障がい者の親亡き後問題とは?親が死亡した後のお金の不安を解消する方法

障がい者の親亡き後問題とは?親が死亡した後のお金の不安を解消する方法
facebookでシェアする Twitterでシェアする このエントリーをはてなブックマークに追加する LINEでシェアする
司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 6
 この記事を読んでわかること

  • 障がい者の親亡き後問題とは何かがわかる
  • 障がい者の親亡き後問題を解決する方法がわかる

障がい者の親亡き後問題とは、親が亡くなった後に障がいを持つ子供が生活を送る上で抱える様々な問題です。
親が元気なうちは障がいを持つ子供の生活を親がサポートできますが、親が亡くなった後は誰がどのように子供の生活を支えていくのか不安に思う親御さんも多いです。

障がい者の親亡き後問題に対処するには、成年後見制度や家族信託などを活用し、財産管理や生活のサポートを受けるのが良いでしょう。
親亡き後も障がいを持つ子供が安心して生活できるようにするためには、将来起こりうる問題を整理し一つずつ対処していくのも大切です。

本記事では、障がい者の親亡き後に起きうる問題や解決方法を解説していきます。


1章 障がい者の「親亡き後」問題とは

障がい者は日常的に支援を必要としている場合も多く、これまで最も身近で支えてくれていた親が亡くなった後は、様々な問題が発生する可能性があります。
障がい者の親亡き後問題には様々なものがありますが、本記事では特に問題になりやすい3つを解説していきます。

  1. 生活費や金銭管理に関する問題
  2. 親が亡くなった後の手続きに関する問題
  3. 親が亡くなった後の住まいに関する問題

それぞれ詳しく解説していきます。

1-1 生活費や金銭管理に関する問題

親亡き後の生活資金や財産管理に悩んでいる方は多いです。
というのも、障がい者が自分で生活費を管理し、公共料金や医療費など必要な支払いを行うことは難しい場合が多いからです。
特に、親が遺した財産を長い年月にわたり管理していくことは難しいでしょう。

さらに、知的障がいなどで判断能力が不十分な方をターゲットにした詐欺や悪徳商法などに巻き込まれてしまう恐れもあり注意が必要です。

1-2 親が亡くなった後の手続きに関する問題

親が亡くなった後、遺された子供は様々な手続きをしなければなりません。
具体的には、親が亡くなった後には以下の手続きを行う必要があります。

  • 葬儀の準備
  • 死亡届の提出など行政手続き
  • 不動産の名義変更や預金解約などの相続手続き
  • 相続税の申告および納税

知的障がいなどで判断能力が不十分な子供が自分でこれらの手続きを行うのは、現実的ではないでしょう。
専門家を頼るにしても、どんな専門家に相談すれば良いのかもわからず困ってしまう可能性もあります。

対応策としては、親が元気なうちに自分が死んだ後の手続きを専門家や信頼できる親族などに依頼しておく「遺言執行」「死後事務委任契約」 を結んでおくのが良いでしょう。
死後事務委任契約を結んでおけば、障がい者である子供が親の死後に各種手続きを行わなくてすみます。

※遺言執行のリンク

※死後事務委任契約のリンク

1-3 親が亡くなった後の住まいに関する問題

親亡き後、障がいを持つ子供は1人で暮らす、もしくは施設に入居するかなど選択する必要があります。
施設の入居手続きに関しては親が元気なうちに行っておくこともできますが、1人で暮らす場合には生活に関する不安も多いでしょう。
また、知的障がいなどで判断能力が不十分と判断される人は、賃貸契約を結ぶことも難しく、住まいを確保するのも大変です。

相続でお悩みの方は、今すぐ無料相談!相続相談実績4,762件。今すぐ無料相談したい方はこちら

2章 障がい者の親亡き後問題を解決する方法

障がい者の親亡き後問題を解決するためには、親が亡くなった後の財産や障がい者の生活費をどうやって管理するかが特に重要です。
障がいを持つ子供は、自分で財産を管理できない可能性もあるので、親が元気なうちに対策を立てておく必要があります。

障がい者の親亡き後問題を解決する方法は、主に以下の4つです。

  1. 家族信託を活用する
  2. 遺言書を作成しておく
  3. 成年後見制度を活用する
  4. 自治体の相談窓口を利用する

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 家族信託を活用する

家族信託を活用すれば、親が亡くなった後も信頼できる家族に財産を託し、管理や処分を任せられます。
家族信託とは、家族で信託契約を結び、委託者の持つ財産の管理や処分、運用を受託者に任せる制度です。
障がい者の子供の生活をサポートするための家族信託のイメージは、以下の通りです。

障がい者の親亡き後問題。障がい者の子がいる場合の家族信託の形

上記のように家族信託を結んだ場合のメリットは、主に以下の通りです。

  • 親が認知症になった後や亡くなった後も子供の生活資金を管理できる
  • 障がいを持つ子が亡くなった後の相続対策もできる
  • 親が生きている間に財産の承継方法を決定できる

家族信託に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているのでご参考にしてください。

家族信託で障がい者の子供の生活をサポート|メリットと信託方法
家族信託とは?メリット・デメリットと代表的な5つの活用事例を解説

2-2 遺言書を作成しておく

親が元気なうちに遺言書を作成しておけば、親が希望する相続を行えます。

障がい者の親亡き後問題。遺言書を作成しておく

遺言書を作成すれば、子供が複数いる場合でも障がいを持つ子供に多めに財産を遺す、相続させる財産を指定するなども可能です。また、遺言執行者に司法書士や弁護士などの専門家を選任しておくことで、相続手続きを任せることができるので、財産の継承がスムーズに行えます。

障がいを持つ子供の生活を心配して遺言書を作成するのであれば、将来の相続トラブルを回避するために遺留分を考慮した遺言書を作成しましょう。
遺留分を考慮した遺言書を作成したり、遺言執行者を決めておくのであれば、相続に詳しい司法書士や弁護士といった専門家に相談するのがおすすめです。

これで遺言書が作成できる!遺言書の書き方・作成手順・注意点まで
相続遺留分とは?請求できる範囲や割合について徹底解説

2-3 成年後見制度を活用する

障がい者の親亡き後は、成年後見制度を活用して障がい者の生活をサポートするのが一般的です。
成年後見制度とは、判断能力が不十分な人が生活をする上で不利益を被らないように「成年後見人」が本人のかわりに適切な財産管理や契約行為の支援を行う制度です。

成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。

成年後見制度の全体像

知的障がいなどで判断能力が不十分な障がい者が利用できるのは法定後見制度です。
成年後見人を選任しておけば、障がい者が結んだ契約も跡から成年後見人の判断で取り消せるようになります。
障がい者をターゲットにした詐欺などに巻き込まれるリスクも減らせるのがメリットです。

利用する際には家庭裁判所に申立てを行い、成年後見人を選任してもらう必要があります。
そのため、親族などが成年後見人になるのを認められず、専門家が後見人に就く可能性もあることはご留意ください。
成年後見制度の申立ての概要と必要書類は、下記の通りです。

手続きをする人
  • 本人
  • 配偶者
  • 4親等内の親族
  • 市区町村長
申立先本人の所在地を管轄する家庭裁判所
かかる費用
  • 収入印紙:800円~
  • 登記費用:2,600円
  • 郵便切手代
必要書類
  • 申立書
  • 申立人の戸籍謄本(本人以外が申立てるとき)
  • 本人の戸籍謄本
  • 本人の戸籍附票
  • 登記事項証明書
  • 診断書
  • 成年後見人候補者の戸籍謄本
  • 成年後見人候補者の住民票
  • 成年後見人候補者の身分証明書
  • 成年後見人候補者の登記事項証明書
  • 申立書附票
  • 本人に関する報告書

など

成年後見制度とは?利用方法からメリットデメリットまで簡単理解!

2-4 自治体の相談窓口を利用する

自治体の窓口でも、障がい者に関する様々な問題や親亡き後の対処法の相談に応じてくれます。
必要であれば専門家も紹介してくれますし、親亡き後に受けられる公的支援なども説明してもらえます。
まずは、自分や障がいを持つ子供が住んでいる自治体の窓口に相談してみるのが良いでしょう。

障がいの内容によって取るべき選択肢は異なります

障がい者と一括りに言っても、身体が不自由な場合や、判断能力が低下しているケースなど様々です。
身体が不自由な場合など、障がい者自身がある程度判断できるなら、以下の方法もご検討ください。

  • 遺言書の作成
  • 任意後見契約

どの方法を選択するにしても障がいを持つ子供と相談をしながら、準備を進めていくのが大切です。
特に障がい者に配偶者や子供、兄弟姉妹がいないと、法律上の相続人がいないことになります。
その場合、一度障がい者に相続された財産が、将来的には国庫に帰属することになるため、注意が必要です。

障がいの内容や程度、家族の状況によってもベストな選択は異なりますので、必要に応じて専門家への相談もご検討ください。


まとめ

障がい者の親亡き後問題とは親が亡くなった後に、障がいを持つ子供がこれまでのように親からのサポートを受けられなくなってしまうことにより生じる問題です。
親が元気なうちは親が障がいを持つ子供のサポートをしているケースも多いですが、親が亡くなった後も子供の人生は続きます。

障がい者の親亡き後問題を解決するためには、個々の障がいや生活に合わせて起きうる問題を整理することが大切です。
将来発生しうる問題を整理し、親が元気なうちから対策を立てておくのが良いでしょう。

特に親亡き後の子供の生活費や金銭管理に関する問題は、家族信託や遺言書の作成、成年後見制度なども利用できます。
これらの制度を活用するのであれば、司法書士や弁護士といった専門家に相談することもご検討ください。

グリーン司法書士法人では、家族信託や遺言書の作成、成年後見制度の相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能なので、まずはお気軽にお問い合わせください。


よくあるご質問

障がい者は親亡き後にどうすればいい?

障がい者の親亡き後問題を解決するには、下記の方法をお試しください。
・家族信託を活用する
・遺言書を作成しておく
・成年後見制度を活用する
・自治体の相談窓口を利用する
▶障がい者の親亡き後問題について詳しくはコチラ

障がい者の親亡き後の問題とは?

障がい者は日常的に支援を必要としている場合も多く、これまで最も身近で支えてくれていた親が亡くなった後は、様々な問題が発生する可能性があります。
具体的には、下記の3つが親亡き後問題になることが多いです。
①生活費や金銭管理に関する問題
②親が亡くなった後の手続きに関する問題
③親が亡くなった後の住まいに関する問題
▶障がい者の親亡き後問題について詳しくはコチラ

相続でお悩みの方は、今すぐ無料相談!相続相談実績4,762件。今すぐ無料相談したい方はこちら

関連記事一覧

無料相談フォーム

あなたの相続のお悩み
お聞かせください!

1/7
必須

お名前

必須

メールアドレス

必須

相談希望日

第一希望日

第二希望日

必須

電話番号 ※ハイフン無し

必須

お住いの都道府県

必須

ご相談項目

メッセージ本文