「遺言書は何歳以上から作成できるのか」「早いうちに遺言書を作成しておいた方が良いのか」とお悩みの人もいるのではないでしょうか。
遺言書は15歳以上であれば、作成可能です。
また、作成できる年齢下限は15歳以上ですが、年齢上限は特に決められていません。
ただし、認知症などで判断能力を失うと遺言書を作成できなくなってしまいます。
そのため、相続対策として遺言書の作成を考えている人は、早いうちから計画や行動し始めるのが良いでしょう。
本記事では、遺言書を作成できる年齢や早いうちに遺言書を作成するメリットについて解説していきます。
遺言書を作成すべき理由については、下記の記事でも詳しく解説しています。
目次
1章 遺言書を書けるのは何歳以上?
法律では15歳以上であれば、遺言書を作成できると決められています。
遺言書は法律手続きのひとつではありますが、未成年者でも15歳以上であれば法定代理人の同意が必要なく遺言書を作成可能です。
2章 遺言書の作成年齢に上限はない
遺言書の作成年齢の下限が15歳以上と決められている一方で、上限年齢は特に決められていません。
ただし、高齢になって認知症などで判断能力を失ってしまうと、遺言書の作成ができなくなるのでご注意ください。
3章 遺言書の作成依頼が多いのは70代以上
遺言書を作成するタイミングとしては「相続対策の必要性を感じた」「老いてきて身辺整理を始めた」などが多いです。
そのため、グリーン司法書士法人でも70代以上の人が遺言書の作成依頼に多く訪れます。
ただ、近年では子供がいない40〜50代の夫婦なども遺言書の作成の相談に来られます。
認知症や不慮の事故による障害などで判断能力を失うと遺言書の作成はできなくなってしまいますし、自分が死ぬタイミングは誰にも予測できません。
遺された家族に財産を受け継ぐ、相続手続きの負担を減らすためにも遺言書の準備は早めにしておきましょう。
次の章では、遺言書を早めに作成しておくべき理由を紹介していきます。
4章 早いうちに遺言書を作成すべき理由4つ
遺言書は早い段階で作成しても効力を失うわけではなく、何度でも作り直し可能です。
遺言書を何かあったときの保険として考えるのであれば、作成タイミングは早ければ早い方が良いでしょう。
遺言書を早いうちに作成すべき理由は、以下の4つです。
- 認知症で判断能力を失うと遺言書は作れない
- 遺言書は何度でも作り直せる
- 様々な状況に対応できる遺言書も作成できる
- 遺言書に記載した財産も自由に使って問題ない
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 認知症で判断能力を失うと遺言書は作れない
本記事の2章で解説したように、認知症などで判断能力を失うと遺言書の作成はできなくなってしまいます。
遺言書以外の生前贈与や家族信託といった相続対策もすべてできなくなるので、相続対策を考えるのであれば早い段階から行動に移しておくのがおすすめです。
相続対策には遺言書の作成をはじめとして様々な選択肢があります。
自分の希望や資産状況に合う相続対策を選ぶのは難しいので、相続に詳しい司法書士や弁護士などの専門家への相談もご検討ください。
4-2 遺言書は何度でも作り直せる
遺言書は一度作っても何度でも作り直し可能です。
「まだ老後のことがはっきりしないから遺言書を作れない」と考えている人は、現時点での遺言書を作成し、将来的に作り直しても良いでしょう。
なお、複数回にわたり遺言書を作成した場合には、最新のものが効力を持ちます。
4-3 様々な状況に対応できる遺言書も作成できる
遺言書は書き方を工夫すれば、相続財産や相続人の状況に変化があっても対応可能です。
例えば、「全財産を妻に相続させる」といった文言で遺言書を作成すれば、相続財産に変化があっても対応できます。
他にも遺言書に予備的な内容を設定しておけば、相続の発生する順番が予想と違っても問題ありません。
例えば、妻に全財産を相続させる内容の遺言書を作成した場合には、予備的な内容として妻が自分より先に亡くなった場合の内容も記載しておけます。
予備的な遺言を設定しておかないと、せっかく遺言書を作成したにもかかわらず、遺言内容に意味がなくなってしまい自分が希望する相続を実現できなくなってしまう恐れがあります。
自分の意図しない遺産分割が行われるのを防ぐ、遺された家族の負担を少しでも軽減するためにも、公正証書遺言作成時には予備的な内容を定めておきましょう。
4-4 遺言書に記載した財産も自由に使って問題ない
「遺言書に書いた財産は使用できない」「まだ老後の生活に預貯金を使うから、遺言書を作成できない」とお悩みの人がいますが、遺言書に記載した財産に関しても生前自由に使用できます。
老後の生活の見通しが立たない段階で遺言書を作成し、記載された財産を使用したとしても遺言書が無効になることはないのでご安心ください。
5章 【種類別】遺言書の作成方法
最後に遺言書の作成方法を紹介していきます。
相続対策で用いられる遺言書は、主に自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類です。
自筆証書遺言は自分で作成できるので費用がかからない一方で、紛失や改ざんの恐れがあります。
公正証書遺言は原本を公証役場で保管するので、紛失や改ざんリスクがない一方で作成時には費用がかかります。
それぞれの遺言書の違いや作成方法について確認していきましょう。
5-1 自筆証書遺言
自筆証書遺言とは遺言者が全て手書きする形式の遺言書であり、作成するメリットとデメリットはそれぞれ下記の通りです。
メリット | デメリット |
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自筆証書遺言の作成がおすすめな人は、遺言書の作成に費用をかけたくない人です。
一方で、少しでも信頼性が高い遺言書を作成したい人は公正証書遺言の作成が向いています。
自筆証書遺言を作成する流れは、下記の通りです。
- 自分が所有している財産を把握する
- 財産を特定できる資料を用意する
- 「何を誰にどれくらい相続させるのか」を決める
- 遺言を書く
- 遺言書を封筒に入れて封印する
自筆証書遺言については、下記の記事で詳しく解説しています。
5-2 公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人に作成してもらい公証役場にて原本を保管する遺言書です。
公証人が遺言書を作成するので形式の不備が少ない点や原本を公証役場で保管するので紛失や改ざんのリスクがない特徴があります。メリットとデメリットは、下記の通りです。
メリット | デメリット |
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公正証書遺言作成時には、公証役場に支払う手数料として4~10万円、専門家に遺言書作成を依頼した場合には追加で8~20万円程度の報酬がかかります。
これらの費用負担をしてでも信頼できる遺言書を作成したい場合には、公正証書遺言の作成がおすすめです。
公正証書遺言を作成する流れは、下記の通りです。
- 遺言の内容として「何を誰にどのくらい相続させるのか」を決める
- 最寄りの公証人役場を探し、面談日時の予約をする
- 遺言者本人が公証人役場へ必要書類を持参し、公証人へ遺言の内容を伝える
- 遺言作成の日時を予約する
- 公証人が証人2名の前で遺言者の本人確認を行い、用意していた遺言書の原案を読み上げる
- 内容に間違いがなければ、遺言者本人が遺言書の原案に署名押印する
- 続いて証人2名、公証人が遺言書の原案に署名押印する
- こちらで保管しておく公正証書遺言書(正本・謄本)を受け取る
まとめ
遺言書は15歳以上であれば法定代理人の同意なく作成可能です。
また、遺言書を作成する年齢に上限はありませんが、高齢になり認知症等で判断能力を失ってしまうと、遺言書を作成できなくなってしまいます。
認知症や不慮の事故などのリスクに備えるためにも、早い段階から遺言書を作成しておくと良いでしょう。
遺言書は何度でも作り直せますし、記載内容によっては相続人や相続財産の状況が変わっても対応できる柔軟な遺言書を作成できます。
自分で様々な相続に対応できる遺言書の内容を考え作成するのは難しいので、相続に詳しい司法書士や弁護士などに相談するのが良いでしょう。
グリーン司法書士法人では、遺言書作成に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
遺言は何歳から書ける?
遺言書は15歳以上であれば、作成可能です。
また、作成できる年齢下限は15歳以上ですが、年齢上限は特に決められていません。
▶遺言書を書ける年齢について詳しくはコチラ遺言書は何歳から書く人が多い?
遺言書を作成するタイミングとしては「相続対策の必要性を感じた」「老いてきて身辺整理を始めた」などが多いです。
そのため、グリーン司法書士法人でも70代以上の人が遺言書の作成依頼に多く訪れます。
▶遺言書を書く年齢について詳しくはコチラ