
- 相続放棄の申立ては兄弟まとめてできるのか
- 兄弟まとめて相続放棄の申立てをするメリット
- 兄弟まとめて相続放棄する流れ
相続放棄の申立ては、兄弟姉妹まとめて手続きすることが可能です。
兄弟姉妹それぞれが個別に動くと、戸籍収集の手間や費用が重複し、手続きに時間がかかりがちです。少しでも効率よく申立ての準備を進めるためにも、全員相続放棄したいのであれば、まとめて申立てることも検討しましょう。
本記事では、兄弟姉妹でまとめて相続放棄を行うメリットや具体的な手続きの流れ、注意点をわかりやすく解説します。
目次
1章 相続放棄の申立ては兄弟まとめてできる
相続放棄の申立ては、法定相続人ごとに個別の意思表示が必要ですが、「同一順位の相続人」であれば、実務上は同じタイミングにまとめて申立てを行えます。
例えば、故人に子供がおらず、両親や祖父母も他界している場合には、兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹が複数いる場合には、それぞれ別々に申立てを行うのではなく、必要書類をまとめて家庭裁判所に提出する形で手続きを進めることができます。
2章 兄弟まとめて相続放棄の申立てをするメリット
兄弟姉妹でまとめて相続放棄の申立てをすると、以下のようなメリットがあります。
- 必要書類を人数分取得しなくて済む
- 司法書士・弁護士に依頼したときの費用が安くなる場合がある
- 兄弟姉妹同士の相続トラブルを回避しやすくなる
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 必要書類を人数分取得しなくて済む
兄弟姉妹でまとめて相続放棄を行う大きなメリットのひとつが、必要書類を効率的にそろえられる点です。
原則として、戸籍謄本類や住民票の除票は兄弟全員で共通して使用できます。
一方、各相続人が別々に申立てを行うと、同じ書類を複数枚取得しなければならない場合もあります。
2-2 司法書士・弁護士に依頼したときの費用が安くなる場合がある
兄弟姉妹まとめて相続放棄を依頼すると、司法書士や弁護士に支払う報酬が安くなることがあります。
相続放棄の手続きを専門家に依頼する場合、通常は相続人1名あたりの報酬が発生します。
しかし、兄弟姉妹が同時に相続放棄を行うケースでは、書類の収集をまとめて行えるため、事務負担が減り、人数によっては費用が割安になることがあります。
費用面を重視する場合は、兄弟全員で相続放棄を検討していることを専門家に伝え、まとめての依頼が可能か相談してみると良いでしょう。
2-3 兄弟姉妹同士の相続トラブルを回避しやすくなる
相続放棄を兄弟姉妹でまとめて行うことで、将来的な相続トラブルを避けやすくなります。
特に、故人に借金がある場合や、遺産がほとんどないケースでは「誰が手続きをするのか」「誰が債権者から連絡を受けるのか」という点で揉めやすくなります。
全員で同時に相続放棄をすれば、相続人としての立場から一斉に離れるため、特定の兄弟だけに債権者対応が集中する事態も避けられます。
また、「私は放棄したけど、あなたはどうするの?」という心理的なプレッシャーがかからず、兄弟同士で公平性を保ちやすくなるでしょう。
3章 兄弟まとめて相続放棄する流れ
兄弟姉妹まとめて相続放棄する手続きの流れは、相続人が1人で相続放棄の申立てをする手続きと大きな差はありません。
相続放棄の流れは、以下の通りです。
- 相続財産調査をする
- 必要書類を収集する
- 相続放棄の申立てをする
それぞれ詳しく解説していきます。
STEP① 相続財産調査をする
まずは相続放棄すべきか判断するために、相続財産調査を行いましょう。
相続財産調査をしなければ、故人のプラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか判断することが難しいからです。
兄弟の誰か1人が代表して行っても構いませんし、役割を分担して進めても問題ありません。
相続財産調査では、故人の遺産の種類や金額などを漏れなく確認していく必要があります。
調査の結果、故人が借金を遺していたことがわかった場合には、相続放棄を検討しましょう。
STEP② 必要書類を収集する
相続放棄を行うと決めたら、家庭裁判所に提出するための書類を準備していきましょう。
兄弟姉妹でまとめて申立てを行う場合、以下のような書類が必要となります。
- 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 故人の住民票除票または戸籍の附票
- 相続人(兄弟姉妹)の戸籍謄本
- 相続放棄申述書(相続人ごとに作成)
このうち、故人に関する戸籍謄本類や住民票の除票は兄弟全員で共通して使用できるため、1通取得すれば提出書類としてまとめて活用可能です。
STEP③ 相続放棄の申立てをする
必要書類が揃ったら、家庭裁判所へ相続放棄の申立てを行います。
相続放棄の申立て方法は、以下の通りです。
| 手続きする人 | 相続放棄する人 法定代理人 |
|---|---|
| 手続き先 | 故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙:800円 連絡用の郵便切手代:数百円程度 |
申立て後は、家庭裁判所から個別に「照会書(質問書)」が届くのが一般的です。
照会書は相続放棄に関して本人の意思確認を行うためのもので、兄弟全員が自分で回答し、期限までに返送する必要があります。
内容は難しいものではありませんが、「なぜ相続放棄するのか」「遺産を使っていないか」など簡単な確認事項が記載されています。
照会書が返送され、家庭裁判所で審査が終われば、相続放棄が受理されます。
4章 兄弟まとめて相続放棄をする際の注意点
兄弟姉妹でまとめて相続放棄する際には、以下のような点に注意しなければなりません。
- 相続放棄の期限の起算点が各相続人で異なる場合がある
- 甥・姪が代襲相続人となる場合がある
- 相続放棄が認められるかは一人ひとり判断される
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 相続放棄の期限の起算点が各相続人で異なる場合がある
相続放棄は「自分が相続人であることを知ってから3ヶ月以内」という期限が設定されています。
相続順位が同じ相続人であっても、「自分が相続人であることを知った日」という起算点は、相続人同士で異なることがあるのでご注意ください。
例えば、以下のようなケースでは兄弟姉妹であっても、相続放棄の起算点が異なります。
- 故人と仲良くしていた姉が病院への付き添いをしており、故人が亡くなったことを知る
- 故人の兄にはすぐ連絡がついたが、故人の弟とは長年疎遠であり、連絡が取れたのは相続発生から3週間後になってしまった
このようなケースでは、故人の弟のみ相続放棄の期限の起算点が遅れます。
このような場合、弟にあわせて相続放棄の申立て準備を進めていると、他の兄弟姉妹が相続放棄の期限に間に合わなくなる恐れがあります。
兄弟姉妹でまとめて相続放棄の申立てを行う場合でも、各相続人の期限の管理は個別に行わなければなりません。
4-2 甥・姪が代襲相続人となる場合がある
兄弟姉妹の年齢や状況によっては、相続発生時に故人の兄弟姉妹の方が先に亡くなっていることもあるでしょう。
このように、相続人となる人物が先に亡くなっているケースでは、相続人の子供(故人から見た甥・姪)が代襲相続人として相続権を持ちます。
代襲相続について理解していないと、故人の甥・姪が相続人になっていることに気付かないケースもあるでしょう。
兄弟全員で相続放棄をする場合は、以下のようなことを確認していきましょう。
- 代襲相続が発生していないか
- 甥・姪も相続放棄の意思があるか
甥・姪が未成年の場合には、親権者が手続きを代理するなど、追加の対応が必要となることもあるため、専門家に相談した上で進めると安心です。
4-3 相続放棄が認められるかは一人ひとり判断される
兄弟姉妹でまとめて申立てを行うと書類の管理が容易になりますが、家庭裁判所の審査はあくまでも相続人ごとに個別に行われます。
つまり、兄弟たち全員で同じ時期に書類を提出しても、以下のような可能性もあります。
- ある相続人は相続放棄が認められる
- 別の相続人は不備があって補正が必要である
- 場合によっては、相続人の1人には相続放棄が認められない
遺産を使用したり処分したりしてしまうと、相続放棄が認められなくなってしまいます。
そのため、兄弟姉妹でまとめて相続放棄したい場合には、どの相続人も遺産の取り扱いに細心の注意を払いましょう。
まとめ
兄弟姉妹でまとめて相続放棄を行えば、戸籍類の取得や書類管理が効率化されますし、専門家に支払う報酬も抑えられます。
一方、相続放棄の熟慮期間は相続人ごとに異なる場合があるため、全員で相続放棄の申立てをするときには期限に注意しておく必要があります。
また、すでに故人の兄弟姉妹が亡くなっている場合には、甥・姪が代襲相続人となることも理解しておきましょう。
このように、相続放棄の申立てには専門的な知識や経験が必要となることがあります。
確実に相続放棄したいのであれば、司法書士や弁護士に相談することも検討しましょう。
グリーン司法書士法人では、相続放棄についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
兄弟のうち1人が相続放棄に反対している場合はどうすれば良いですか?
兄弟のうち誰か1人が相続放棄に反対している場合でも、他の相続人は自分の意思で相続放棄をすることができます。
相続放棄は個人の意思に基づく手続きであり、兄弟全員の合意が必要なわけではないからです。
相続放棄後に借金取りから連絡が来たらどうすれば良いですか?
相続放棄が受理された後であっても、債権者から「あなたは相続人ですか?」「返済をお願いします」と連絡が来るケースは珍しくありません。
しかし、すでに相続放棄が受理されていれば、債権者に返済する義務はなく、以下のように対応すると良いでしょう。
・「相続放棄済みである」旨を伝える
・家庭裁判所の「相続放棄申述受理通知書」のコピーを送付する
遠方の兄弟でもまとめて相続放棄の手続きをできますか?
はい、兄弟姉妹が遠方に住んでいても、相続放棄の手続きをまとめて行うことは可能です。
相続放棄の申立ては、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行うため、相続人がどこに住んでいるかは手続きに影響しません。










