登記の錯誤とは?誤った内容が登記されてしまったときに修正する方法

登記の錯誤とは?誤った内容が登記されてしまったときに修正する方法
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 3

不動産を取得した時や相続した時は「登記申請」をする必要があります。

登記とは「不動産やそれを所有する人の情報を国(法務局)に登録する」手続きです。

登記を申請すると、法務局がチェックし不備や抜けがあると修正を求められます。

しかし、稀にそのチェックをすり抜けて誤字などで登録されてしまうことや、申請内容にそもそも間違いがあり、そのまま登記されることがあるのです。
このような状態は「錯誤登記」や「登記の錯誤」と呼ばれています。

「登記」は不動産という高価な資産を登録してもらう制度なので、内容に間違いがあれば、速やかに修正しなければなりません。

この記事では、登記に錯誤があった場合の対処法などについて解説します。


1章 登記における「錯誤」とは

登記した情報に誤りがあることを「登記の錯誤」「錯誤登記」と言います。

登記の錯誤には、大きく分けて4つのパターンがあります。

パターン① 登記した住所氏名や一部の情報に誤りがある

・所有者の名前に誤字がある、住所に抜けがある

・抵当権設定の債権額や利息の数字が間違えている

“解決方法”

このようなケースでは「申請人」か「法務局」どちらのミスによって、誤った登記がされたのかによって手続き方法は変わります。

法務局へ提出した登記書類にそもそも間違いがあれば、申請人のミスとして自ら誤りを正す登記手続きを行わなければなりません。

反対に登記書類に誤りはなく法務局の登録作業時のミスにより誤った情報が登記がされたのであれば、法務局が職権により誤りを正します。

このような誤った情報を正す登記を「更正登記」と言います。

「申請人のミス」・・・自ら誤りを正すため更正登記を申請する必要がある
「法務局のミス」・・・法務局に連絡すれば職権により誤りを正してくれる

更正登記については2章でご案内いたします。

なお、この記事では申請人のミスで誤りが生じた場合を前提に説明していきます。

パターン② 登記をした所有者(権利者)の一部に誤りがある

・所有者Aとすべきところ共有者A・Bにしてしまった

・共有者A1/2・B1/2の持分とすべきところ共有者A1/3・B2/3 にしてしまった

“解決方法”

このようなケースも「更正登記」を行う必要があります。このような間違いは、登記申請の内容や書類自体に誤りがあることが多く、申請人が「更正登記」の手続きを行う必要があります。

更正登記については2章でご案内いたします。

パターン③ 登記をした所有者(権利者)の全部に誤りがある

・所有者Aとすべきところ所有者Bとしてしまった

・抵当権を設定すべきでなかったのに抵当権を設定してしまった

“解決方法”

このようなケースでは先ほど案内した「更正登記」という一部の変更では済まないため、「錯誤を理由に登記を取り消す(錯誤抹消)」か「錯誤を理由に本来の名義人への変更登記(真正な登記名義の回復)」を行う必要があります。

錯誤抹消や真正な登記名義の回復の登記については2章でご案内します。

パターン④ 登記した不動産に誤りがある

・X土地の登記をするはずが、番地の違うY土地の登記をしてしまった

“解決方法”

こちらのケースも「更正登記」で一部を修正するだけでは済まないので、「錯誤を理由に登記を取り消す(錯誤抹消)」か「錯誤を理由に本来の名義人への変更登記(真正な登記名義の回復)」を行う必要があります。

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2章  登記に錯誤があった場合の手続き

万が一、登記申請に錯誤があった場合は情報を修正するための手続きをしなければいけません。

ここでは、登記に錯誤があった場合の手続きについて解説します。

2-1 更正登記

更正登記とは、登記事項に錯誤または遺漏(漏れ)があった場合に、その事項を訂正する登記です。あくまで訂正にとどまるため、更正前の登記内容と構成後のそれとが別物の登記と判断される場合にはすることができません。あくまで、更正の前後で登記事項が「同じ」と判断される場合にのみ認められるものです。

登記した情報の中に、誤字・誤植などがあった場合には、更正登記をしなければなりません。

申請書類にミスはなく、法務局の転記ミスなどによる場合は、法務局へ連絡すれば修正してくれます。このような登記方法を「職権による更正登記」といいます。法務局のミスなので、もちろん費用はかかりません。

反対に登記を申請した人のミス(申請書類の誤字など)の場合は、「更正登記の申請」を自ら法務局にしなければなりません。

また、更正登記の申請には、不動産1つにつき、1,000円の登録免許税がかかります。

更正登記の手順は以下のとおりです。

  • ミスの原因の所在について確認する
  • 誤字・誤植であることを証明する資料を準備する(住民票や契約書など)
  • 更正登記の申請書を作成する
  • 申請書と疎明資料を法務局へ提出し、登録免許税を納める

2-2 錯誤抹消/真正な登記名義の回復

不動産の所有者や登記の対象となる土地建物について、全部を間違えている場合は、登記自体をやり直す手続きをしなければいけません。なぜならこのような場合、修正前の内容と修正後の内容とが誤字や誤植の修正(更正登記)にとどまらず別物の登記内容となるため、根本的にやり直す必要があるからです。

具体的な手続方法は以下の2つがあり、事情によってどちらかの方法を選択する必要があります。

​​​​2-2-1 錯誤抹消

誤った登記を抹消し、正しい内容の登記を改めて記録する手続きです。原則はこちらの方法によります。

AからBへ移転登記をすべきところ、誤ってAからCへの移転登記をした場合に、Cへの登記を抹消して改めてBへの登記をする方法です。Cへの登記を抹消する時に、Bの承諾が必要です。 (①A→Cの登記を抹消②A→Bにあらためて登記)

この場合、不動産1つにつき前半の抹消登記で1,000円、後半の移転登記で不動産価格の2%の登録免許税がかかります。

2-2-2 真正な登記名義の回復

誤ってされた登記をそのままに正しい所有者(権利者)に「移転」する手続きです。

上記と同じ例で、Bの承諾が得られない場合には、「A→B」の登記をそのままにして、さらにBからCへの移転登記をする方法です。(A→B→C)

権利の移転は何らかの原因が必要となりますが、この「B→C」の登記の移転原因が真正な登記名義の回復です。

この場合、不動産1つにつき 不動産価格の2%の登録免許税がかかります。

2-2-3 どちらの方法を選択するかの判断基準

「錯誤抹消」は前の所有者に当時の権利書や印鑑証明などを再度用意してもらう必要がある上、担保があれば担保も抹消されるので担保権者の承諾が必要となります。このような関係者の協力や承諾を得られる場合は「錯誤抹消」を選択するのが通常です。

反対に前の所有者の協力や担保権者の承諾が取れない場合には、やむを得ず「真正な登記名義の回復」により手続きを行うことになります。

どちらの方法も専門的な知見をもとに判断する必要があるので、司法書士や法務局へ相談したうえで進めるのがお勧めです。


3章 登記申請に不安があれば司法書士に相談しよう

登記申請は、何度も行うものではない上、難しい内容をたくさん記載しなければならないため、申請する上で不備や不足が生じてしまうことは珍しくありません。

通常であれば、法務局がそのミスに気づき、指摘してくれるのですが、場合によってはミスに気づかれることなく誤って登記されてしまうこともあります。

誤った情報のまま登記されてしまうと、更正登記や錯誤抹消などの登記手続をする必要が生じるので、二度手間になってしまいます。

登記申請の手続きに不安があれば、司法書士に相談することをおすすめします。

司法書士に依頼すれば、登記申請書の作成を代理で行ってくれるので安心です。

グリーン司法書士法人では、更正登記から錯誤抹消はもちろんこと、相続や売買、贈与など様々な場面での不動産登記に対応しております。初回相談は無料ですので、ぜひご利用ください。

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よくあるご質問

登記錯誤の期限は?

登記錯誤について期限はありませんが、内容に間違いがあったときには速やかに修正を行いましょう。
▶登記錯誤について詳しくはコチラ

不動産登記の訂正方法は?

不動産登記に間違いがあったときには、更正登記もしくは削除抹消と真正な登記名義の回復が必要です。
▶不動産登記の訂正について詳しくはコチラ

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