【司法書士解説】相続登記義務化に伴い簡素化された手続きとは?

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司法書士山中泉

 監修者:山中泉

この記事を読む およそ時間: 5
 この記事を読んでわかること

  • 相続登記の義務化とは何か
  • 相続登記義務化に伴い簡素化された手続き
  • 相続登記の手間を減らす方法

2024年4月から相続登記が義務化され、相続から3年以内に登記申請をしないと、10万円以下の過料が発生する恐れがあります。
相続登記は、登記申請書などの必要書類を揃え法務局にて手続きをします。

相続登記ができないケースの中には、遺産分割協議がまとまらないなどの状況も考えられます。
従来の制度では遺産分割協議がまとまらない場合は、法定相続による登記申請を行うしかありませんでしたが、新たに相続人申告登記が設立されました。
相続人申告登記を行えば過料の対象から外れますし、法定相続による登記申請と異なり費用もかかりません。

本記事では、相続登記の義務化に伴い簡素化された手続きについて詳しく解説します。


1章 【2024年4月から】相続登記の義務化とは

2024年4月から相続登記が義務化され、相続から3年以内に登記申請を行わないと10万円以下の過料が科される恐れがあります。
なお、相続登記の義務化は2024年4月以降に発生した相続だけでなく、過去に発生した相続についても適用されるのでご注意ください。
過去に不動産を相続したものの登記申請がお済みでない人は、できるだけ早く手続きを行うのがおすすめです。

相続登記を行う際には、登記申請書や必要書類を揃え、法務局にて手続きを行わなければなりません。
相続登記の流れは、下記の通りです。

  1. 不動産調査をする
  2. 戸籍・戸籍附票を収集する
  3. 登記記録上の住所と本籍地・死亡時の住所をチェックする
  4. 必要があれば遺産分割協議を行う
  5. 管轄法務局を特定する
  6. 登録免許税を計算する
  7. 登記申請書を作成する
  8. 完了書類の受取方法を選択する
  9. 収入印紙の購入・貼り付けをする
  10. 原本還付の用意をする
  11. 管轄法務局への申請をする

相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で完了するので、お気軽にお問い合わせください。

2024年4月から相続登記が義務化される!放置するリスクとは

2章 相続登記義務化に伴い簡素化された手続き

相続登記が義務化されるのを機に、相続人申告登記の制度が新設されるなど、相続登記に関するいくつかの手続きが簡素化されました。
相続登記の義務化により、簡素化された手続きは、下記の通りです。

  1. 相続人申告登記が創設された
  2. 受遺者単独で相続登記の申請ができるようになった
  3. 法定相続での相続登記後に遺産分割による名義変更登記が単独でできるようになった

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 相続人申告登記が創設された

相続登記の義務化に伴い、相続人申告登記が新たに始まりました。
相続人申告登記とは、①不動産の所有者が死亡したことと②自分が相続人であることを申請する制度です。

相続人申告登記を行えば、相続から3年以内に登記申請が完了しなくても、過料の対象になりません。
相続人申告登記が創設されるまでは、遺産分割協議が完了しない状態で相続登記するには「法定相続による登記申請」を行うしかありませんでした。

しかし、法定相続による登記申請には下記のデメリットがあります。

  • 登録免許税がかかる
  • 登記申請書の作成が必要である
  • 登記申請後に遺産分割協議が完了したら、再び相続登記をしなければならない

仮に、法定相続による登記申請を行った後に遺産分割協議がまとまった場合、登記申請を2回しなければならず、登録免許税が2回分かかってしまいます。
相続登記の登録免許税は「固定資産税評価額×0.4%」であり決して安くありません。

一方、相続人申告登記であれは申請費用はかからず、法定相続による登記申請より必要書類が少なくてすむメリットがあります。
相続人申告登記の手続き方法および必要書類は、下記の通りです。

手続きできる人
  • 相続人(単独で行える)
  • 代理人
手続き先相続不動産の住所地を管轄する法務局
手続き方法
  • オンライン
  • 郵送
  • 持参
費用無料
(戸籍謄本類の収集費用は別途かかる)
必要書類
  • 申出書
  • 申出人が相続人であることを証明できる戸籍謄本類
  • 申出人の住所を証明できる書類
  • 委任状(代理人が提出する場合)

なお、相続人申告登記を行った後に、遺産分割協議が完了した場合は、遺産分割の内容に従い登記申請を行う必要があるのでご注意ください。

【相続登記義務化】相続人申告登記とは?手続き方法やメリット

2-2 受遺者単独で相続登記の申請ができるようになった

相続登記の義務化に伴い、受遺者が単独で相続登記の申請を行えるようになります。
手続きが簡素化される前は、亡くなった人が遺言書を用意しており不動産の遺贈があった場合、相続人全員と受遺者が協力して相続登記を行わなければなりませんでした。

相続人と受遺者が良好な関係であれば良いですが、相続人と受遺者が疎遠な場合や相続人の中に遺言書の内容について納得していない人がいる場合は、相続登記の準備が進まないこともありました。
相続登記の義務化に伴い、受遺者による単独登記が認められるようになったので、受遺者は相続人の協力がなくても不動産の名義変更手続きを行えます。

2-3 法定相続での相続登記後に遺産分割による名義変更登記が単独でできるようになった

相続登記の義務化に伴い、法定相続による登記申請を行った後に遺産分割による名義変更登記が相続人単独で行えようになります。
従来の決まりでは、法定相続による登記申請を行った後に、遺産分割協議がまとまった場合、相続人全員で協力して登記申請を行う必要がありました。

そのため、不動産を取得しない相続人が登記申請に協力しないケースや相続人同士の関係が悪く登記申請が進まないこともありました。
手続きが簡素化されたことにより、相続人による単独登記ができるようになったので、相続登記の義務化に対応しやすくなります。


3章 相続登記の手間を減らすなら司法書士への依頼がおすすめ

相続登記は自分で行うこともできますが、司法書士に数万円程度で依頼も可能です。
司法書士に相続登記を依頼すれば申請手続きだけでなく、必要書類の収集や作成から行ってくれますし、相続手続き全体をサポートしてもらえます。

相続登記を司法書士に依頼するメリットは、主に下記の通りです。

  1. 相続登記の必要書類の収集・作成を行ってくれる
  2. 登記申請のために仕事を休まなくてすむ
  3. 相続登記だけでなく相続手続き全般をサポートしてくれる
  4. 認知症対策・二次相続対策までアドバイスしてくれる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 相続登記の必要書類の収集・作成を行ってくれる

相続登記を司法書士に依頼すれば、手続きを代行してくれるだけではなく、必要書類の収集や登記申請書の作成まですべて代行してもらえます。

亡くなった人が遺言書を作成していない場合、相続登記の際には亡くなった人の生まれてから死亡するまでの連続した戸籍謄本などが用意しなければなりません。
戸籍は本籍地異動や結婚・離婚、法改正のたびに新しいものに作り変えられるので、1人に対して数枚あることが普通です。
そのため、戸籍謄本の収集に慣れていない人物が必要書類を収集しようとすると、それだけでも骨が折れてしまうでしょう。

相続登記を司法書士に依頼すれば、これらの作業もすべて行ってもらえます。

相続登記で必要な書類を把握!【相続パターン別のわかりやすい一覧表】

3-2 登記申請のために仕事を休まなくてすむ

相続登記の申請を司法書士に依頼すれば、登記申請や必要書類の準備のために仕事を休む必要がなくなります。
登記申請をするためには、平日の日中に法務局に行く必要がありますし、戸籍謄本の収集は平日の日中に市区町村役場に行く必要があります。

平日日中は仕事をしているサラリーマンや家事や育児で忙しい主婦は、平日日中に何度も役所や法務局に足を運ぶのが大変だと感じることもあるでしょう。
司法書士に相続登記を依頼すれば、このような手間からも解放されます。

3-3 相続登記だけでなく相続手続き全般をサポートしてくれる

相続に詳しい司法書士に登記申請を依頼すれば、相続登記だけでなく相続手続き全般を代行してもらうことも可能です。
家族や親族が亡くなり、相続が発生すると下記の手続きを行う必要があります。

  • 遺言書の有無の調査・検認手続き
  • 相続人の調査
  • 相続財産の調査
  • 限定承認・相続放棄を検討
  • 所得税の準確定申告
  • 遺産分割協議の開始
  • 遺産分割協議書の作成
  • 預貯金・有価証券等の名義変更
  • 相続登記
  • 各種財産の名義変更
  • 相続税の申告

相続は人生の中でそう何度も起きることではないため、専門知識がない人だと「どのような順番で進めていけばよいかわからない」「いつまでに何をすればいいのかわからない」と悩んでしまうことも多いです。
また、大切な家族や親族が亡くなり心理的な負担も大きい中で、相続手続きを進めるのが難しいと感じることもあるでしょう。

相続に詳しい司法書士であれば、上記の手続きのうち、準確定申告および相続税申告以外を代行可能です
準確定申告や相続税申告についても、信頼できる税理士を紹介できることが多いので、まずはお気軽にお問い合わせください。

【保存版】相続手続きでやるべきことまとめ!必要書類や期限も紹介

3-4 認知症対策・二次相続対策までアドバイスしてくれる

相続に詳しい司法書士に登記申請を依頼すれば、今回発生した相続に関する手続きを代行してもらえるだけでなく、認知症対策や二次相続対策まで対応してもらえます。

例えば、夫婦のうちどちらかが亡くなり、遺された妻や夫が不動産を相続した場合を考えてみましょう。
このようなケースでは、遺された妻や夫も高齢であるケースが多く、数年以内に夫や妻が亡くなり二次相続が発生する可能性や夫や妻が認知症になる可能性が高いです。

認知症になり判断能力を失うと、不動産の活用や売却を行えなくなります。
認知症になり施設に入所したものの実家を売却できず、維持費や固定資産税のみがかかり続けてしまう恐れもあるでしょう。

他にも、二次相続では一次相続より相続税が高額になりやすいですし、相続トラブルも発生しやすいので事前に相続対策を行っておくことが非常に重要です。
相続について経験豊富な司法書士であれば、次の相続や認知症対策についての提案も行ってくれます。

親が認知症になったら実家売却はできない!それでも売却する方法3選
二次相続とは?二次相続に有効な8つの節税対策を詳しく解説します!

4章 相続登記を司法書士に依頼した場合の費用相場

相続登記を司法書士に依頼した場合、一般的な住宅であれば5~8万円程度で手続きしてくれる場合が多いです。
ただし、司法書士に相続登記を依頼した場合の報酬は、不動産の数や不動産の評価額によっても大きく変動します。

そのため、先祖代々にわたり名義変更していない土地の相続登記などでは、上記の費用よりも高額になる可能性が高いです。
また、上記の報酬は「相続登記申請」の報酬であり「戸籍収集代行」や「遺産分割協議書作成」など相続登記に必要な手続きをまとめて依頼すれば、トータルで7万円~15万円程度になるでしょう。

司法書士事務所の多くは無料相談を行っているので、まずは無料相談をしてみて司法書士との相性や費用などを比較検討してみることをおすすめします。

相続登記の司法書士【報酬相場】と【依頼を検討した方が良いケース】
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まとめ

相続登記の義務化が2024年4月から始まりましたが、それに伴い登記申請の一部についても簡素化されました。
遺産分割協議がまとまらず相続登記が行えないなどの事情がある場合は、相続人申告登記を行うだけでもしておきましょう。

ただし、相続人申告登記を行った後に、遺産分割協議が完了した場合は遺産分割による名義変更登記を行う必要があるのでご注意ください。

相続登記は自分で行うこともできますが、司法書士に数万円程度で依頼も可能です。
相続に詳しい司法書士であれば、登記申請だけでなく遺産分割協議の提案などの相続手続きもサポートできます。

グリーン司法書士法人では、相続登記についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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