相続放棄受理通知書とは、家庭裁判所が相続放棄の申立てを受理した際に送付する書類であり、相続放棄した事実を証明する書類としても使えます。
相続放棄の手続きをしたものの相続放棄受理通知書がいつまでも来ないと、手続きは上手くいったのか不安になってしまう人も多いでしょう。
相続放棄受理通知書が届く時期は、「相続放棄照会書・回答書の送付から1週間から10日後」もしくは「相続放棄申述受理申立から1~2週間後」程度です。
上記を過ぎても、相続放棄受理通知書が来ない場合には届いた通知書を間違えて捨てている可能性もあるので、家庭裁判所へ問い合わせをしてみるのも良いでしょう。
本記事では、相続放棄受理通知書が来ないときの対処法や届く時期を解説します。
相続放棄の手続きについては、下記の記事でも解説していますのでご参考にしてください。
目次
1章 相続放棄受理通知書とは
相続放棄受理通知書とは、家庭裁判所が相続放棄の申立てを受理した際に送付する書類です。
相続放棄受理通知書が相続人の手元に届いた段階で、相続放棄の手続きは完了します。
1-1 相続放棄受理証明書との違い
相続放棄受理通知書と似た書類に、相続放棄受理証明書があります。
それぞれの書類の違いは、下記の通りです。
相続放棄受理通知書 | 相続放棄受理証明書 | |
概要 | 家庭裁判所が相続放棄の申立てを受理した際に送付する書類 | 家庭裁判所が相続放棄の申立てを受理したことを証明する書類 |
交付申請 | 不要 | 必要 |
発行回数 | 1度しか発行されない | 何度でも発行可能 |
受け取れる人 | 相続放棄を申立てた相続人 |
|
相続放棄受理通知書も相続放棄受理証明書も、相続放棄の手続きが完了したことを証明できる点では共通しています。
しかし、相続放棄受理証明書は何度でも発行できますし、相続人以外の利害関係者も取得可能です。
第三者に相続放棄したことを証明するために提出したいのであれば、相続放棄受理証明書を利用するのが良いでしょう。
1-2 相続放棄照会書との違い
相続放棄照会書とは、本人の意思で相続放棄を行っているかなどの確認に使用される書類であり、相続放棄の申立て後に届きます。
相続放棄照会書は、裁判所が個別に質問を行う場合のみ届く書類であり、申立てをした人の中には照会書が届かない人もいます。
一方で、相続放棄受理通知書は相続放棄の申立てが完了した人全員に届く書類です。
2章 相続放棄受理通知書が来ないときの対処法
相続放棄受理通知書もしくは不受理通知書は申立てが完了し、照会書や回答書を送付していれば必ず届きます。
それでも、相続放棄受理通知書が来なくて不安なときには、申立て先の家庭裁判所に問い合わせをしてみるのが安心です。
問い合わせ先は相続放棄の照会書に記載されています。
3章 相続放棄受理通知書が届く時期
相続放棄受理通知書がまだ来ないと悩まなくて良いように、相続放棄受理通知書が届く時期の目安も知っておくと良いでしょう。
相続放棄受理通知書が届く時期は、申立て後に相続放棄照会書・回答書が届くかどうかでも変わってきます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1 相続放棄照会書・回答書の送付から1週間から10日後
相続放棄照会書・回答書とは、相続放棄の申立て後に届く書類であり、本人の意思で相続放棄を行っているかなどの確認に使用されます。
相続放棄照会書・回答書が届き相続人が送付した場合には、1週間から10日後に相続放棄受理通知書が届くケースが多いです。
3-2 相続放棄申述受理申立から1~2週間後
相続放棄照会書・回答書は申立て後に必ず届く書類ではありません。
照会書や回答書が届かない場合には、相続放棄の申立てから1~2週間後に相続放棄受理通知書が届きます。
このように、相続放棄受理通知書が届く時期は、照会書・回答書が届くかどうかでも変わってきます。
次の章では、相続放棄受理通知書が来ないときの対処法を確認していきましょう。
4章 相続放棄受理通知書が届かないときの注意点
相続放棄受理通知書は、申立て後に必ず届く書類ですが、それでも来ないと悩んでいるときには以下の点に注意してみてください。
- 相続放棄受理通知書は普通郵便で届く
- 相続放棄受理通知書は再発行できない
- 相続放棄が認められない場合には不受理通知書が届く
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 相続放棄受理通知書は普通郵便で届く
相続放棄受理通知書は相続人にとって非常に重要な書類ではありますが、家庭裁判所から送付される際には普通郵便で届きます。
相続放棄受理通知書自体もA4サイズの書類1枚であり、他の郵便物と混ざって処分してしまう可能性もゼロではありません。
相続放棄申立て後は、自宅に届く郵便物の扱いに注意しておきましょう
4-2 相続放棄受理通知書は再発行できない
他の郵便物と一緒に相続放棄受理通知書を捨ててしまったなどの理由があったとしても、相続放棄受理通知書は再発行できません。
万が一、相続放棄受理通知書をなくしてしまった人が相続放棄した事実を証明するには、相続放棄受理証明書を家庭裁判所に発行してもらわなければなりません。
相続放棄受理証明書の発行時には、相続放棄の事件番号が必要です。
相続放棄の事件番号は相続放棄受理通知書に記載されているので、わからない場合には相続放棄の有無照会をして事件番号を調べなければなりません。
相続放棄の有無照会と相続放棄受理証明書の発行方法は、それぞれ下記の通りです。
【相続放棄の有無照会】 | |
照会できる人 |
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照会先 | 亡くなった人の死亡時の住所地を管轄する家庭裁判所 |
照会費用 | 無料 (書類の収集費用や返送用の切手代はかかる) |
必要書類 |
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【相続放棄受理証明書】 | |
発行できる人 |
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発行先 | 亡くなった人の死亡時の住所地を管轄する家庭裁判所 |
発行費用 | 1通150円 |
必要書類 | 【相続放棄した本人が発行してもらう場合】
【相続放棄した人以外が発行してもらう場合】
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4-3 相続放棄が認められない場合には不受理通知書が届く
「相続放棄受理通知書が来ないが、相続放棄できていないのではないか」と不安になる人がいますが、家庭裁判所が相続放棄を認めない場合には、申立てた相続人宛に相続放棄不受理通知書が届きます。
相続放棄不受理通知書が届き内容に納得できない場合には、通知書を受け取った翌日から2週間以内に高等裁判所に即時抗告を申立てなければなりません。
ただし、相続放棄不受理通知書が届き即時抗告をしたとしても、家庭裁判所が下した決定が覆る可能性は低いです。
そのため、下記のように相続放棄が認められない可能性が高いケースでは、申立て時から相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談しましょう。
- 自分が相続人であると知ってから3ヶ月経過した後に相続放棄の申立てをしている
- 相続財産の一部を勝手に処分してしまったが、相続放棄の申立てをしている
上記のように難しいケースであっても、相続放棄に精通した司法書士や弁護士であれば裁判所が納得する申述書や照会書・回答書を作成できる可能性があります。
まとめ
相続放棄受理通知書は、相続放棄の申立てから1~2週間もしくは相続放棄照会書・回答書を送付してから1週間から10日程度で届くケースが多いです。
相続放棄受理通知書は必ず届くものですが、いつまでも来なくて不安な人は申立てた家庭裁判所に問い合わせをしてみるのが良いでしょう。
万が一、相続放棄が認められない場合には相続放棄不受理通知書が届きますが、相続放棄が不受理となった後に決定を覆すことは難しいです。
相続放棄には申立て期限がありますし、故人の遺品の片付けや処分など相続人が自分で判断するのは難しい部分も多いです。
相続放棄をミスなく完了させるためには、相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談しましょう。
グリーン司法書士法人では、相続放棄に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
相続放棄照会書が来ないときの対処法とは?
相続放棄照会書は必ず来るわけではありません。
裁判所が相続放棄の内容に問題がない、疑問点はないと判断した場合、照会書は届きません。
▶相続放棄照会書について詳しくはコチラ相続放棄受理通知書が届かないときの対処法とは?
相続放棄受理通知書もしくは不受理通知書は申立てが完了し、照会書や回答書を送付していれば必ず届きます。
それでも、相続放棄受理通知書が来なくて不安なときには、申立て先の家庭裁判所に問い合わせをしてみるのが安心です。相続放棄の照会書はいつ届く?
相続放棄照会書・回答書は相続放棄の申立て後、約1~2週間ほどで届きます。ただし、相続放棄の申立て内容によっては、照会書・回答書が届かない場合もあります。
相続放棄の照会書は普通郵便で届く?
相続放棄の照会書は家庭裁判所から普通郵便で届きます。