信託目録とは?記載されている内容や取得方法・注意点まとめ

信託目録とは?記載されている内容や取得方法・注意点まとめ
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 5

信託目録とは、名前の通り、不動産信託の内容について記載された目録です。
法律によって、家族信託などにより信託登記を行う際には、信託目録の添付が必要と決められています。
また、不動産の受益権の譲渡があった場合など、信託目録に記載されている内容に変更があった場合には変更登記が必要です。

ただし、信託目録は法務局で誰でも取得できてしまうので、信託契約書の内容をそのまま記載してしまうと個人情報まで流出してしまうので作成時には注意しなければなりません。

本記事では、信託目録に記載されている内容や取得方法、登記時の注意点について解説します。
家族信託に関しては、下記の記事で詳しく紹介しています。

家族信託を自分でする際の手続き方法【メリット・デメリットも解説】

1章 信託目録とは

信託目録とは、不動産信託の内容を記載した目録です。
不動産などの財産を家族信託で管理や運用、処分を行ってもらう際には信託登記が必要であり、登記時には信託目録の添付が必要です。

具体的には、下記のケースで信託目録の作成や法務局への提出が必要になります。

  • 家族信託で不動産の管理や運用、処分を家族に任せるケース
  • 不動産管理会社と不動産信託契約を結ぶケース

信託目録には信託契約に関する内容が記載されていますが、手数料さえ払えば誰でも取得可能です。
そのため、信託契約書の内容をそのまま抜き出して信託目録を作成してしまうと、個人情報が漏れてしまうのでご注意ください。

次の章では、信託目録に記載する項目を5つ紹介していきます。

家族信託で必要な登記とは|司法書士がケース別に分かりやすく解説!
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2章 信託目録に記載されている内容

信託目録に記載されている内容

上記のように、信託目録には下記の5つの項目を記載します。

  1. 信託目録の番号や受付年月日
  2. 委託者に関する時効
  3. 受託者に関する時効
  4. 受益者に関する時効
  5. 信託条項

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 信託目録の番号や受付年月日

信託目録の番号や受付年月日

信託目録の番号は、登記簿謄本の権利部(甲区)に記載されている「信託目録第〇号」と記載されているものと同じ番号が記載されています。
受付年月日に関しても権利部(甲区)に書かれた日付と同じものが信託目録に記載されます。
なお、受付年月日に関しては法務局で受付を行った日が記載されており、信託を開始した日ではないのでご注意ください。

信託を開始した日に関しては、権利部(甲区)の信託登記の「原因」に記載されている日付です。

2-2 委託者に関する事項

委託者に関する事項

信託目録に記載されている委託者とは、不動産を元々所有している人物です。

2-3 受託者に関する事項

受託者に関する事項

受託者に関する事項には、不動産の管理や運用、処分を任される人の情報が記載されます。
家族信託の場合は子供が受託者となるケースが多いですし、銀行や不動産管理会社と信託契約を結んだ場合には信託銀行や不動産管理会社が受託者として記載されます。

2-4 受益者に関する事項

受益者に関する事項

受益者に関する事項には、賃貸収入など不動産によって生じた利益を受け取る人物が記載されます。
委託者が受益者となることも可能ですし、受益者を別の家族や親族とすることも可能です。

2-5 信託条項

信託条項

信託条項には、主に以下の4項目が記載されます。

項目概要
信託の目的
  • 信託の目的
  • 運用益の使い道
  • 信託範囲(不動産の売却まで含まれるかなど)を記載する
信託財産の管理方法財産の管理方法を具体的に記載する
信託の終了事由不動産信託が終了するタイミングについて記載する
例:委託者が死亡するまで
その他の信託条項
  • 備考的な内容を記載する
  • 信託の終了事由後、不動産が誰のものとなるかも記載できる

上記のように、信託条項は信託契約において重要な内容が記載されています。
また、その他の信託条項に委託者の死亡後に不動産を誰に相続させるかを記載していた場合には、遺言書同様に効力を発揮します。


3章 信託目録の取得方法

信託目録は信託契約の当事者以外でも誰でも取得可能です。
なお、信託目録のみの取得はできず、目録を含めた登記事項証明書を取得する必要があります。

信託目録を含んだ登記事項証明書を取得したい場合には、下記のように信託目録を付ける旨を記載して申請をしましょう。

信託目録の取得方法、貼り付ける位置

信託目録を含む登記事項証明書の取得方法の概要は、下記の通りです。

取得できる人誰でも請求できる
取得先最寄りの登記所(法務局、地方法務局、出張所、支局)
取得方法
  • オンライン請求
  • 郵送請求
  • 登記所の窓口での請求
手数料オンライン請求・窓口での交付:480円
オンライン請求・郵送での送付:500円
窓口・郵送請求:600円
必要書類特になし

4章 信託登記をする際の注意点

3章で解説したように、信託目録を含む登記事項証明書は誰でも取得できます。
そのため、信託目録を記載する際や信託契約を結ぶ際には、下記の3点にも注意が必要です。

  1. 将来的に必要になる権限も信託内容に含める
  2. 個人情報は記載しない
  3. 家族信託を行う場合は専門家への依頼も検討する

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 将来的に必要になる権限も信託内容に含める

信託内容を決める際には、様々な可能性を考えて信託内容に幅を持たせることも検討しましょう。
2章で解説したように、信託目録には不動産の信託をどこまで任せるのかも記載しなければならないからです。

例えば、現時点では必要ないものの将来的に必要となると予測される不動産の売却に関しても受託者に権限を持たせるなどの工夫が必要です。

特に、認知症対策で家族信託を行う場合には、契約期間が長期にわたる可能性もあります。
後から「信託内容に含まれていないからできない」とならないように、様々な可能性を考慮して信託内容を決定しましょう。

4-2 個人情報は記載しない

3章で解説したように、信託目録を含む登記事項証明書は誰でも取得できるので、信託目録に個人情報を記載するのは避けましょう。

例えば、信託目録には委託者が死亡したときに誰が不動産を相続するかも記載できます。
ただし、相続に関する希望をそのまま信託目録に記載してしまうと、第三者にもその情報が筒抜けになってしまいます。

そのため、記載したい内容によっては「〇〇については、信託契約公正証書によるものとする」などと公正証書の記載を引用するなどの対策も必要です。
家族信託の信託登記を自分で行う場合、信託契約書の内容をどこまで信託目録に記載するかの判断が非常に難しいです。

家族信託に詳しい専門家であれば、信託目録に記載すべき内容だけをピックアップできますので、お気軽にご相談ください。

4-3 家族信託を行う場合は専門家への依頼も検討する

家族信託は認知症対策や相続対策として有効ですが、信託内容の決定や信託契約書の作成、信託登記などが必要で、相続に詳しくない人が行うにはハードルが高い制度です。
認知症になった後や自分が死亡した後の財産管理として家族信託を検討している場合には、司法書士や弁護士への相談もご検討ください。

家族信託に詳しい専門家であれば、以下の提案やサポートを行えます。

  • 信託内容の提案
  • 依頼者の希望に合った信託契約書の作成
  • 信託登記の代行

なお、家族信託を相談できる専門家は司法書士と弁護士がいますが、司法書士であれば信託登記までワンストップで行えるのでおすすめです。

家族信託の相談は司法書士がおすすめな理由とは?報酬相場も紹介

まとめ

信託目録とは、不動産信託の契約内容を記載した目録であり、信託登記を行う際には添付が必要です。
信託目録は信託契約の内容や範囲を記載する必要がありますが、誰でも取得できるので記載内容から個人情報が漏れないように注意が必要です。

家族信託や相続に詳しくない人が信託目録を作成しようとした場合、信託契約書の内容をどこまで信託目録に記載すれば良いか判断に迷ってしまう場合もあるでしょう。
家族信託に詳しい司法書士であれば、家族の希望や資産状況に合った信託内容のご提案から信託契約書の作成、信託登記までワンストップで対応できます。

グリーン司法書士法人では、家族信託に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

信託目録とは?

信託目録とは、不動産信託の内容を記載した目録です。
不動産などの財産を家族信託で管理や運用、処分を行ってもらう際には信託登記が必要であり、登記時には信託目録の添付が必要です。

家族信託は自分でできる?

家族信託は非常に難しい手続きなので、自分で行うとミスをしてしまう恐れがあります。
信託内容や信託財産の設定を間違えてしまうと、家族信託の目的を達成できなくなる可能性もあるのでご注意ください。

▶家族信託を自分でやるメリット・デメリットについて詳しくはコチラ

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