- 遺族基礎年金とは何か
- 遺族基礎年金の受給資格
- 遺族基礎年金を受け取れる期間
- 遺族基礎年金の申請方法
遺族基礎年金とは、国民年金の被保険者が亡くなったとき、被保険者によって生計を維持されていた①子のある配偶者もしくは②子に支給される遺族年金です。
遺族基礎年金を受給するには、亡くなった人と遺族がそれぞれ受給資格を満たす必要があります。
また、遺族基礎年金は受給資格を満たしただけでは支給されず、遺族が自分で申請手続きを行う必要があるのでご注意ください。
遺族基礎年金の申請期限は「生計を維持していた人が亡くなった翌日から5年」と決められているので、早めに手続きをすませましょう。
本記事では、遺族基礎年金とは何か、受給資格や受給期間、申請方法について解説します。
家族が亡くなったときには、遺族基礎年金の申請以外にも様々な手続きが必要です。
家族や親族が亡くなったときの相続手続きの流れは、下記の記事で詳しく解説しているのであわせてお読みください。
目次
1章 遺族基礎年金とは
遺族基礎年金とは、国民年金の被保険者が亡くなったとき、被保険者によって生計を維持されていた①子のある配偶者もしくは②子に支給される遺族年金です。
例えば、自営業者が亡くなった場合、18歳未満を子のいる配偶者は遺族基礎年金を受給できる可能性があります。
なお、日本の年金制度は2階建てになっており、国民年金は日本在住の20歳から60歳までの人が全員加入しています。
したがって、会社勤めをしていた人が亡くなった場合も、受給資格を満たせば遺族基礎年金を受給可能です。
加えて、会社員や公務員が亡くなった場合、遺族は遺族基礎年金に加え遺族厚生年金を受給できる可能性もあります。
遺族厚生年金については、下記の記事で詳しく解説しているので合わせてお読みください。
1-1 寡婦年金とは
自営業者や農業者など国民年金の第1号被保険者の夫が亡くなった場合、遺された妻が60歳から65歳の間は寡婦年金を受け取り可能です。
寡婦年金を受け取るには、亡くなった夫が死亡日前日まで国民年金の第1号被保険者として保険料納付期間(保険料免除期間を含む)が10年以上あることが条件となります。
また、寡婦年金は遺された妻が60歳から65歳の間に受け取れる年金であり、遺された配偶者が夫である場合には寡婦年金は支給されません。
加えて、寡婦年金は自営業者の妻が、自分の老齢基礎年金を受給するまでの期間の生活を保障するための制度ですので、妻が老齢基礎年金を繰り上げ受給している場合は寡婦年金は支給されない点にも注意しなければなりません。
2章 遺族基礎年金の受給資格
亡くなった人の家族が遺族基礎年金を受給するには、亡くなった人と遺族がそれぞれ受給資格を満たさなければなりません。
亡くなった人と遺族の受給資格をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1 亡くなった人の受給資格
遺族基礎年金は亡くなった人が国民年金の被保険者だったときに受給できます。
そのため、遺族基礎年金を受給するには、下記のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に住所を有していた人が死亡したとき
- 老齢基礎年金の受給権者であった人が死亡したとき
- 老齢基礎年金の受給資格を満たした人が死亡したとき
上記のように、遺族基礎年金はすでに年金を受給している人が亡くなった場合も、受け取れる可能性があります。
年金受給者が死亡したときの遺族年金の取り扱いについては、下記の記事で詳しく紹介しています。
2-2 遺族の受給資格
遺族基礎年金を受給できるのは、亡くなった人に生計を維持されていた①子のある配偶者および②子供です。
子供とは、下記の条件のいずれかに当てはまる人物をさします。
- 18歳になった年度の3月31日までにある人
- 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人
上記のように、子供の年齢によっては、夫もしくは妻が亡くなっても遺族基礎年金を受給できない恐れがあるのでご注意ください。
また、遺族基礎年金を子のある配偶者が受け取っている間、子が年金を受給している母もしくは父と生計を一にしている場合は、子供に対して遺族基礎年金が支給されることはありません。
3章 遺族基礎年金がもらえるのはいつまで?
遺族基礎年金は、子供が18歳に到達する年度末まで受け取り可能です。
なお、障害等級2級以上の子供がいる場合は、子供の年齢が20歳を超えるまで受給できます。
4章 遺族年金はいくらもらえる?
遺族基礎年金の支給額は、①基本額と②加算額の合計額によって決まります。
基本額は、下記の通りです。
受給者 | 基本額 |
子供のいる配偶者(67歳以下) | 79万5,000円 |
子供のいる配偶者(68歳以上) | 79万2,600円 |
子供 | 79万5,000円 |
そして加算額は子供の人数に応じて、下記の金額が支給されます。
受給額 | 加算額 |
子供のいる配偶者 |
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子供 |
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遺族基礎年金は、亡くなった人ではなく遺族に対して支払われるものなので、相続税の課税対象とはなりません。
また、法律により遺族基礎年金には所得税・住民税がかからないと決められています。
5章 遺族基礎年金の申請方法・必要書類
遺族基礎年金は受給資格を満たしたら自動で支給されるわけではなく、遺族が自分で申請手続きを行う必要があります。
遺族基礎年金の申請方法および必要書類は、下記の通りです。
支給対象者 | 亡くなった人に生計を維持されていた下記の遺族
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手続き先 |
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必要書類 |
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なお、遺族基礎年金の申請期限は「生計を維持していた人が亡くなった翌日から5年」と決められているのでご注意ください。
年金を受け取る権利である「基本権」は5年で時効を迎えてしまうからです。
5年以内に遺族基礎年金の申請手続きを行えば、これまで受け取れていなかった未支給分に関してもさかのぼって請求可能です。
また期限内に遺族年金の手続きが難しい際には、理由を書面で記載し申立て手続きをすれば時効が消滅せず手続き期限が延びる場合もあります。
まとめ
遺族基礎年金とは、国民年金の被保険者が亡くなったときに子供のいる配偶者もしくは子供が受給できる年金です。
子供の年齢が小さいうちに、妻もしくは夫が亡くなった場合は遺族基礎年金を受給できないか確認してみましょう。
遺族基礎年金の金額は、基本額と加算額の合計によって決まり、子供が1人いる配偶者であれば年間100万円程度です。
現実的な話をすれば、遺族基礎年金のみでは遺された家族の生活費を賄うことは難しいため、早めに相続手続きをすませ遺産の名義変更を行うことをおすすめします。
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