携帯電話やスマホは日常生活に欠かせないものであり、端末には重要かつ様々な情報が保管されています。
そのため、亡くなった人が使用していた携帯電話やスマホに記録されているデータを確認したいと考える遺族も多いでしょう。
ただし、携帯電話やスマホのセキュリティは非常に高いため、亡くなった人が使用していた携帯電話やスマホであっても、パスワードなどがわからなければ解除することは難しいです。
亡くなった人の携帯電話やスマホのロックを解除したい場合は、パスワードに関する情報などが記録されていないか確認してみましょう。
本記事では、亡くなった人の携帯電話のロックを解除する方法や解除時の注意点を解説します。
なお、相続時には亡くなった人の自宅などを整理し相続人調査や相続財産調査を進める必要があります。
家族が亡くなった後に行う手続きは、下記の記事で解説しているのでご参考にしてください。
目次
1章 亡くなった人の携帯電話のロックは解除できない
亡くなった人が使用していた携帯電話のロックは、遺族の依頼であっても行えない場合がほとんどです。
遺族が携帯電話のパスワードを知っているなど所定の手続きでロック解除できるケースを除き、本人以外が携帯電話やスマホのロックを解除することは難しいからです。
- 故人が契約していた携帯電話会社
- 携帯電話やスマホのロック解除をしてくれる専門業者
上記の会社や業者に依頼したとしても、ロックが解除される保障はありません。
2章 亡くなった人の携帯電話のロック解除が必要なケース
本記事の1章で解説したように、亡くなった人の携帯電話のロック解除は難しいです。
そのため、亡くなった人が使用していたパスワードやPINコードがわからない場合は「本当にロックを解除する必要があるのか」を検討するのが良いでしょう。
亡くなった人の携帯電話のロック解除が必要なケースは、主に下記の3つです。
- サブスクや有料サイトを解約したい
- 携帯電話内のデータを確認したい
- 携帯電話内のデータを削除したい
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 サブスクや有料サイトを解約したい
亡くなった人がスマホで利用できるサブスクや有料サイト、アプリを利用していた場合は解約しないと料金がかかり続けてしまいます。
携帯電話やスマホ経由で契約していて契約が自動更新される場合は料金の支払いを止めるために、早く契約解除したいと遺族は思うでしょう。
利用しているサービスの内容によっては、携帯電話やスマホ端末の破壊、解約だけでは契約解除とならない可能性があるため、ロック解除が必要になります。
2-2 携帯電話内のデータを確認したい
亡くなった人が撮影した写真や録画を確認したい場合や亡くなった人が携帯電話やスマホでアクセスしていたネットバンキングの取引履歴などを確認したい場合は、スマホのロック解除が必要です。
特に近年ではネットバンキングの利用者も増えていますし、証券口座や仮想通貨、電子マネーの取引もスマホで行うケースも多いです。
そのため亡くなった人の携帯電話やスマホのロックを解除できないと、相続財産の全容を把握するのが大変になり、相続手続きを進めるのが大変になってしまう可能性があります。
2-3 携帯電話内のデータを削除したい
亡くなった人が利用していた携帯電話やスマホのデータを削除したい場合は、ロック解除をしなくても端末そのものを破壊してしまえばすみます。
亡くなった人が使用していたパスワードなどを特定できない場合は、端末の破壊を検討しても良いでしょう。
3章 携帯電話のロック種類・解除方法
亡くなった人の携帯電話やスマホのロックを解除するには特別な方法はなく、通常のロック解除と同様の方法で行います。
ただし、亡くなった人が利用していた機種によってロック解除の方法が異なるので注意しましょう。
携帯電話やスマホのロック解除方法は、主に下記の通りです。
- PINやパスワード入力
- パターン認証
- 指紋認証
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 PINやパスワード入力
PINと呼ばれる4桁程度の数字を入力もしくはパスワードを入力しロック解除する携帯電話やスマホも多いです。
PINやパスワードがわかれば使用者以外もロックを解除できるので、亡くなった人の手帳などを調べそれらしい情報が書かれていないか探してみましょう。
- 本人や家族の生年月日
- 記念日
- 電話番号の下4桁
- 車のナンバー
上記などをPINやパスワードに設定している場合もあります。
3-2 パターン認証
パターン認証とは一筆書き認証とも呼ばれ、スマホの画面上に表示される点を一筆書きで結びロックを解除する方法です。
複雑なパターンにしすぎると本人も解除が大変になるため、アルファベットなどをパターンにしているケースもあります。
そのため、亡くなった人や家族のイニシャルがパターンとして登録されていないか試してみても良いでしょう。
また、亡くなった人が行なっていた指の動きを覚えている場合は同じように操作しロックを解除できる可能性があります。
3-3 指紋認証
携帯電話やスマホの中には、指紋認証でロックを解除できる機種もあります。
指紋認証の場合は亡くなった人本人の指紋でしかロックを解除できないのでご注意ください。
亡くなった人が火葬される前であれば、指を使用し指紋認証を解除できる可能性があります。
人差し指の指紋を登録している可能性が高いので、試してみましょう。
4章 亡くなった人の携帯電話のロック解除が難しいときの対処法
亡くなった人が使用していた携帯電話やスマホのロックを解除できない場合は、手帳やエンディングノートにパスワードに書かれたメモがないか探してみましょう。
ロック解除が難航するときには、下記の方法も試してみるのがおすすめです。
- パスワードについて書かれたメモや書類を探す
- データのバックアップがないか探す
- データ削除が目的であれば端末を破壊する
- 通信キャリアショップに相談する
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 パスワードについて書かれたメモや書類を探す
亡くなる前に身辺整理をしていた場合やエンディングノートを作成していた場合は、手帳やエンディングノートにPINやパスワードを記載している可能性があります。
- 亡くなった人の手帳
- 携帯電話やスマホの契約書類
- エンディングノート
上記を確認してみるのが良いでしょう。
4-2 データのバックアップがないか探す
故人が亡くなる前にスマホデータのバックアップを取っている可能性があります。
そのため、携帯電話やスマホのロック解除と並行して、亡くなった人のパソコン内のデータも確認してみましょう。
また、会社に勤めている人が亡くなった場合、勤務先で使用していたパソコンにデータが残っている可能性もゼロではありません。
勤務先にデータを確認させてもらえないか、問い合わせてみましょう。
4-3 データ削除が目的であれば端末を破壊する
本記事の2章でも解説しましたが、携帯電話やスマホ内のデータを確認したいのではなく、削除したいだけであれば端末本体を破壊すれば事足ります。
通信キャリアのショップで初期化してもらう方法もありますが、端末を残しておく必要がないなら遺族が破壊してしまっても問題ありません。
4-4 通信キャリアショップに相談する
どうしても携帯電話やスマホのロックを解除できず、困っている場合には亡くなった人が契約していた通信キャリアのショップに相談してみましょう。
ただしショップ担当者が直接スマホのロックを解除してくれることはなく、スマホのパスワードは重要な個人情報でありショップでも対応が難しい場合があります。
亡くなった人がAndroidのスマホを使用していた場合は、メーカーごとに対応が分かれるため、通信キャリアやメーカーに相談してみるのが良いでしょう。
また、亡くなった人がiPhoneを使用していた場合は、Appleサポートにてロックを解除してもらえます。
ただし、ロック解除には下記の条件をすべて満たす必要があります。
- 亡くなった人が持っていたアカウントの管理連絡先に申請者が登録されている
- アクセスキーを持っている
- 故人の死亡診断書を提出する
なお、亡くなった人が管理連絡先やアクセスキーを登録していなかった場合は、亡くなった人の相続人として氏名が明記されている裁判所命令を提出しなければなりません。
5章 亡くなった人の携帯電話のロックを解除するときの注意点
亡くなった人の携帯電話やスマホのロックを解除する際には、相続人全員の同意を取っておくなどの注意が必要です。
ロック解除時の注意点を詳しく見ていきましょう。
5-1 認証の失敗回数が多いとデータが削除される場合がある
亡くなった人が利用していた携帯電話やスマホの機種によっては、PINやパスワードの入力失敗の回数が多いとデータが削除される場合があります。
例えば、iPhoneにはロック解除に10回失敗すると、データを自動で消去できる機能が設定されています。
そのため、手当たり次第PINやパスワード、パターン認証を行うのは避けた方が良いでしょう。
5-2 携帯電話のロック解除は相続人が行う
亡くなった人が使用していた携帯電話やスマホは遺品であり、相続財産のひとつです。
そのため、ロック解除をする際には相続人全員の同意を得てからにしましょう。
また、実際にロックを解除するのも相続人が行った方が後々のトラブルを減らせます。
そして、携帯電話やスマホのロックを解除できたら、保存されていた情報については相続人全員で共有し、相続手続きを進めていきましょう。
相続手続きは、相続財産の調査や相続人の調査など多岐にわたります。
平日日中は仕事をしていて手続きを進めるのが難しい場合やトラブルを避け公平に手続きを進めたい場合は、相続に詳しい司法書士や行政書士に手続きを依頼するのも良いでしょう。
まとめ
近年ではネットバンキングを利用している人も増えていますし、証券口座や仮想通貨、電子マネーの取引をスマホ上で行っている人も多いです。
そのため、相続財産調査を行う際には亡くなった人の携帯電話やスマホに記録されている情報を確認した方がスムーズに進みます。
亡くなった人の携帯電話やスマホのロック解除ができそうであれば、試してみても良いでしょう。
また、自分が亡くなった後に遺族の負担を減らしたいのであれば、手帳やエンディングノートなどにロック解除の方法を記載しておくのもおすすめです。
相続手続きには様々な種類があり、亡くなった人の携帯電話やスマホ内の情報を確認できたとしても、非常に手間と時間がかかります。
平日日中は仕事していて手続きを自分で行うのが難しい場合やどんな順番で手続きを進めるべきか迷っている人は、相続に詳しい司法書士や行政書士に相談するのも良いでしょう。
グリーン司法書士法人では、相続手続きに関する相談をお受けしています。
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