家族信託に公正証書が必要な理由|公正証書の必要性や作成手順を解説

将来の財産管理のために、家族信託を検討している方は多いのではないでしょうか。

家族信託は、家族内で信託契約を行い、契約内容にもとづいて受託者が委託者の財産の管理・処分を行います。家族信託を行う際は「信託契約書」を作成します

契約書というと、契約内容を書面にまとめ押印・署名したものを想像する方が多いかと思いますが、家族信託における信託契約書については公証人によって作成される「公正証書」によるのが一般的です。

とはいえ、公正証書に必ずしなければいけないという訳ではありません。

では、なぜ公正証書は必要なのでしょうか?

この記事では

  • 家族信託における公正証書の必要性
  • 公正証書を作成するメリット・デメリット
  • 公正証書作成の手順
  • 公正証書作成の費用

について解説します。


1章 家族信託には公正証書が有効

家族信託は、家族間で契約を交わして財産管理を託すものなので、契約内容をまとめた信託契約書が必要です。

家族信託図

この信託契約書は、契約に合意していることが明らかであれば形式はなんでもいいとされています。

しかし、将来契約書を失くしてしまったり、内容について齟齬が出てきたりと、何が起こるかは分かりません。

また、高額な財産管理を託す場合には、金銭トラブルになる可能性もあります。

そういったことを回避するために、公正証書の作成は非常に有効です。

なぜなら、公正証書は公証人という法律家のもとで作成されるため、信用性の高い契約書となり、当事者の誰かが契約違反をしたとしても、正当に対抗することができるからです。

また、当人たちには正本や謄本だけが渡されますが、公正証書の原本は公証役場で保管されているため、万が一紛失してしまっても再発行することが可能です。

このようなことから、家族信託には公正証書による信託契約書が必要と言えます。


2章 家族信託で公正証書を作成するメリット・デメリット

ここでは、家族信託で公正証書を作成するメリット・デメリットについて解説します。

2-1 メリット

メリット① 高い証拠能力があるためトラブルを回避できる

信頼できる家族であっても、誰かが契約違反をして財産を使い込んだり、委託者の不利益となる運用をしたりするなど、トラブルが生じる可能性があります。

また、委託者が高齢者の場合、後から意思能力が問題になることも少なくなく、そのような心配が低減します。

その際、契約書をもとに争うこととなりますが、当事者同士で作成・保管した契約書では、後から偽造や加筆される可能性はゼロではありません。

その点、公正証書であれば、原本は公証役場に保管されているため、偽造や加筆される可能性はありません。

また、公証人という法律家が作成しているため、信用性が高く、争いになった際にも有効な証拠として示すことが可能です。

メリット② 原本を公証役場に保管してもらえる

公正証書の原本は公証役場に保管され、当事者たちには正本や謄本だけが渡されます。

そのため、万が一紛失してしまっても再発行してもらうことが可能です。

メリット③ 信託口口座が作成しやすい

信託口口座とは、家族信託で預けたお金を管理・運用するための口座で、一般的な普通口座とは異なります。信託口口座では「委託者○○受託者△△信託口」など委託者と受託者の連名となります。

信託財産のローンを支払っている場合や、信託財産を担保に借入をする場合には便利ですので、一部の方は信託口口座を選択することがあるでしょう。

信託口口座を作成するには、信託契約書を公正証書とすることを条件としている金融機関がほとんどです。

信託口口座の作成を検討しているなら、公正証書で作成するのがよいでしょう。

信託口口座の作成方法についてはこちら

2-2 デメリット

デメリット① 公証人とのやり取りの手間がかかる

公正証書を作成するには、公証人と事前に綿密な打ち合わせを行い、作成する当日には公証人のもとで本人確認を行い作成します。

当事者たちだけで作成できる通常の契約書にくらべると手間と時間がかかるでしょう。

なお、司法書士などの専門家に依頼をすると、事前の打ち合わせを代わりに行ってもらうことができるため手間を省くことができます。

デメリット② 作成の費用がかかる

公正証書の作成には、信託財産の評価額によって、作成費用がかかります。

詳しい費用については後述しますが、例えば信託財産の評価額が5,000万円の場合は3〜5万円程度となります。

“リスクに比べればデメリットは大きな問題ではない!”

「手間がかかる」「費用がかかる」といったデメリットはありますが、将来生じるかもしれないリスクに比べれば大きな問題ではありません。

少し大変かもしれませんが、「公正証書を作成しないデメリット」と考えると、公正証書は作成すべきと言えます。


3章 家族信託の公正証書を作成する手順

ここからは、公正証書を作成する手順について解説します。

公正証書の作成は司法書士などの専門家に依頼することもできますので、専門家に依頼した場合の手順についても併せて見ていきましょう。

3-1 自身で公証役場に依頼する場合

自身で公証役場に依頼する際の手順は以下のとおりです。

STEP① 契約内容を決める

  • どの財産を信託するのか
  • 誰を受託者とするのか
  • どのような信託内容にするのか

などを、家族で話し合い、契約内容を決定します。

STEP② 最寄りの公証役場を探し、面談の日時を予約する

お近くの公証役場を探し、電話などで最初の面談の日時を予約しましょう。

公証役場は全国の市区町村にあるわけではないので注意してください。

また、公証人としても事前に内容を確認しておく必要があるので、資料や契約書案の提出を求められます。

STEP③ 予約した日時に公証役場へ行く

あらかじめ予約した日に、公証役場へ行きましょう。

この日に契約内容を公証人に伝え、契約内容に問題がないかなどの面談を行います。

なお、打ち合わせ時には本人確認書類と印鑑、公正証書作成の費用が必要ですので、あらかじめ準備しておきましょう。

【有効な本人確認書類】
以下のうちのいずれかを持参しましょう。

  • 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)と実印
  • 運転免許証と認印
  • パスポートと認印
  • 顔写真付きの住民基本台帳カードと認印

STEP④ 公正証書作成の日時を予約する

公正証書を実際に作成する日は面談の日とは別日になりますので、改めて公正証書作成の日時を予約します。

STEP⑤ 公正証書の作成

予約をした日に、公証役場へ行きましょう。

公証人が本人確認を行い、用意していた契約内容の原案を読み上げ、内容に問題がないかを確認します。

内容に問題がなければ、本人たちが公正証書の原案に署名・押印をし、続いて公証人が署名・押印をします。公正証書の作成にかかる費用を支払い終了です。

STEP⑥ 公正証書の正本・謄本を受け取る

作成された公正証書の原本は公証役場に保管されますので、本人たちは正本・謄本を受け取ります。

こちらで、手続きはすべて完了です。

【自身で依頼するメリット・デメリット】

  • メリット
    ・司法書士などの専門家へ支払う費用がかからない
  • デメリット
    ・公証人との打ち合わせを自身で行う必要がある
    ・自身で契約内容を考えなければいけない

【公証人は契約内容に関してアドバイスはしてくれません!】

公証人は、契約の内容が法的に問題ないかなどの確認はしてくれますが、信託の内容については提案やアドバイスしてくれません。

家族信託でトラブルを防止するためには、司法書士などの専門家に依頼し、適切なプランニングをしてもらうことをおすすめします。

3-2 専門家に依頼する場合

司法書士などの専門家に依頼する場合の流れは以下のとおりです。

STEP① 専門家を探し、初回の相談を予約する

相談する司法書士や弁護士などの専門家を探しましょう。

専門家を探す際には、家族信託の経験が豊富で精通している人かどうかを確認するのが重要です。

相談先を決めたら、初回の相談を予約します。

初回の相談料を無料としているところが多いので、実際に依頼をするかは面談をしてから決めるのも良いでしょう。

良ければこちらの記事も参考にしてください。

STEP② 専門家による信託内容の提案

専門家に家族信託で設定したい内容や希望、財産の状況などを話すと、適切な信託プランを提案してくれます。

その内容を元に、相談を重ねながら納得の行く内容に精査していきます。

STEP③ 専門家が公証人と打ち合わせをする

信託内容がまとまれば、専門家が公証人と資料を共有したり、打ち合わせを行ってくれます。

本人たちは、公証役場へ行く必要はありません。

STEP④ 公正証書の草案を確認する

専門家が作成し、公証人が確認した公正証書の草案を本人たちが確認します。

変更点や問題点がある場合は遠慮なく申し出てください。

STEP⑤ 公正証書の作成

公正証書の草案に問題がなければ、公正証書の作成日を予約し、専門家とともに公証役場へ行きます。

公証役場では、公証人が証人の前で本人確認を行い、公正証書の原案を読み上げます。

内容に問題がなければ、本人たちが公正証書の原案に署名・押印をし、続いて公証人が署名・押印をします。公正証書の作成にかかる費用を支払い終了です。 

STEP⑥ 公正証書の正本・謄本を受け取る

作成された公正証書の原本は公証役場に保管されますので、本人たちは正本・謄本を受け取ります。

専門家に1部を保管してもらうことも可能です。

これで、手続きはすべて完了です。

【司法書士に依頼するメリット・デメリット】

  • メリット
    ・本人の希望や実現したいことを的確に聞き取り、最適な信託の内容を提案してくれる
    ・公証人との煩雑な打ち合わせを司法書士が行ってくれる。
    ・信託内容を変更する場合にも引き続き相談できる
  • デメリット
    ・依頼費用がかかる

【専門家に依頼する費用について】

専門家に依頼する費用は弁護士や司法書士など業種によって費用が増減するというよりは、財産額や遺言の内容、遺言書の保管など付帯するサービスによって増減する傾向にあります。

公正証書遺言の作成を依頼した場合の目安は10万円から15万円程度です。


4章 家族信託の公正証書作成にかかる費用

家族信託の公正証書を作成する費用は以下のとおりです。

4-1 公正証書の作成費用

公正証書の作成費用は、信託財産の評価額によって異なります。

具体的な費用は以下になります。

別途、謄本費用や出張を依頼する場合は出張日当や加算項目により手数料が増額します。

信託財産の評価額費用
100万円以下5,000円
100万円〜200万円以下7,000円
200万円〜500万円以下11,000円
500万円〜1,000万円以下17,000円
1,000万円〜3,000円以下23,000円
3,000万円〜5,000万円29,000円
1億円〜3億円以下43,000円+(財産5,000万円ごとに13,000円加算)
3億円〜10億円以下95,000円+(財産5,000万円ごとに11,000円加算)
10億円以上249,000円+(財産5,000万円ごとに8,000円加算)

4-2 専門家への手続き代行費用

司法書士や弁護士などに公正証書の作成を代行した場合の相場は10~15万円程度です。

費用はかかりますが、専門家が公証人との打ち合わせから完了まで完璧にサポートしてくれるので、とても安心です。


5章 家族信託の公正証書作成は専門家への依頼がおすすめ

公正証書の作成は、公証人との打ち合わせが必要ですが、専門家に依頼をすれば打ち合わせを任せることが可能です。

また、信託契約の内容についても、依頼者の希望に合わせて適切なアドバイスをしてくれます。

公正証書を作成するのであれば、専門家に依頼するのがおすすめです。

なお、グリーン司法書士法人には、家族信託に精通した司法書士が在籍しています。

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