遺品整理とは、遺品整理は家族や親族が亡くなった後に自宅や持ち物などを整理することです。
遺品整理を行っていると、亡くなった人の自宅から現金が出てくることがあります。
遺品整理によって出てきた現金は、相続財産に含まれるのでご注意ください。
また、不要なものと一緒に現金や処分してしまわないように遺品整理を行うときには、あらかじめ現金が出て来やすい場所を把握しておくことも大切です。
本記事では、遺品整理で現金が出てきたときの取り扱いや現金が出てきやすい場所について解説します。
なお、家族や親族が亡くなると遺品整理だけでなく様々な相続手続きを行わなければなりません。
家族や親族が亡くなったときに行うべき相続手続きについては、下記の記事で詳しく解説しているのでご参考にしてください。
目次
1章 遺品整理で出てきた現金は相続財産に含まれる
遺品整理によって発見した現金は、すべて相続財産に含まれます。
したがって、相続人同士で遺産分割を行う必要があります。
さらに、現金についても他の遺産同様に相続税の申告対象となるのでご注意ください。
遺品整理の際に現金を発見しそのまま放置していると、相続人の1人が持ち逃げしたと疑われる、相続税の申告漏れとなってしまう恐れがあるので注意しなければなりません。
2章 遺品整理時に現金が出てきやすい場所
遺品整理を行ったときに、現金が発見されるケースは多くあります。
不用品と一緒に現金を処分してしまわないためにも、遺品整理を行うときには現金が出てきやすい場所を把握しておきましょう。
現金が出て来やすい場所は、主に下記の通りです。
- タンスの中や隙間
- 衣類のポケット
- ご祝儀袋や封筒の中
- カバンの中
- 畳の下
- ビニール袋の中
なお、遺品整理で発見される現金は、紙幣だけでなく小銭も多いです。
家具の隙間や小物の中から小銭が見つかることもあるので、丁寧に探しましょう。
3章 遺品整理で現金が出てきたときに起きやすいトラブル
遺品整理で現金が見つかると親族や知人に回収される、業者に盗まれる可能性がある点に注意しなければなりません。
また、そもそもの問題として遺品整理の際に現金を発見できず処分してしまう恐れもあります。
遺品整理をした際に起きやすい現金関連のトラブルは、主に下記の通りです。
- 現金を見つけられずに処分してしまう
- 遺品整理をした親族・知人に回収されてしまう
- 遺品整理をした業者に盗まれてしまう
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 現金を見つけられずに処分してしまう
遺品整理時に起きやすいトラブルのひとつは、現金を発見できずに処分してしまうケースです。
遺品整理の際に確実に現金を発見するために、遺品整理を行う前に遺言書やエンディングノートを確認しておきましょう。
遺言書やエンディングノートに現金の保管場所を記録している人もいるからです。
亡くなった人が遺言書を用意していない場合や遺言書に現金の保管場所が記載されていなかった場合は、本記事の2章で紹介した場所を丁寧に探しましょう。
3-2 遺品整理をした親族・知人に回収されてしまう
遺品整理を手伝ってくれた親族や知人が現金を見つけ、そのまま盗んでしまうケースもあります。
亡くなった人がへそくりを遺していたケースなど、家族も現金の保管場所を知らないことも多いです。
そのようなケースで親族や知人が現金を発見してしまうと、そのままネコババされてしまう恐れがあります。
残念ながら亡くなった人の現金がネコババされても、遺族がその事実を証明することは難しいです。
そのため、現金を返してもらえる可能性も低いですし、遺品整理を手伝ってくれた親族や知人との関係性も悪くなってしまう可能性があります。
3-3 遺品整理をした業者に盗まれてしまう
遺品整理を依頼した業者によっては、現金を発見後に持ち帰ってしまう悪徳業者もいます。
現金を盗まれるだけでなく、貴金属などのように価値が高い遺品を盗まれる可能性もあるのでご注意ください。
遺品整理を業者に依頼したときに遺品や現金を持ち逃げされたくない場合は、作業時に立会いをする、信頼できる業者に依頼するなどが大切になります。
4章 遺品整理で現金が出てきたときの取り扱い
遺品整理によって見つかった現金は相続財産に含まれるため、財産目録に記載し相続人で分割方法を話し合わなければなりません。
遺品整理で現金が出てきたときの取り扱いは、下記の通りです。
- 財産目録に記載しておく
- 相続財産として相続人で分割方法を話し合う
- 発見した現金を受け取ると相続放棄できなくなる恐れがある
- 相続税の申告時に漏れがないように注意する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1 財産目録に記載しておく
遺品整理で見つかった現金は相続財産に含まれるため、財産目録に記載しましょう。
財産目録とは、財産を一覧にまとめたものであり、預貯金、不動産、証券などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も一覧にします。
財産目録とは相続時に必ずしも作成する必要はありませんが、作成しておくと遺品分割協議などの相続手続きを進めやすくなります。
4-2 相続財産として相続人で分割方法を話し合う
遺品整理で見つかった現金に関しても他の相続財産と同様に、相続人で遺産分割方法を話し合う必要があります。
亡くなった人が遺言書を用意していない場合、相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。
発見した現金の金額や相続人同士の関係によっては、遺産分割協議がなかなかまとまらない可能性もあるでしょう。
遺産分割協議がまとまらず相続人同士で揉めてしまう場合には、相続に詳しい司法書士や弁護士に遺産分割内容を提案してもらうのもおすすめです。
4-3 発見した現金を受け取ると相続放棄できなくなる恐れがある
遺品整理の際に発見した現金を受け取る、使用してしまうと相続放棄を行えなくなる可能性があるのでご注意ください。
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しなくなる手続きです。
相続放棄をすれば亡くなった人の借金を受け継がずにすみます。
しかし、亡くなった人の遺産を勝手に処分してしまうと、相続する意思があるとみなされ、相続放棄が認められない恐れがあります。
なお、現金だけだなく遺品を処分した際にも相続放棄が認められなくなる恐れがあるので注意しなければなりません。
相続放棄を検討している人が遺品整理を行うときには、遺品の処分に細心の注意を払う必要があります。
自分で判断して相続放棄できなくなることを防ぐためにも、相続放棄に精通した司法書士や弁護士に相談し、遺品整理の方法について指示をもらうのがおすすめです。
4-4 相続税の申告時に漏れがないように注意する
遺品整理で発見した現金は相続財産に含まれるため、相続税の計算対象に含める必要があります。
少額であっても発見した現金について相続税の申告をしないでいると、申告漏れになってしまうのでご注意ください。
また相続税の申告対象となるのは、現金や預貯金だけでなく不動産や骨とう品など様々な財産が含まれます。
そのため遺品整理の際には、相続財産に関する書類や価値のある遺品を見つけておくことも大切です。
5章 遺品整理で現金発見によるトラブルを防ぐ方法
本記事の3章で解説したような遺品整理時に現金が見つかったことによるトラブルを避けるには、作業前にエンディングノートを確認しておくことなどが大切です。
遺品整理の際には、現金によるトラブルを防ぐには、下記を行いましょう。
- エンディングノートや遺言書を確認しておく
- 家族や親族で現金が見つかりそうな箇所を遺品整理しておく
- 信頼できる遺品整理業者を選ぶ
- 遺品整理業者の作業時に立会いをする
それぞれ詳しく解説していきます。
5-1 エンディングノートや遺言書を確認しておく
遺品整理を始める前に、亡くなった人が作成していたエンディングノートや遺言書を確認しましょう。
エンディングノートや遺言書に、現金の保管場所が記載されている可能性があるからです。
他にも、エンディングノートには貴重品や重要書類の保管場所が記載されている場合もあります。
遺品整理を行う際には、最初に亡くなった人が大切なものを保管していそうな場所を探し、遺言書やエンディングノートがないか確認しておきましょう。
5-2 家族や親族で現金が見つかりそうな箇所を遺品整理しておく
遺品整理業者に依頼する前に、家族や親族で現金が見つかりそうな場所のみ遺品整理しておくのもおすすめです。
例えば、亡くなった人がよく使用していた鞄や貴金属をしまっていた場所などは信頼できる家族や親族で遺品整理を行うとトラブルも発生しにくいです。
なお家族や親族で遺品整理を行うときには、家族や親族の1人が遺品を持ち逃げしたと疑われないように、みんなが集まれるときに遺品の仕分けや処分を行うのが良いでしょう。
5-3 信頼できる遺品整理業者を選ぶ
遺品整理業者に依頼するときには、悪徳業者を見極め信頼できる業者を見つけましょう。
高齢化により遺品整理の需要は増えており遺品整理業者も増えていますが、中には悪徳業者もいます。
信頼できる遺品整理業者を見つけるためには、複数の業者に見積もり依頼を出し相見積もりするのがおすすめです。
相見積もりを取得すれば、費用やサービス内容を比較しやすく悪徳業者を発見しやすくなります。
なお、見積もりを取得する際には、追加料金の有無や金額についても確認しましょう。
悪徳業者の中には、見積もりを安くして作業後に追加料金を請求する業者もいるからです。
5-4 遺品整理業者の作業時に立会いをする
亡くなった人の部屋がゴミ屋敷だった場合、遺品整理業者に依頼する前に家族や親族が現金や貴重品を回収するのが難しいケースもあるでしょう。
その場合は、遺品整理業者が作業を行うときに遺族が立ち会いすると安心です。
作業時に遺族が立ち会いすれば作業員が現金や貴重品を持ち逃げしてしまうことを防げます。
まとめ
遺品整理をしていて現金を発見することは、非常に多いです。
亡くなった人がタンス預金やヘソクリとして保管していただけではなく、財布や洋服などから見つかる場合もあります。
現金を間違って処分してしまわないように、遺品整理をするときには現金を発見しやすい場所をあらかじめ把握しておきましょう。
また、遺品整理によって見つかった現金は相続財産に含まれるので、遺言書がないケースでは相続人全員で遺産分割方法を決める必要があります。
家族や親族が亡くなると、遺品整理だけでなく様々な相続手続きが必要です。
どのように手続きを進めたらよいかわからない場合やミスなく確実に手続きを完了させたい場合は、相続に詳しい司法書士や行政書士に手続きを依頼するのも良いでしょう。
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