
- 身内が亡くなったらいつまで忌中・喪中なのか
- 忌中・喪中にしてはいけないこと・してもよいこと
- 身内が亡くなったときにすべきこと
身内が亡くなったときにしてはいけないこととは、忌中・喪中の期間に控えるべきお祝い事や行動です。
忌中・喪中の長さや、結婚式・入籍・年賀状などを「どこまで控えるべきか」は、意外と知られておらず迷いやすいポイントです。
身内が亡くなってからの一定期間は「忌中」「喪中」と呼ばれ、それぞれの期間は次の通りです。
- 忌中:身内を亡くしてから49日間
- 喪中:身内を亡くしてから1年間
この期間ごとにしてはいけないこと・してもよいことが異なるため、あらかじめ整理しておくと安心して故人を偲ぶ時間を過ごせます。
本記事では、「忌中・喪中の期間」と「その間にしてはいけないこと・してもよいこと」を解説していきます。
なお、家族や親族が亡くなると様々な手続きが必要です。
家族や親族が亡くなったときの手続きの流れは、下記の記事でも解説しているのでご参考ください。
目次
1章 身内が亡くなったら喪中?忌中?
身内を亡くしてから一定期間を忌中、喪中と呼び、それぞれの期間は下記の通りです。
- 忌中:身内を亡くしてから49日間
- 喪中:身内に亡くしてから1年間
それぞれの期間について解説していきます。
1-1 喪中とは
喪中とは、身内が亡くなってから1年間であり、この期間は新築・結婚式などのお祝い事を控えて故人を偲びます。
この期間は、遺族は住宅の新築や結婚式への参加といった晴れの行事はタブーとされ、身を慎んで過ごすのが一般的とされています。
ただし、近年は「どこまでを喪中とするか」「どの行事を避けるか」について、地域や家庭ごとに柔軟な考え方も広がっています。
そのため、身内が亡くなった場合は、喪中の期間や控えるべきお祝いごとについて、事前に家族や年長の親族と相談し、自分の家庭のルールを確認しておくと安心です。
1-2 忌中とは
忌中とは、身内が亡くなってから49日間であり、この期間は結婚式・飲み会・神社参拝などを避け、死の穢れを他者に移さないよう慎みます。
喪中と同じくお祝いごとを控える点は共通していますが、喪中が「喪に服して故人を偲ぶこと」を目的とするのに対し、忌中は「死の穢れを他人や神様に近づけないこと」を重視する点に違いがあります。
そのため、忌中のあいだは結婚式への参加はもちろん、仕事や友人関係の飲み会、神社への参拝も控えるのが一般的とされています。
とはいえ、最近では身内の死後7日が経過し、初七日法要が済めば忌明けと考える地域や家庭もあるため、自分の地域や親族の考え方を事前に確認しておくとよいでしょう。
2章 忌中にしてはいけないこと
身内が亡くなってから49日間は忌中であり、下記の行為はしてはいけないとされています。
- 神社への参拝
- 飲み会の参加
- お祝い事・レジャーの参加・開催
- お中元・お歳暮の送付
- 神棚を開ける
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 神社への参拝
忌中の期間は死の穢れを移さない期間のため、神様の目に触れることをしてはいけないと言われています。
したがって、神社への参拝は控えるべきとされています。
2-2 飲み会の参加
忌中の期間はお祝い事への参加をしてはいけないとされており、飲み会への参加もNGとされています。
ただし、身内が亡くなった時期や仕事によっては飲み会の参加を控えるのが難しいこともあるでしょう。
そのため、近年では忌中の期間を見直し初七日法要が終了するまでを忌中とする場合もあります。
2-3 お祝い事・レジャーの参加・開催
忌中の期間は、飲み会だけでなくお祝い事やレジャーへの参加もやめておきましょう。
具体的には、結婚式の参加、新築祝いなどが含まれます。
2-4 お中元・お歳暮の送付
忌中の期間は贈り物もやめておくべきとされているため、お中元やお歳暮を送るのもやめておきましょう。
忌中の時期とお中元、お歳暮の時期が被ってしまった場合は、相手に死の穢れを送ってしまうのを避けるため時期をずらしてお中元やお歳暮を送ることをおすすめします。
また、お中元やお歳暮の送り先が忌中であると知っている場合は、その時期の送付を避ける、送る場合は水引きなしの白いのしで送るなどといった工夫が必要です。
2-5 神棚を開ける
忌中の期間は神社への参拝だけでなく、神棚を開けることもしてはいけないとされています。
これも神様の目に触れることをしてはいけないとされているからです。
3章 喪中にしてはいけないこと
身内が亡くなってから49日が過ぎた後も1年間は喪中です。
喪中期間は喪に服す期間とされているため、お祝い事をしてはいけないとされています。
喪中期間にしてはいけないことは、主に下記の通りです。
- 正月の挨拶・飾り付け
- 年賀状の送付
- 家の新築・リフォーム
- 結婚・入籍
それぞれ解説していきます。
3-1 正月の挨拶・飾り付け
喪中期間は、下記のような正月の挨拶、飾り付けをしてはいけないとされています。
- 「あけましておめでとう」と挨拶する
- 鏡餅・門松などの飾り付けをする
- おせちを食べる
- お屠蘇を飲む
- 初詣に行く
家族や親族が亡くなったとき、どれくらいの期間を喪中とするか、どの範囲の親族までを喪中とするかは地域や各家庭によって異なるので事前に確認しておくと良いでしょう。
3-2 年賀状の送付
喪中期間はお祝いの挨拶をしてはいけないとされているので、年賀状も送りません。
基本的には、喪中はがきを11月頃に送付し年賀状の代わりにすることが多いです。
3-3 家の新築・リフォーム
喪中期間は、家の新築やリフォームなども控える場合があります。
新築やリフォームもお祝い事に含まれると考えられるからです。
しかし、身内が亡くなる前から住宅建築の計画を立てていた場合や何らかの理由により契約を延期できない場合は、新築やリフォームが認められる場合もあります。
そのような場合でも大々的に新築祝いやリフォーム祝いをするのは避けた方が良いでしょう。
3-4 結婚・入籍
結婚や入籍もお祝い事に含まれるため、喪中期間は避けるべきという意見があります。
ただし、家族や親族が喪中期間の入籍を祝福してくれる場合は、入籍のみ行う場合もあります。
結婚式や入籍は本人たちのみではなく家族や親族も関わってくる問題なので、よく話し合いベストな選択をすることが大切です。
4章 忌中・喪中でもやって良いこと
忌中や喪中期間はお祝い事などを避けた方が良い一方で、ご祈祷や正月以外の行事は行っても良いとされています。
忌中や喪中期間にやっても良いことは、主に下記の通りです。
- 御祈祷
- 正月以外の年中行事
- 縁起物の飾りつけ
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 御祈祷
御祈祷は、喪中期間に行っても良いとされています。
ただし、本記事の2章で解説したように忌中期間は神社への参拝を控えるべきとされているのでご注意ください。
地域によっては、忌中期間に身内に不幸が続く場合、御祈祷を受ける場合があります。
その場合、御祈祷を受ける前にお祓いが必要なこともあるので事前に確認しておきましょう。
4-2 正月以外の年中行事
忌中、喪中期間であっても、年中行事や風習に含まれる行為は問題なく行えます。
例えば、豆まきや餅つき、ひな祭りなどの行事は行っても良いでしょう。
4-3 縁起物の飾りつけ
破魔矢や熊手などの縁起物はお祝い事とは異なるので、忌中や喪中期間も飾れます。
ただし、忌中期間は神社への立ち入りや参拝ができないため、代わりの人に縁起物を購入してもらうなどの対処が必要です。
5章 身内が亡くなったときにすること
身内が亡くなった際、葬儀の手配から相続・遺品整理などの手続きを、期限を守って順番に進めていきます。
忌中・喪中のあいだはお祝い事を控える必要がある一方で、現実には葬儀の準備や役所への届出、相続手続きなど、遺族がすぐに動かなければならないことが数多くあります。
身内が亡くなったときにすることは、主に下記の通りです。
- 死亡診断書を発行してもらう
- 関係者に訃報の連絡を入れる
- 葬儀会社の手配をする
- 相続手続きをする
- 遺品整理をする
それぞれ詳しく解説していきます。
5-1 死亡診断書を発行してもらう
身内が亡くなったときに最初に行うべきことは、死亡診断書を発行してもらうことです。
死亡診断書の発行は、病院で死亡した場合と自宅などで死亡した場合とで手続きが下記のように変わります。
【病院で死亡した場合】
病院で死亡した場合、担当医が死亡診断書を書いてくれます。
発行には5,000円程度の費用がかかることが一般的です。
【自宅で死亡した場合】
故人が自宅で死亡した場合、主治医が死亡診断書を作成します。
しかし、事故や不審死が疑われる場合は、検視が行われる場合もあります。
死亡診断書はその後、死亡届として自治体に提出する必要がありますし、火葬の手配の際にも必要なので大切に保管しましょう。
故人の死亡が戸籍に反映されるまでは、死亡診断書のみが故人の死亡を証明する書類となるのでコピーを取っておくと安心です。
5-2 関係者に訃報の連絡を入れる
続いて、親族や故人の関係者に訃報の連絡を入れましょう。
親族や故人の近しい人物には、葬儀の日取りが決まっていなくてもまずは一報を入れておくことをおすすめします。
そして、葬儀などの日取りや場所が決まったら、再度連絡を入れましょう。
故人とそれほど深い関係でなかった場合、葬儀の日取りが決まってから訃報を伝えるのでも問題ありません。
また、故人が葬儀はごく親しい人物ですませてほしいと希望していた場合や知人や友人には葬儀が終了してから連絡することを希望していた場合は、それにしたがいましょう。
5-3 葬儀会社の手配をする
親族や関係者への連絡をすませたら、葬儀会社の手配を進めましょう。
入院先の病院が葬儀会社を紹介してくれる場合もありますが、割高な場合や合わないプランを提案される場合もあるので、可能であれば複数の葬儀会社から相見積もりをとるのがおすすめです。
また、故人が生前エンディングノートを作成しており葬儀の希望も記載していた場合は、それにしたがうと良いでしょう。
5-4 相続手続きをする
葬儀が終了し、少し落ち着いたタイミングから相続手続きの準備を進めていきましょう。
というのも、相続手続きの中には期限が決まっているものもあるからです。
特に、相続放棄や限定承認は自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内に行うことと決められているのでご注意ください。
そして、相続税がかかる場合は10ヶ月以内に遺産分割協議まで終わらせて納付が必要です。
早い方だと相続発生から1週間程度で動かれますし、多くの方が1ヶ月程度でスタートされます。
相続手続きは順番も重要であり、誤った順番で行うと遺産分割協議のやり直しが必要になり手間がかかる場合もあります。
身内が亡くなったときの相続手続きの流れは、下記の通りです。
- 遺言書の有無の調査・検認手続き
- 相続人の調査
- 相続財産の調査
- 限定承認・相続放棄を検討
- 所得税の準確定申告
- 遺産分割協議の開始
- 遺産分割協議書の作成
- 預貯金・有価証券等の名義変更
- 不動産の名義変更
- 各種財産の名義変更
- 相続税の申告
相続人同士が離れて住んでいる場合や平日日中は仕事が忙しい場合、ミスなく確実に手続きしたい場合は、相続に詳しい司法書士や行政書士に手続きを依頼するのもおすすめです。
5-5 遺品整理をする
相続手続きが完了したら、故人の自宅の片付けや遺品整理を始めましょう。
遺品整理は下記の順番で行うとスムーズです。
- 遺品整理を行う日程を決める
- 必要なもの・不要なものを分類する
- 不用品を仕分ける
- 不用品を廃棄する
- 室内外を清掃する
遺品が多い場合や処分する品が多い場合、遺族が高齢で遺品整理をするのが体力的に難しい場合は、遺品整理業者に依頼することもご検討ください。
故人に借金が多く相続放棄を検討している場合、遺品整理を行うタイミングや遺品整理の方法に注意しなければなりません。
というのも、遺産を使用、処分してしまうと相続する意思があると判断され相続放棄が認められなくなるからです。
相続放棄を検討している場合、自己判断で遺品整理を行うのはやめておき、相続放棄に精通した司法書士や弁護士に相談した上で進めることを強くおすすめします。
まとめ
身内が亡くなってから一定期間は忌中、喪中であり、それぞれお祝い事などはしてはいけないとされています。
ただし、地域や家族の関係、状況によっては忌中・喪中期間や喪に服す身内の範囲が変わる場合もあるのでまずは家族や年長の親族に相談してみるのが良いでしょう。
また、身内が亡くなったときには喪に服すだけでなく、相続手続きも進めていく必要があります。
葬儀の手配などで忙しい場合や身内が亡くなり気持ちが落ち込んでいる中、相続手続きを行うのが難しい場合は、相続手続きを司法書士や行政書士に依頼することもご検討ください。
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