代襲相続はトラブルになりやすい!トラブルになる4つのケースと対処法

代襲相続はトラブルになりやすい!トラブルになる4つのケースと対処法
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 6
 この記事を読んでわかること

  • 代襲相続でトラブルになるケース
  • 代襲相続でトラブルになったときの対処法

代襲相続とは、本来相続人である人物がすでに死亡している場合に、代わりに相続人の子供が相続することです。
例えば、亡くなった人の子供がすでに死亡している場合、代襲相続が発生し、相続人の子供である孫が相続権を持ちます。

代襲相続が発生すると、関係性の薄い人物同士や世代が異なる人物同士が相続人になるケースがあるため、通常の相続と比較して相続トラブルが起きやすくなるのでご注意ください。
代襲相続によるトラブルを避けるには、遺言書の作成や家族信託などを用い相続対策をしておくのも良いでしょう。

本記事では、代襲相続発生時にトラブルが起きるケースや対処法、回避する方法を解説します。
代襲相続については、下記の記事で詳しく解説しているので、合わせてお読みください。

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1章 代襲相続時に起こりやすい6つのトラブル

代襲相続では、関係性の薄い人物同士や世代の異なる人物同士が相続人になるため、トラブルが起きるリスクが高まるので注意しなければなりません。
代襲相続が発生しているときに起きやすいトラブルは、主に下記の通りです。

  • 関係性の薄い人物同士が相続人になる
  • 年代の異なる人物同士が相続人になる
  • 代襲相続人が親族間の事情を考えず権利を主張する
  • 代襲相続人が相続手続きに協力してくれない
  • 代襲相続人に相続させないために財産を隠される
  • 代襲相続人が亡くなった人の借金を相続してしまう

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1 関係性の薄い人物同士が相続人になる

代襲相続が発生すると、亡くなった人の孫や甥・姪などが相続権を持つ場合もあります。
状況によっては、関係の薄い人物同士が相続人になることもあり、遺産分割協議がまとまらない場合もあるでしょう。

亡くなった人が遺言書を用意していなかった場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの遺産を受け取るかを決めなければなりません。
代襲相続人が他の相続人の事情を考慮せずに主張する可能性もありますし、他の相続人が代襲相続人をないがしろにして話し合いを進める恐れもあります。

1-2 年代の異なる人物同士が相続人になる

代襲相続が発生すると、関係性の薄い人物同士が相続人になるだけでなく、年代の異なる人物同士が相続人になることも多いです。
その結果、遺産分割協議がまとまりにくくトラブルに発展してしまうこともあるでしょう。

亡くなった人の配偶者および甥・姪が相続人となるケース

例えば、上記のケースでは自分の父が相続発生時に死亡しているため、代襲相続が発生し自分と叔母が相続人になります。
叔母と自分では年齢差があり、故人に関する感情や抱えている事情も異なり、遺産分割協議が難航する恐れがあるでしょう。

1-3 代襲相続人が親族間の事情を考えず権利を主張する

代襲相続人が他の相続人や親族の事情を一切考慮せずに権利のみを主張し、トラブルに発展してしまうケースもあります。
相続人ごとの相続割合は法律によって決められてはいるものの、実際には相続人や遺産の状況によって相続人同士の話し合いで決めることも多いからです。

例えば、下記のような事情もあるでしょう。

  • 長男が家を引き継ぐと決定していた
  • 親の面倒を看ていた長女が多く遺産を取得すると、介護を始める際に兄弟間で話し合っていた
  • 不動産は近くに住んでいる人が相続すると考えていた

上記について、家族や兄弟姉妹間で取り決めていたものの文書化していない場合、代襲相続人が反発し自分の取り分を主張してくる可能性もあります。
結果として、遺産分割協議がまとまらず相続手続きが完了するまでに時間がかかる、場合によっては調停や審判に発展する可能性もゼロではありません。

1-4 代襲相続人が相続手続きに協力してくれない

代襲相続人が亡くなった人や他の相続人と疎遠であり、相続手続きに協力してくれないケースもあり得ます。
代襲相続人からしたら「突然、自分が相続人になったと言われても困る……」と感じることもあるでしょう。

他には「自分は遺産なんていらないから、手続きも関わらなくてよいや」と考え、相続人からの連絡に返事をしない代襲相続人もいます。
しかし、亡くなった人が遺言書を用意していなかった場合は、代襲相続人含む相続人全員で遺産分割方法について話し合わなければなりません。

結果として、代襲相続人が相続手続きに協力してくれないと、他の相続人も遺産を受け取るのがどんどん遅れてしまいます。

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1-5 代襲相続人に相続させないために財産を隠される

他の相続人が代襲相続人に遺産を相続させないように、亡くなった人の財産を隠す場合があります。
代襲相続人は亡くなった人と関係が薄い場合もあるので、故人とより関係が近しい相続人に遺産を隠されてしまうと遺産隠しの事実にそもそも気付けない恐れもあるでしょう。

そのため、遺産隠しに気付けず不公平な遺産分割に合意してしまう、もしくは遺産隠しに気付き遺産分割調停や審判に発展する可能性もあります。

1-6 代襲相続人が亡くなった人の借金を相続してしまう

亡くなった人が借金を遺していた場合、代襲相続人が亡くなった人の借金を相続する可能性もゼロではありません。
代襲相続人は亡くなった人のプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も相続してしまうからです。

代襲相続人は亡くなった人との関係性が薄い場合もあるため、相続財産調査を漏れなく行うのが難しい場合もあります。
相続財産調査に漏れがあり借金に気付かないまま時間を過ぎてしまうと、遺産を受け取り使用してしまう、相続放棄の期限を過ぎてしまう恐れもあるのでご注意ください。

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2章 代襲相続でトラブルになったときの対処法

代襲相続時にトラブルが発生した場合、まずは相続人同士で丁寧に話し合うことが重要です。
当事者同士の話し合いで解決できない場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談する、調停や審判を行うことも検討しましょう。

代襲相続でトラブルになったときの対処法は、主に下記の通りです。

  • 代襲相続人も正当な相続権を持つ人物であると理解する
  • 代襲相続人にも家族や遺産についての状況を理解してもらう
  • 安易に遺産分割協議書にサインをしない
  • 相続に詳しい司法書士・弁護士に相談する
  • 遺産分割調停・審判を起こす

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 代襲相続人も正当な相続権を持つ人物であると理解する

まずは代襲相続人も他の相続人と同様に、正当な相続権を持つ人物であることを理解しましょう。
突然、亡くなった人の孫や甥・姪が代襲相続人になった場合、他の相続人の中には戸惑ってしまう人もいるかもしれません。

「まだ若いんだから遺産を受け取る必要はない」

「孫(甥・姪)が自分たちの遺産の取り分に口を出してくるなんて」

こんな風に思ってしまうかもしれませんが、代襲相続人も自分たちと同じように相続権を持つ人物です。
このような感情をまずは失くし、相続人全員が合意する遺産分割について話し合いを進めましょう。

2-2 代襲相続人にも家族や遺産についての状況を理解してもらう

代襲相続人以外の相続人が代襲相続人に対して理解を示すように、代襲相続人も他の相続人の状況や遺産についての状況を理解しましょう。
確かに法律上は、代襲相続人も他の相続人同様に遺産を受け継ぐ権利が認められています。

しかし、実際には相続人の1人が長年にわたり故人の介護をしていて、その相続人が遺産を多く受け取ることに残りの相続人が合意しているケースもあるでしょう。
他には、亡くなった人が事業を営んでおり、後継者である相続人が自社株を相続しなければならないケースなども考えられます。

こういった事情を理解すれば、代襲相続人と他の相続人の間で遺産分割についての合意が成立しやすくなるはずです。

2-3 安易に遺産分割協議書にサインをしない

代襲相続人の中には「後はこっちで手続きしておくから、とりあえず遺産分割協議書にサインして」と言われることがあるかもしれません。
しかし、言われるがまま遺産分割協議書に署名や押印をするのはやめましょう。

一度でも遺産分割協議書に署名・押印してしまうと、後から内容をなかったことにするのは非常に難しいからです。
例えば、相続人の1人が遺産隠しをしているのが疑われるケースや遺産分割内容について少しでも納得できないことがある場合は、署名や押印をするのは避けましょう。

遺産分割協議書の内容に不審な点や疑問点がある場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に間に立ってもらいアドバイスをもらうのもおすすめです。

2-4 相続に詳しい司法書士・弁護士に相談する

代襲相続人と他の相続人による話し合いでは、遺産分割協議や相続手続きが進まない場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談することもご検討ください。
相続に詳しい専門家であれば、相続人や遺産の状況に合った遺産分割内容を提案できますし、その後の相続手続きも代行できるからです。

特に、司法書士であれば弁護士と異なり、相続トラブルが発生する前に中立的な立場でアドバイスできるのが強みです。
相続手続きが完了した後も、家族や親族と良好な関係を築きたいのであれば、弁護士ではなく司法書士に相談することを検討しても良いでしょう。

例えば、相続人と代襲相続人がそれぞれ遠方に住んでいるケースなどでは、専門家に依頼すれば相続手続きの手間や時間を減らせます。

2-5 遺産分割調停・審判を起こす

相続人同士の話し合いでは解決できなかった場合、遺産分割調停や審判を行うことも可能です。

遺産分割調停とは、相続人全員が参加し、相続財産の分け方を決定するための裁判所の手続きです。
相続人同士ではなく調停委員を間に話し合いを進めるため、遺産分割協議よりも話し合いが成立しやすくなります。

一方、遺産分割調停はあくまでも話し合いですので、相続人が合意しなければ審判へと手続きが進み、最終的に裁判官が遺産分割内容を決定します。
遺産分割調停や審判を行うと、場合によっては手続きが完了するまでに1年以上かかることもあるのでご注意ください。

【遺産分割調停】申立てから解決までの手続き・費用・期間を解説
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3章 代襲相続時のトラブルを回避する方法

自分の子供や兄弟姉妹など相続人にあたる人物がすでに死亡しており、代襲相続が発生することがわかっている場合は、トラブルを避けるためにあらかじめ対策しておいても良いでしょう。
例えば、遺言書を作成しておけば代襲相続人や他の相続人が遺産分割協議を行う必要はありません。

代襲相続時のトラブルを避ける方法は、主に下記の通りです。

  1. 遺産について整理し財産目録を作成しておく
  2. 遺言書を作成する
  3. 生前贈与をする
  4. 生命保険に加入する
  5. 家族信託をする

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 遺産について整理し財産目録を作成しておく

遺族が相続財産調査を行いやすくするためにも、元気なうちに自分の資産について整理し、財産目録を作成しておくと良いでしょう。
財産目録とは、自分の財産の内訳や金額を一覧にまとめたものです。

財産目録があれば、相続財産調査をスムーズに進められますし、相続人の1人が遺産隠しをすることも回避しやすくなります。
ただし、財産目録のみでは遺産の分割方法について指定することはできません。
遺産を特定の人物に受け継いでもらいたい場合や誰がどの遺産を相続するか指定しておきたい場合は、後述する相続対策を行う必要があります。

【無料ダウンロード】財産目録で相続争い防止!作成方法と記載内容を解説

3-2 遺言書を作成する

遺言書を作成すれば、自分が指定した人物に希望の遺産を相続させられます。
遺言書に書かれた内容は、原則として遺産分割協議よりも優先されるからです。

例えば、不動産や自社株など受け継いでほしい人物が決まっている場合は、遺言書を用意しておくとスムーズです。
また、遺言書を作成しておけば相続人が遺産分割協議を行う必要もなくなるので、相続手続きを進めやすくなります。

相続対策で用いられる遺言書には複数の種類がありますが、形式不備による無効リスクが少なく、原本の改ざん・紛失リスクがない公正証書遺言を作成するのがおすすめです。

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遺言書作成時には遺言執行者を選任しよう

遺言書を作成する際には、あわせて遺言執行者も選任しておきましょう。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを行う人です。

遺言執行者を選任しておけば、単独で遺産の名義変更手続きを行えますし、相続人に遺言書の内容を伝えてくれます。
遺言執行者は相続人がなることもできますが、遺言書の作成を依頼した司法書士や弁護士を選任すれば、作成時の意図や遺志も伝えてもらえます。

遺言執行者とは|誰がなれる?選任方法や仕事内容を徹底解説【完全版】

3-3 生前贈与をする

生前贈与をすれば、相続発生を待たずに希望の人物に財産を受け継いでもらえます。
祖父母から孫といった直系尊属から直系卑属への贈与であれば、贈与税の控除や特例を使える可能性もあるので、贈与税や相続税を大幅に節税することも可能です。

一方で、年間110万円を超える贈与を受けると、贈与を受け取った側に贈与税がかかる可能性もあるのでご注意ください。

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3-4 生命保険に加入する

生命保険に加入すれば、自分が亡くなったときにまとまった現金を遺せます。
生命保険金は原則として遺産分割の対象にならず、遺産分割協議や相続手続きが完了する前に受け取れるからです。

したがって、遺族の生活費や相続税の納税資金、葬儀費用などに生命保険金を充てるのも良いでしょう。
ただし、生命保険金は「みなし相続財産」に含まれるので、相続税の課税対象となります。
とはいえ、法定相続人が生命保険金を受け取った場合は「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を適用できるので、現金や預貯金で遺産を遺すよりも生命保険に加入したほうが相続税を節税できる可能性もあります。

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3-5 家族信託をする

家族信託とは

家族信託をすれば、自分が信頼する家族に財産の管理や運用、処分を任せられます。
家族信託は柔軟な財産管理を行えるのが特徴であり、相続対策や認知症対策に活用されることが多いです。

家族信託では、遺言のように自分が亡くなった後に財産を受け継ぐ人物を指定できます。
加えて、家族信託では遺言と異なり自分が亡くなった後だけでなく、次の人物が亡くなったときの財産の承継先まで指定可能です。

このように、家族信託は先祖代々受け継いできた財産がある人にも適した相続対策ですが、手続きをするには専門的な知識が必要となります。
自分たちで手続きを進めるのは現実的ではありませんので、家族信託に精通した司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。

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まとめ

代襲相続は通常の相続と異なる部分があるので、相続トラブルが起きやすい点に注意しなければなりません。
また、代襲相続人が相続財産調査を十分に行えず、亡くなった人の借金を知らないうちに相続してしまう可能性もあります。

代襲相続時にトラブルが起きてしまった場合は、まずは当事者同士で丁寧に話し合いを進める、それでも解決できない場合は司法書士や弁護士への相談を検討しましょう。

そして、本来相続人にあたる子供や兄弟姉妹がすでに死亡している場合は、代襲相続が発生することを見越して相続対策をしておくことをおすすめします。
相続対策には、遺言書の作成や生前贈与など複数の方法があるので、自分に合う方法を知りたい場合は相続に詳しい司法書士や弁護士に相談することをご検討ください。

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