相続発生時に行う年金手続き4つ|未支給年金には相続税がかかる?

相続発生時に行う年金手続き4つ|未支給年金には相続税がかかる?
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 5

家族や親族が亡くなったときには様々な手続きが必要であり、その中のひとつが故人の年金手続きです。
年金を受給している人が亡くなった場合、年金停止手続きをする必要がありますし、亡くなる前に発生していた未支給年金は遺族が受け取れます。

また、年金の申請や停止手続きだけでなく、故人の年金を受け取ったときには相続税や所得税の計算をしなければならない場合もあります。
年金手続きは種類も多く複雑なので、相続が発生したときには必要な手続きを整理して効率よく行うことが大切です。

相続時には年金手続き以外も必要になるので、相続人や相続財産の状況によっては手続きを専門家に依頼するのも良いでしょう。

本記事では、相続発生時に行う年金手続きを解説していきます。
家族や親族が亡くなったときに行う手続きは、下記の記事でも詳しく解説していきます。

【保存版】相続手続きでやるべきことまとめ!必要書類や期限も紹介

1章 相続発生後に行うべき年金手続き4つ

年金受給者が亡くなったとき、年金停止手続きや未支給年金の申請手続きが必要です。
家族や親族が亡くなったときに行う年金手続きは、主に下記の4つです。

  1. 年金停止手続き
  2. 未支給年金の申請手続き
  3. 遺族年金の申請手続き
  4. 企業年金・個人年金の手続き

それぞれ解説していきます。

1-1 年金停止手続き

年金受給者が亡くなった場合、年金の停止手続きが必要です。
年金の停止手続きは、年金事務所や年金相談センターに年金受給死亡届を提出します。

期限までに手続きを行わないと、年金の支払いが止まらず不正受給になってしまうのでご注意ください。

ただし、日本年金機構に故人のマイナンバーが登録されていた場合は、年金の停止手続きを省略可能です。
年金停止手続き方法や必要書類は、それぞれ下記の通りです。

手続き先
  • 年金事務所
  • 年金相談センター
手続き期限
  • 国民年金の場合は14日以内
  • 厚生年金の場合は10日以内
必要書類
  • 受給権者死亡届(報告書)
  • 故人の年金証書
  • 死亡の事実を明らかにできる書類(住民票除票や戸籍抄本、死亡診断書など)

1-2 未支給年金の申請手続き

年金受給者の死亡により年金は支給停止されますが、支給日前に亡くなり受け取れなかった年金に関しては家族や遺族が受給できます。
ただし、未支給年金は家族や遺族に自動的に支給されるわけではなく、申請手続きをしなければなりません。

未支給年金を受給するには故人と生活を共にしている必要があり、受け取れる人物の優先順位も下記のように決められています。

  1. 配偶者
  2. 子供
  3. 両親
  4. 祖父母
  5. 兄弟姉妹
  6. それ以外の三親等内の親族

未支給年金の申請手続き方法および必要書類は、下記の通りです。

手続き先
  • 年金事務所
  • 年金相談センター
手続き期限年金受給権者の年金支払い日の翌月初日から5年以内
必要書類
  • 未支給年金・未支払給付金請求書
  • 故人の年金証書
  • 故人と請求する人の続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
  • 故人と請求を同じくしていたことがわかる書類(故人の住民票の除票および請求者の世帯全員の住民票の写し)
  • 受け取り用の金融機関の通帳
  • 生計同一関係に関する申立書(故人と請求者がべ世帯の場合)

なお、未支給年金・未支払給付金請求書は「受給権者死亡届(報告書)」複写式になっているため、提出すれば未支給年金の申請手続きと年金停止手続きを同時に行えます。

1-3 遺族年金の申請手続き

家計を支えていた人物が亡くなった場合、遺された家族は遺族年金を受け取れる場合があります。
遺族年金も未支給年金同様に申請手続きを行わないと、支給されることはありません。

遺族年金には①遺族基礎年金と②遺族厚生年金があり、それぞれの申請方法および必要書類は下記の通りです。

遺族基礎年金
支給対象者亡くなった人に生計を維持されていた下記の遺族

  • 子供のいる配偶者
  • 子供(18歳になる年度の3月31日を経過していない)
手続き先
  • 住所地の市区町村役場
  • 年金事務所・年金相談センター(死亡日が国民年金第3号被保険者期間中の場合)
必要書類
  • 年金請求書
  • 年金手帳
  • 戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 亡くなった人の住民票の除票
  • 請求者の収入を確認できる書類
  • 子の収入を確認できる書類
  • 死亡診断書のコピーもしくは死亡届の記載事項証明書
  • 受取先金融機関の通帳など(本人名義)
    など
遺族厚生年金
支給対象者亡くなった人に生計を維持されていた下記の遺族のうち最も優先順位の高い人物

  • 子(18歳になる年度の3月31日を経過していない)
  • 夫(妻の死亡時点で55歳以上)
  • 父母(子の死亡時点で55歳以上)
  • 孫(18歳になる年度の3月31日を経過していない)
  • 祖父母(孫の死亡時点で55歳以上)
手続き先
  • 年金事務所
  • 年金相談センター
必要書類
  • 年金請求書
  • 年金手帳
  • 戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 請求者の収入を確認できる書類
  • 子の収入を確認できる書類
  • 死亡診断書のコピーもしくは死亡届の記載事項証明書
  • 受取先金融機関の通帳など(本人名義)
    など
遺族厚生年金とは?受給資格や金額・手続き方法や必要書類について

1-4 企業年金・個人年金の手続き

年金受給者が勤務していた企業が確定給付企業年金や企業型確定拠出年金などの企業年金に加入していた際には、遺された家族に一時金や未支給年金が支払われる場合があります。
また、故人が保険料を支払い個人年金に加入していた場合も遺族がお金を受け取れる可能性があります。

故人が企業年金を受け取っていた場合や個人年金に加入していた場合は、加入先の団体や機関に連絡して手続きをすませましょう。

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2章 相続税における年金の取り扱い

故人の未支給年金を受け取った場合は、年金の種類によって相続税がかかる場合があります。
一方で、遺族年金に関しては種類を問わず、相続税や所得税はかかりません。

年金と相続税の関係は、それぞれ下記の通りです。

  1. 公的年金の未支給年金には相続税がかからない
  2. 企業年金の未支給年金には相続税がかかる
  3. 個人年金の未支給年金には相続税がかかる
  4. 遺族年金には相続税・所得税がかからない

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 公的年金の未支給年金には相続税がかからない

未支給年金は相続財産には分類されないため、相続税がかかりません。
未支給年金は故人の財産ではなく、遺された家族の生活保障を目的として行われると考えられているからです。

そのため、未支給年金を受け取っても相続税はかかりませんが、受け取った人の一時所得に分類されます。

2-2 企業年金の未支給年金には相続税がかかる

企業年金を受給していた人が亡くなって未支給年金が支給された場合、企業年金の未支給年金に関しては相続税がかかります。
企業年金の支払い機関と契約していたのはあくまでも故人であり、未支給年金を受け取る遺族は企業年金の受給権を相続すると考えられるからです。

死亡退職金の支給と異なり、企業年金の未支給年金に関しては相続税の非課税枠がないことにも注意しなければなりません。

2-3 個人年金の未支給年金には相続税がかかる

亡くなった人が個人年金に加入していて遺族が未支給年金を受け取った場合、未支給年金に対しては相続税がかかります。
企業年金と同様に、個人年金も相続人とではなく故人と契約を結んでいたと考えられるからです。

遺された家族の相続税負担が重くならないように、個人年金の未支給年金がいくらになるのか相続税がいくらになりそうかも計算しておくと良いでしょう。

相続税の計算方法を詳しく解説【自分で相続税を計算しよう!】

2-4 遺族年金には相続税・所得税がかからない

生計を維持していた人が亡くなり、遺された家族に遺族年金が支給された場合、遺族年金には相続税も所得税も課税されません。

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まとめ

年金受給者が亡くなった場合、年金の停止手続きや未支給年金の申請手続きが必要です。
特に、年金の停止手続きは国民年金の場合は14日以内、厚生年金は10日以内と期限が短いのでご注意ください。

年金は手続きをしないと停止や未支給年金、遺族年金が支給されないので忘れずに手続きを行いましょう。
また、相続時には年金の手続き以外にも様々な手続きを行わなければなりません。

自分で手続きをするのが難しい場合や何から手続きを始めて良いかわからない場合は、相続を専門とする司法書士や弁護士に相談することもご検討ください。

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