妊娠中のDNA鑑定はいつから可能?鑑定方法や費用相場について

妊娠中のDNA鑑定はいつから可能?鑑定方法や費用相場について
facebookでシェアする Twitterでシェアする このエントリーをはてなブックマークに追加する LINEでシェアする
司法書士山中泉

 監修者:山中泉

この記事を読む およそ時間: 5
この記事でわかること

  • 妊娠中でもDNA鑑定はできるのか
  • 妊娠中のDNA鑑定はいつから可能なのか
  • 妊娠中のDNA鑑定をする方法・費用相場

男性がパートナーの妊娠中に「本当に自分の子なのか確かめたい」と思ったとき、DNA鑑定で確認できるのか気になる方もいるかもしれません。
現在では、母体の血液から胎児のDNAを検出する技術が進み、妊娠中でも比較的安全にDNA鑑定を行うことが可能になっています。

しかし、鑑定結果を裁判などの証拠として活用したい場合には、出生後の鑑定が求められることもあると理解しておきましょう。

本記事では、妊娠中に行うDNA鑑定の方法や費用相場、注意点を解説します。


1章 妊娠中でもDNA鑑定はできる?

妊娠中であっても、DNA鑑定を行い父子鑑定を行えます。
ただし、妊娠中のDNA鑑定は、通常の出生後の鑑定よりも費用が高額になる傾向があると理解しておきましょう。
手続きにも注意が必要です。また、検査の方法によっては、母体や胎児へのリスクを伴うケースもあるため、事前に医療機関とよく相談し、リスクや目的を明確にした上で行うことが大切です。

本章では、妊娠中のDNA鑑定でわかることや、鑑定の種類について解説します。

1-1 妊娠中のDNA鑑定でわかること

妊娠中のDNA鑑定では、胎児の父親が誰かということを確認できます。
つまり「この子は本当に自分の子なのか?」という不安や疑念を解決する手段になり得ます。

一方、胎児の健康状態や遺伝的な疾患の有無を調べる出生前診断とは目的が異なるため、混同しないように注意しましょう。
胎児の遺伝子情報をもとに、健康状態などを調べたい場合には、出生前診断をする必要があります。

1-2 DNA鑑定には2種類ある

DNA鑑定には大きく分けて①私的鑑定と②法的鑑定の2種類があり、それぞれの特徴は下記の通りです。

私的鑑定
  • あくまでも個人の判断材料として行う鑑定
  • 裁判や公的な手続きには使用することはできない
  • 比較的安価で手軽に行える
法的鑑定
  • 裁判所や公的手続きに使用することを目的とした鑑定
  • 家庭裁判所に提出する書類の一部として、親子関係不存在確認の訴訟や嫡出否認の訴え、認知請求などの場面で活用
  • 本人確認書類の提出、立会人による採取、第三者機関による鑑定書の発行などが求められる
  • 妊娠中に法的鑑定が行われることは非常に稀であり、一般的には出産後に鑑定することが推奨される

男性が「本当に自分の子なのか確かめたい」といった目的で行う場合のほとんどは、私的鑑定で事足りることもあります。
一方で、鑑定結果を強制認知や嫡出否認の訴えの証拠として使用したい場合には、法的鑑定を行います。

相続でお悩みの方は、今すぐ無料相談!相続相談実績4,762件。今すぐ無料相談したい方はこちら

2章 妊娠中のDNA鑑定はいつから可能?

妊娠中のDNA鑑定(出生前親子鑑定)は、技術の進歩により、妊娠7週目以降であれば検査を行えるとされています。
ただし、鑑定方法や必要とされる精度によっていつから鑑定可能かが変わってくる場合もあります。

2-1 7週目以降であれば検査ができるとされている

母体の血液から胎児由来のDNA断片=cffDNA を抽出して行う方法であれば、妊娠6〜7週目以降から鑑定可能とする検査機関もあります。 

ただし、妊娠6週目から鑑定可能というのはあくまで技術的に可能な最短ラインです。
状況によっては、胎児由来DNAが母体血中に存在してはいてもその濃度が十分とは言えないことがあり、 鑑定が成功するかどうかは検査機関の技術や設備、採血量、母子の状態などによっても変わります。

そのため、多くの検査機関では妊娠7週目以降をより現実的な鑑定開始時期としています。

2-2 鑑定精度を上げたいなら14週目以降がおすすめである

鑑定精度を上げたい場合や、証拠として活用したい場合には、妊娠14週目以降に鑑定すると良いでしょう。
鑑定の目的が単に父親を確かめたいというだけでなく、証拠として裁判や認知手続きなどで利用したい場合には、鑑定精度の確保と検査の信頼性が非常に重要になってくるからです。

とはいえ、法的鑑定の場合には、妊娠中の鑑定ではなく、出生後に鑑定を行うことが推奨される場合もあります。


3章 妊娠中のDNA鑑定をする方法

妊娠中にDNA鑑定をする方法は、主に以下の3つのものがあります。

  1. 非侵襲的出生前親子鑑定(NIPPT)
  2. 羊水穿刺による出生前DNA鑑定
  3. 絨毛膜採取(CVS)によるDNA鑑定

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 非侵襲的出生前親子鑑定(NIPPT)

非侵襲的出生前親子鑑定(Non-Invasive Prenatal Paternity Test)とは、母体の静脈から採血を行い、その血液に含まれる胎児由来DNA(cffDNA)を解析して父親候補のDNAと照合する方法です。
最大の特徴は、非侵襲的な検査であり、母体にも胎児にもリスクがない点です。

検査可能時期妊娠7週目以降(推奨は10週〜14週以降)
リスクなし(母体の静脈血採取のみ)
精度99.9%以上とされる
費用相場20万〜25万円程度
検査機関2〜3週間程度

ただし、非侵襲的出生前親子鑑定は私的鑑定として行われることが多く、法的証拠としては使用できないことがほとんどです。
ただし、一部の検査機関では法的鑑定と同等の手続き(本人確認・立会人による採取等)を踏まえた上で、証拠性を確保するオプションも提供されています。

3-2 羊水穿刺による出生前DNA鑑定

羊水穿刺とは、妊婦の腹部から針を刺して子宮内の羊水を採取し、その中に含まれる胎児細胞を用いてDNA鑑定を行う方法です。
胎児の染色体異常(ダウン症など)の有無を調べる出生前診断の一環として行われる際にも、同様の方法で検査をします。

検査可能時期妊娠15週目以降
リスク1/300〜1/500程度で流産の可能性あり
精度非常に高く、法的鑑定にも利用可能
費用相場15万〜30万円程度
検査機関1〜2週間程度

羊水穿刺は母子ともにリスクが伴うため、医師の判断と同意のもとで行う必要があり、最終手段として選択されることが多い方法です。
親子関係を法的に争う可能性がある場合や、出生後の鑑定よりも早く父子関係をはっきりさせたいときに検討しましょう。

3-3 絨毛膜採取(CVS)によるDNA鑑定

絨毛膜採取(CVS: Chorionic Villus Sampling)とは、胎盤のもとになる絨毛細胞を採取してDNA解析を行う検査方法です。
羊水穿刺よりも早い週数で実施可能というメリットがある一方、やはり一定のリスクを伴います。

検査可能時期妊娠10週目〜13週目ごろ
リスク1/100〜1/200程度で流産の可能性あり
精度非常に高く、法的鑑定にも利用できる場合がある
費用相場20万円程度
検査機関1〜2週間程度

絨毛の採取方法には①経腹法(お腹から針を刺す)と②経膣法(膣からカテーテルで採取)の2通りがあり、母体の状態や胎児の位置によって方法が選ばれます。
この検査も医療行為に該当するため、必ず専門の医療機関で実施され、医師の説明と同意書の取得が前提となります。


4章 妊娠中のDNA鑑定にかかる費用相場

妊娠中に行うDNA鑑定は、通常の出生後に行う鑑定と比べて高額になる傾向があります。
採取方法が特殊であったり、検体の状態が不安定で再検査の可能性があったり、母体や胎児への安全性を確保するための配慮が必要となるためです。

妊娠中に行うDNA鑑定の費用相場は、主に下記の通りです。

非侵襲的出生前親子鑑定(NIPPT)20〜25万円程度
羊水穿刺15〜30万円程度
絨毛膜採取(CVS)20万円程度

上記の金額はあくまでも相場であり、実勢には検査機関によって費用が異なります。
そのため、検査方法や検査機関による費用の差を実際に調べてみることが大切です。


5章 法律婚の夫婦の間に生まれた子供は原則として嫡出子となる

妊娠中にDNA鑑定を検討する場面では「この子は本当に自分の子か?」という疑問をもつ男性もいるのかもしれません。
しかし、DNA鑑定で血縁関係がないと判明したとしても、法律婚の夫婦の間に生まれた子供は夫の子として扱われ、法律上の父子関係が生じます。

これは、婚姻中の妻に生まれた子供は夫の子供として推定される嫡出推定の考えがあるからです。
嫡出推定の効力は極めて強く、単にDNA鑑定で父子関係がないと判明しただけでは、法的な親子関係は消えません。

嫡出推定を覆すには、嫡出否認の訴えを家庭裁判所に提起する必要があります。
嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知ったときから3年以内に限り提起できるとされており、期限を過ぎると基本的に親子関係を解消することはできないのでご注意ください。


まとめ

妊娠中のDNA鑑定は、血液検査により妊娠7週目以降から実施可能であり、精度や安全性の面でも実用化が進んでいます。
ただし、法的な親子関係はDNA鑑定の結果だけで変わるものではなく、特に婚姻中に生まれた子は原則として「嫡出子」として扱われるのでご注意ください。

妊娠中にDNA鑑定するのであれば、費用やリスクを十分に理解しておくことが大切です。

グリーン司法書士法人は、相続対策や相続手続きでお悩みの方の早期解決を願い、記事発信を続けています。
当事務所は、東京・大阪に事務所があり、平日は20時、土日祝日は18時まで営業しております。

相続でお悩みの方は、今すぐ無料相談!相続相談実績4,762件。今すぐ無料相談したい方はこちら

よくあるご質問

妊娠中のDNA鑑定でやってはいけないことは何ですか?

妊娠中にDNA鑑定を検討する際には、以下のようなことは避けましょう。
・医師の同意なしに羊水穿刺や絨毛膜採取といった侵襲的な検査を受ける
・父親に許可なく鑑定をする
・鑑定結果だけで法的親子関係を断定・破棄しようとする
・安価すぎる鑑定業者を利用する

妊娠初期のDNA鑑定は可能ですか?

妊娠初期(おおむね妊娠7週以降)であればDNA鑑定は可能です。
ただし、検査の種類や週数によって、鑑定の可否や精度、費用、リスクの有無は大きく異なります。

お知らせ

           

YouTubeチャンネル「やまちゃんの5分でわかる相続チャンネル」がいよいよ9月1日から始動します!
高齢のご両親がいらっしゃる方にとって「相続」を考える必要があるけど、何から準備すればいいのかわからない。 そんな方に毎日5分観るだけで相続の全てを"やまちゃん先生"がわかりやすく解説します。

遺産相続の無料資料請求

この記事を読む およそ時間: 5

遺産相続の無料資料請求

  • 遺産相続の流れ
  • 相続人調査
  • 相続関係説明図の作成
  • 要注意の相続のケース
  • 遺産分割協議書の作成
  • 名義変更手続の方法
  • 相続税の申告
  • 遺言書の作成
  • 後見について
  • 贈与について

相続について話し合うきっかけに!

グリーン司法書士法人作成の遺産相続ガイドブックのイメージ

生前にする相続対策、亡くなってからの相続手続について、わかりやすく解説させていただいております。遺産相続ガイドブックが相続を自分の問題と捉えて、対策を始めるきっかけになったり、相続手続の手助けとなれば幸いです。

無料ダウンロードはこちら

相続でお悩みの方は、今すぐ無料相談!相続相談実績4,762件。今すぐ無料相談したい方はこちら

不安なことは、
グリーン司法書士法人にご相談ください。
一緒に、最適な相続対策を考えていきましょう。

グリーン司法書士法人の強み

01
過去5年間の相続相談実績は約5,000件!
日本有数の実績で安心して任せられる。
02
サポート内容の広さと相談窓口の一元化を実現!
独自のネットワークでどこよりも早い迅速対応!
03
蓄積されたノウハウを元に相談者一人一人にあった提案が可能!

100名を超える相続のプロが徹底サポート

  • ・相続手続きといっても何から始めればいいのかわからない
  • ・しっかりとした遺言書を作成したい
  • ・認知症などの生前対策をしておきたいけどよくわからない

グリーン司法書士法人では相続に関する悩みや疑問をしっかりとお聞きし、理想の相続実現をサポートします。

相続に関して少しでも不安や疑問があればお気軽にお問い合わせください。

お電話での無料相談はお気軽にお問い合わせください。無料相談予約受付ダイヤルは0120-002-110

※「記事をみた」とお伝えください。

365日24時間いつでもメール無料相談