「相続放棄の期限を知らなかった」場合でも相続放棄は認められる?

「相続放棄の期限を知らなかった」場合でも相続放棄は認められる?
facebookでシェアする Twitterでシェアする このエントリーをはてなブックマークに追加する LINEでシェアする
司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 5
この記事でわかること

  • 相続放棄はいつまでにしなければならないか
  • 「相続放棄の期限を知らなかった」は期限を過ぎたことの理由になるのか
  • 期限内に相続放棄の申立てを完了する方法

相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も受け継がなくする手続きですが、「自分が相続人であることを知ってから3ヶ月以内」という期限が設定されています。

相続放棄の期限を過ぎると、家庭裁判所が放棄を認めないこともあるのでご注意ください。
なお、相続放棄の期限について知らなかったことは、期限を過ぎてしまった理由としては認められない可能性が高いでしょう。

本記事では、相続放棄の期限や期限を過ぎても相続放棄できるケース・できないケースを解説します。


1章 相続放棄の期限は「自分が相続人であると知ってから3ヶ月」

相続放棄期限起算点図/相続放棄の期限のスタート地点

相続放棄には「自分が相続人であると知ったときから3ヶ月」という申立て期限が設定されており、これを「熟慮期間」と呼びます。
例えば、故人の配偶者であれば、相続発生日=自分が相続人であると知った日となることがほとんどでしょう。

一方で、故人と生前疎遠だった人物が相続人になった場合、相続発生からかなりの月日が経ってからようやく自分が相続人であることを知るケースも珍しくありません。
このように、相続放棄の期限は故人との関係性や相続の事情によって、起算点が変わってくるということを理解しておきましょう。

【相続放棄の期限は3ヶ月】延長方法と期限を過ぎたときの対処法
相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

2章 「相続放棄の期限を知らなかった」は期限を過ぎたことの理由になる?

相続放棄を希望される方の中には、「申立て期限があるなんて知らなかった」と慌てて相談に来られる方もいます。
結論から言うと、相続放棄の期限を知らなかったこと自体は、期限を過ぎてしまった理由としては認められません。

本章では、相続放棄ができるケースとできないケースを整理していきましょう。

2-1 期限を知らなかっただけでは理由にならない

相続放棄の期限について知らなかったことは、期限を過ぎてしまった正当な理由としては認められません。

よく引用される法格言に「事実の不知は許されるが、法の不知は許されない」というものがあります。法律を知らなかったという理由で義務を免れることはできないという考え方で、相続放棄でも同様だからです。

2-2 自分が相続人となったことを知らなかった場合には相続放棄できる

一方で、「自分が相続人であること自体を知らなかった」場合には、そもそも熟慮期間がスタートしていません。
例えば、疎遠だった親の借金の督促状が突然届き、初めて故人の死亡や自分が相続人であることを知ったケースなどがこれに該当します。

このようなケースでは、相続放棄の期限を過ぎていないと判断され、申立てが認められる可能性があります。
しかし、相続放棄を申し立てる際には、以下のような事情を家庭裁判所に説明しなければなりません。

  • なぜ相続人だと知らなかったのか
  • いつ、どのようなきっかけで知ったのか

理由が正当であると認められるには、客観的な証拠が必要となることもあります。
相続発生から月日が経ち、相続放棄の申立てをするケースでは、自分で手続きするのではなく、司法書士や弁護士に依頼するのが良いでしょう。

2-3 借金の存在を知らなかった場合には相続放棄できる可能性がある

相続人であることは知っていたものの、故人が遺していた借金の存在を全く知らなかったケースでは、事情によって相続放棄が認められる余地があります。

例えば、以下のようなケースでは、期限後の相続放棄が認められる可能性があります。

  • 故人が生前に借入を隠していた
  • 家族が誰も個人の借金について知らなかった
  • 金融機関や債権者からの通知がなかった

ただし、このような場合でも、借金を知ったタイミングやこれまで知り得なかった理由を家庭裁判所に説明しなければなりません。
自分で申立てをすることは現実的ではないので、司法書士や弁護士に相談することを強くおすすめします。

2-4 財産がいくらあるか知らない場合には熟慮期間の伸長申立てをする

プラスの遺産とマイナスの遺産の全体像が分からず、相続放棄するかどうか判断できない場合には、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長申立て」を行うことができます。
熟慮期間の伸長申立てが認められれば、相続放棄の期限を延長可能です。

熟慮期間の伸長申立ての方法と必要書類は、下記の通りです。

申立てする人相続放棄の期限を延長したい人
申立て先故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
費用
  • 収入印紙:800円分
  • 連絡用の郵便切手代:数千円程度
  • 専門家への報酬:2〜5万円程度
必要書類
  • 家事審判申立書
  • 故人の住民票除票もしくは戸籍附票
  • 伸長を求める相続人の戸籍謄本
  • 故人と相続人の関係性を証明する戸籍謄本類

など


3章 期限内に相続放棄の申立てを完了する方法

期限内に相続放棄の申立てを完了するには、相続財産調査を速やかに行っておく必要があります。
また、場合によっては司法書士や弁護士に相続放棄の申立てを依頼することも検討しましょう。

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 相続発生後速やかに相続財産調査をする

相続放棄が必要かどうか判断するために、相続が発生したら速やかに相続財産調査を行いましょう。

故人が多額の借金を遺していることが明らかな場合には、相続放棄の判断もしやすいですが、多くの場合はプラスの財産・マイナスの財産が混在しており、全体像を把握しなければ適切な判断ができないからです。

相続財産は、以下のように多岐にわたります。

  • 現金や預貯金
  • 不動産
  • 株式
  • 自動車や宝石などの動産
  • 賃貸人、賃借人などの契約上の地位
  • 損害賠償請求権や損害賠償義務などの権利義務
  • 借金や滞納家賃、滞納税金などの負債

特に、故人に借金がある可能性が高い場合には、信用情報機関への開示請求や、金融機関からの郵便物のチェックが欠かせません。

故人との関係性や故人の資産状況によっては、相続財産調査に時間がかかる場合があります。
その場合には、熟慮期間の伸長申立てを家庭裁判所に行うことも視野に入れましょう。

相続財産調査とは?詳しい調査方法や依頼先について簡単解説

3-2 司法書士・弁護士に相続放棄の申立てを依頼する

相続放棄は自分でも申立てが可能ですが、期限があるうえ、申立書の書き方や添付書類の収集には専門的な判断が求められます。
相続放棄を認めてもらいやすくするためにも、司法書士や弁護士に相続放棄を依頼することも検討しましょう。

特に、以下のようなケースでは、司法書士や弁護士に依頼することを強くおすすめします。

  • 故人の財産が複雑で調査方法が分からない
  • 他の相続人と疎遠で情報が集まらない
  • 家庭裁判所から追加照会が来た場合に対応できるか不安である
  • 借金の存在や相続人であることを「知らなかった理由」を説明する必要がある
  • 相続放棄の期限が迫っている

司法書士や弁護士に依頼すると、必要書類の収集方法から申立書の作成・提出までをワンストップで進められます。

加えて、相続に精通した司法書士や弁護士は、家庭裁判所が必要とする書類や説明のポイントを熟知しているため、自分で調べながら進めるよりも圧倒的に早く正確に手続きを進めることが可能です。

司法書士に相続放棄を依頼するメリット|弁護士との違いとは?

4章 相続放棄をする際の注意点

相続放棄をする際には、以下のような点にも注意しなければなりません。

  • 相続放棄をするとプラスの財産も相続できない
  • 一度相続放棄が認められると原則として撤回できない
  • 相続発生前に相続放棄することは認められない
  • 遺産を使用・処分すると相続放棄が認められなくなる

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 相続放棄をするとプラスの財産も相続できない

相続放棄をすると、マイナスの財産だけでなく、プラスの財産も受け継げなくなります。
家庭裁判所で相続放棄が受理されると、法律上、初めから相続人ではなかったものとして扱われるからです。

したがって、故人が借金を遺していたものの、それ以上に預貯金や不動産などを遺している場合には、相続放棄をしない方が得な場合もあります。

相続放棄すべきか判断するためにも、故人の相続財産調査は念入りに行いましょう。

相続で遺産の一部放棄は可能?相続したくない土地や借金の対処法

4-2 一度相続放棄が認められると原則として撤回できない

家庭裁判所が相続放棄を正式に受理した後は、原則として撤回できません。
たとえ後からプラスの財産が見つかった場合であっても、「やっぱり取り消したい」という申し出は基本的に認められないのでご注意ください。

例外的に取り消しが認められるのは、強迫や詐欺、錯誤により相続放棄をしてしまったケースです。
しかし、通常の相続においてこの例外が適用されることはほとんどありません。

相続放棄後に取消は可能?無効な場合と撤回できる方法を解説!

4-3 相続発生前に相続放棄することは認められない

被相続人の生前に「相続放棄します」と約束したり、契約書を交わしたりしても、その効力は一切認められません。
法的に有効な相続放棄は「相続が発生した後」に家庭裁判所で行う申述手続のみだからです。

「親に借金があるので、事前に相続放棄しておきたい」と考える方もいますが、認められないのでご注意ください。

相続放棄は生前にできない!代わりにできる【5つの方法】を簡単解説

4-4 遺産を使用・処分すると相続放棄が認められなくなる

遺産を使用したり処分したりしてしまうと、相続放棄が認められなくなるのでご注意ください。
どのような行為が遺産の使用や処分にあたるかどうかは、ケースバイケースであり、以下のような行為が該当する場合もあります。

  • 故人の預金を引き出して生活費に使う
  • 形見として家具や貴金属を持ち帰る
  • 故人の自家用車を売却してしまう
  • 遺品を勝手に廃棄する
  • 故人が所有していた電子マネーやポイントを利用する

これらの行為をしてしまうと、遺産を相続する意思があるとみなされるので、ご注意ください。

単純承認とは?相続放棄・限定承認との違いや単純承認にあたる行為
相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

まとめ

相続放棄には厳格な期限があり、「期限があると知らなかった」という理由だけでは、期限を過ぎたことの理由として認められません。
一方で、自分が相続人であることを知らなかった場合や、隠れた借金に後から気付いた場合など、相続放棄が認められる可能性もあります。

相続放棄を認めてもらいたいのであれば、自己判断せず、早い段階で司法書士や弁護士に相談することを強くおすすめします。

グリーン司法書士法人では、相続放棄についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

お知らせ

           

YouTubeチャンネル「やまちゃんの5分でわかる相続チャンネル」がいよいよ9月1日から始動します!
高齢のご両親がいらっしゃる方にとって「相続」を考える必要があるけど、何から準備すればいいのかわからない。 そんな方に毎日5分観るだけで相続の全てを"やまちゃん先生"がわかりやすく解説します。

遺産相続の無料資料請求

この記事を読む およそ時間: 5

遺産相続の無料資料請求

  • 遺産相続の流れ
  • 相続人調査
  • 相続関係説明図の作成
  • 要注意の相続のケース
  • 遺産分割協議書の作成
  • 名義変更手続の方法
  • 相続税の申告
  • 遺言書の作成
  • 後見について
  • 贈与について

相続について話し合うきっかけに!

グリーン司法書士法人作成の遺産相続ガイドブックのイメージ

生前にする相続対策、亡くなってからの相続手続について、わかりやすく解説させていただいております。遺産相続ガイドブックが相続を自分の問題と捉えて、対策を始めるきっかけになったり、相続手続の手助けとなれば幸いです。

無料ダウンロードはこちら

相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

不安なことは、
グリーン司法書士法人にご相談ください。
一緒に、最適な相続対策を考えていきましょう。

グリーン司法書士法人の強み

01
過去5年間の相続相談実績は約5,000件!
日本有数の実績で安心して任せられる。
02
サポート内容の広さと相談窓口の一元化を実現!
独自のネットワークでどこよりも早い迅速対応!
03
蓄積されたノウハウを元に相談者一人一人にあった提案が可能!

100名を超える相続のプロが徹底サポート

  • ・相続手続きといっても何から始めればいいのかわからない
  • ・しっかりとした遺言書を作成したい
  • ・認知症などの生前対策をしておきたいけどよくわからない

グリーン司法書士法人では相続に関する悩みや疑問をしっかりとお聞きし、理想の相続実現をサポートします。

相続に関して少しでも不安や疑問があればお気軽にお問い合わせください。

お電話での無料相談はお気軽にお問い合わせください。無料相談予約受付ダイヤルは0120-002-110

※「記事をみた」とお伝えください。

365日24時間いつでもメール無料相談