【パターン別】不動産の財産分与|確認事項と失敗しないための注意点

【パターン別】不動産の財産分与|確認事項と失敗しないための注意点
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 11

離婚をすることが決まると今後について考えることは色々ありますが、なかでも「家(不動産)はどうなるのかな」ということは特に気になりますよね。

家を完全に自分のものにしようと思うのであれば、欠かせないのは「不動産の名義変更」です。相手の単独名義になっていたり、共有名義になっているものを「自分名義に変更する手続き」を速やかに行っておくことが大切です。

離婚後、子供を引き取る予定の方は「子供の生活環境を変えたくない」「今後子供にかかるお金のこと」などを考えると、なんとしても家は欲しいと思ってらっしゃると思いますが、いくつかの注意すべきポイントを抑えておく必要があります。

この記事では、以下の注意点やポイントについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

  • 不動産を財産分与する際に確認するべきこと
  • 不動産を財産分与する方法
  • 財産分与をする際にかかる税金と費用
  • 財産分与の失敗例

目次

1章 離婚の際の不動産名義変更には財産分与を利用しよう!

離婚をする際には、様々なことを取り決めなければいけませんが、その中でも特に重要なことが「財産に関すること」です。

婚姻している間に築いた財産を、分け合うことを「財産分与」といいます。

不動産を取得するためには、次の方法で財産分与をする必要があります。

1−1 財産分与協議をしよう

財産分与協議の流れについて

原則として、夫婦平等に分け合うこととなりますが、不動産などを分け合うことは難しいため、最終的な話し合い(または調停や裁判)で決定することとなります。

離婚に際して不動産名義の変更をするには、まずは財産分与協議を行う必要があります。

財産分与協議では、不動産を含めた共有財産をどのように分けていくかなどを取り決めます。

話し合いがまとまったら、財産分与協議の内容をしっかりと書面に起こし、内容につき相手と確認した上で捺印をもらうようにしましょう。

この書面はなるべく、公証人役場において公正証書でつくることをおすすめします。後々の紛争を防ぐことができるからです。公正証書にできない場合には、少なくともそれぞれの実印で捺印し、印鑑証明書を保管しておくようにしましょう。

財産分与協議によって相手が不動産名義変更に同意し、書面にまとめることができたら「第一段クリア」といったところです。

財産分与|離婚時に損をしないで賢くもらう方法・注意点を詳しく解説!

1−2 不動産の名義を変更する

実際、この協議だけで不動産の権利は取得したことになるのですが、これだけでは不動産の名義が相手方のままなので、自分の財産になったことを対外的に証明することができません。

したがって、重要なのは、速やかに法務局の登記簿の名義を自分に移しておくことです。この手続きを「所有権移転登記」と言います。

所有権移転登記をして初めて所有権を対外的に証明することができますので、この手続きは必ず行うようにしましょう。

所有権移転登記について詳しくはこちらをご確認ください。

【所有権移転登記とは?】手続きの流れから必要物・費用まで簡単解説
財産分与による登記手続き|手続き方法や注意点を司法書士が解説
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2章 離婚で不動産を財産分与する際に確認するべき5つのこと

離婚の場面では「早く離婚したい」「話し合いをややこしくしたくない」という思いから、手続きを怠ってしまう方が多くいらっしゃいます。

しかし、不動産の財産分与は離婚後の生活にも大きく関わることですので、おろそかにするとのちに後悔してしまう可能性があります。

財産分与をする際には、以下の5つのことをしっかりと確認しましょう。

  • 不動産の名義
  • 住宅ローンの残債
  • 財産分与に該当する期間
  • 不動産の価格
  • 特有財産の有無

それぞれ詳しく解説します。

2−1 不動産の名義

まずは、財産分与をしようとしている不動産の名義を必ず確認してください。不動産の名義は法務局が発行している不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)で確認することができます。

もし「土地の名義が相手の父だった…」なんてことになれば、財産分与の対象にはなりません。

これまで住んでいた家を今後の住処としてアテにしていたのに、土壇場で「財産分与の対象ではない」とされたら路頭に迷ってしまいます。

2−2 住宅ローンの残債務

財産分与しようとしている不動産に住宅ローンが残っていると、場合によっては財産分与ができないことがありますので、住宅ローンの残債務がないか確認しておきましょう。

名義の変更自体は銀行の協力なくできてしまいますが、ローンが残っているうちに勝手に名義を書き換えたことがバレるとローン契約違反となり、一括弁済を迫られるおそれがあるので注意が必要です。

2−3 財産分与に該当する期間

財産分与できる財産は「婚姻期間中に築かれた財産」のみです。

つまり、不動産を購入した日が婚姻前であれば、その不動産は原則として財産分与の対象とはなりません。

また、ケースによっては財産分与の対象が「別居した日まで」とすることもあります。別居後に購入した不動産については対象とならない可能性もありますので、その点にも注意しましょう。

2−4 不動産の価格

現預金や有価証券などと合わせて、財産分与の方法を話し合うときには、基準となる価格が必要なこともあるでしょう。

不動産の価格は年月が経てば変動するため、離婚時点での価格を不動産会社に査定してもらい把握しておきましょう。

2−5 特有財産の有無

不動産に特有財産が含まれていないか確認しましょう。

特有財産とは、婚姻前に有していた財産や、夫婦の協力とは関係なく得た財産のことを指します。

例えば、住宅購入時に独身時代の貯金から支払ったり、親から購入資金を援助してもらったりした場合に、その分は特有財産となり財産分与の対象外となります。

しかし、特有財産については明確な基準があるわけではなく、トラブルの原因になりがちです。

特有財産がある場合には、司法書士や弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。


3章 【ケース別】不動産の財産分与をする方法

「不動産の財産分与」と一口に言っても、財産分与後に売却するケースや暮らし続けるケースなど、様々ケースがあります。

  1. アンダーローンの不動産を売却するケース
  2. オーバーローンの不動産を売却するケース
  3. ローンが残っていて名義人が暮らし続けるケース
  4. ローンが残っていて名義人ではない人が暮らし続けるケース
  5. 共有名義の不動産にどちらかが暮らし続けるケース
  6. 不動産の購入費用に特有財産が含まれるケース

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

3−1 アンダーローンの不動産を売却するケース

アンダーローンの不動産を売却するケース

アンダーローンとは、不動産の売却額が、ローンの残債を上回る状態です。

アンダーローンであれば、売却益でローンを返済することができ、残ったお金を夫婦で分け合うことができます。

3−2 オーバーローンの不動産を売却するケース

オーバーローンの不動産を売却するケース

オーバーローンとは、アンダーローンの逆で、不動産の売却額がローンの残債を下回る状態です。

この場合、不動産を売却してもローンの残債を返済することができないため、残りは自己資金で返済したり、借り換えをしたりしなければいけません。

また、アンダーローンの状態での売却は「任意売却」となり、債権者から同意を得る必要がありますが、場合によっては当初の予定通りにローンを完済しなかったとして「金融事故」として扱われる可能性もありますので、慎重に検討する必要があります。

なお、金融事故になると、個人信用情報に傷がつき(ブラックリスト掲載)、当面の間ローンなどが組めなくなるため注意が必要です。

離婚時の財産分与で住宅ローンのある家を財産分与する方法と注意点

3−3 ローンが残っていて名義人が暮らし続けるケース

名義人がそのまま住む場合

ローンの名義人になっている人が、離婚後もそのままローンを支払いを続けながら暮らし続けるという最もシンプルなケースです。

ただし、配偶者が連帯保証人になっている場合、万が一ローンの名義人が返済を怠った場合、配偶者に支払う義務が発生してしまいます。

離婚後のトラブルを避けるためにも、住宅ローンを組んでいる銀行へ連帯保証人を変更できるか確認しましょう。

3−4 ローンが残っていて名義人ではない人が暮らし続けるケース

ローンが残っていて名義人ではない人が暮らす続けるケース

ローンの名義人でない人が暮らし続け、ローンの名義人が支払いを続けるというケースです。

例えば、夫名義で住宅ローンを組んだ家に、子供を引き取った妻が暮らし続けるような場合にはこのケースとなります。

平等に財産分与をするという場合には、暮らし続ける側と名義人で便宜上賃貸契約を結んで、暮らす人が賃料を支払い、折半するなどの方法を取ることも可能です。

ただしこの場合、名義人の生活が苦しくなったとき、ローンの返済を放棄する可能性もあります。そうすると、家が競売にかけられ、家を出ていかなければいけなくなります。

このようなリスクを避けるために、離婚時に以下のような対策をしておきましょう。

3−4−1 【対策①】名義人が返済を続けるよう公正証書を作成する

名義人がローンの返済を怠らないよう、公正証書を作成しておきましょう。お近くの公証役場で作成することができます。

公正証書は、離婚協議書などの書面よりも効力が強く、万が一内容に反して支払いを怠った場合には裁判所を介さず強制執行ができます。

ただし、住宅ローンを支払わないような場合、そもそも金銭的に苦しいケースがほとんどです。公正証書に従って支払いを命じたとしても、相手方に支払い能力がなければ「無い袖は振れない」ということになり、強制することは難しい…という問題があります。

3−4−2 【対策②】ローンの名義を住み続ける人に変更する

住み続ける側に、返済能力があるのであれば、ローンの名義を変更することは不可能ではありません。

方法としては2つあります。

  1. 金融機関に改めて審査してもらい、住宅ローンの名義を住み続ける人に変更してもらう
  2. 別の金融機関で新たに住宅ローンを組み、借り換えをする

ただし、どちらの方法も金融機関によって審査がありますので、収入やローンの残債によってはできない可能性もありますので、注意してください。

3−5 共有名義の不動産にどちらかが暮らし続けるケース

共有名義の不動産にどちらかが暮らし続けるケース

夫婦の共有名義でローンを組んでいる方もいらっしゃるでしょう。

その場合、離婚後も共有名義を続けるのは決しておすすめできません。

住宅ローンを共有しているということは、離婚後も同じ財産を共有することになり、関係性を続けることとなります。

また、片方がローンの支払いを怠った場合、共有者が責任を負うこととなりますし、固定資産税などの税金の支払いについてもトラブルになってしまいます。

もし、共有名義の不動産にどちらかが暮らし続けるのであれば、以下のような手段を取りましょう。

3−5−1 【手段①】暮らす人の単独名義に変更する

家を出る側が、ローンの借換えをするなどして、家を出る側名義のローンを完済することで、暮らす人の単独名義にすることができます。

2人の借入額は変わらず、借入先を変える、というイメージです。

その他にも、繰り上げ返済をすることで、残債が少なくなり、単独名義に変更することができます。また、借入時よりも収入が増えていれば、そのまま単独名義にすることも可能かもしれません。

3−5−2 【手段②】暮らす人が相手名義の分を買い取る

暮らす人側が、家族などに資金援助をしてもらい、相手の分の住宅ローンを買い取るという方法です。

しかし、残債によってはかなりの大金を準備しなければいけないため、あまり現実的ではないでしょう。

したがって、残ローンのある不動産を財産分与するときは、実質的に銀行の承諾が必要になります。

不動産を単独名義にするのは難しい

ローンの契約内容や残高などによりますが、銀行側に不利な方向になる名義変更は承諾を得にくいことがあります。

例えば「夫婦で連帯していたローン名義がどちらか1名になってしまう」や「夫名義のローンを妻に変更する」などは銀行の同意を得るのは困難です。

ローン名義が共同の場合、「夫婦の収入を合算したものを基本にしてローンを組んだ」という前提があるので、それが崩れるということは銀行にとってはデメリットになるからです。

また、後者の場合は妻に安定した経済力があると認められない限り、銀行サイドは首をたてに振らないでしょう。

一番いいのは「ローンの残債を一括返済してから不動産の名義変更をする」ということなのですが、金銭的に難しいのが現実です。

3−6 不動産の購入費用に特有財産が含まれるケース

特有財産とは?

家の購入資金に、独身時代の貯金や、親からの援助などが含まれる場合、その分は特有財産として扱われます。

特有財産は、財産分与の対象にはならないため、財産分与をする上でどのように特有財産を扱うか揉めてしまうケースが多いです。

特有財産の扱い方に明確な決まりはないので、トラブルになりそうであれば弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。

特有財産が含まれる不動産の事例
  • 不動産の購入価格:5,000万円
  • 妻の親からの援助金:500万円
  • 住宅ローンの残債:3,000万円
  • マンションの売却額:4,000万円

妻の特有財産:【不動産の売却益1,000万円】×(【援助金500万円】/【購入価格5,000万円】)=【特有財産100万円】

夫婦の共有財産:【不動産の売却益1,000万円】-【特有財産100万円】=【夫婦の共有財産900万円】

夫の取り分:【共有財産900万円】÷2=450万円

妻の取り分:【共有財産900万円】÷2+100万円=550万円


4章 離婚で不動産を財産分与する際にかかる税金と費用

「財産分与協議で相手が名義変更に同意した」というだけでは名義変更を完結したことにはならないので、財産分与で不動産を取得したら不動産の名義変更をするには、不動産の所在を管轄する法務局へ「所有権移転登記の申請」をすることになります。

所有権移転登記の申請には以下のような費用・税金がかかります。

  • 登録免許税
  • 書類取得費
  • 司法書士への依頼費用

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4−1 登録免許税

所有権移転登記をするには「登録免許税」というものがかかります。

登録免許税の額は固定資産評価額が基準になり、財産分与の場合は名義が変わる不動産の評価額に「1000分の20」(2%)の税率をかけて計算します。

例えば、評価額が1,000万円の住宅なら20万円の登録免許税が必要です。

なお、この登録免許税は登記申請をする際に「収入印紙」か「電子納付」で法務局に納めます。

4−2 書類取得費用

登記申請には、以下のような書類が必要で、それぞれ取得費用がかかります。

公的書類の発行手数料の1通あたりの目安

4−3 司法書士への依頼費用

所有権移転登記の手続きを司法書士に依頼した場合は司法書士への依頼費用がかかります。

不動産の価値にもよりますが、報酬の目安としては5万円~12万円です。

また、同時に不動産の財産分与契約書の作成も依頼することができます。

報酬は司法書士事務所によって異なりますので、依頼する前によく確認しておきましょう。

費用について詳しく知りたい方はこちら

【所有権移転登記とは?】手続きの流れから必要物・費用まで簡単解説
【事例で分かる】所有権移転登記費用は安くなる?司法書士が徹底解説
譲渡所得税・贈与税が発生するケースもあるので注意

通常、第三者から不動産などの財産を譲り受けた場合、贈与税や不動産取得税がかかります。しかし、財産分与によって不動産を取得した場合、贈与税・不動産取得税はかかりません。

一方、財産分与で取得した不動産を売却し、その売却益が購入時よりも高額になった場合、譲渡所得税がかかる可能性があります。
譲渡所得税の計算は複雑なため、自身で判断せず、税理士へ相談するようにしましょう。

また、財産分与であまりにも不自然な贈与があった場合には、贈与税が課税されるケースもあります。

非常に稀ではありますが、「不法行為(不倫など)があったわけでもないのに、高額な財産をすべて譲った」といった極端なケースでは「贈与」と判断される可能性があります。


5章 不動産を財産分与をする際に必要な登記手続き

財産分与をして不動産を取得したら、所有者移転登記の手続きをする必要があります。

所有者移転登記の手続きは、

  • 協議離婚
  • 裁判上の離婚

の2つのパターンで異なります。

どちらの場合も、必要書類を収集・作成し、法務局へ提出することで手続きをすることには変わりありません。

手続きを司法書士に依頼した場合、書類の収集から法務局の申請まで代理で行ってくれます。

それぞれの手続きについて詳しく見ていきましょう。

5−1 協議離婚の場合

協議離婚、つまり、話し合いで離婚した場合には、所有者移転登記の手続きを両者揃って申請しなければいけません。

しかも、手続きをするのは離婚後でなければいけません。離婚後は赤の他人となり、連絡が途絶えたり、非協力的になったりする可能性もあるので、離婚前から準備をしておくようにしましょう。

なお、司法書士に依頼すれば、事前に両者の署名・押印した委任状を渡しておくことで、代理で手続きをしてくれるので安心です。

5−1−1 協議離婚の場合の必要書類

協議離婚の場合、不動産を渡す人、取得する人、どちらも書類を集めなければいけません。

それぞれの必要書類は以下のとおりです。

財産分与を受ける方(登録権利者)
書類備考
住民票発行後3ヶ月以内のもの
市区町村役場で取得可能
発行手数料は300円程度
印鑑認印可
財産分与をする方(登録義務者)
書類備考
不動産の登記済権利証または、登記識別情報通知
印鑑証明書発行後3ヶ月以内のもの
市区町村役場で取得可能
発行手数料は500円程度
実印印鑑登録をしている印鑑
固定資産評価証明書市区料村役場で取得可能
発行手数料は400円程度
離婚の記載のある登記謄本離婚が成立してから取得する
市区町村役場で取得可能
発行手数料は450円
司法書士に用意してもらうもの
書類備考
司法書士への委任状司法書士に手続きを依頼する場合に必要です
双方の署名・押印をしたものを用意する
登記原因証明情報登記に至った原因や法律行為を記載する書面
自身で作成するのは難しいため、司法書士に作成してもらうことが一般的です
所有者移転登記申請書登記をする際に必要な申請書です。
自身で作成することも一応可能ですが、通常は専門家である司法書士が作成します。

5−2 裁判上の離婚の場合

調停、審判、訴訟など、裁判上で離婚を決定し、財産分与に関する取り決めをしている場合には、不動産を取得する人が単独で登記申請をすることができます。

その場合、調停調書など裁判所が作成した調書に「申立人は、相手方に対し、離婚に伴う財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を譲渡することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする」という旨の記載がなければいけません。

もし、裁判上で不動産の譲渡に関する取り決めをしていない場合には、協議離婚と同じように手続きをします。

裁判上の離婚の場合、不動産を取得する側が以下の書類を用意します。

財産分与を受ける方(登録権利者)
書類備考
住民票発行後3ヶ月以内のもの
市区町村役場で取得可能
発行手数料は500円程度
印鑑認印可
固定資産評価証明書登記する年度のもの
登記原因証明情報調停証書、審判書、和解調書など

所有権移転登記についてより詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。

財産分与による登記手続き|手続き方法や注意点を司法書士が解説

6章 離婚で不動産の財産分与をする際の注意点

不動産は高額な財産であり、不動産の財産分与は離婚後の生活にも大きく関わるものです。

財産分与の内容はしっかりと取り決めておくべきですし、手続の進め方も慎重になるべきです。そうしなければ、離婚後取り返しのつかない事になるリスクがあります。

ここでは、財産分与をする際に注意すべきことを紹介しますので、参考にしてください。

6−1 不動産の名義を夫婦共有のまま残してはいけない

「相手は自分に所有権を譲るって言ってるんだし、もう登記はそのままでいいかな…費用もったいないし」

「手続きしなくても、これまでどおり住めるのであれば問題ない」

と考んがえている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、名義変更は必ずするようにしておきましょう。

数年経って家を売却しようとしても「共有者の同意が必要」と言われて売却できなかったり、相手が再婚して子供が出来た場合に、相手の持ち分についての相続などが発生してややこしくなってくることがあります。

不動産の共有持分は売却できる?売却する方法と注意点を徹底解説!

6−2 ペアローンのまま残してはいけない

家の名義と同様に、ローン名義も共有したまま残してはいけません。

例えば、1つの家に対し夫婦が個々でローンを組むような「ペアローン」を組んでいた場合。結婚しているうちは、家を守るためにお互い頑張って働いてローンを返済していくことでしょう。

しかし、離婚することになってどちらか片方が家に住むなんてことになったら、家を出て行く方は

「自分は住んでいないのに、なんで支払わないといけないんだ」
「家に残るヤツが全額払えばいいんだ」

と思いはじめることは想像に難くないでしょう。

そうなると出て行った方は支払いが滞りがちになり、それが続くと下手したら競売にかけられる可能性だって十分にあります。

そうならないためにも、どちらが家をもらうか決まったらペアローンをそのままにしないように銀行も交え話し合う必要があります。

6−3 書類は先に確保しておこう

不動産の名義変更に必要な書類は事前に確保するようにしましょう。これはかなり大切なことなので、よく覚えておいてください。

協議離婚の場合、名義を変更するために相手からは印鑑証明書や登記済証または登記識別情報などの重要な書類を提出してもらわないといけません。

しかし、登記の手続きは離婚後でなければできません。そのため、話し合いの途中で相手が心変わりして登記に協力的でなくなってしまったり、最悪の場合は勝手に不動産を売却されてしまったりすることも考えられます。

そうなると名義変更の登記手続きを進めることができません。

離婚をする前に、必ず不動産に関する全ての書類をまとめて管理しておくようにしましょう。そうすることによって最悪の事態は免れることはできます。

6−3 すぐに名義変更の登記ができるよう登録免許税を用意しておこう

書類がそろったらすぐにでも不動産の名義変更の登記を申請する必要があります。

というのも、不動産の名義変更に必要な「現在の所有者の印鑑証明書」の期限は3ヶ月であり、発行から3ヶ月を過ぎると、相手方に印鑑証明書を再発行して貰う必要があり、万が一再発行に協力してもらえない場合には、名義変更の登記申請ができなくなってしまうからです。

登記手続きには登録免許税がかかりますが、安いものではありません。固定資産税評価額の2%ですから、評価額が1,000万円の場合には20万円が必要です。

登録免許税が用意できないと手続きができませんので、事前に用意しておきましょう。


7章 離婚時の不動産名義変更での失敗事例

別れると決めたら、一刻も早く離婚したいという人はたくさんいると思います。しかし、あまり離婚の手続きを急いでしまうと、大事なことが抜け落ちてしまうことがあります。

「とにかく離婚!」と不動産名義変更がおろそかになっていたり、財産分与の話し合いまではしっかりしたのに、その後の手続きがうまく進まなかったりとトラブルが後を絶ちません。

ここでは、ネットで相談されていた実際にあった「離婚時の不動産名義変更での失敗事例」をちょっとだけご紹介します。

“名義変更しないまま離婚して月日が流れ…連絡がつかない共有者”
引用元URL:こちら

夫婦がペアで住宅ローンを組み、不動産を共有したまま離婚したケースです。
離婚時に不動産名義変更を済ませておらず、そのまま数年間放置してしまったようです。

共有名義人である元妻とは連絡がとれないが夫の単独名義に出来ないかとお困りのようですが、こうなってしまうとスムーズに不動産名義変更をすることは難しいです。
離婚が決まり、財産分与をしたら速やかに書類を集めて名義変更の登記を終わらせるべきでした。

“話し合いはついているのに、名義変更の手続きに非協力的な相手方”
引用元URL:こちら

離婚の際、夫から不動産の財産分与を受ける協議はできていたのに、夫が名義変更に協力してくれない。
名義変更するための所有権移転の約束をしておきながら、それがいくら言っても協力してもらえないようであるのなら「名義変更を請求する裁判」を起こすことになります。

しかし、そのためには更に労力や時間、そして費用がかかることになり、とても大変です。
このような事態を避けるには、所有権移転に必要な書類の提供や書類への記名、押印などの協力を離婚する条件として提示すべきでした。

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8章 財産分与による不動産の名義変更が不安なら司法書士に相談しよう!

財産分与で不動産を取得したら、必ず不動産の名義変更(所有権移転登記)をしましょう。

名義変更の手続きは、「離婚後」に行わなければいけません。

そのため、相手方が離婚後に非協力的になってしまうと、手続きができなくなる可能性もあります。

離婚前に司法書士に両者の委任状を渡しておけば、事前に準備をし、離婚後に代理で手続きを行ってくれますので、安心です。

なお、グリーン司法書士法人では、グループ会社に不動産会社を有しておりますので、売却をする場合にも対応が可能です。

初回相談は無料です。オンラインでのご相談も可能ですので、お気軽にご相談ください。

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