代襲相続とは、本来相続するはずの相続人が先に亡くなっている場合に、代わりに孫が相続することです。
ほかにも、兄弟姉妹が相続人になる場合で、その兄弟姉妹が先に亡くなっているときは「甥・姪」が代わりに相続人となります。
このように代襲相続の性質上、世代が違う人が相続人になるため、トラブルになることもあります。
あらかじめ、どのようなトラブルが生じるか理解しておき、万が一トラブルになった際の対処法を練っておくのがよいでしょう。
この記事では、
- 代襲相続でトラブルになるケース
- 代襲相続でトラブルになった際の対処法
などについて解説します。ぜひ参考にしてください。
1章 代襲相続でトラブルになる4つのケース
代襲相続では、本来の相続人ではない人が相続人となるため、トラブルになることが多々あります。
ここでは、代襲相続でトラブルになるケースについて解説します。
代襲相続についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事あわせて御覧ください。
1−1 関係性の薄い人が相続人になるケース
被相続人の子供がすでに亡くなっているケースでは、孫が代襲相続人となるため、それほどトラブルとなることはないかもしれません。
しかし、代襲相続人が甥姪になるケースや、前妻との子供の子供(孫)になるケースでは、その代襲相続人と面識がない、関係性が薄いということもあるでしょう。
関係性の薄い相続人の場合、親族間の事情を理解せずに相続権を主張することもあり、トラブルなることがあります。
1−2 代襲相続人が親族間の事情を考えず権利を主張してくるケース
- ■長男が家を引き継ぐ
- ■親の面倒を看ていた長女が多く遺産を取得する
- ■不動産は近くに住んでいる人が相続する
など、親族間の事情に沿って相続の内容をあらかじめ決めている方もいらっしゃるでしょう。
関係性の薄い代襲相続人の場合、そのような事情を考えず、自身の利益のために権利を主張してくることにより、トラブルになるケースがあります。
この場合、代襲相続人には相続権があるため、他の相続人がその主張を拒否するのは難しいのが現実です。
1−3 代襲相続人が相続手続きに協力してくれないケース
疎遠な人が相続人になった場合、その人からすると「突然相続と言われても…」と思うのも当然です。
時間がない、面倒くさいという理由から、相続手続きに協力してくれないこともあります。
遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があるため、非協力的な相続人がいるといつまでも進めることができません。
遺産分割協議は、必ずしも直接話し合う必要はなく、メールや手紙、LINEなどでも問題ありません。その旨を伝えて、協力してもらうようにしましょう。
1−4 代襲相続人に相続させないために財産を隠されるケース
相続人の中には、代襲相続人が相続することを快く思わない人たちもいらっしゃいます。
そのため、代襲相続人に相続させないために、財産を隠す可能性も否めません。
そのような行為は、法律上罰則などがないため「ないものは、ない。」と主張されてしまえば、遺産調査や話し合いで解決するしかありません。
場合によっては、調停や裁判で決着をつけることとなり、争いが長期化する可能性があります。。
2章 代襲相続でトラブルになったときの対処法
代襲相続でトラブルになり、収拾がつかなくなってしまうと、弁護士に依頼したり、調停や裁判で争ったりしなければいけなくなります。
そうすると、解決するまでに年単位で時間がかかることも少なくなく、それなりの時間と費用を要することとなってしまいます。
そのため、トラブルが大きくなる前に、自ら対処するようにしましょう。
2−1 代襲相続人も法律で認められた相続人であることを理解する
突然、関係性の薄い人が「代襲相続人です」と名乗りを挙げてくると、戸惑う気持ちは分かります。
しかし、法律上、代襲相続人は正当に相続する権利を持つ人です。
- 「孫のくせに」
- 「甥姪のくせに」
- 「まだ子供のくせに」
といったことを理由にするべきではありませんし、そのような考えがトラブルの原因となります。
相手がどんな立場であれ、同等の立場であることを、相続人たちがしっかりと理解することが大切です。
2−2 遺産の内容を明確にする
代襲相続に限りませんが、
- 「遺産の全容をきちんと明らかにしているのか」
- 「隠している財産があるのではないか」
- 「遺産の使い込みがあるのではないか」
と、疑心暗鬼になることは相続トラブルの要因となります。
特に、代襲相続人の場合、被相続人の身近にいなかったケースが多いですので、財産の状況などを把握できておらず、「自分に渡したくないから、遺産を隠しているのでは?」と感じることもあるでしょう。
相続の場面では、遺産の全容が分かるよう資料を明確にし、提示することが大切です。
可能であれば、生前のうちに司法書士などの専門家に依頼して財産目録を作成しておくのも良いでしょう。
2−3 親族間の事情をふまえしっかり話し合う
法律で相続人や相続分がいくら決められていても、それぞれの親族ごとに事情はあるかと思います。
代襲相続人が現れることで、事情に合せた相続ができなくなることもあるでしょう。
その場合には、まず、代襲相続人に対してしっかりと事情を話すようにしましょう。
「関係ないから話す必要はない」と突っぱねていては、いつまで経っても状況は変わりません。
丁寧に事情を話すことで、代襲相続人が譲歩してくれることもあるでしょう。
3章 代襲相続でトラブルにならないために遺言書を作成しよう
代襲相続をはじめ、あらゆる相続トラブルの対策として、遺言書は非常に効果的です。
代襲相続でトラブルになる大きな要因は「相続人たちが、想定通りに相続できないこと」です。
想定していなかった代襲相続人が現れることで、親族間で予定していた相続が出来なかったり、思わぬ形で取り分が減ってしまうことに納得が行かなかったりするからです。
代襲相続人が相続することとなるのは、「法律通りに相続する場合」だけであり、遺言書がある場合には遺言書の内容に沿うこととなります。
そのため、自身が亡くなった後、相続トラブルにならないよう遺言書を作成しておくことをおすすめします。
ただし、遺言書によって孫に相続させないというケースでは、遺留分に配慮する必要があります。
3−1 代襲相続の遺留分について
遺言書でによって遺産が受け取れない相続人は、遺留分として法律で決められた最低限の取得分を請求できる権利があります。
代襲相続であっても、孫が代襲相続人となった場合には、遺留分を請求する権利があるため、遺留分に関する配慮が必要です。
「長女と次男には遺産をを相続させ、すでに亡くなっている長男の子には相続させない」といった遺言書の場合、代襲相続である被相続人の孫から遺留分を請求される可能性があるということです。
一方、甥姪が代襲相続人となった場合には、その権利は有しません。そもそも、兄弟・姉妹にも遺留分を請求する権利がないからです。
そのため、甥姪に遺産を渡さないというケースでは、遺留分については特に心配することはありません。
遺留分について詳しくはこちらを御覧ください。
まとめ
代襲相続が発生すると、一般的な相続よりもトラブルになりやすい傾向があります。
もし、トラブルが大きくなり、いつまでも話し合いが解決しないようであれば弁護士に相談することも検討しましょう。
また、関係性が薄く、連絡が取りづらいというようなケースでは、司法書士が相続手続きを進めることも可能です。
代襲相続のトラブルを回避するために最も有効なのは、遺言書を作成しておくことです。
グリーン司法書士法人では、トラブル回避に効果的な遺言書作成のサポートから、遺言の執行まで一貫して対応することが可能です。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。