ご家族が亡くなり、賃貸物件を退去するときや、不動産を売却するときなど、遺品整理が必要なケースがあります。
大切な方が亡くなったあとは気持ちが落ち込んで、遺品整理をするのは気が重いと感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、遺品整理をすることで亡くなった人との思い出を振り返ることができ、自分の感情を整理しやすくなります。
加えて、遺品整理のコツや流れを把握しておけば、遺族の負担も軽減でき故人との思い出を振り返りやすくなるでしょう。
そのようなときは、遺品整理のコツを知っておくことで、負担を軽減することができます。
この記事では、遺品整理のやり方や、準備するものなどについて解説します。ぜひ参考にしてくださいね。
目次
1章 遺品整理は感情の整理にも役立つ
大切な家族や親族が亡くなり、喪失感を抱いている人や寂しい気持ちでいっぱいの人もいるでしょう。
遺族の悲しみの感情が強くなるのは、一般的に法要がひと段落する四十九日後ともいわれています。
可能であれば、悲しみの感情が強くなる四十九日後に遺品整理を徐々に始めるのがおすすめです。
遺品整理で亡くなった人が大切にしていたものを見るのは辛いという気持ちもあるはずですが、思い出を振り返りながら一つずつ遺品整理をすることで、自分の感情の整理にも役立ちます。
遺品整理を行い形見として遺したいものを整理し自宅に持ち帰れば「自分の人生はこれからも続いていく、前向きに生きていかなければならない」と考えられるようになるはずです。
とはいえ、やみくもに遺品整理を行おうとしても心理的、身体的な負担が大きくなってしまいます。
そのため、遺品整理を行うときには作業の流れを意識して効率的に行っていくことが大切です。
次の章では、遺品整理のやり方や流れを詳しく解説します。
2章 遺品整理のやり方・流れ
遺品整理の大まかな流れは以下のとおりです。
STEP② 必要なもの・不要なものを分類する
STEP③ 不用品を仕分ける
STEP④ 不用品を廃棄する
STEP⑤ 室内外を清掃する
必ずしもこの流れで行う必要はありませんが、段取り良く進めるために参考にしてみてください。
では、詳しく見ていきましょう。
STEP① 遺品整理を行う日程を決める
遺品整理は自身で行うことも可能ですが、大きなものを処分したり、大量の廃品を処分したりと大変な場面もあります。そのため、最近は遺品整理業者に依頼する方も多いでしょう。
業者に依頼する場合には、事前に依頼先とスケジュールを決めておき、その日を目標に荷物や不用品をまとめておきます。
業者に依頼しない場合でも、賃貸の引き払い日や不動産の売却に向けた内見日・内観の撮影日などを目安に、終了する日程を決めておくことが大切です。
また、業者に依頼しないとしても、不用品回収などを依頼するかと思いますので、その日を目標にするのも良いでしょう。
STEP② 必要なもの・不要なものを分類する
遺品の中には、残しておきたいものもあるかと思いますので、処分するものと、残しておくものを分けておきましょう。
ご家族がいるのであれば、みんなで話し合っておくと不要なトラブルを防ぐことができます。
分類する時には、特に、以下のものは誤って捨ててしまわないように注意してください。
- 契約書や権利書などの重要書類
- 身分証明証
- 通帳類
- 印鑑
- 保険証券や株券
- 光熱費の支払い書
- 年金や社会保険などの納付書
- 健康保険証や年金手帳
- 現金
もし、すべてを処分する場合には一括で業者に依頼することも可能ですが、その分費用がかかることは理解しておきましょう。
STEP③ 不用品を仕分ける
不用品をすべてまとめて捨てることはできませんので、仕分ける必要があります。
可燃ごみや不燃ごみ、瓶・缶、ペットボトル粗大ごみなど、自治体の規定に則って分けておくようにしましょう。
もし、不用品の中にもまだ利用できるものがあれば、リサイクルショップに持ち込んだり、フリマアプリを利用したりすれば費用に充てることも可能です。
業者によっては分別しなくてもよいとしているところもありますが、分別料金が掛かる可能性があります。
可能な限り、自身で仕分けておくのがよいでしょう。
- テレビ・エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの家電
- カメラ・ドライヤー・携帯電話・パソコンなどの一般家電
- 衣類
- ベッド・ソファ・タンスなどの家具
- 鍋・フライパンなどの金属類
STEP④ 不用品を廃棄する
不用品の分別が完了したら、廃棄しましょう。
一般ごみであっても、あまりにも量が多いのであれば、ゴミ捨て場に捨てるのは避けるべきです。
自治体に依頼すれば回収してくれることもありますし、ゴミ収集場に持ち込むことも可能です。
家具家電など大きなものが多く、自身で運ぶのが難しい場合には、ゴミ回収業者に依頼するのもよいでしょう。
STEP⑤ 室内外を清掃する
賃貸でも、売却予定の不動産でも、引き払う時には可能なかぎり掃除しておくことが大切です。
汚れが軽度で、ご家族で対応できるのであればみんなで協力して掃除をするものよいでしょう。
賃貸であれば、退去後ハウスクリーニングが入るのが一般的ですので、大きな汚れだけを落としておくだけでも大丈夫です。
不動産を売却する場合には、ハウスクリーニングをしたほうがよいこともあります。依頼している不動産業者と相談しながら検討しましょう。
3章 遺品整理を自分で行うときに準備すべきもの
遺品整理を行う時には、以下のものを準備しておくと便利です。
- 段ボールやサインペン・ガムテープ
- ハサミやドライバー・ペンチ
- 作業服やマスク・手袋・スリッパ
- 手押し台車
- ゴミ袋
それぞれ解説します。
3−1 段ボールやサインペン・ガムテープ
遺品を整理するためには、ものをまとめておく必要があります。
引っ越しをするときと同じ要領で、ダンボールに梱包するのがよいでしょう。
それぞれのダンボールに内容物を記載するためのサインペン、梱包するためのガムテープも必要です。
なお、ダンボールは120サイズ・160サイズなど、大きいもの小さいものを用意しておくことをおすすめします。
3−2 ハサミやドライバー・ペンチ
片付けをする際に、分解・解体が必要なものもあるでしょう。
そのためのハサミやドライバー、ペンチなどを用意しておくと便利です。
大きなものを解体する際には大きな音がでることがありますので、深夜は早朝を避けるのが賢明です。
3−3 作業服やマスク・手袋・スリッパ
片付け中は、ホコリが舞いやすいですし、服も汚れやすいです。そのため、汚れてもいい服装を用意しておきましょう。
また、ものを動かしているときに手や足を怪我する危険もありますので、手袋やスリッパを身に着けておくことをおすすめします。
3−4 手押し台車
大きなものを運ぶ際に手押しの台車があると便利です。しかし、動かす際には大きな物音が出ますので、マンションでの利用や、深夜・早朝の利用は注意が必要です。
近隣に迷惑をかける可能性があるのであれば、事前にあいさつをしておくようにしましょう。
3−5 ゴミ袋
遺品回収中には大量のゴミが出ます。ゴミ袋は多めに用意しておくことをおすすめします。
地域によってはゴミ袋が指定されている可能性がありますので、事前に調べておくのがよいでしょう。
4章 遺品の処分方法4つ
遺品整理をする中で出た不用品やゴミは処分しなければいけません。
一般的なゴミでしたら簡単に捨てられますが、遺品となると捨てるのは抵抗があるという方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、遺品の処分方法について解説します。
4−1 廃品回収業者に依頼する
廃品回収業者に依頼すれば、大量の不要品を一括で処分してくれます。
「時間がない」「遠方で片付けに行けない」という場合には、業者に依頼することで負担を大きく軽減できます。
また、寺院と提携していて供養オプションをつけてくれるところもあります。
ただし、廃品回収業者への依頼は安いものではありませんので、その点は留意しておきましょう。
4−2 売却する
衣類や家具・家電、書籍などはリサイクルショップやフリマアプリなどで売れる可能性があります。売却することで遺品整理の費用に充てることもできるでしょう。
骨董品などはオークションなどに出してみたり、鑑定に出してみたりするのもよいでしょう。思わぬ値段がつくかもしれません。
量が多い場合には、出張買取などを利用するのもおすすめです。
4−3 寄付する
車椅子や介護ベッド、紙おむつなどの介護用品の寄付を募っている施設もあります。
車椅子やベッドなどは処分に手間と費用がかかりますので、寄付したほうがよいこともあります。
今後使用予定がないのであれば寄付も検討しましょう。
4−4 お寺などで供養する
亡くなった方が愛用していたものは、ゴミとして捨てるのは抵抗がありますよね。とはいえ、すべて保管していてはキリがありません。
そのようなときは、お寺などでお焚き上げとして供養してもらうのがよいでしょう。
ただし、ビニール製品やプラスチック製品などはお焚き上げできないところもありますので、お寺などに事前に確認してください。
5章 遺品整理を行うときの注意点
遺品整理を行うときには、以下のことに気をつけましょう。
- 故人の財産を処分すると相続放棄できなくなる恐れがある
- 近所との騒音・ゴミトラブルに注意する
- 形見分けや遺品の処分による家族・親族間のトラブルに注意する
- 自分で遺品整理するのが難しい場合は業者への依頼も検討する
それぞれ詳しく解説します。
5−1 故人の財産を処分すると相続放棄できなくなる恐れがある
相続放棄を検討されているのであれば、遺産整理をする際に注意が必要です。
相続放棄前に遺産を処分してしまうと、「単純承認」となり、相続放棄が受理されない可能性があります。
(※単純承認とは、故人の財産を無条件ですべて相続すること)
一般ごみの片付け程度であれば問題ないことがほとんどですが、家具家電や貴金属などは一定の価値があると相続放棄が認められなくなる可能性があります。
もし、相続放棄を検討しているのであれば、自己判断はせず、遺産整理をする前に司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
- 故人の預貯金の引き出し、解約、名義変更
- 不動産の処分、解体
- 賃貸アパートの解約
- 家具家電の処分(価値による)
- 自動車の処分(価値による)
- 相続財産からの借金や税金の支払い
- 相続財産からの入院費や施設費の支払い
- 携帯電話の解約
5−2 近所との騒音・ゴミトラブルに注意する
遺品整理をするとなると、かなり大掛かりな片付けになります。
そのため、遺品整理をする際には以下のことに注意しましょう。
- 大きな音が出そうなときは事前にあいさつをしておく
- 大量のゴミはゴミ捨て場に捨てない(収集場への持ち込み、回収業者への依頼)
- ゴミを庭などに放置しない
5−3 形見分けや遺品の処分による家族・親族間のトラブルに注意する
故人と同居していた方や、近所に暮らしていた方などによくあるのが、他の家族に相談せず遺品整理をしてしまうケースです。
自分が一番身近だと、つい片付けたくなってしまうのは理解できます。しかし、勝手に片付けてしまうと、「現金や貴金属を持ち逃げしたのでは?」「形見を独り占めしたのでは?」など疑われ、トラブルになる可能性があります。
可能であれば、他のご家族も一緒に遺品整理したり、相続人全員に合意を得たりするのがよいでしょう。
5−4 自分で遺品整理するのが難しい場合は業者への依頼も検討する
- 遺品整理をしている時間がない
- 遠方で何日にも渡って片付けをするのが難しい
- ゴミ屋敷になっていてとても素人では片付けられない
上記のような方は、遺品整理業者に依頼することも検討しましょう。
お金はかかってしまいますが、片付けから不要品の回収、掃除まで一括で任せることができるため、負担は大幅に軽減できます。
また、業者によってはお寺での供養などのオプションを付けることが可能です。
6章 遺品整理を家族・親族で行うメリット・デメリット
遺品整理をするとなったとき、家族・親族でするか、業者などに依頼するか悩まれますよね。
ここでは、遺品整理を家族・親族で行うメリット・デメリットについて解説します。
6−1 遺品整理を家族・親族で行うメリット
遺品整理を家族・親族で行うメリットとして大きいのが、費用がかからないという点です。
ゴミの回収などにはお金がかかりますが、業者への依頼に比べればかなり安価に済みます。
また、家族・親族で行えば必要なものと不要なものをじっくりと考えることができます。故人との思い出を語らう時間にもなるでしょう。
6−2 遺品整理を家族・親族で行うデメリット
遺品整理を家族・親族で行うデメリットは、かなりの手間を要するという点です。
家族・親族の全員が一緒に、同じだけ遺品整理に取りかかれるのであればよいですが、誰か1人に偏ってしまうと、「自分だけ大変な思いをして・・・」と不満が募り、トラブルの原因にもなります。
トラブルを防ぐという観点からすると、遺品整理業者に依頼して、家族・親族で費用を折半するのがよいかもしれません。
まとめ
大切な家族が亡くなると、遺品を整理しなければいけません。賃貸物件を引き払ったり、不動産を売却したりするとなると、急ぎ遺品整理を行わなければいけないというケースもあります。
大切な方が亡くなったあとは気持ちが落ち込んで、遺品整理をするのは気が重いと感じる方もいらっしゃるでしょう。
もし、片付けの時間がない、負担が大きいという場合には遺産整理業者に依頼することも検討してみてください。
なお、相続放棄を検討している場合には遺産整理には注意が必要です。もし、相続財産を処分してしまうと相続放棄が認められなくなる可能性があります。
決して自己判断はせず、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
グリーン司法書士法人では、相続放棄や遺産整理、相続手続きに関するご相談を受け付けています。
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よくあるご質問
遺品の片づけを行うのはいつがいい?
遺品の片づけを行うのは悲しみの感情が強くなる四十九日後に徐々に始めるのが良いでしょう。