土地活用で税金対策・相続対策できる?節税できる税金の種類とは

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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 7

土地活用をすると賃貸収入などを受け取れるメリットがあるだけでなく、節税にもつながります。
土地活用の方法にもよりますが、固定資産税や都市計画税、相続税を節税できる可能性があります。

特に相続税や贈与税は累進課税制度を採用しているため、資産が多い人は土地活用で節税対策をするのも良いでしょう。
本記事では、土地活用で節税できる税金の種類や土地活用で相続対策するメリットを紹介します。


1章 土地活用で節税できる税金は5種類

アパートやマンションなどの住宅を建築すると、更地の状態と比較して固定資産税を6分の1にできる可能性があります。
他にも、土地活用により節税できる税金は下記の通りです。

  1. 固定資産税
  2. 都市計画税
  3. 相続税
  4. 贈与税
  5. 所得税

それぞれ詳しく解説していきます。

1-1 固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日時点に土地や建物などの不動産を所有している人にかかる税金です。
使用していない土地や建物に対しても、固定資産税はかかり続けてしまいます。

ただし、住宅を建てている土地に関しては住宅用地の特例が適用され、土地の固定資産税が最大で6分の1まで減額されます。
そのため自分で使用しない土地はそのまま放置するのではなく、アパートやマンションなどを建てて賃貸経営することも検討すると良いでしょう。

固定資産税はいつまでに誰が払う?支払い時期や方法【まとめ】

1-2 都市計画税

都市計画税とは、市街化区域内などに不動産を所有している人にかかる税金です。
固定資産税と同様に、都市計画税も建物が建築されている土地は軽減措置が適用され、更地と比較して都市計画税が最大3分の1になります。

1-3 相続税

土地活用をすれば、子供や配偶者にかかる相続税も節税可能です。

相続税は、預貯金や不動産などの遺産総額に対してかかり、不動産に関しては市場価格ではなく相続税評価額をもとに相続税を計算します。
土地や建物の相続税評価額は市場価格の7〜8割程度であることが多いため、預貯金の一部を不動産に組み換えるだけでも相続税を節税可能です。

他にも他人に貸している建物や土地は、自分で使用する不動産よりも相続税評価額を下げられるので、相続税の節税効果が大きくなります。

土地評価額は6種類ある!評価額の調べ方と計算方法まとめ

1-4 贈与税

土地活用をすれば、相続税だけでなく贈与税も節税できる可能性があります。
贈与税とは、年間110万円を超える贈与を受けたときに課税される税金です。

不動産を譲り受けたときも贈与税の課税対象となりますが、贈与時の不動産の評価額は相続税評価額をもとに計算します。
不動産の相続税評価額は市場価格の7〜8割程度のことが多いため、預貯金で譲るより贈与税を節税できる可能性が高いです。

またアパートやマンションなど賃貸用不動産を贈与すれば将来発生する利益に関しても受贈者の財産となるため、贈与者の遺産総額を減らせるメリットもあります。

土地の贈与にかかる税金|節税方法や贈与の際の注意点について解説

1-5 所得税

所得税は本業の給料や賃貸収入を合算して計算するため、土地活用をする際に経費が発生すれば所得税を節税可能です。
例えば、下記の費用を土地活用の経費に計上できます。

  •  ローンの金利相当部分
  •  管理費用
  •  入居者募集費用
  •  火災保険料
  •  減価償却費
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2章 土地活用で相続対策・税金対策するメリット

本記事の1章で解説したように、土地活用を利用すれば相続税を節税可能です。
具体的には、土地活用で相続対策、税金対策すると下記のメリットがあります。

  1. 土地の相続税評価額を下げられる
  2. 建物の相続税評価額を下げられる
  3. 小規模宅地等の特例を適用できる
  4. 相続税の納税資金を用意できる

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 土地の相続税評価額を下げられる

アパートやマンションなどを建築し他人に貸していると、土地の相続税評価額を下げられます。
アパートやマンションなどといった貸家が建築されている土地は、貸家建付地として相続税評価額を計算するからです。

貸家建付地の相続税評価額は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で計算可能です。

実際に、下記の条件の貸家建付地の相続税評価額を計算してみましょう。

  • 自用地評価額:7,000万円
  • 借地権割合:60%
  • 借家権割合:30%
  • 賃貸割合:50%

上記のケースでは「7,000万円×(1-60%×30%×50%)=6,370万円」が貸家建付地の相続税評価額です。
自分で使用していた土地を相続するときと比較して相続税評価額を650万円近く下げられる計算です。

貸家建付地の相続税評価額の計算方法!評価額を下げる方法とは

2-2 建物の相続税評価額を下げられる

アパートやマンションなど他人に貸している建物は、貸家として相続税を計算するため、相続税を節税できます。

貸家の相続税評価額は「貸家の固定資産税評価額-(貸家の固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合)」で計算可能です。
例えば、下記の条件で貸家の相続税評価額を計算してみましょう。

  • 固定資産評価額:2億円
  • 借家権割合:30%(固定)
  • 借地権割合:80%

「2億円-(2億円×30%×80%)=1億5,200万円」で計算でき、自分で使用するよりも数千万円近く相続税評価額を下げられます。

貸家の評価額の計算方法|評価額を減額して相続税も減額しよう!

2-3 小規模宅地等の特例を適用できる

アパートやマンションなど他人に貸している建物が建築されている土地は、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用できます。
小規模宅地等の特例とは、相続した土地の評価額を軽減できる制度です。

小規模宅地等の特例では相続した土地の用途ごとに限度面積と減額割合が決められており、貸付事業用宅地等はそれぞれ下記の通りです。

  • 限度面積:200㎡
  • 減額割合:50%

このようにアパートやマンションを建築し他人に貸している土地は、貸家建付地として相続税評価額を計算できるだけでなく、小規模宅地等の特例も適用できるため、相続税を大幅に節税できます。

貸付事業用宅地等とは?相続税を減額する特例についても解説!

2-4 相続税の納税資金を用意できる

賃貸用不動産を建築し土地活用しておけば、発生した賃貸収入を将来の相続税の納税資金に充てられます。
相続税は現金一括納付が基本のため、遺産のうち不動産が占める割合が多くなると納税資金の用意に苦労する恐れがあります。

しかし、土地活用で定期的に現金が入ってくる仕組みを整えておけば、賃貸収入を納税資金として活用可能です。


3章 税金対策・相続対策するのにおすすめの土地活用方法

土地の活用方法には複数ありますが、相続対策や節税対策で土地活用をするのであれば、アパートやマンションを建築するなど建物を建て賃貸収入を得られる仕組みを作るのが大切です。

具体的には、下記の方法で土地活用をするのが良いでしょう。

  1. アパート・マンション経営をする
  2. サービス付き高齢者向け住宅を経営する
  3. 戸建て住宅を賃貸経営する
  4. 等価交換をする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 アパート・マンション経営をする

アパートやマンションを建築し、他人に貸し出せば賃貸収入を得られます。
相続税などの節税効果も大きく、継続的に家賃収入「得られる点がメリットです。

一方で、賃貸需要のないエリアもある、様々なリスクを理解して行わなければならない点について注意しなければなりません。

3-2 サービス付き高齢者向け住宅を経営する

活用予定の土地周辺に賃貸需要がほぼない場合は、サービス付き高齢者向け住宅を建築、経営するのも良いでしょう。
賃貸需要のない土地でも、高齢者向け住宅や福祉系施設であれば需要が見込める可能性があるからです。

具体的には、周辺地域の環境や活用予定の土地の広さによって下記の建物の建築を検討しましょう。

  • 老人ホーム
  • 障がい者施設
  • デイサービス
  • 保育所
  • グループホーム

不動産会社やハウスメーカーであれば、周辺地域のニーズ調査を行い、活用方法についてアドバイスをしてくれるはずです。
なお、福祉系の建物を建築して土地活用を行う場合、土地の所有者が建物を建築し、福祉施設の経営自体は事業者が行う形が一般的です。

3-3 戸建て住宅を賃貸経営する

賃貸物件を建築するのであれば、アパートやマンションだけでなく戸建て賃貸もおすすめです。
戸建て住宅は、アパートやマンションほど土地の広さを必要としませんし、建築費用も抑えられます。

加えて、戸建て住宅を借りる人はファミリー層も多く借入期間が長期になりやすく、賃貸収入が安定しやすいのもメリットです。

3-4 等価交換をする

等価交換も、節税対策や相続対策として有効な土地活用のひとつです。
等価交換とは、不動産会社やデベロッパーに土地を提供し、マンションや商業施設などを建築してもらう方法です。

所有者は土地を提供する必要がある一方で、建物の建築費用を負担せずにすみます。
加えて、建築する建物の種類によってはその後も定期的に賃貸収入を得られるのがメリットです。


4章 土地活用する前に確認すべきこと

先ほどの章で解説したように、土地活用には複数の方法があり、活用予定の土地の広さや周辺環境によってベストな活用方法が決まってきます。
土地活用で失敗しないようにするために、活用前には下記を確認しておきましょう。

  1. 活用予定の土地の利用規制
  2. 活用予定の土地の需要
  3. 相続のしやすさ

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 活用予定の土地の利用規制

まずは活用予定の土地に利用規制がないか、確認しておきましょう。
土地はエリアごとに建てられる建物の高さなどが決まっています。

例えば、所有者が7階建てのマンションを建築しようとしても、土地に規制があり2階建てまでしか建てられない場合もあります。
他には、土地によっては建てられる建物の種類が決まっており、商業施設を建てられないエリアもあるのでご注意ください。

活用予定の土地で建てられる建物を知りたい場合は国土交通省 国土数値情報️もしくは、各自治体にて確認してみましょう。

4-2 活用予定の土地の需要

活用予定の土地の規制を調べた後は、周辺地域含む土地の需要についても確認しておきましょう。
希望の建物を建築できる場合でも、そもそも需要がない場合は利益に結びつかないからです。

例えば、最寄駅から徒歩20分以上ある物件は、通勤や通学の負担が増えるため、賃貸需要が減ることが予想でにます。
一方で、駅からは遠いものの小学校などが近ければ、ファミリー層に向けの住宅を建てた方が利益が出やすい可能性もあります。

4-3 相続のしやすさ

相続対策で土地活用を行うのであれば、子供や孫などに相続させやすいかまで考えておきましょう。
節税効果や現時点の利回りが優秀でも、管理しにくく遺産分割しにくい土地では、次世代の負担が増える可能性があるからです。

例えば、アパートやマンション経営を受け継ぐ際には不動産経営の知識が必要になりますし、不動産会社や管理会社とのやりとりも行わなければなりません。
相続人がこれらを面倒に感じる恐れもありますし、将来的に利回りが下がったときにリフォームなどを負担に感じる可能性もあるでしょう。

他には、賃貸向け戸建てや福祉施設を建築した場合、複数の相続人で分割しにくく共有名義で相続せざるを得ないケースもゼロではありません。
土地活用をする際には、相続トラブルを防止し将来にわたり収益性が見込める土地や活用方法を選択する必要があります。


5章 土地を活用する流れ

土地活用をする際には法規制、境界線を確認し、活用方法について専門家に相談するのが良いでしょう。
具体的には、下記の流れで活用を始めます。

  1. 活用する土地の法規制を確認する
  2. 境界線を確認・確定する
  3. 土地活用を専門家に相談する
  4. 施行会社を決定・着工する
  5. 土地活用を開始する

それぞれ詳しく解説していきます。

STEP① 活用する土地の法規制を確認する

まずは、活用予定の土地の法規制について確認しましょう。
本記事の4章で解説したように、土地によっては建築物の高さや種類が制限されている場合があるからです。

規制内容によっては、当初予定していた建築物が建てられない恐れもあります。
その場合は、別の活用方法を検討しましょう。

STEP② 境界線を確認・確定する

続いて、活用予定の土地と接している隣家や公道との境界線を確認、確定しましょう。
土地によっては、長年にわたり境界線が曖昧になっていることもあるからです。

隣家や公道との境界線が曖昧な場合は、土地家屋調査士に境界確定を依頼することも検討しましょう。

STEP③ 土地活用を専門家に相談する

活用予定の土地の規制や境界線の確認が完了したら、活用方法について不動産やハウスメーカーに相談してみましょう。
相談する際には、意見が偏らないように複数の業者に相談してみるのがおすすめです。

また土地活用に関する税金対策を相談する際には税理士、活用前に土地の登記申請が必要な場合は司法書士などの専門家に相談するのも良いでしょう。

相続不動産の活用前には登記申請が必要です

相続した不動産を活用、売却する際には、故人から相続人へ名義変更手続きをすませなければなりません。
不動産の名義変更手続きは、法務局にて相続登記の申請を行う必要があります。

相続登記は自分でも行えますが、司法書士に数万円程度で依頼も可能です。
グリーン司法書士法人でも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

不動産の相続登記とは?手続きの流れから書類作成方法まで一挙大公開

STEP④ 施行会社を決定・着工する

不動産会社やハウスメーカーに相談し、活用方法や建築物が決まったら施工会社を決めましょう。
施工会社を決める際にも、できるだけ建築費用を抑えるために複数の業者に相談して相見積もりを取るのがおすすめです。

施工会社が決定したら、着工に移ります。

STEP⑤ 土地活用を開始する

建築物が無事完成し、入居者や借入先の事業者が決定すれば土地活用が開始されます。
借入先がいる間は定期的に賃貸収入を受け取ります。

一方で、入居者や事業者が退去すると、賃貸収入が入らなくなるので資金繰りが厳しくなるでしょう。
そのため、入居者や事業者の退去に関する情報についてはアンテナを張っておき、必要に応じて入居者募集などを行なっていくことが大切です。

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まとめ

土地活用をすれば、固定資産税や相続税、贈与税など様々な税金を節税できる可能性があります。
特に、アパートやマンションなどを建築し貸し出せば、土地や建物にかかる相続税を大幅に節税できる可能性もあります。

ただし、土地活用にはリスクがありますし、節税対策だけを意識すると収益性の低い不動産や遺産分割しにくい不動産を次世代に受け継いでしまう可能性もゼロではありません。

次世代の負担を減らしつつ、不動産で相続対策する際には、税理士や司法書士、弁護士など複数の専門家に相談するのが良いでしょう。
複数の専門家に相談すれば、多角的な視点からアドバイスをもらえ、様々な事情を考慮した上で土地活用を行えます。

グリーン司法書士法人では、相続対策に関する相談をお受けしています。
グループ会社には不動産会社もありますので、相続対策から土地活用まで一括で対応可能です。
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