遺品整理業者との間に起きやすいトラブル事例|避けるコツとは?

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司法書士山中泉

 監修者:山中泉

この記事を読む およそ時間: 6
 この記事を読んでわかること

  • 遺品整理業者との間に起きるトラブル例がわかる
  • トラブルになりやすい遺品整理業者の特徴がわかる
  • 遺品整理業者とのトラブルを避ける方法がわかる

遺品整理は遺族が自ら行うだけでなく、遺品整理業者への依頼も可能です。
しかし、遺品整理業者の中には悪質な業者もいるため、請求や遺品の扱いについてトラブルが起きることも珍しくありません。

遺品整理業者に依頼する際には、事前にどんなトラブルが起きやすいのかを理解し、信頼できる業者を選びましょう。
本記事では、遺品整理業者との間に起きやすいトラブルをいくつか解説します。

なお、家族や親族が亡くなると遺品整理以外にも様々な手続きが必要です。
家族や親族が亡くなったときの手続きの流れは、下記の記事でも解説しているので合わせてお読みください。

【保存版】相続手続きでやるべきことまとめ!必要書類や期限も紹介

目次

1章 遺品整理業者とのトラブルは珍しくない

遺品整理業者とのトラブルは決して珍しいことではなく、数年前から独立行政法人国民生活センターでは、遺品整理業者とのトラブルについて注意喚起をしています。
遺品整理を業者に依頼する際には「トラブルが起きるかもしれない」「信頼できる業者を選ぶことが重要である」と理解しておきましょう。

次の章では、遺品整理業者との間に起きやすいトラブル事例を複数紹介していきます。

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2章 遺品整理業者との間に起きやすいトラブル事例

遺品整理業者との間に起きるトラブルは、請求に関するトラブルや遺品の扱いに関するトラブルなど多岐にわたります。
遺品整理業者との間に起きやすいトラブルは、主に下記の通りです。

  1. 高額請求や不当な追加請求をされた
  2. 相場以下の価格で買取された
  3. 作業中に貴金属や現金を盗まれた
  4. 遺品を不法投棄される
  5. 強引に押しかけられ契約を迫られる
  6. 形見や権利書の処分について確認してもらえなかった
  7. 解約時に高額なキャンセル料を請求された
  8. 作業が雑で遺品が壊れてしまった
  9. 契約後に作業を行ってもらえなかった

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 高額請求や不当な追加請求をされた

遺品整理業者とのトラブルで多いのは、高額請求や不当な追加請求です。
遺品整理を業者に依頼する際には、一度見積もりをしてもらい作業内容や費用に納得した上で契約をします。

それにもかかわらず、悪質な業者は作業終了後に「想定より作業に人数が必要だった」「処分費用が追加でかかった」などの理由をつけて、後から追加請求をすることがあります。
人生の中で遺品整理業者に依頼する機会はそう多くないため遺族も「そんなものなのか」と追加請求を受け入れてしまい、後からトラブルになってしまうケースも多いです。

2-2 相場以下の価格で買取された

遺品の買取まで行う遺品整理業者の中には、遺品を相場以下の金額で買い叩く業者もいます。

遺品整理の際には、ブランド品や骨とう品、貴金属などが出てくることもあるでしょう。
遺品整理業者に買取まで任せる際には、買取品の査定を受け取り近隣のリサイクルショップなどで鑑定をしてもらい査定額と差がないか確認する対策も必要です。

2-3 作業中に貴金属や現金を盗まれた

遺品整理業者が、作業中に発見した現金や貴金属をそのまま持ち逃げしてしまうケースもあります。
現金や貴金属を盗まれないようにするには、作業中に遺族が立ち会い監視し続ける必要がありますが、実際には現実的ではないでしょう。

遺品整理業者による現金や貴金属の持ち逃げを防ぐには、遺族が現金や貴金属をあらかじめ回収しておくなどの対策も有効です。

2-4 遺品を不法投棄される

悪質な遺品整理業者の中には、回収した遺品を山奥などに不法投棄してしまう業者もいます。
遺品は自治体が決めたルールに従う必要がありますし、不法投棄が見つかった場合、依頼者が処罰される恐れもあるので注意しなければなりません。

遺品整理と不用品回収の5つの違いとは?どちらの業者に依頼すべき?

2-5 強引に押しかけられ契約を迫られる

家族や親族が亡くなった後、遺品整理業者が自宅に押しかけ強引に契約を迫るケースもあるので注意しなければなりません。
相続発生後は様々な手続きでバタバタして落ち着かない時期でもありますし、遺族が高齢者や女性のみの場合は強引に迫られ拒否できないケースもあるでしょう。

遺品整理業者の強引な押しかけに対抗するには、インターホン越しでの対応を徹底することが大切です。

2-6 形見や権利書の処分について確認してもらえなかった

遺品整理業者によっては、相続手続きで使用する不動産の権利書や大切な形見の品などを勝手に処分してしまう場合があります。
結果として、相続手続きに支障が出る、故人との思い出が失われる恐れもあるので注意しなければなりません。

遺品整理業者が勝手に遺品を処分してしまうことを防ぐには、すべての遺品の処分について遺族が確認するなどのルールをあらかじめ決めておく必要があります。

2-7 解約時に高額なキャンセル料を請求された

何らかの理由で遺品整理業者による作業をキャンセルした場合、高額なキャンセル費用を請求されトラブルになってしまうケースもあります。
遺品整理業者が提供するサービスは訪問販売に該当するため、クーリングオフの対象です。

クーリングオフとは、契約書を受け取ってから8日以内であれば顧客が無条件に契約を取り消せる制度です。
クーリングオフの対象となる契約では、原則として違約金や損害賠償金の支払いは不要と決められています。

遺品整理業者に支払うキャンセル料を抑えるには、契約から8日以内にキャンセルするようにしましょう。

2-8 作業が雑で遺品が壊れてしまった

遺品整理業者の中には作業が雑で、遺品が壊れてしまう場合があります。
遺品が壊れてしまうと、故人との思い出も傷付いたと感じてしまう遺族も多く、トラブルに発展しやすいです。

遺品整理業者に依頼するときには、事前に業者の評判を確認し、遺品を大切に扱ってくれそうな業者を選びましょう。

2-9 契約後に作業を行ってもらえなかった

遺品整理業者に依頼したものの期日までに作業が完了せず、遺族が遺品整理を行わざるを得ないケースもあります。
作業を行ってもらえなかったため、キャンセルを申し込むとキャンセル料を請求されるケースや前払金を返金してもらえないケースもあるようです。


3章 トラブルになりやすい遺品整理業者の特徴

先ほどの章で解決したように、遺品整理業者とのトラブルは珍しいものではありません。
遺品整理業者とのトラブルを避けるためには、信頼できる業者を選ぶことが何より大切です。

信頼性が低く、トラブルが起きやすい遺品整理業者の特徴は、主に下記の通りです。

  1. 見積もり料金が極端に安い
  2. 訪問なしで見積もり価格を出す
  3. 公的な許可を取得していない
  4. 自社に関する情報を公開していない
  5. 書面で契約を交わさない

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 見積もり料金が極端に安い

他の遺品整理業者と比較して費用が著しく安い場合、悪質業者の恐れがあります。
悪質業者の中には、見積もり費用をわざと安くして後から追加請求を行う業者もいるからです。

費用が安い業者に依頼したいと誰でも思ってしまいがちですが、他社と比較して安すぎる業者とは安易に契約せず評判などを調べてから契約しましょう。

遺品整理にかかる費用相場はいくら?費用を安くする5つの方法

3-2 訪問なしで見積もり価格を出す

見積もり時に訪問しない遺品整理業者は、見積もり内容や費用について信頼性に欠けるため後からトラブルに発展する恐れがあります。
遺品整理にかかる費用は、遺品の量や種類、部屋の間取りによっても大きく変わります。

そのため、メールや電話で条件を確認しただけで行う見積もりは後から追加請求をしてくる可能性が高いです。

遺品整理を安くする方法とは?安くする際の注意点や業者の選び方

3-3 公的な許可を取得していない

遺品の処分や買取を行うにあたり、必要な許可を得ていない業者には、依頼しないようにしましょう。
例えば、遺品の処分や買い取りには、下記の許可が必要です。

  • 遺品の運搬処理:一般廃棄物収集運搬業許可
  • 遺品の買取:古物商許可

業者とのトラブルや依頼者側が罰せられることがないように、依頼する際には遺品整理業者が必要な許可を得ているか確認しておきましょう。

3-4 自社に関する情報を公開していない

ホームページなどで自社の情報を公開していない、詳しく記載していない場合は、悪徳業者である可能性に注意しなければなりません。
優良業者や実績豊富な遺品整理業者であれば、ホームページで実績や事例を紹介していることも多いからです。

例えば、訪問営業をしてきた遺品整理業者に依頼するか悩んだときには、その場で結論を出さず、まずは営業してきた遺品整理業者のホームページを確認してみるのが良いでしょう。

3-5 書面で契約を交わさない

見積もり時や依頼をする際に、見積書や契約書を発行しない業者についても、注意しておきましょう。
書面を交わさず口約束で契約してしまうと、後から作業内容が異なる場合や高額請求をされたときに反論しにくくなってしまいます。


4章 遺品整理業者とのトラブルを避ける方法

遺品整理業者とのトラブルを回避するには、見積もり時には詳細を確認して不明点をなくす、相見積もりを取得するなどの対策が必要です。
遺品整理業者とのトラブルを避ける方法は、主に下記の通りです。

  1. 見積もりは内訳まで記載してもらう
  2. 複数の業者に相見積もりを取る
  3. 業者に依頼する前に貴重品や現金を回収しておく
  4. 一般廃棄物収集運搬業の許可を得た業者を選ぶ
  5. 許可なく遺品を引き取らないように伝えておく
  6. 解約は契約後8日以内に行う
  7. 強引な押しかけにはインターフォンで対応する
  8. 契約時には作業予定・完了日を確認しておく

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 見積もりは内訳まで記載してもらう

遺品整理業者に見積もり請求する場合は、依頼費用の合計額だけでなく内訳まで記載した見積書を受け取りましょう。
内訳まで記載している見積書をもらえれば、他社との比較検討もしやすくなるからです。

また、見積もり時に内訳まで確認しておけば、見積価格を極端に安くしている悪徳業者も見つけやすくなります。
例えば、特定の業者だけ内訳に記載していない費用があるのであれば、後から追加請求は発生しないのかなどを事前に確認できます。
他にも、見積もり時に内訳まで確認しておけば、金額に関する不明点を契約前に質問可能です。

4-2 複数の業者に相見積もりを取る

遺品整理業者に依頼する際には、複数の業者に相見積もりを取りましょう。
相見積もりを取れば、費用や作業内容、追加請求の有無などを比較しやすくなるからです。

例えば、費用は安いものの遺品の量や種類によって追加請求がかかる業者と追加請求は行わないと決まっている業者であれば、後者の方が明朗会計で信頼できると感じる人も多いでしょう。

4-3 業者に依頼する前に貴重品や現金を回収しておく

遺品整理業者とのトラブルを避けるために、業者が作業をする前に貴重品や現金をある程度回収しておくのも選択肢のひとつです。
貴重品や現金を回収しておけば、作業員に持ち逃げされるリスクを回避できます。

なお、遺品の中でも現金は様々な場所から発見されるのでご注意ください。
業者が遺品整理を行う前に現金を回収しておきたいのであれば、下記の場所を探しておきましょう。

  • タンスの中や隙間
  • 衣類のポケット
  • ご祝儀袋や封筒の中
  • カバンの中
  • 畳の下
  • ビニール袋の中
遺品整理で現金が見つかりやすい場所はどこ?見つかったときの対処法

4-4 一般廃棄物収集運搬業の許可を得た業者を選ぶ

遺品整理業者に依頼する際には、依頼先が「一般廃棄物収集運搬業」の許可を取得しているか確認しておきましょう。
許可を得ている業者の場合、公式HPなどにその旨を記載している場合がほとんどです。

遺品などの不用品を運搬処理する際には、一般廃棄物収集運搬業が必要であり、許可を得ていない業者が行うと依頼者まで罰せられる可能性があるのでご注意ください。

4-5 許可なく遺品を引き取らないように伝えておく

遺品整理の作業中に必要なものや大切なものを処分されないようにするためにも、遺品整理業者には許可なく遺品を引き取ることや処分することをしないように伝えておきましょう。
他にも、貴重品や相続手続きで使用する権利書などの保管場所がわかっているのであれば、業者が作業する前に遺族が回収してしまうことをおすすめします。

4-6 解約は契約後8日以内に行う

遺品整理業者からキャンセル料を請求されないようにするために、契約解除をするのであれば、契約から8日以内にしましょう。
8日以内であれば、クーリングオフが適用されるからです。

また、契約日について揉めることがないように、契約時には書面にも日付を記載してもらうのが良いでしょう。

4-7 強引な押しかけにはインターフォンで対応する

遺族側から見積もり依頼をしていないにもかかわらず、遺品整理業者が訪問営業や無料見積もりに来た場合は、玄関を開けずインターフォン越しの対応をしましょう。
インターフォン越しの対応であれば、悪徳業者が無理やり入ってくることはありませんしインターフォンがないご家庭であれば、チェーンロックを掛けた上で対応するのも安心です。

4-8 契約時には作業予定・完了日を確認しておく

遺品整理業者と契約を交わす際には、作業予定日や完了日を必ず確認しておきましょう。
同時に、作業が期日までに完了しなかった場合の取り扱いについても確認しておくと安心です。

加えて、万が一の事態に備えて遺品整理業者の作業完了日を希望日より早めに設定しておくと良いでしょう。


5章 遺品整理業者とトラブルになったときの対処法

万が一、遺品整理業者とトラブルになったときには、消費者庁や警察に相談しましょう。
怪しい遺品整理業者に営業を掛けられたときやトラブルが起きたときには「188」に電話すれば、消費者ホットラインにつながり最寄の消費者センターへとつないでくれます。

他にも、家族や親族が亡くなった後に遺品整理業者がしつこく営業をかけてくる、訪問営業に来て帰ってくれないなどのケースでは警察に連絡しましょう。
念のため、ボイスレコーダーやスマホなどで相手の発言を録音しておくことをおすすめします。

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まとめ

遺品整理業者とのトラブルは決して珍しいことではありません。
家族や親族の死は人生において何度も発生するものではなく、手続きにも慣れていない人が多いだけでなく、心理的な負担も非常に大きいです。
環境の変化や手続きの慌ただしさ、家族を失った悲しみや喪失感を狙って、遺品整理業者が近寄ってくる可能性もあらかじめ理解しておきましょう。

遺品整理業者とのトラブルを避けるためには、契約内容は必ず書面で残す、複数の業者を比較し信頼できる業者を選定するなどが大切になってきます。

また、相続が発生した際には遺品整理以外にも様々な手続きが必要です。
自分たちで行うのが難しい場合や心理的な負担が大きいのであれば、相続に詳しい専門家に相談することもご検討ください。

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