相続により、田舎にある広い土地を受け継いでしまい、使い道に悩んでしまうケースもあるでしょう。
自分で使用するのが難しいくらい広い土地を相続した場合は、アパートやマンション経営、商業施設の建築を検討するのもおすすめです。
土地活用の方法には複数あり、周辺地域の状況や需要によってベストな活用方法は変わります。
相続した土地の活用を考えた際には、不動産に関する専門家に相談するのが良いでしょう。
本記事では、相続した広い土地を活用する方法および流れを解説します。
土地の相続手続きの流れについては、下記の記事で詳しく解説しているのであわせてご参考にしてください。
1章 広い土地を活用する6つの方法
自分で使用するのが難しいくらい広い土地を相続した場合、アパートやマンション経営などで有効活用するのがおすすめです。
具体的には、下記の方法で活用するのが良いでしょう。
- アパート・マンション経営をする
- 月極駐車場を経営する
- トランクルームを経営する
- 医療施設・商業施設を経営する
- ロードサイド店舗を経営する
- 資材置き場を建築する
- 介護施設を建築する️
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1 アパート・マンション経営をする
相続した広い土地にアパートやマンションを建築し、入居者を集めれば、定期的に賃貸収入を受け取れます。
またアパートやマンションなど他人に貸している建物や土地は、自分で使用している不動産より相続税評価額が下がるので、子供や配偶者の相続税の負担も減らせます。
アパートやマンション経営は相続税の節税対策や収益性に優れている一方で、下記のリスクもあります。
- 入居者が集まらないリスク
- 入居者とのトラブルリスク
- 災害リスク
- 家賃滞納リスク
上記のリスクを理解した上で、アパートやマンション経営を始める必要があります。
また、特に経営に問題がなくても十数年に1度は大規模なリフォームが必要です。
そのため、アパートやマンションを経営する際には、利回りだけでなく、資金繰りも意識しておかなければなりません。
1-2 月極駐車場を経営する
活用予定のない広い土地は、月極駐車場として貸し出すのもおすすめです。
駐車場の一時利用の需要が高い場合は、コインパーキングとして活用するのも良いでしょう。
駐車場経営は建築物が必要ないので、初期費用が抑えられ活用までにかかる期間も短くすみます。
加えて、他の活用方法が決まったときに転用しやすいのもメリットです。
一方で、駐車場経営はアパートやマンション経営と比較して利回りが低くなりやすいです。
そのため、土地活用による利回りや収益性を重視したい人は別の活用方法も検討しましょう。
1-3 トランクルームを経営する
100坪以上などの広い土地を相続した場合は、トランクルーム経営も良いでしょう。
トランクルーム経営では、コンテナを建築し収納スペースとして貸し出します。
自分でトランクルームを経営する他には、事業者に土地を一括で貸し出し経営してもらう方法もあります。
トランクルーム経営は建築費用が安くすむため、初期費用をあまり用意できない人にも適しています。
一方で、アパートやマンション経営ほど利益が出ない、周辺地域にもっと安いトランクルームができたときに一気に売り上げが減る恐れがある点には注意しなければなりません。
1-4 医療施設・商業施設を経営する
アパートやマンションとしても広すぎる土地を相続した場合は、医療施設や商業施設の建築、経営も検討しましょう。
大規模な医療施設や商業施設を建築するには広大な土地が必要ですが、土地や建物を借りてくれる事業者が見つかれば賃料も莫大なものとなります。
とはいえ、規模が大きい医療施設や商業施設を建築するには、それだけ費用もかかります。
自分で建築費用を工面するのが難しい場合は、土地だけを事業者に貸しだす、デベロッパーなどと等価交換をすることも検討しましょう。
1-5 ロードサイド店舗を経営する
道路に面している広い土地を相続した場合は、コインランドリーなどのロードサイド店舗を経営するのもおすすめです。
ロードサイド店舗とは、幹線道路など交通量が多い道路沿いにある広い駐車場付きの店舗です。
ロードサイド店舗は、経営する店舗の種類によって、建築費用や設備費用が変わってくる点に注意しなければなりません。
とはいえコインランドリー経営であれば、アパートやマンションを建築するよりも費用を安く抑えられるでしょう。
また、経営する店舗の種類によって需要や維持費なども変わってきます。
安易に店舗を決定するのではなく、周辺地域の需要を入念にリサーチすることが大切です。
1-6 資材置き場を建築する
住宅需要や商業施設の需要が少ない地域の広い土地を相続した場合は、資材置き場を建築しても良いでしょう。
資材置き場を建築し、事業者に貸し出せば、定期的に賃料を受け取れます。
また資材置き場であれば、市街化調整区域や農地法など規制のある土地でも問題なく活用できます。
加えて、駐車場と同様に別の活用方法が決まった際には、転用しやすいのもメリットといえるでしょう。
一方で資材置き場の賃料相場は、固定資産税および都市計画税の2〜4倍程度です。
そのため利回りは決して高くはなく、固定資産税や管理コストの負担から解放される程度と思っておく必要があります。
1-7 介護施設を建築する
田舎の広い土地を相続し賃貸需要がないため、アパートやマンション経営が難しい場合は介護施設の建築を検討してみましょう。
介護施設であれば、駅から遠くアクセスが良くない土地でも需要が見込める可能性があるからです。
なお介護施設など福祉系施設として活用する場合は、事業者に土地を貸し出し建築してもらう、もしくは所有者が建物を建築し、土地と建物を事業者に貸し出す両方の形が考えられます。
初期費用を捻出できない場合は、前者を選択するのが良いでしょう。
2章 土地活用方法を決める際に確認すべきこと
先ほどの章で解説したように、土地活用の方法には複数あります。
相続した土地によってベストな活用方法は異なるため、活用する前に下記の内容を確認することが大切です。
- 不動産の名義
- 立地
- 近隣地域の需要
- 土地活用の目的
- 土地活用にかけられる時間・お金
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 不動産の名義
相続した土地の活用を検討する際には、最初に不動産の名義人を確認しておきましょう。
不動産の名義人は、法務局で登記簿謄本を取得すれば確認可能です。
土地によっては亡くなった人の名義とされておらず、代々名義変更がされていない土地もあります。
その場合は、過去の相続や贈与、土地取引をさかのぼって登記申請をしなければなりません。
他には、土地に抵当権が設定されていて、そもそも貸し出しが難しい土地もあります。
登記簿謄本の取得方法および必要書類は、下記の通りです。
取得できる人 | 誰でも取得できる |
取得できる場所 | 法務局 (不動産の所有地を管轄する法務局以外でも取得可能) |
取得費用 | 1通:480円 |
取得方法 |
|
2-2 立地
土地活用を行う際には、立地や形を確認しておきましょう。
土地の広さや形状によって、適した活用方法は変わってくるからです。
例えば、駅に近いアクセスが良い土地を活用するのであれば、アパートやマンション経営をしても収益性を確保できる可能性があります。
一方で、駅から遠く立地が悪い土地を活用する場合は、介護施設や高齢者向け住宅などの建築を検討する方が良いケースもあります。
不動産会社やハウスメーカーに相談すれば、土地の立地や形状、広さに合った活用方法を提案してもらえるので、自分では判断つかない場合は相談するのもおすすめです。
2-3 近隣地域の需要
土地活用を始める前には、近隣地域の需要についても確認しておきましょう。
周辺地域のニーズを把握していないと、利用者や入居者が集まらない可能性があるからです。
例えば、周辺地域の賃貸需要や入居者の属性によっては、単身者向けの間取りで建てるべきなのか、それともファミリー向けの間取りを建てるべきなのかが変わってきます。
自分で活用予定の周辺に足を運び需要を調べることも大切ですし、その地域に強い不動産会社やハウスメーカーにも頼ってできるだけ多くの情報を集めましょう。
2-4 土地活用の目的
土地の活用方法を決める際には、活用の目的をハッキリさせることも大切です。
老後資金を用意するために行うのか、相続税や贈与税の節税目的で行うかでも活用方法や出口戦略が変わってくるからです。
例えば、子供のいない夫婦が老後資金を用意するために行うのであれば、相続税対策についてはあまり考慮しなくても問題ないでしょう。
短期的に利回りが確保できそうなアパートやマンションを建築し、老後は売却して施設への入所費用に充てる計画も立てられます。
一方で、相続税対策のために土地活用をするのであれば、長期的な利回りや遺産分割のしやすさ、納税資金の用意についても検討しなければなりません。
特に、節税対策や相続対策として土地活用を行う場合には専門的な知識が必要ですし、様々な可能性を考慮する必要があります。
自分たちで判断、計画するのが難しい場合は、専門家への相談もおすすめです。
2-5 土地活用にかけられる時間・お金
土地活用には費用がかかりますし、建築する建物によっては活用開始までに時間がかかります。
そのため、土地活用を始める前に自分はどれくらいの費用、時間をかけられるかを考えることが大切です。
例えば、アパートやマンションを建築する場合は数千万円から数億円もの費用がかかります。
ローンを組むにしても何年で返すのか、資金繰りに余裕があるかもシミュレーションしなければなりません。
加えて、土地活用にはランニングコストや活用後の手間もかかります。
ランニングコストをかけられない場合や本業が忙しく活用後に手間をかけられない場合は、駐車場経営やトランクルーム経営などを選ぶのもおすすめです。
3章 広い土地を活用する際の流れ
相続した広い土地を活用するには、相続した土地の法規制や境界線の確認後に、活用方法を決定する必要があります。
具体的には、下記の流れで活用を始めましょう。
- 活用する土地の法規制を確認する
- 境界線を確認・確定する
- 土地活用を専門家に相談する
- 施行会社を決定・着工する
- 土地活用を開始する
それぞれ詳しく解説していきます。
STEP① 活用する土地の法規制を確認する
まずは、活用予定の土地の法規制を確認しましょう。
土地によっては、建築物の高さや種類が制限されている場合があるからです。
規制内容によっては、当初予定していた建築物が建てられない恐れもあります。
その場合は、別の活用方法の検討や計画が必要です。
STEP② 境界線を確認・確定する
土地の法規制について確認が完了したら、活用予定の土地と接している隣家や公道との境界線を確認、確定しましょう。
土地によっては、長年にわたり境界線が曖昧になっていることもあります。
境界線が曖昧な状態で活用を始めてしまうと、建築時や活用開始後にトラブルが発生してしまう恐れもあるのでご注意ください。
特に、隣家との境界が不明な場合、トラブルに発展しやすくなります。
隣家や公道との境界線が曖昧な場合は、土地家屋調査士に境界確定を依頼することも検討しましょう。
STEP③ 土地活用を専門家に相談する
土地の規制や境界線の確認が完了したら、活用方法について不動産会社やハウスメーカーに相談してみましょう。
相談する際には、意見が偏らないように複数の業者に相談してみてください。
また土地活用に関する税金対策を相談する際には税理士、活用前に土地の登記申請が必要な場合は司法書士などの各種専門家に相談するのも良いでしょう。
相続した不動産を活用、売却する際には、故人から相続人へ名義変更手続きをすませなければなりません。
不動産の名義変更手続きは、法務局にて相続登記の申請を行う必要があります。
相続登記は自分でも行えますが、司法書士に数万円程度で依頼も可能です。
グリーン司法書士法人でも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。
STEP④ 施行会社を決定・着工する
不動産会社やハウスメーカーに相談し、活用方法や建築物が決まったら施工会社を決めましょう。
施工会社を決める際にも、できるだけ建築費用を節約するために複数の業者に相見積もりを出してもらうのがおすすめです。
施工会社が決定したら、着工に移ります。
STEP⑤ 土地活用を開始する
建築物が無事完成し、入居者や借入先の事業者が決定すれば土地活用の開始です。
借入先がいる間は、定期的に賃貸収入を受け取ります。
一方で、入居者や事業者が退去すると、賃貸収入が入らなくなってしまいます。
その結果、利回りが低下し、資金繰りが厳しくなる可能性もあるでしょう。
そのため、入居者や事業者の退去に関する情報についてはアンテナを張っておくことが大切です。
そして、必要に応じて入居者募集などを行なっていきましょう。
まとめ
自分が使用できないほど広い土地を相続した場合は、アパートやマンション経営などの土地活用を行うのもおすすめです。
土地活用を行えば賃貸収入などを受け取れますし、相続税や贈与税を節税できる場合もあります。
ただし、土地活用にはリスクもあるので、土地の立地や周辺環境に合った活用方法を選ばなければなりません。
また、相続した土地を活用する際には、事前に故人から相続人へ名義変更手続きをすませておく必要があります。
相続した土地の名義変更は、自分でもできますが司法書士に数万円程度で依頼可能です。
グリーン司法書士法人では、相続登記に関する相談をお受けしています。
グループには不動産会社もありますので、相続登記から土地活用の相談まで一括でお受け可能です。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。