直系尊属とは?直系卑属との違いや相続順位・割合をわかりやすく解説

相続でよく見る【直系尊属】とは?範囲や【直系卑属】との違いを解説
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 9
 この記事を読んでわかること

  • 直系尊属とは何か
  • 直系尊属と直系卑属の違い
  • 血族や姻族・親族とは何か
  • 直系尊属の相続順位・相続割合

「直系尊属」とは、直系血族かつ存続に属する人たちであり、父親や母親、祖父母などが直系尊属にあたります。
相続において、直系尊属は相続順位2位であり、亡くなった人に子供や孫がいない場合は相続人になる可能性があると理解しておきましょう。

また、贈与税の控除や特例の中には直系尊属から直系卑属への贈与に使えるものもいくつかあります。

本記事では、直系尊属とは誰か、直系卑属とに違いや相続に関係する「血族」「姻族」「親族」についてわかりやすく解説していきます。


1章 直系尊属とは

直系尊属の範囲

直系尊属とは、直系血族かつ、尊属に属する人たちを指します。
父親や母親、祖父母などが直系尊属であり、上記のイラストのうち、赤い枠で囲んだ部分が「直系尊属」です。

なお「直系尊属はどこまで遡れるのか?」といった疑問を持つ人もいますが、法律上は自分の6代上までが直系尊属と呼ばれます。

そして、直系尊属は実の両親や祖父母だけでなく、養子縁組により親子関係が生じた養親や養祖父母も含まれます。
一方、下記の人物は直系尊属ではありません。

  • 兄弟姉妹や甥・姪
  • 配偶者の両親や祖父母

続いて「直系血族」「尊属」について詳しく見ていきましょう。

1-1 直系血族

直系血族・傍系血族の範囲

直系とは、血族のうち、縦のラインに繋がった人たちのことで、正式には「直系血族」といいます。(血族について詳しくは後述します。)
具体的には、直系血族とは両親や祖父母、子供や孫が該当します。

なお、直系血族と対比する言葉に「傍系血族」があります。
直系血族が縦のつながりなのに対し、傍系血族は横に繋がる人が属します。

上記のイラストからも分かるように、兄弟姉妹や甥・姪は横のつながりとなり「傍系血族」として扱われます。

1-2 直系尊属

直系尊属と卑属

尊属とは、自分より上の世代の人を指します。
例えば、両親や祖父母、叔父叔母などが尊属に当たります。

なお、兄や姉は自分より年上であっても、自分と同列の世代として扱われるため尊属に含まれません。

尊属と対比する言葉に「卑属」という言葉がありますが、尊属と全くの逆で自分より下の世代の人を指します。
尊属に兄や姉が含まれないのと同様に、卑属にも弟・妹は含まれません。

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2章 直系尊属と直系卑属との違い

直系卑属の範囲

直系尊属と対比する言葉として「直系卑属」があります。
直系血族とは逆で、直系血族のうち、卑属に含まれる人を指し、子供や孫、曾孫などが該当します。


3章 直系尊属・直系卑属と間違われやすい人物

直系尊属や直系卑属という言葉は普段聞きなれない人も多く、間違えてしまいやすいのでご注意ください。
直系尊属や直系卑属と間違えやすい人物は、下記の通りです。

間違えやすい人物備考
配偶者
  • 配偶者は血のつながりがないため血族ではない
  • 法律上、配偶者は唯一無二の立場であり親族や血族ではなく「配偶者」として扱われる
兄弟姉妹
  • 兄弟姉妹は血族ではあるものの横につながる「傍系血族」である
  • 年齢差に関係なく同じ世代として扱われるので、尊属でも卑属でもない
いとこ
  • いとこも横のつながりであるため、傍系血族に含まれる
  • 兄弟姉妹同様に同世代に存在する人物であり、尊属・卑属ではない
甥・姪
  • 兄弟姉妹と同様に横につながる存在のため「傍系血族」に該当する
  • ただし、甥・姪は自分より下の世代のため、卑属に含まれ「傍系卑属」である

4章 血族・姻族・親族とは

相続の場面では「直系尊属」の他にも「血族」や「親族」「姻族」など家系を分類する言葉がいくつか登場します。
名前は似ていますが、それぞれの性質は異なり、範囲も異なりますので、違いについて把握しておきましょう。

4-1 血族

血族は、名前の通り「血のつながりがある人」です
また、血のつながりがなくても養子縁組により法律上血縁関係があるとみなされる「養子と養親」なども血族に含まれます。

血族は下記のように分類可能です。

  • 自然血族:生物学上に血のつながりのある人(実親と実子など)
  • 法定血族:生物学上血のつながりはなくても、法律上血縁関係があるとみなされる人(養親と養子など)

どれだけ関係性が遠くても、血が繋がっていれば「自然血族」となるのです。
なお、婚姻関係のない男女の間に生まれた非嫡出子を父親が認知していない場合、父親と非嫡出子は血族に含まれません。

血族について学ぼう!範囲や親族・姻族との違いを詳しく解説

4-2 姻族

姻族の範囲

姻族とは、配偶者の血族のことを指します。
配偶者の血族とは血縁関係はありませんが、結婚したことによって「姻族」として関係性を持つこととなるのです。

4-3 親族

親族とは、本人から見て6親等以内の血族と3親等以内の姻族を指します。
具体的には、以下のようになります。

【血族】

  • 1親等:父母・子
  • 2親等:祖父母・孫・兄弟姉妹
  • 3親等:曾祖父母・曾孫・おじおば・甥姪
  • 4親等:高祖父母・玄孫・祖父母の兄弟姉妹・いとこ・甥姪の子
  • 5親等:五世の祖父母・来孫・高祖父母の兄弟姉妹・祖父母の甥姪・いとこの子・甥姪の孫
  • 6親等:六世の祖父母・昆孫・高祖父母の兄弟姉妹の子・祖父母の甥姪の子 など

【姻族】

  • 1親等:義父母
  • 2親等:義祖母・義兄弟姉妹
  • 3親等:義甥姪・義叔父叔母/伯父伯母
親族の数え方マスター!○親等をイラストでわかりやすく解説

5章 直系尊属の相続順位・相続割合

「直系尊属」という言葉は、主に相続権の範囲を示すときに使われることが多いです。
相続人になれる人物および優先順位は、法律により、下記のように決められています。

“相続人の優先順位

常に相続人になる配偶者
第一順位子供や孫
第二順位両親や祖父母
第三順位兄弟姉妹や甥・姪

上記のように、直系尊属の相続順位は第二位です。
なお、相続順位が高い人物が1人でもいる場合は、順位が低い人物が相続権を持つことはありません。

したがって、亡くなった人に子供や孫がいない場合、両親や祖父母といった直系尊属が相続人になれる可能性があります。
また、相続人が遺産を受け継ぐ割合である相続割合は、相続人が誰かによって決まる仕組みです。

直系尊属が相続人になるケースおよび相続割合について詳しく見ていきましょう。

相続権とは?|法定相続人の範囲と相続割合をわかりやすく解説

5-1 亡くなった人の配偶者と直系尊属が相続人になるケース

配偶者は相続順位が設定されておらず、常に相続人となれます。
両親や祖父母といった直系尊属は相続順位2位であり、亡くなった人に子供や孫などの直系卑属が1人もいない場合は相続権を持ちます。

具体例を見てみましょう。

亡くなった人の配偶者と直系尊属が相続人になるケース

上記のイラストのケースでは、亡くなった人に子供や孫がいないため、配偶者と両親が相続人となります。
相続人ごとの相続割合についても法律で決められており、配偶者と亡くなった人の直系尊属が相続人になる場合の相続割合は、下記の通りです。

  • 配偶者:3分の2
  • 両親や祖父母(直系尊属):3分の1

上記の例の場合、両親共に存命のため3分の1の相続割合を等分し、それぞれが受け継ぐ遺産の割合は6分の1となります。

また、直系尊属は相続順位2位ですが、相続人になれるのは亡くなった人と最も近しい直系尊属のみです。
上記の例で、両親のみでなく亡くなった人の祖父母も存命だとしても、祖父母が相続権を持つことはありません。

5-2 亡くなった人の直系尊属のみが相続人になるケース

亡くなった人の直系尊属のみが相続人になるケース

亡くなった人に配偶者がおらず、子供や孫も1人もいない場合は、両親や祖父母といった直系尊属のみが相続人となります。
上記のケースでは、亡くなった人と最も近い直系尊属である両親が相続人となります。

相続人が親のみの場合は、それぞれが遺産を等分する仕組みです。
したがって、上記のイラストのように両親が存命であれば、それぞれ2分の1ずつ遺産を相続し、父親もしくは母親のどちらかのみが相続人となる場合は、すべての遺産を父親もしくは母親が受け継ぎます。


6章 直系尊属の相続について注意すべきこと

本記事で何度か解説していますが、亡くなった人の子供や孫など直系卑属が1人でもいると、直系尊属は相続権を持つことはできません。
一方で、亡くなった人の子供全員が相続放棄すると次の相続順位である直系尊属に相続権が移ります。

直系尊属が相続人になるときの注意点は、主に下記の通りです。

  1. 亡くなった人に直系卑属が1人でもいると直系尊属は相続人になれない
  2. 亡くなった人の子供全員が相続放棄すると直系尊属へ相続権が移る
  3. 直系尊属には代襲相続が発生しない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

6-1 亡くなった人に直系卑属が1人でもいると直系尊属は相続人になれない

本記事で何度か解説していますが、亡くなった人の子供や孫など直系卑属が1人でもいると、直系尊属は相続権を持つことはできません。
相続順位が高い人物が1人でもいる場合、相続順位が低い人物は相続人になることができないからです。

なお、相続発生時に相続人である子供がすでに死亡している場合、代襲相続が発生します。

相続発生時に相続人である子供がすでに死亡している場合

上記のようなケースでは亡くなった人の孫が代襲相続人として相続権を持つので、直系尊属に相続権が移ることはありません。

代襲相続人とは?対象の人や相続割合について徹底解説【イラスト付】

6-2 亡くなった人の子供全員が相続放棄すると直系尊属へ相続権が移る

亡くなった人の子供全員が相続放棄すると、次の相続順位である直系尊属へ相続権が移るのでご注意ください。
相続放棄をした人は、最初から相続人ではなかった扱いになるからです。

なお、相続放棄をした場合は代襲相続が発生せず、同じ相続順位の相続人全員が相続放棄をした場合、次の相続順位の相続人に相続権が移ります。
亡くなった人が多額の借金を遺していて、子供たちが相続放棄をした場合、亡くなった人の両親や祖父母も相続放棄した方が良いケースもあるのでご注意ください。

子供が相続放棄すると法定相続人は誰になる?孫も相続放棄が必要?

6-3 直系尊属には代襲相続が発生しない

直系尊属が相続人となるケースでは、代襲相続が発生しないことを理解しておきましょう。
代襲相続とは、本来相続人にあたる人物がすでに死亡している場合、その相続人の子供が代襲相続人として相続権を持つことです。

例えば、亡くなった人の子供がすでに死亡している場合は、孫が代襲相続人として遺産を受け継ぎます。
代襲相続は亡くなった人の子供や兄弟姉妹がすでに死亡している場合は、発生しますが直系尊属が死亡している場合は発生しません。

例えば、亡くなった人に配偶者や子供、孫がいないケースを考えてみましょう。
この場合、相続人になれる人物は亡くなった人と最も近い直系尊属です。

例えば、亡くなった人の母親のみが生きている場合は母親のみが相続人となり、すでに死亡している父親に対して代襲相続は発生しません。


まとめ

直系尊属とは、血族のうち、縦のラインに繋がった上の世代の人であり、両親や祖父母などが当てはまります。
注意したいのが、兄・姉、伯父・叔母など、血の繋がりがある上の世代でも直系尊属に含まれないということです。

直系尊属を含む、相続の場面で登場する似た用語については、以下のように覚えておきましょう。

直系尊属直系血族のうち、自分より上の世代
(親、祖父母など)
直系卑属直系血族のうち、自分より下の世代
(子、孫など)
血族血の繋がっている人
姻族配偶者の血族
親族血族と配偶者の血族
直系血族直接上下につながっている血族
(親、子、祖父母、孫など)
傍系血族直系から枝分かれした血族
(兄弟姉妹、叔父叔母、いとこ、甥姪など)
傍系尊属傍系血族のうち、自分より上の世代
(叔父叔母など)
傍系卑属傍系血族のうち、自分より上の世代
(甥姪など)

なお、両親や祖父母といった直系尊属が相続人になるケースは、亡くなった人に子供や孫が1人もいない場合のみです。
このように、相続に関するルールはあまり知られていないものも多く、いざ家族や親族が亡くなったときに戸惑ってしまうことも多いかもしれません。

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よくあるご質問

直系尊属とは?

直系尊属とは、両親や祖父母など直系で自分より上の世代の人物です。
▶直系尊属について詳しくはコチラ

法定相続人は誰になる?

法定相続人になる人物は、下記の通りです。
配偶者:常に相続人になる
子供(孫):第一順位
両親(祖父母):第二順位
兄弟姉妹(甥・姪):第三順位
順位が上の相続人がいる場合には、低い人物は法定相続人になれません。
▶法定相続人について詳しくはコチラ

兄弟は直系血族ですか?

血族とは名前の通り血のつながりがある人を指すので、兄弟姉妹は血族にあたります。
ただし、親子などのように縦の繋がりではなく、横の繋がりなので直系血族にはあたりません。
▶血族について詳しくはコチラ

いとこは直系尊属ですか?

直系尊属とは、直系血族のうち自分より上の世代の人を指します。
いとこは、縦のラインで繋がっていないので直系尊属にはあたりません。
▶直系尊属について詳しくはコチラ

兄弟は直系尊属ですか?

兄弟は自分と同世代にあたるので直系尊属でも直系卑属でもありません。
▶直系尊属、卑属について詳しくはコチラ

配偶者の両親や祖父母は直系尊属にあたりますか?

配偶者の両親や祖父母は、自分と血縁関係がないため姻族に該当します。
したがって、直系尊属ではありません。
しかし、婿養子などで配偶者の両親と養子縁組している場合、配偶者の両親は法定血族にあたるため直系尊属に該当します。
婿養子について詳しくはコチラ

直系尊属に代襲相続は発生しますか?

直系尊属が相続人になる場合に代襲相続は発生しません。
例えば、亡くなった人の両親が相続人となるケースで、父親がすでに死亡しており母親のみ存命の場合は、母親だけが相続人となります。

直系尊属に遺留分は認められますか?

両親や祖父母などの直系尊属には遺留分が認められます。
遺留分割合は、直系尊属のみが相続人である場合は法定相続分の3分の1が遺留分割合となり、直系尊属と配偶者が相続人の場合は法定相続分の2分の1が遺留分割合となります。
遺留分について詳しくはコチラ

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