【この記事でわかること】
- サブスクは契約者が亡くなると解約されるのか
- 故人が契約していたサブスクを放置するリスク・デメリット
- 故人が契約していたサブスクの相続手続きの流れ
近年では、動画配信などのサブスクリプション(サブスク)型のサービスが増えてきています。
亡くなった家族や親族がサブスクを利用していた場合、その後の手続きをどのように進めればいいか判断がつかない方もいるのではないでしょうか。
サブスクは契約者が死亡しても解約されないことが多いため、遺族が解約手続きを行う必要があります。
本記事では、契約者死亡時のサブスクの取扱いや、故人が契約していたサブスクを放置するリスク・デメリットを解説します。
家族や親族が亡くなると、様々な手続きをしなければなりません。
相続手続きの流れは、下記の記事で詳しく解説しているので、よろしければ併せてお読みください。
目次
1章 サブスクは契約者が死亡しても解約されない
サブスクは、契約者が死亡しても解約されないことが一般的です。
運営会社がサブスクの契約者が亡くなったことを知る機会は、実際にはほとんどないからです。
契約者死亡時のサブスクの取扱いについて、詳しく解説していきます。
1-1 遺族による解約手続きが必要である
家族や親族が亡くなり相続が発生した際には、サブスクの解約手続きを遺族が行う必要があります。
サブスクの運営会社は、契約者が亡くなったことを知る手段がないからです。
故人が契約していたサブスクを解約する手続きの流れは、本記事の3章で解説します。
1-2 クレジットカード・口座解約で自動的に解約される場合もある
家族や親族が故人のクレジットカードや銀行口座を解約したことにより、サブスク契約も自動的に解約される場合もあります。
サブスクの決済手段として登録していたクレジットカードや銀行口座が解約され、料金の支払いがストップし強制解約させられてしまうからです。
故人が契約していたサブスクをすべて特定できない場合は、上記の方法で無理やりサブスクを解約しなければならないケースもあります。
2章 故人が契約していたサブスクを放置するリスク・デメリット
故人が契約していたサブスクを放置してしまうと、利用料金がかかり続けたり、アカウントを不正利用されたりする恐れがあります。
具体的には、下記のリスクやデメリットがあることを理解しておきましょう。
- 利用料金がかかり続ける
- アカウントを不正利用される恐れがある
- データが消えてしまう・アカウントがロックされる恐れがある
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 利用料金がかかり続ける
故人が利用していたサブスクを解約せずにいると、その分だけ利用料金がかかり続けてしまいます。
サブスク契約は自動更新のものが多いため、放置している期間が長ければ長いほど、利用料金もかさんでしまいます。
故人のクレジットカードや銀行口座を解約し、サブスク契約を強制解約するとしても、解約まで数ヶ月程度かかるケースもあります。
契約内容によっては遅延損害金などが発生する恐れもあるので、ご注意ください。
2-2 データが消えてしまう・アカウントがロックされる恐れがある
故人が利用していたサブスクを放置してしまうと、データが消えてしまったりアカウントがロックされたりするリスクもあります。
例えば、故人が「iCloud」や「Dropbox」などクラウド型のストレージを利用していた場合、料金滞納による強制解約となると、データが消去されてしまう可能性もあるでしょう。
結果として、ストレージに保管されていた故人の大切な思い出や情報も消えてしまう恐れがあるのでご注意ください。
3章 故人が契約していたサブスクの相続手続きの流れ
故人が利用していたサブスクを解約する場合、まずは契約していたサブスクに関する情報を集めしなければなりません。
具体的には、下記の流れで進めていくと良いでしょう。
- サブスク契約に関する情報を探す
- 故人が契約していたサブスクを特定する
- 故人が契約していたサブスクの解約手続きを進める
それぞれ詳しく解説していきます。
STEP① サブスク契約に関する情報を探す
まずは、故人が利用していたサブスク契約についての情報を探しましょう。
故人の自宅や入院先の病院などを整理して、故人に関する情報を集めていく必要があります。
具体的には、下記などからサブスクに関する情報を探せます。
- メール
- パソコンのブックマークやスマホアプリ
- クレジットカードの引き落とし履歴
- エンディングノート
特に、故人のスマホやパソコンにはサブスクに関する情報が残っている可能性が高いので、相続手続きや死後の手続きが完了するまでは、保管しておくと良いでしょう。
STEP② 故人が契約していたサブスクを特定する
故人の持ち物や自宅などを整理して情報を集めたら、故人が利用していたサブスクを特定しましょう。
サブスクを特定した後は、それぞれのサービスのWebサイトなどを確認し、解約手続き方法を確認していきます。
「◯◯(サービス名) 契約者 死亡」「◯◯(サービス名) 解約手続き」などと検索すれば、遺族による解約手続きの方法を調べられるはずです。
STEP③ 故人が契約していたサブスクの解約手続きを進める
故人が利用していたサブスクを特定し解約手続きも調べたら、実際に手続きを進めていきます。
利用していたサブスクとログイン情報がわかっていれば、遺族がログインしマイページ上から解約できるでしょう。
一方、利用していたサブスクは判明したものの、ログイン情報がわからない場合、下記などの書類提出が必要となる場合もあります。
- 死亡診断書の写し
- 契約者の家族・代理人であることを示す公的証明書類(戸籍謄本など)
- 解約手続きを行う家族・代理人の本人確認書類(運転免許証など)
4章 故人がサブスクを契約していた際の注意点
故人がサブスクを契約していた場合の注意点は、主に下記の通りです。
- 相続放棄すれば故人のサブスクの利用料金を支払わなくてすむ
- 故人の遺産からサブスクの利用料金を払うと相続放棄できなくなる
- 料金滞納による強制解約はデータ消失や遅延損害金のリスクがある
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 相続放棄すれば故人のサブスクの利用料金を支払わなくてすむ
相続放棄をすれば、故人が契約していたサブスクの利用料金や滞納料金を払う必要はありません。
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しなくなる手続きです。
相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人ではなかったものとして扱われます。
故人に遺産がほとんどない場合や、相続トラブルに巻き込まれたくない場合は、相続放棄を検討しても良いでしょう。
4-2 故人の遺産からサブスクの利用料金を払うと相続放棄できなくなる
相続放棄をする場合は、故人の遺産からサブスクの利用料金を払うことは絶対にやめておきましょう。
故人の遺産を使用、処分してしまうと、相続する意思があるとされ、相続放棄が認められなくなってしまうからです。
相続放棄をすれば、故人のサブスク料金も払わなくてすむので、料金の請求や強制解約のお知らせが届いても放置しておくことをおすすめします。
このように、相続放棄をする際には、故人が滞納していた料金の支払いや遺品整理などといった様々な手続きを慎重に進めていく必要があります。
自分たちで判断して相続放棄が認められなくなることを避けるためにも、相続放棄を検討している段階で司法書士や弁護士に相談することをご検討ください。
4-3 料金滞納による強制解約はデータ消失や遅延損害金のリスクがある
サブスクの利用料金を滞納し続ければ、故人が利用していたサブスクを強制解約できますが、データが消失したり、遅延損害金が発生したりするリスクがあります。
例えば、故人が「iCloud」や「Dropbox」などクラウド型のストレージを利用していた場合、データが消えてしまうと大切な思い出や個人情報が消えてしまう恐れもあるでしょう。
他にも、利用料金滞納による強制解約には滞納から数ヶ月程度かかる場合もありますし、利用料金とは別に遅延損害金が発生する場合もあります。
このようなリスクやデメリットがあるため、料金滞納による強制解約は故人が利用していたサブスクを特定できない場合の最終手段と考えておきましょう。
5章 契約中のサブスクについて相続対策する方法
自分が亡くなったときに、遺族の負担をできるだけ減らしたいのであれば、契約しているサブスクに関する情報を記録しておくことをおすすめします。
他には、身寄りがない場合や家族にデジタルデータを閲覧されたくない場合は、デジタル遺品整理サービスや死後事務委任契約を利用しても良いでしょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
5-1 エンディングノートを作成する
自分が亡くなった後、家族や親族にサブスク解約をお願いしたいのであれば、エンディングノートを作成しておくと良いでしょう。
サブスクの契約情報を一覧にまとめておけば、相続発生後に家族や親族がスムーズに解約手続きを行えるからです。
エンディングノートは、遺言書同様に遺族に自分の気持ちや必要な情報を伝える手段です。
しかし、遺言書と異なり、法的拘束力はなく自由に作成できるため、遺言書より気軽に作成できるともいえるでしょう。
エンディングノートにサブスクに関する情報をまとめておくのであれば、下記を記載しておくことをおすすめします。
- 利用しているサブスク
- ログイン情報
- 決済方法(クレジットカード番号や口座番号)
5-2 デジタル遺品整理サービスを活用する
身寄りのない方や家族や親族に利用していたサブスクを知られたくない方は、デジタル遺品整理サービスを活用することも選択肢のひとつです。
デジタル遺品整理サービスを利用すれば、業者にデジタルデータの消去やサブスク解約を行ってもらえます。
5-3 死後事務委任契約を利用する
死後事務委任契約を利用すれば、自分が亡くなった後のサブスク解約手続きを行ってもらえます。
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に発生する様々な手続きを生前依頼する契約です。
死後事務委任契約では、サブスクの解約手続き以外にも、下記などの手続きを依頼可能です。
- 通夜や葬儀
- 納骨や埋葬
- 電気やガス等の停止手続き
- 入院していた病院や介護施設の費用の支払い
- 自宅や介護施設の片付け
身寄りのない方や遺族の負担をできるだけ減らしたい方は、サブスク解約手続きを盛り込んだ死後事務委任契約を結んでおくと良いでしょう。
まとめ
家族や親族が亡くなったときには、故人が利用していたサブスクの解約手続きもしなければなりません。
解約手続きをする際には、最初に故人のスマホやパソコンなどを確認し、利用していたサブスクを特定する必要があります。
また、家族や親族が亡くなったときにはサブスクの解約手続きだけでなく、様々な手続きを行わなければなりません。
何から手続きを始めれば良いかわからない場合や、平日日中は仕事などで忙しく手続きを進められない場合は、相続に精通した司法書士や行政書士に相続手続きを依頼することもご検討ください。
グリーン司法書士法人では、相続手続きについての相談をお受けしています。
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