遺産総額が1億円の場合の相続税額は、0円〜1,464万円です。「誰が受け取るか」「相続人が何人いるか」によって異なります。
亡くなった方の配偶者が支払う相続税は「配偶者控除」で0円となる一方で、亡くなった方の兄弟姉妹が1人ですべての遺産を受け継いだ場合には、1,464万円もの相続税がかかります。
これだけ幅があるのは、相続税には様々な控除や特例が用意されているからです。
1億円規模の相続ともなると、これらの控除や特例を漏れなく活用できるかどうかが、相続税を大幅に節税できるかどうかの分かれ目となります。
本記事では、遺産1億円にかかる相続税はいくらか、後悔しないために知っておくべきポイント、節税に使える控除や特例を紹介します。
相続税についての不安を解消したい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
1章 遺産1億円の相続税は0円~1,464万円
相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除が用意されています。
したがって、相続税の金額は相続人の人数によって大きく変わってきます。
まずは、1億円の遺産にかかる相続税の目安を「早見表」で確認してみましょう。
| ケース | 相続税額の目安 |
| 配偶者のみ | 0円 |
| 配偶者+子供 |
|
| 子供のみ |
|
| その他のケース | 配偶者と親が相続する場合
親のみが相続する場合
配偶者と兄弟姉妹が相続する場合
兄弟姉妹のみが相続する場合
|
※上記の税額は、各相続人が法律で定められた割合(法定相続分)の通りに遺産を分けたと仮定して計算した金額です。
※兄弟姉妹が取得した遺産に対しては、相続税の税額が「2割加算」となります。
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1 配偶者が1億円全て相続する場合:相続税0円
配偶者が1億円の遺産をすべて相続した場合、相続税はかかりません。
相続税には「配偶者控除」が用意されており、1億6,000万円もしくは法定相続分のいずれか多い金額まで相続税がかからなくなるからです。
ただし、相続税がかからないことを理由に、子が受け取らず配偶者が全て受け取ることにすると、次の相続が発生したときの税負担が跳ね上がる可能性もあるのでご注意ください。詳しくは「2-2 「配偶者がひとまず全部相続」は二次相続で後悔する」で解説しています。
なお、配偶者が全て相続する場合の相続税については、下記の記事でも詳しく解説しています。
1-2 配偶者と子供が相続:相続税は最高385万円(子供の数が増えるほど安くなる)
亡くなった方の配偶者と子供が1億の遺産を受け継いだ場合は、子供の人数によって下記のように相続税額が変わります。
- 配偶者+子供の人数が1人:385万円
- 配偶者+子供の人数が2人:315万円
- 配偶者+子供の人数が3人:262万5,000円
- 配偶者+子供の人数が4人:225万円
なお、上記の税額は配偶者と子供がそれぞれ法定相続分で相続した場合の金額です。
そのため、子供が法定相続分より財産を多く相続した場合は、上記の金額より税額が上がる可能性があります。
親の片方が亡くなり、片親と子供たちが相続した場合には、次の相続(二次相続)に向けて、「二次相続対策(生前対策)」についても考えることをおすすめします。
なぜならば二次相続の相続税は、「配偶者+子供」が相続する場合と比べて、相続税の負担がかなり重くなるからです。
子供のみが相続人になったときの税負担を少しでも軽減するためには、「親から子へ生前贈与をして遺産を減らしておく」「預貯金を不動産に変えておくなど」の方法が考えられます。
詳しくは、本記事の後半「7-1 二次相続対策をしておく」で詳しく解説します。
1-3 子供のみが相続:相続税額は最高1,220万円(子供の数が増えるほど安くなる)
子供のみで1億円の遺産を受け継いだときの相続税額は、それぞれ下記の通りです。
- 子供の人数が1人:1,220万円
- 子供の人数が2人:770万円
- 子供の人数が3人:630万円
- 子供の人数が4人:490万円
故人の配偶者がすでに亡くなっており、子供のみが相続人の場合、相続税の配偶者控除を適用できないため税負担が上がってしまいます。
1-4 その他の場合:相続税額は最高1,464万円(兄弟姉妹のみが相続の場合が最高値)
その他の相続人の組み合わせの場合、遺産総額1億円に対する相続税は、以下の通りとなります。
配偶者と親が相続する場合:
親のみが相続する場合:
配偶者と兄弟姉妹が相続する場合:
(兄弟姉妹が取得した遺産に対しては、相続税の税額が「2割加算」となります) 兄弟姉妹のみが相続する場合:
(兄弟姉妹が取得した遺産に対しては、相続税の税額が「2割加算」になります) ※上記の税額は、各相続人が法律で定められた割合(法定相続分)の通りに遺産を分けたと仮定して計算した金額です。実際の相続割合が法定相続分と異なる場合は、相続税額が変わります。 |
2章 遺産1億円の相続税で知らなければ後悔する6つのポイント
遺産1億円における具体的な相続税額を1章で確認できたと思いますが、ここからは、「1億円分の遺産を相続した場合の相続税に関して、知っておかなければ後悔するポイント」を解説していきます。
遺産1億円の相続税で知らなければ後悔する6つのポイント
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同じ1億円分の遺産でも、これから説明することを知っていればリスクを回避し、知らなければリスク回避できず後悔する可能性があります。ぜひしっかり理解しながら読み進めてみてください。
2-1 遺産1億円の相続税額は「遺産の分け方・特例・控除」で大きく変わる
遺産総額が1億円という高額な相続の場合、「誰がどのように遺産を受け取るのか」「活用できる特例・控除を正しく適用できるか」によって、最終的に支払う相続税額はかなり大きく変動します。
同じ1億円の資産規模であっても、税額が数百万円から1,000万円以上も変わるケースがありえます。
例1.「配偶者+子供」ではなく「とりあえず配偶者のみが相続」にすると相続税はゼロになる 配偶者が1億円の遺産をすべて相続すれば、目先の相続税額を確実にゼロに抑えられます。相続税には「配偶者の税額軽減」という強力な特例が用意されており、配偶者が相続する財産については1億6,000万円(または法定相続分)まで税金がかからない仕組みになっているからです。 たとえば子供が2人の場合、法定相続分通り「配偶者+子供2人」で分けると合計315万円の相続税がかかりますが、配偶者が1億円すべてを相続すれば相続税は0円になります。 ただし、安易にこの方法を選択してしまうと、将来的にその配偶者が亡くなったとき(二次相続)には、770万円と相続税が跳ね上がってしまう可能性があるので注意が必要です。 相続税を先送りにした場合の注意点については、「2-2 「配偶者がひとまず全部相続」は二次相続で後悔する」をご覧ください。 |
例2.「小規模宅地等の特例」が使える場合は相続税を大幅に下げられる 遺産の中に実家の土地が含まれる場合、「小規模宅地等の特例」を適用できれば、1億円の資産規模であっても相続税額を大きく引き下げられる可能性があります。 逆にいえば、適用できる特例・控除があるのに、それを知らずに相続税申告してしまうと、相続税を多く支払いすぎてしまう可能性があります。 |
参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
例3.素人判断で安すぎる不動産評価をもとに代償分割を行うと、後から追徴課税や贈与税を課されてしまう危険性がある 1億円の遺産に不動産が含まれる場合、素人判断で不適切な低い評価額をもとに代償分割を行うと、後から税務署に指摘されて重い追徴課税や贈与税を課される危険性があります。 代償分割で他の相続人に支払う「代償金」の金額が不動産の実際の価値に見合っていない場合、税務署から「不当に低い価格での取引」や「実質的な財産の贈与」と疑われる可能性があるからです。 このような事態を避けるには、素人判断で土地の価格を決めつけるのではなく、税理士などプロの視点できちんと算定した上で協議を進める必要があります。 |
このように、1億円の相続では安易に「目先の税金を減らすこと」だけを考えて遺産を分けると、結果として家族全体での税負担が重くなったり、税務署からペナルティを受けたりする危険性があります。
そのため、適正な不動産評価を行った上で、特例の要件を満たせるような遺産分割協議を慎重に進めることが極めて重要です。
2-2 「配偶者がひとまず全部相続」は二次相続で後悔する
配偶者と子供がいる場合で1億円の遺産を受け取る場合、「配偶者がとりあえず全部相続すれば、相続税を1円も払わなくて良いだろう」と考える方は大勢いらっしゃいます。
しかしながらこの場合、二次相続(遺された配偶者が亡くなった際の相続)での相続税額がかなり高くなり、後悔しかねないので注意しましょう。
たとえば父親が亡くなり、母親が1億円の遺産をすべて相続することにしたとします。子供2人は受け取らないことにしました。この場合、配偶者控除の恩恵によって確かに一次相続での相続税額はゼロとなります。
しかし、その直後に母親が亡くなり、子供2人で1億円の遺産を相続する場合には、基礎控除が4,200万円に減り、配偶者控除もないため、子供たちには合計770万円もの相続税が課されることとなります。
もしも一次相続で法定相続通りに「配偶者+子供2人」が相続していたら、相続税は合計315万円で済んでいました。さらに二次相続では母親の遺産5,000万円に対する相続税額は80万円なので、一次相続と二次相続を足した相続税額は、合計395万円で済んでいたはずです。
このように、目先の相続税額をゼロにすることだけを優先して遺産分割をしてしまうと、二次相続のときに後悔しかねません。
一次相続の段階から将来の二次相続までを視野に入れて、正しくシミュレーションしたうえで遺産を分けることが重要です。
相続税をできるだけ抑えて手残りを増やすには、 遺産1億円の相続において、遺された家族全体の利益を最大化するためには、二次相続や不動産の特例、将来の出口戦略までを含めた綿密なシミュレーションを事前に行うことが極めて重要です。 相続税の負担は、一次相続だけでなく「次の世代にどう資産を繋ぐか」「将来その不動産をどう扱うか」といった複数の要素が複雑に絡み合って最終的な手残り額が決まるからです。 【相続税の手残りを増やす具体例】
全ての要素を個人で判断するのは極めて困難ですので、司法書士・行政書士・税理士が一体となって「精密なシミュレーション」を行えるグリーングループにぜひご相談ください。 電話で気軽に聞きたい方はこちらをクリック |
2-3 相続税ゼロでも申告は必要(申告漏れは追徴課税)
前述したように、「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」を使えば、1億円規模の相続の場合、相続税をゼロにできるケースも多くあります。
しかしながら、「相続税がかからない」からといって「申告が必要ない訳ではない」ということに注意しましょう。
相続税に関する各種特例・控除は自動的に適用される訳ではありません。納税しないからといって期限内に申告せず放置すると、特例の適用自体を認められなくなり、本来よりも高額な相続税が課される可能性すらあります。
必ず、期限内(通常、亡くなってから10ヶ月以内)に申告手続きを完了させましょう。
2-4 納税資金がないなら現金化のために早く動く必要がある
1億円の遺産のほとんどが不動産である場合など、納税資金が足りないケースでは、不動産売却なども視野に入れて早めに相続手続きを進める必要がある点にも注意しましょう。
相続税の申告・納税期間は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。納税は「現金で一括納付」が原則なので、もし手元に資金が無い場合は「現金化」が必要なのです。
たとえば、1億円の遺産がすべて不動産であり、預貯金がなかった場合、不動産を相続しても「相続税を払えない」という状況になりかねません。
相続人が自分の保有資産から相続税を支払えれば良いですが、足りない場合は、相続した不動産を売却して現金化して相続税を納める必要があります。
不動産は「希望価格で買ってくれる人」が現れて初めて現金化できるため、売却活動から引き渡しまで通常3〜6ヶ月かかるといわれています。不動産売却が絡む場合にはできるだけスピーディに売却活動を始めなければならないことを覚えておきましょう。
2-5 相続税の申告ミスが疑われると税務調査が来る
遺産総額が1億円という資産規模になると、申告内容に不自然な点やミスが疑われる場合、税務署による実地での税務調査が行われる確率が非常に高くなります。
税務署は亡くなった人の過去の預貯金口座の出入金履歴や資産状況を事前に細かく把握しており、申告漏れや財産の過小評価がないかを厳しくチェックしているからです。
もしも税務調査でミスが発覚した場合は、本来の相続税に加えて、ペナルティである過少申告加算税や延滞税が追徴課税されることもあります。
追徴課税を避けるためには、「正確に相続税を計算すること」が求められます。不動産評価などは素人には判断が難しいため、不安な方は税理士などの専門家に相続税申告を依頼するのが安心です。
事例:財産6,000万円・遠方の妹へ代償金1,800万円で円満解決したケース 不動産の相続において、素人判断による安易な評価をもとに代償分割を行うことは、親族間のトラブルや将来の税務リスクを招くため極めて危険です。不動産は現金と違って評価が難しく、土地の形状や接道状況、農地法の規制といった個別の事案ごとに評価額の計算が非常に複雑です。 相続財産約6,000万円の申告と遠方の妹様との遺産分割という課題に対し、税理士との連携と代償分割の活用で円満な合意形成と期限内の手続き完遂を実現した事例を紹介します。 長男である相談者Aさんは、実家の土地建物や田んぼの不動産(約4,000万円)と預金(約2,000万円)の合計約6,000万円を自分がすべて相続する代わりに、遠方の妹へ代償金を支払う遺産分割を希望していました。 しかしながら、その代償金をいくらに設定すれば公平なのか、税務上問題はないのか、専門的な知識がなく判断が難しい状況でした。 私どもグリーングループでは、司法書士と提携税理士が一体となり相続手続きと税務の双方から適正な不動産評価額と相続税の概算を算出した上で、客観的な根拠に基づく適正な代償金1,800万円を提示しました。 窓口を専門家に一本化して遠方の妹との調整を進めたことでトラブルなく円満な合意が成立し、複雑な農地手続きやJAの口座解約も含めて10ヶ月の申告期限内にすべて完了することができました。 |
2-6 相続税を多く払っても返ってこないため損してしまう
遺産1億円の相続税について、もしも適用できたはずの特例・控除を見落として適用しなかった場合、本来よりも高額な相続税を支払ってしまう可能性があります。
もし相続税を払いすぎていても、税務署が自ら教えてくれることはありません。日本の税制は「自己申告納税制度」をとっており、多く払いすぎた分は自分で気づいて申請しない限り戻ってこない仕組みになっているためです。
「自分の場合にはどの特例・控除が使えるのか」「選択肢がある場合に、自分のケースだとどれがもっとも有利か」の判断は、素人には難しいケースがほとんどです。
無駄な相続税を支払って後悔したくないのならば、相続に強い税理士に相談することをおすすめします。
3章 遺産1億円の相続税計算の流れ
相続税は預貯金や不動産など個別の財産ごとにかかるのではなく、遺産総額に対してかかります。
また遺産の中に不動産や株式が含まれる場合は、相続税評価額を計算した上で遺産総額を計算しなければなりません。
相続税を計算する流れは、下記の通りです。
- 相続財産を評価する
- 遺産総額から基礎控除額を引く
- 基礎控除額を引いたあとの遺産を法定相続分で分ける
- 法定相続分で分けた遺産から相続税の総額を計算する
- 計算した相続税額を実際の相続割合で分けなおす
- 控除・加算で最終的な納付税額を求める
具体例をもとに、相続税を計算してみましょう。
| 相続財産 |
|
| 相続人 |
|
| 遺産分割 |
|
上記のケースでは、下記の流れで相続税を計算可能です。
①相続税の基礎控除を計算する
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
②相続税の課税対象額を計算する
相続税の基礎控除を計算したら、遺産総額から差し引き、相続税の課税対象額を計算しましょう。
1億円−4,800万円=5,200万円
③法定相続分で遺産分割した場合の相続税を計算する
相続税は、取得金額に応じて段階的に「税率」が上がる累進課税制度が採用されています。
そのため、同じ遺産総額でも相続人ごとの取得額によって適用される税率が以下のように異なります。
- 配偶者:2,600万円×15%-50万円=340万円
- 子供:1,300万円×15%-50万円=145万円
- 相続税の合計額:340万円+145万円+145万円=630万円
④それぞれの相続割合に応じて相続税額を分配する
- 配偶者:630万円×0.6=378万円
- 子供:630万円×0.2=126万円
⑤控除・加算を行い相続税額を決定する
それぞれの相続税額を計算したら、控除を適用し、最終的な納税額を求めましょう。
- 配偶者:配偶者控除が適用されるので税額が0円になる
- 子供:適用できる控除がないため、それぞれ126万円ずつ納税する
さらに詳細な相続税額の計算方法を知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
4章 遺産1億円の相続税節税に使える主な控除や特例
相続税には税負担を軽減するための控除や特例が用意されています。
主な控除や特例は、下記の通りです。
- 小規模宅地等の特例
- 配偶者控除
- 未成年者控除
- 障害者控除
- 生命保険金の控除
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、亡くなった人から受け継いだ土地の相続税評価額を最大8割減額できる制度です。
小規模宅地等の特例の限度面積や減額割合は、土地の種類ごとに下記のように設定されています。
| 用途 | 区分 | 限度面積 | 減額割合 |
| 自宅 | 特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |
| 収益物件 | 貸付事業用宅地等 | 220㎡ | 50% |
| 事業用地 | 特定事業用宅地等 (特定同族会社事業用宅地等) | 400㎡ | 80% |
参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
小規模宅地等の特例では、土地の種類ごとに要件が設定されています。
亡くなった人の土地を相続した場合は、小規模宅地等の特例を適用できるか確認してみるのが良いでしょう。
小規模宅地等の特例については、下記の記事でも詳しく解説しています。
4-2 配偶者控除
相続税の配偶者控除とは、配偶者が相続した遺産を下記の金額まで非課税にする制度です。
- 1億6,000万円
- 法定相続分
※いずれか多い方の金額が適用されます
上記のように、配偶者が遺産を相続した場合、最低でも1億6,000万円までは相続税がかかりません。そのため、遺産総額が1億円の相続の場合、配偶者はこの配偶者控除を使えば相続税はかかりません。
ただし配偶者控除を適用した結果、相続税がかからなくなったとしても相続税の申告は必要です。
また、2-2で触れた通り、配偶者控除があるからといって、相続発生時に配偶者に財産を多く相続させるのは気をつけた方が良いでしょう。
配偶者に財産を多く相続させると、配偶者が亡くなり次の相続が発生したときの税負担が重くなる可能性があるからです。
二次相続対策を行う場合には、相続人や資産状況によって変わってくるので、専門家に相談しながら行いましょう。詳しくは7章で後述します。
配偶者控除について基礎から詳しく解説した、以下の記事もご一読ください。
4-3 未成年者控除
未成年者控除は、相続人に未成年者が含まれるときに適用でき、「(18歳-相続時の年齢)×10万円」を控除できます。
相続税の未成年者控除の概要は、下記の通りです。
| 概要 | 相続人に未成年者が含まれるときに適用できる控除 |
| 適用要件 |
|
| 控除額 | (18歳-相続時の年齢)×10万円 |
なお、相続税の未成年者控除の控除枠が余った場合には、未成年者の相続人本人だけでなく扶養義務者も控除枠を使用できます。
未成年者の扶養義務者は、両親や祖父母、兄弟姉妹などが該当します。
ただし、未成年者控除の余った控除枠を使用できるのは、扶養義務者かつ相続人にあたる人物なのでご注意ください。
未成年者控除について解説した、以下の記事もご一読ください。
4-4 障害者控除
相続税の障害者控除とは、相続人の中に障害者がいる場合に受けられる控除です。
相続税の障害者控除を適用するには、下記の要件を満たさなければなりません。
- 法定相続人であること
- 相続または遺贈で財産を承継したこと
- 相続開始日に日本に居住していること
- 相続開始日に障害者であること
相続税の控除額は下記の金額で計算でき、相続税額より控除額の金額が上回る場合は障害者の扶養義務者の相続税額から残額を控除できます。
一般障害者の場合
障害者控除額=(85歳-相続開始日の障害者の年齢)×10万円
特別障害者の場合
障害者控除額=(85歳-相続開始日の障害者の年齢)×20万円
※(85歳-相続開始日の障害者の年齢)に端数があるときは切り上げ。
障害者控除については、下記の記事でも詳しく解説しています。
4-5 生命保険金の控除
生命保険金は原則として相続税の課税対象となりますが、「法定相続人の数×500万円」の非課税枠が設けられています。
参考:国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
そのため、故人が同額の遺産を遺すのであれば預貯金ですべて遺すのではなく、一部を生命保険に加入して遺すことを検討すると良いでしょう。
生命保険を活用した相続対策については、以下の記事もご一読ください。
5章 遺産1億円の相続は専門家に依頼したほうが精神的・金銭的にもメリットが大きい
遺産総額が1億円という資産規模の場合の相続手続きは、自分で進めるよりも税理士や司法書士などの専門家へ一任したほうが、精神的にも金銭的にもメリットが大きくなります。
遺産1億円の相続を専門家に依頼すべき理由
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たとえば私どもグリーングループがご依頼いただいた高額相続の事例では、以下のような事例がありました。
事例:期限10ヶ月で資産6,000万円超の相続、納税資金不足と売却困難な不動産問題を一括解決したケース お父様が亡くなられたことで相続が始まり、娘様が相続人として手続きを行うことになりました。相続財産を調査したところ、ご自宅や倉庫、収益物件など複数の不動産が見つかり、その評価額は合計で6,000万円を超えることが判明します。 一方で、手元の預貯金は500万〜600万円程度しかなく、高額な課税リスクに対処するための納税資金(現金)が明らかに不足しているという重大な課題に直面しました。 さらに、お父様が生前に経営していた不動産管理会社の株式(100%)や会社名義の不動産の扱いが分からず、ご高齢の母親も施設に入所していて今後の不動産管理が困難なため、管理しきれない不動産をすべて売却したいと考えていたものの、何から手をつければ良いか分からず困り果てていらっしゃいました。 そこで、私どもグリーングループでは、初回面談の段階から司法書士と不動産の専門家が即座に連携する体制を整えました。 10ヶ月という短い相続税の申告期限に間に合わせるため、手続きに優先順位をつけ、時間がかかる財産調査とは切り離して売却を急ぐ不動産のみを対象とした相続登記を最優先で実行しました。 不動産売却における最大の壁は、ご自宅が公道から奥まった「旗竿地」であり、単独では非常に買い手が見つかりにくいという点でしたが、グループの不動産担当者が「売りにくいご自宅」と「需要が高い駅前の優良な収益物件」をあえてセットで売却するという独自のプロ戦略を立案・実行し、見事に現金化を成功させました。 また、会社名義の不動産売却を可能にするため、商業登記を専門とする司法書士とも連携し、株式の相続手続きから新たな代表者の選任までを会社法に則って迅速に完了させ、適法に売却できる土台を整えました。 このように、分野をまたぐ複数の複雑な課題に対し、窓口を一本化して最短ルートでワンストップ対応した結果、10ヶ月の申告期限内に不動産売却を完了させて納税資金を確実に確保することができました。 単独では処分が困難だった不動産もプロの戦略で売却でき、複雑な会社相続の手続きも含めて一括で完遂したことで、ご家族を大きな不安や精神的な重圧から完全に解放することができた事例です。 |
1億円レベルの相続ともなると、相続人だけで期限内に正確な申告・納税を済ませるための難易度が非常に高くなります。さらに相続に関わる諸々の手続きがありすぎて、かなり時間を費やすことになってしまいます。
1億円規模の遺産で少しでも不安がある場合は、個人で無理に判断してリスクを背負うのではなく、相続に強い専門家へ相談することが最善の選択肢となるケースが多いでしょう。
できれば相続税の計算だけでなく、手続きもトータルでカバーしてくれる専門家にすべて依頼してしまうのが、確実で安心です。
6章 遺産1億円の相続をトータルで相談するならグリーングループ
ここまでで相続税を専門家に相談したほうがいいとはわかりつつ、実際に「どこに相談したらいいか分からない」という方も多いかもしれません。
そんなときには、相続手続き・税務・不動産のすべての課題をワンストップで解決できるグリーングループがおすすめです。
6-1 年間442件の相続税申告案件の手続き実績に基づく税務対策が可能
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税務調査で特に狙われやすいポイントの例
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「税務調査に入られたらどうしよう」という不安を払拭して安心感を得るためには、実績に裏付けられた確かな知識と対応力を備えたグリーングループにご相談ください。
6-2 司法書士・行政書士・税理士が三位一体となってサポート
1億円規模の財産を最も損のない形で次の世代へ繋ぐためには、司法書士・行政書士・税理士の3士業が一体となって動くことが欠かせません。グリーングループは、3士業が連携してワンストップで相続手続きを行うため、将来の二次相続・三次相続まで見据えた精密な節税設計を行うことが可能です。
3士業が一体となってサポートするメリット
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相続手続き(名義変更)と税務(税金)を別々の事務所にバラバラに依頼すると、それぞれの職域の隙間にある手続きでミスが起こりがちです。こうしたリスクを排除したい方は、ワンストップで対応できるグリーングループをご検討ください。
6-3 グループ内の不動産会社と連携した早期現金化も得意
1億円規模の相続においては、遺産の中に不動産が含まれることも多く、預貯金が少ないケースでは相続税の納税資金が足りなくなることも多くあります。10ヶ月という短い納税期限に間に合わせるには、早期の売却・現金化を並行して進めなければ間に合わないケースもあるのです。
グリーングループは、不動産会社・行政書士・税理士・司法書士が連携して、相続手続きや計算・申告はもちろん、不動産の売却・登記(名義変更)まで責任をもってサポートすることが可能です。
これにより、直前になっての「売り急ぎ」などを避け、損することなく適正価格での不動産売却と申告・納税を実現できます。
| 遺産1億円の相続財産調査・相続税申告・登記は 相続相談実績が豊富なグリーングループへ |
遺産総額が1億円規模の相続は、相続税が発生する可能性が高く、かつ控除・特例が適切に適用できるかどうかで納税額が劇的に変わるゾーンです。 シンプルなケース以外は、専門家に依頼したほうが「税務調査に入られたらどうしよう」という心配もなく、むしろ正しく控除・特例を適用できて何百万円も変わるケースもあります。 当グループでは、司法書士・税理士・行政書士の3士業に加え、グループ内の不動産会社が連携して相続全般をサポート。10ヶ月の期限に遅れない柔軟なスケジュール管理のもと、大切な資産を確実に次の世代へ引き継ぐための最適解をご提案いたします。 「財産の全容が分かっていない」「何から相談したらいいか分からない」という方でも、どうぞ安心してお任せください。些細な疑問や不安でも構いませんので、まずは一度お気軽に電話やメール、LINEからご相談ください。 電話で気軽に聞きたい方はこちらをクリック |
7章 1億円の遺産を受け継いだ方が次の相続に向けてすべき3つの対策
亡くなった人が1億円の遺産を遺した場合は、二次相続対策や相続人の認知症対策を行なっておくことが大切です。
具体的には、下記の3点に注意しましょう。
- 二次相続対策をしておく
- 認知症対策をしておく
- 遺産に不動産が含まれる場合は相続登記をする
それぞれ詳しく解説していきます。
7-1 二次相続対策をしておく
父親もしくは母親の片方が亡くなったときには、二次相続対策を行なっておきましょう。
二次相続とは、遺された配偶者も亡くなり両親(夫婦)が共に亡くなったときの相続です。
二次相続では配偶者控除を適用できない、小規模宅地等の適用要件が厳しくなるなどの理由で相続税の税負担が重くなります。
二次相続の際の相続税負担を軽減するために、下記の二次相続対策を行うのが良いでしょう。
- 生前贈与を行う
- 一次相続の財産取得割合を調整する
- 同居している子供がいれば実家を相続させる
- 納税資金を確保しておく
- 相続財産の資産組み換えを行う
- 賃貸用不動産を子供に相続させる
- 生命保険金の非課税枠を活用する
- 相次相続控除を利用する
上記のように、二次相続対策は複数ありますし、相続人や資産状況によって取るべき選択肢が変わります。
そのため、自分に合う二次相続を知り確実に実行したいのであれば、二次相続に詳しい司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。
二次相続について基礎から詳しく解説した、以下の記事もご一読ください。
7-2 認知症対策をしておく
父親もしくは母親のどちらかが亡くなった一次相続の場合、遺された配偶者の認知症対策をしておくことも大切です。
故人の年齢にもよりますが、一次相続発生時には遺された配偶者もある程度高齢であり、認知症リスクがあると予想できるからです。
認知症になって判断能力を失ってしまうと、下記の財産管理ができなくなってしまいます。
- 銀行口座が凍結されてしまう
- 自宅の売却や不動産の活用ができなくなる
- 相続対策ができなくなる
- 詐欺に巻き込まれるリスクがある
認知症により財産凍結を防ぐために、下記のいずれかの方法で認知症対策をしておきましょう。
- 家族信託を活用する
- 遺言書を作成してもらう
- 生前贈与を活用する
- 任意後見制度を活用する
認知症対策については、以下の記事でも解説しています。
7-3 遺産に不動産が含まれる場合は相続登記をする
亡くなった人の遺産に不動産が含まれる場合は、相続税の申告だけでなく、不動産の名義変更手続きもしなければなりません。
不動産の名義変更手続きは、法務局にて相続登記の申請を行います。
相続登記の手続きの概要および必要書類は、下記の通りです。
| 手続きする人 |
|
| 提出先 | 不動産の所在地を管轄する法務局 |
| 費用 | 不動産固定資産評価額の0.4%(登録免許税) (目安:1000万円の場合4万円、2000万円の場合8万円) |
| 必要書類 |
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これまで相続登記は義務化されておらず、相続人の意思によって行うとされていました。
しかし、2024年4月からは相続登記が義務化されたため、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。
なお、相続登記の義務化は過去に発生した相続においても適用されます。
そのため、まだ相続登記が済んでいない土地をお持ちの人は早めに手続きを済ませましょう。
相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で代行可能です。
グリーングループでも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
相続税には基礎控除が用意されており、相続人の人数によって納める相続税額が変わってきます。
また、配偶者が遺産を受け継ぐ場合、配偶者控除が適用され最低でも1億6,000万円までは相続税がかかりません。
そのため、相続人に配偶者が含まれるかどうか、配偶者が遺産をいくら受け継ぐかによっても相続税の金額が変わります。
相続税の計算は複雑なので、自分で計算するのが難しい場合は相続に詳しい税理士に依頼するのが良いでしょう。
また、遺産の中に不動産が含まれる場合は名義変更手続きが必要です。
相続した不動産の名義変更手続きは、法務局にて相続登記の申請を行います。
グリーングループでは、相続手続きや相続税計算、申告、不動産売却、登記まで、幅広く相続全般について相談をお受けしています。
初回相談は無料でお受けしておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。























