不動産オーナーが法人化するメリット・デメリット!タイミングはいつ?

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個人で所有しているアパートやマンションを他人に貸し、賃貸収入を得ている場合には不動産所得として扱われ、所得税がかかります。
さらに自分が亡くなったときには、不動産に対して相続税が課税されてしまいます。
一方で法人化によって不動産管理会社を設立すれば、不動産所得ではなく役員報酬を受け取れるようになりますし、相続時には不動産ではなく会社の株式を相続税の課税対象財産として計算可能です。

不動産管理会社を設立すれば、家族や親族を役員にし報酬を支払うこともできますし、個人が所有する相続財産を会社の資産にして相続財産を減らせるメリットがあります。
「一般的には、不動産収入が1,000万円以上かつ、所得500万円を超える方であれば、法人化して不動産管理会社を設立しても費用倒れしにくいといわれています。」

本記事では、不動産オーナーが法人化するメリット、デメリットや法人化を検討すべきタイミングを解説していきます。


1章 不動産を法人化するとはどういうこと?

賃貸アパートやマンションを所有している不動産オーナーは、個人事業主として不動産を管理するのではなく、不動産管理会社を設立し法人化するのも選択肢のひとつです。
不動産管理会社を設立し、オーナーが社長や役員に就任すれば、不動産経営によって得られた収入を給与所得として受け取れます。
その結果、給与所得控除が利用できるなど節税に繋がる可能性があります。

他にも、不動産オーナーが法人化して不動産管理会社を設立するメリットはいくつかあるので、次の章で詳しく確認していきましょう。


2章 不動産オーナーが法人化するメリット

不動産オーナーが法人化して不動産管理会社を設立すれば、主に税金面でメリットが得られます。
具体的なメリットは、主に以下の4つです。

  1. 相続税の節税につながる
  2. 所得税の節税になる可能性がある
  3. 経費として計上できる範囲が増える
  4. 損失繰延期間が最長10年間に延びる

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 相続税の節税につながる

不動産管理会社を設立して、個人が所有していた不動産を会社の持ち物にすると、相続税の節税効果があります。
不動産管理会社の代表者が亡くなって相続が発生した場合には会社が所有している不動産ではなく、代表者が所有していた株式に対して相続税がかかります。
不動産そのものよりも管理会社の株式の方が相続税評価額を下げられるので、結果として相続税を節税可能です。

2-2 所得税の節税になる可能性がある

個人で不動産経営をしていた場合、賃貸収入は不動産所得に分類され、所得税がかかります。
所得税は累進課税制度を採用しているので、所得が多ければ多いほど税率が高く、最高税率は45%です。
それに対し、不動産管理会社を設立し法人化すれば、法人税が課税されるようになり最高税率は23.4%に抑えられます。

このように同じ賃貸収入であっても、所得税よりも法人税の方が税率が低く設定されているので、不動産収入が多い人ほど法人化による節税効果が高くなります。

2-3 経費として計上できる範囲が増える

個人事業主として不動産経営をするよりも、不動産管理会社を設立して法人化した方が経費として計上できる範囲を広げられます。
具体的には、不動産オーナーが法人化した場合には、以下も経費として認められるようになります。

  • 家族を役員にして報酬を支払う
  • 退職金の積み立てを行う
  • 代表者や役員の生命保険料

個人事業主の場合、上記は経費として認められていません。
法人化して上記を経費として計上すれば、それだけ利益が少なくなり、支払う税金も抑えられます。

2-4 損失繰越期間が最長10年間に延びる

不動産経営で赤字が発生したときの繰越期間も、個人事業主よりも法人の方が長いです。
個人事業主と法人の損失繰越期間は、それぞれ以下の通りです。

  • 個人事業主:3年間
  • 法人:10年間

損失繰越期間内であれば、黒字になった年に赤字分を相殺可能であり、税金を節税可能です。

このように不動産管理会社を設立するのには、税金面で様々なメリットがあります。
その一方で、不動産オーナーの法人化にはデメリットもあり、全てのケースでおすすめできるわけではありません。
次の章では、不動産オーナーが法人化するデメリットを詳しく解説していきます。


3章 不動産オーナーが法人化するデメリット

不動産オーナーが法人化してしまうと、会社設立費用や維持費用がかかります。
法人化したときの節税効果よりも設立費用や維持費用が上回るのであれば、法人化する必要性は薄いといえるでしょう。
不動産オーナーが法人化して不動産管理会社を設立するデメリットは、主に以下の5つです。

  1. 会社設立の費用と労力がかかる
  2. 法人を維持するための費用がかかる
  3. 赤字でも法人住民税がかかってしまう
  4. 譲渡時の税率が高くなる
  5. 不動産取得税と登記費用がかかる

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 会社設立の費用と労力がかかる

個人事業主は事業を始める際に開業届を提出するだけで手続きが完了しますが、会社設立時には設立登記が必要です。
設立登記は自分で行った場合でも20万円程度かかりますし、手続きが複雑で手間がかかります。

また、不動産管理会社を廃業したいと思ったときにも解散登記等が必要であり、数万円の費用がかかります。

3-2 法人を維持するための費用がかかる

不動産管理会社を設立し、法人化すると以下の維持費用がかかります。

  • 社会保険料
  • 税理士費用

法人化すると従業員が1名であっても社会保険の加入義務対象事業者に含まれてしまうので、従業員を雇っていなくても社会保険料がかかってしまいます。
また税理士と顧問契約を結ぶと、月額1~5万円程度の費用がかかります。
顧問料は契約する税理士の経験や設立する法人の規模によっても変わるので、あらかじめ見積もりをしておきましょう。

3-3 赤字でも法人住民税がかかってしまう

法人住民税には法人税割と均等割が設定されており、赤字で法人税を納めていなくても、均等割が毎年7万円かかります。
一方で、個人事業主であれば赤字の年には原則として住民税は課税されません。

3-4 譲渡時の税率が高くなる

不動産管理会社が所有している不動産を売却したときには、売却益に対して法人税や法人住民税等が課税されます。
一方で、個人事業主が不動産を売却した際には売却益に対して、譲渡所得税が課税されます。

結論としては、不動産売却のみを比較した場合、個人よりも法人の方が税率が高いです。

5年以上保有した不動産を個人が売却したときの税率は20.315%なのに対し、法人が売却した場合には約30%の税率が課せられます。

3-5 不動産取得税と登記費用がかかる

個人事業主として不動産経営をしていた方が、法人化し不動産管理会社に不動産の所有権を移すと不動産取得税と登記費用がかかります。
所有している不動産の評価額が高ければ高いほど、不動産取得税や登記費用も高額になるのでご注意ください。

不動産取得税は2024年3月31日まで軽減税率が適用されており、固定資産税評価額の3%となっています。
なお、宅地に関しては「不動産取得税=固定資産税評価額×1/2×3%」で計算されます。

ここまで解説してきたように、不動産オーナーが法人化する際にはメリットとデメリットがあります。
法人化をシミュレーションしてメリットがデメリットを上回ると判断できたときに、法人化するのがおすすめです。
次の章では、不動産オーナーが法人化を検討すべきタイミングについて詳しく解説していきます。


4章 不動産オーナーが法人化を検討すべき2つのケース

本記事で解説したように、不動産管理会社の設立にはメリットとデメリットがあり、全ての不動産オーナーに法人化がおすすめできるわけではありません。
不動産オーナーが法人化を検討すべきタイミングやメリットがデメリットを上回るタイミングを解説していきます。

4-1 不動産収入が1,000万円を超えるとき

法人化による節税効果が法人設立費用や維持費を上回る場合には、不動産会社設立を検討しても良いでしょう。
具体的には、以下のタイミングで法人化すれば不動産管理会社を設立しても費用倒れとなりにくいです。

  • 家賃収入が最低1,000万円以上
  • 不動産経営による利益が500万円を超えたとき

上記の家賃収入や利益を超えている人は、不動産管理会社の設立を考えてみるのがおすすめです。

4-2 不動産の相続対策をしたいとき

所有している不動産の相続対策をしたいときにも、不動産管理会社の設立を検討してみても良いでしょう。
相続対策として不動産管理会社を設立するメリットは、主に以下の通りです。

  • 相続したい相手別に会社を設立すれば遺言書のかわりになる
  • 所有している不動産を会社のものにすれば、個人の相続財産を減らせる
  • 法人化すれば賃貸収入を役員報酬として家族や親族に分配できる

自分がまだ若く元気で相続発生までに何年もかかる場合には、不動産管理会社を設立し、家族を役員にしてしまうのもおすすめです。
法人化すれば家族を役員にして役員報酬を支払えますし、役員報酬は経費として計上できます。
個人で不動産を所有し続ける場合よりも、所得を家族間で分配できるので、将来的な相続財産を減らす効果があります。


5章 不動産オーナーが法人化する流れ

不動産管理会社を設立する際には、定款作成や設立登記等の手続きが必要です。
不動産オーナーが法人化する流れは、以下の通りです。

  1. 会社設立に必要な情報を決定する
  2. 定款を作成し公証役場の認証を受ける
  3. 登記申請を行う
  4. 税務署に開業届を提出する

それぞれ詳しく解説していきます。

5-1 会社設立に必要な情報を決定する

まずは会社設立にあたり、必要となる情報を決めていきましょう。
これらの情報は定款作成や登記申請時にも必要になります。
例えば、株式会社設立の際に必要な情報は、以下の通りです。

  • 発起人
  • 商号
  • 本店所在地
  • 事業目的
  • 資本金額
  • 発行株式数
  • 株式の割り当て
  • 発行可能株式総数
  • 事業年度と決算月
  • 役員の任期

なお、合同会社では株式が発行されず、社員には任期の概念がありません。
そのため、合同会社を設立する場合には、上記の情報よりも必要な情報がすくなくてすみます。

代表者や商号が決まったのと合わせて、会社実印、銀行印も作成しておくと後の手続きをスムーズに進められます。

【会社設立の登記手続き完全マニュアル】司法書士が手法を大公開!

5-2 定款を作成し公証役場の認証を受ける

会社設立にあたり必要な情報を決定できたら、定款を作成し、公証役場の認証を受けましょう。
定款とは、会社運営の規則を定めたものです。

グリーン司法書士法人では、定款をサンプルをご用意しています。以下からダウンロード可能です。

※ここからダウンロードできます

定款を作成できたら公証役場で認証を受ける必要がありますが、いきなり認証してもらいにいくのではなく、事前の打ち合わせが必要です。
打ち合わせ時には作成した定款と発起人全員の印鑑証明書が必要です。

なお、定款の作成と公証役場での認証は自分で行うこともできますが、司法書士等に代行も依頼できます。
ミスなくスムーズに会社設立の手続きを終えたいのであれば、依頼をご検討ください。

5-3 登記申請を行う

定款の作成や認証が完了したら、会社の設立登記を申請しましょう。
申請手続きには7日程度かかるので、時間に余裕を持って手続きをするのがおすすめです。

登記手続きに関しても自分で行うことは可能ですが、手続きにかかる手間を減らしたいのであれば、司法書士等に代行してもらうのが良いでしょう。
会社の設立登記の手続きや必要書類は、以下の通りです。

申請者
  • 代表取締役
  • 代理人
申請先本社所在地を管轄する法務局
かかる費用【株式会社の場合】
資本金の金額×0.7%
(15万円に満たない場合には最低15万円)
【合同会社の場合】
資本金の金額×0.7%
(6万円に満たない場合には最低6万円)
必要書類
  • 設立登記申請書
  • 定款
  • 登録免許税納付用台紙
  • 発起人決定書(発起人が複数であれば発起人会議事録)
  • 代表取締役等の就任承諾書
  • 取締役の印鑑証明書
  • 印鑑届書
  • 出資金の払い込み証明書

5-4 税務署に開業届を提出する

登記申請が完了したら、税務署に開業届を提出しましょう。
開業届と合わせて青色申告承認申請書を提出すれば、欠損金の繰越控除を受けられるようになります。

会社を設立した年度は経費がかさみ、赤字になってしまうケースも多いです。
欠損金の繰越控除を受けられるようにするためにも、必ず開業届と青色申告承認申請書は提出しておきましょう。


まとめ

不動産オーナーが法人化して不動産管理会社を設立すれば、相続税や所得税の節税が見込めます。
不動産を会社の持ち物にすれば、オーナーが亡くなったときにも不動産ではなく会社の株式に対して、相続税が課税されます。
さらに、家族や親族に対し役員報酬を支払えば、長期的に自分の相続財産を増やし過ぎず不動産による利益を分配可能です。

ただし、法人化して不動産管理会社を設立するのは、全ての方におすすめできるわけでありません。
具体的には不動産収入が年間1,000万円以上かつ利益が500万円を超える場合には、費用よりも節税効果が上回るケースが多いです。

不動産管理会社を設立し法人化する際には、定款作成や会社の設立登記など様々な手続きが必要です。
これらの手続きは自分で行うこともできますが、専門的な知識が必要かつ手間がかかるので、司法書士等の専門家への依頼もご検討ください。

グリーン司法書士法人では、定款作成や登記申請を始めとした会社設立に関する様々な相談をお受けしています。
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