「登記費用ってこんなにかかるの?」
「司法書士からの見積もりはどう見るの?」
不動産を売買又は相続をする様なことは通常は一生に何回も有りません。
あなたが持たれている疑問はほとんどの方が同じ様に思われているでしょう。
本記事は、所有権移転登記に関しての国家資格者である司法書士の筆者が、所有権移転登記に関する費用について分かりやすく解説していきます。
所有権移転登記の費用を少しでも節約する方法をお教えしますので、是非最後までお読み頂いてご活用下さい。
目次
0章 所有権移転登記とは?
所有権移転登記とは、たとえば以下のような原因で不動産の所有者に変更が有った場合に必要になる手続きです。
- 売買
- 相続
- 贈与
所有権移転登記が必要な場合、法務局という役所に対して、登記申請という手続きをします。
ご自身で行う事も可能ですが、登記申請は他の役所に関する手続きと比較すると複雑ですので、多くの場合は司法書士に依頼をして行われています。
1章 所有権移転登記にかかる費用の相場と内訳
本章では分かりにくい所有権移転登記の費用について、一般の方でも理解しやすい様に各項目に分けて解説します。
下記に各ケース別の所有権移転登記費用の表を載せます。
司法書士報酬相場 | 登録免許税等実費 | 合計額(概算ですので目安としてお使い下さい) | |
①相続 | 約6万円~10万円 ※遺産分割協議書も作成してもらうのか、戸籍も集めてもらうのか等、依頼する部分が多くなると報酬額も多くなります。 | ・登録免許税 4万円 ・戸籍等書類収集費用 約1万円 | 約11万円~15万円 |
②売買(買主) 現金で買う場合 | 約5万円~8万円
| ①登録免許税 居住用で軽減措置を受けられる物件の場合:9万円 ② 登録免許税 軽減が無い場合:17万5千円 | ①の場合、約14万円~17万円 ②の場合、約22万5千円~25万5千円 |
③売買(買主) 住宅ローン1000万円を借りて買う場合 | 約8万円~12万円 | ① 登録免許税 居住用で軽減措置を受けられる物件の場合:10万円 ② 登録免許税 軽減が無い場合:21万5千円 | ①の場合、約18万円~22万円 ②の場合、約29万5千円~33万5千円 |
④売買(売主) | 抵当権の抹消・住所変更がある場合は約2万円 ※地域により立会い料等で1万円程度加算されます。 | 抵当権の抹消・住所変更の登記が必要なら不動産の数×1000円の登録免許税が必要 | 約0円~4万円 |
⑤贈与 | 約7万円~11万円 ※贈与契約書の作成も依頼するとその分は別途報酬がかかる場合が多いです。渡す人ともらう人で上記の金額をどう払うかを協議して決めるのが一般的です。 | 20万円 | 約27万円~31万円 |
1-1 必ずかかる登録免許税
所有権移転登記を法務局に申請する際に、「登録免許税」という税金が必ず発生します。
納付の方法は登記申請書に、収入印紙を貼りつけて納付します。
登録免許税の計算のしかたは、所有権移転登記を行う不動産の固定資産税評価額に、税率をかけて算出します。
固定資産税評価額を調べる方法は下記の2つの方法が有ります。
① 固定資産税の納税通知書を見る
毎年4月頃に、不動産の所在地の市町村役場から固定資産税の納税通知書が送られてきます。
それと一緒に送られてくる課税明細書の中に「価格」又は「評価額」という記載がありますのでそこに記載がある金額が固定資産税評価額になります。
② 固定資産税評価証明書を取る
不動産の所在地の市町村役場で、固定資産税評価証明書を取得する事ができます。
その証明書の中に固定資産税評価額の記載があります。
相続や売買等の原因ごとに税率が決まってますので下記の表をご参照下さい。
(1)土地の所有権移転登記の登録免許税
原因 | 税率 | 軽減税率 |
売買 | 1000分の20 | 令和3年3月31日までに登記申請する場合は1000分の15 |
相続 | 1000分の4 | 無し |
贈与 | 1000分の20 | 無し |
(2)建物の所有権移転登記の登録免許税
原因 | 税率 | 軽減税率 |
売買 | 1000分の20 | 個人が居住用として取得し、要件を満たせば、1000分の3 |
相続 | 1000分の4 | 無し |
贈与 | 1000分の20 | 無し |
例えば、1000万円の土地を相続により取得した場合の所有権移転登記にかかる登録免許税は、上記の表を見ると1000分の4(0.4%)となってますので、1000万円に0.4%をかけた4万円の登録免許税を納付する事になります。
1-2 不動産の調査にかかる費用
所有権移転登記の申請を行うには不動産の情報を調査しなければなりません。
その為に、法務局で登記事項証明書を取得します。
その費用が、登記事項証明書の場合は1通600円必要です。
ただし、司法書士等の専門家は登記情報提供サービスというオンラインのサービスを利用して調査をしますので、その場合は1通335円で取得が可能なのです。
1-3 書類を集める為にかかる費用
所有権移転登記申請をする際には、その登記の原因ごとに決められた書類を提出しなければなりません。
その書類を集める為にかかる費用があります。
相続・売買・贈与の場合で異なりますが、相続の場合は戸籍の収集がありますので約数千円~2万円程度必要ですが、売買や贈与の場合は数百円程度で済みます。
1-4 司法書士に依頼する場合の報酬
どの内容を、どこまで依頼するかにより司法書士の報酬は大きく変わります。
そして司法書士の報酬は現在自由化されてますので、各司法書士により変ります。
2章 事例でみる所有権移転登記費用
良くある一般的な事例を元にして所有権移転登記費用がどれ位かかるのかを解説していきます。
事例1 相続の所有権移転登記費用事例
母を亡くした、AさんとBさん兄弟。相続人はAさんとBさんの2名のみ。
相続した不動産は評価額1000万円の土地と評価額1000万円の建物。
遺産分割協議を行い、不動産はAさんが取得する事になった。
書類作成や登記申請の全てを司法書士に依頼する事に。
この場合の所有権移転登記費用は?
事例2 中古不動産売買の所有権移転登記費用事例
Aさんは転勤の為、所有しているマンションをBさんに売却することになりました。
Bさんは購入する為に2000万円の住宅ローンをC銀行から借ります。
不動産の評価額は土地が1000万円・建物が1000万円です。
購入する物件は、要件を満たしていて登録免許税の軽減を受けられる物件です。
この場合の買主Bさんの所有権移転登記費用は?
事例3 新築購入の所有権移転登記費用事例
建設中の新築住宅を気に入ったAさんは購入を決定。
不動産の評価額は土地が1000万円・建物が1000万円です。
Aさんは購入する為に2000万円の住宅ローンをC銀行から借ります。
購入する物件は、要件を満たしていて登録免許税の軽減を受けられる物件です。
この場合のAさんの所有権移転登記費用は?
事例4 贈与の所有権移転登記費用事例
Aさんは長男Bさんへ、土地と建物を贈与します。
不動産の評価額は土地が1000万円・建物が1000万円です。
この場合の所有権移転登記費用は?
3章 司法書士が教える所有権移転登記費用を安くするコツ
少しでも所有権移転登記にかかる費用を安くするにはどうすれば良いか?
3-1 自分で行えば司法書士への報酬が不要
所有権移転登記を司法書士に依頼せずに、自分で手続きを行えば司法書士報酬が不要ですので節約できます。
ただし、中古不動産を売買する場合や、新築不動産を購入する場合等は、司法書士に依頼をせずに自分で行う事は現時点では難しいでしょう。なぜなら、不動産の売買等に司法書士を関与させないと、銀行が融資をしないといった不動産取引上の慣行があるからです。
相続や贈与の場合は、ご自身で行う事も可能です。
ただし、相続も贈与も登記手続きを自分で行うには、調べる時間や役所に出向く労力もかかりますので、お忙しい方は司法書士に依頼する方がコストパフォーマンスは高いといえるでしょう。
3-2 ホームページ等で調べて自分で司法書士を探そう
所有権移転登記を司法書士に依頼する場合は、自分で依頼する司法書士を探した方が費用面も安く済む場合が多いです。
なぜなら、不動産会社等からの紹介の場合は、違法なので本来はあってはいけない事ですが、紹介料等のコストを報酬にのせられている可能性も有るからです。
もしそんな事が有れば不要な報酬を払わされている事も。
それに、少し考えて欲しいのですが、不動産会社等からの紹介の場合はどうしても司法書士は不動産会社に不利になる様なアドバイスを依頼者にはしにくいでしょう。
そういった意味でも、ご自身で探せばしがらみのない司法書士に依頼ができるのでおススメです。
当ブログを運営するグリーン司法書士法人では、売買・相続・贈与に関する所有権移転登記について得意にしておりますので、是非お気軽にご相談下さい。
まとめ
所有権移転登記の費用は主に、司法書士報酬と登録免許税等の実費です。
司法書士報酬は、頼むところにより変動します。
折角大切なお金を払うなら自分で探して納得したところに依頼をしましょう。
よくあるご質問
所有権移転登記にはいくらかかる?
土地と建物の合計で1,000万円の不動産の所有権移転登記の費用相場は、下記のように理由別に異なります。
相続:約11~15万円
購入(現金での購入):約14万~25万円
購入(ローンでの購入):約18万~33万
売却:約0~4万円
贈与:約27~31万
▶所有権移転登記にかかる費用について詳しくはコチラ所有権移転登記は誰がする?
所有権移転登記とは、不動産の所有者に変更が有った場合に必要になる手続きです。
不動産を相続した人や購入した人、贈与を受けた人などが行います。
▶所有権移転登記について詳しくはコチラ所有権移転登記の司法書士費用はいくらですか?
司法書士の報酬は自由化されているので、各司法書士によって異なります。
相続登記の場合は、5~8万円程度のことが多いです。