後に貸金庫を開けるには相続人全員の実印を捺した書類と印鑑証明書の提出が必要になる

このように、相続開始後に貸金庫を開けるにはかなりの労力がかかります。

遺族の負担を減らすために遺言書を作成するのであれば、貸金庫での保管は避けるのが良いでしょう。

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2章 公正証書遺言の保管方法

公正証書遺言とは、公証役場で公証人が作成する遺言書です。
公正証書遺言は原本を公証役場で保管してもらえるため、遺言書の紛失や改ざんリスクを減らせます。
作成後は相続人に遺言書を作成したことや保管している公証役場の場所を伝えておくと良いでしょう。

また、公正証書遺言を作成すると、遺言者は遺言書の写しである正本や謄本を受け取れます。
正本や謄本は自分で大切に保管しておくか、遺言書作成を依頼した専門家、遺言執行者に預けておきましょう。

公正証書遺言の効力とは?遺言書が無効になるケースや要件について
遺言書作成時には遺言執行者を選任しよう

自分が希望する内容で遺産分割を確実に行いたいのであれば、遺言書作成とあわせて遺言執行者の選任も行いましょう。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するための相続手続きを単独で行う義務・権限を持つ人物です。

遺言執行者を選任しておけば、遺言執行者が単独で相続手続きを進められます。
遺言書の内容に反発しそうな相続人がいるケースや遺族が相続手続きを行うのは難しい場合は遺言執行者を選任しておくと安心です。

遺言執行者は相続人がなることもできますが、司法書士や弁護士などに依頼もできます。
遺言書の内容を確実にしたいのであれば、遺言書の作成から遺言執行者の選任まで専門家に依頼するのが確実です。

遺言執行者とは|誰がなれる?選任方法や仕事内容を徹底解説【完全版】

3章 秘密証書遺言の保管方法

秘密証書遺言とは、遺言書の存在だけを公証役場で証明し、遺言内容自体は秘密にする形式の遺言書です。
作成時には公証役場での手続きや公証人2名が必要なこと、形式不備による無効リスクがあることから実務ではほとんど使われていません。

秘密証書遺言も自筆証書遺言と同様に、作成後は下記の方法で保管します。

  • 自分で保管する
  • 専門家に預ける
  • 相続人に預ける

なお、秘密証書遺言は自筆証書遺言と異なり、法務局による遺言書保管制度を利用できません。


4章 遺言書を保管するときの注意点

遺言書を自分で保管するときには、紛失や改ざんを防ぐことも大切ですが、自分が亡くなったときに家族や親族に見つけてもらいやすい場所に保管することも大切です。
保管場所に悩む場合や家族や親族と仲が悪く、紛失や改ざんが心配な場合は公正証書遺言を作成するか、法務局による遺言書保管制度を利用しましょう。

遺言書を保管するときの注意点を解説します。

4-1 遺族に発見されやすい場所に保管する

自筆証書遺言や秘密証書遺言を作成した場合は、相続発生後に遺族に発見してもらいやすい場所に保管することが大切です。
具体的には、下記の場所に保管するのが良いでしょう。

  • 金庫
  • 仏壇
  • 机の引き出し
  • タンス

エンディングノートや財産目録を作成しておくのであれば、遺言書の保管場所を記載しておくと遺族の負担を減らせますし、発見されずに放置されるリスクもなくせます。

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4-2 紛失・改ざんリスクがあるなら公正証書遺言を作成する

相続人が反発する内容の遺言書を作成した、折り合いの悪い家族や親族がいるなどの理由で、遺言書の紛失や改ざんに不安が残るなら、公正証書遺言を作成するのが良いでしょう。

公正証書遺言を作成すれば、原本は公証役場で保管してもらえます。
また、確実に遺言書の内容を実現したいのであれば、公正証書遺言の作成とあわせて遺言執行者の選任も行っておきましょう。

紛失や改ざんリスクをなくすだけであれば、自筆証書遺言の法務局による保管制度も活用可能です。
ただし、法務局による遺言書保管制度は、遺言書の内容そのものについては不備があっても指摘してもらえません。

形式不備や内容による無効リスクを排除するには、相続に詳しい司法書士や弁護士に遺言書の作成から遺言執行者までを依頼しておくのが良いでしょう。

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まとめ

相続対策で使用される遺言書は主に3種類あり、それぞれ保管方法が異なります。
遺言書の保管方法に悩んでいる、紛失や改ざんリスクが心配であれば、公正証書遺言の作成もしくは自筆証書遺言の法務局保管制度の活用がおすすめです。

公正証書遺言の作成や保管制度の利用により、遺言書の紛失や改ざんリスクはなくせます。
しかし、遺言書の内容による無効リスクの有無やそもそも自分が希望する内容の遺言書となっているかの確認は公証役場や法務局では確認してくれません。

そのため、遺言書を用意して相続トラブルを回避したい、自分が希望した人物に財産を遺したいのであれば、遺言書の作成を司法書士や弁護士に依頼するのがおすすめです。

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