相続放棄は自分だけでも可能?手続きと他の相続人への影響を解説

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被相続人に借金があるなどの理由で、自分一人だけ相続放棄をしたいと考える方は少なくありません。
相続放棄は、他の相続人の同意なしに一人だけの意思で行うことが可能です。
しかし、安易に手続きを進めると、他の親族との思わぬトラブルに発展する可能性もあります。

この記事では、一人だけ相続放棄する際の手続きの流れと、他の相続人へ与える影響、そしてトラブルを避けるための注意点を解説します。


目次

自分だけの意思で相続放棄は可能?他の相続人の同意は不要

相続放棄は、各相続人が単独の意思で決定できるため、他の相続人の同意や許可は一切不要です。
相続するか放棄するかは、民法で定められた個々の相続人の権利であり、たとえ他の親族が反対していたとしても、1人の判断で家庭裁判所に申し立てることが認められています。

そのため、他の相続人と連絡が取れない場合や、意見がまとまらない状況でも、自分だけで手続きを進めることが可能です。

相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

【注意】自分だけ相続放棄した場合に他の相続人へ及ぼす影響

自分一人の判断で相続放棄の手続きはできますが、その行為が他の親族に全く影響しないわけではありません。
特に、被相続人に借金などのマイナスの財産がある場合、自分の放棄によって他の誰かがその負担を背負う可能性があります。

後のトラブルを避けるためにも、相続放棄が他の相続人にどのような影響を及ぼすのかを正確に理解しておくことが重要です。

他の共同相続人の相続分が増加する

特定の相続人が相続放棄をすると、その人は初めから相続人ではなかったとみなされます。
その結果、残りの共同相続人の法定相続分が増加します。
例えば、相続人が子ども3人で、そのうちの1人が相続放棄した場合、残りの子ども2人で被相続人の財産を相続することになります。

これは預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産についても同様です。

次の順位の親族へ相続権が移る(借金も引き継がれる)

相続放棄によって影響を受けるのは、共同相続人だけではありません。
同じ順位の相続人全員が相続放棄をした場合、相続権は次の順位の親族へと移ります。
例えば、被相続人の子ども(第1順位)が全員相続放棄すると、被相続人の父母や祖父母(第2順位)が新たな相続人になります。

もし借金がある場合、その支払い義務もそのまま次の順位の相続人に引き継がれてしまうため、注意が必要です。

相続放棄が原因で親族間トラブルに発展する可能性がある

自分だけ相続放棄したことを他の親族に伝えていなかった場合、深刻なトラブルに発展するリスクがあります。
特に、借金の存在を知らないまま相続人となった後順位の親族のもとに、ある日突然、金融機関から督促状が届くケースは少なくありません。

状況を知らされた親族は「なぜ教えてくれなかったのか」「騙された」と感じ、人間関係に修復困難な亀裂が生じる可能性があります。


トラブル回避!自分だけ相続放棄する際にやるべきこと

自分だけ相続放棄をするという決断は尊重されるべきですが、その後の親族間トラブルを避けるためには、適切な配慮と行動が求められます。
法的な義務はなくとも、他の相続人への影響を最小限に抑えるためのコミュニケーションを心がけることが、円満な関係を維持する上で非常に重要です。

相続放棄する旨を事前に他の相続人へ伝えておく

相続放棄の手続きを進める前に、まずは他の共同相続人(兄弟姉妹など)へその意思を伝えておくことが望ましいです。
伝える際には、単に「放棄する」と告げるだけでなく、借金の額が大きいなど、放棄を決断した理由も併せて説明することで、相手の理解を得やすくなります。
この一言があるだけで、後の誤解や感情的な対立を避けられる可能性が高まります。

次の順位の相続人にも連絡を入れる

自分たちが相続放棄することで、新たに相続人となる親族(祖父母や叔父叔母など)がいる場合には、その方々への連絡が極めて重要です。
相続権が移るという事実と、その方々にも「相続開始を知ってから3ヶ月以内」という相続放棄の期限があることを伝えましょう。
この連絡を怠ると、相手は知らないうちに借金を背負わされることになり、大きなトラブルの原因となります。


専門家に頼らず自分で行う相続放棄の手続きと流れ

相続放棄は、弁護士や司法書士に依頼せず、自分ですることも可能です。
家庭裁判所での手続きは、決められた手順に沿って書類を準備・提出することで進められます。
ここでは、専門家の手を借りずに自力で相続放棄を行う際の具体的なステップと流れを解説します。

手続きをスムーズに進めるため、全体の流れを把握しておきましょう。

STEP1:相続放棄に必要な費用を準備する

専門家に依頼しない場合、報酬が0円になるため費用を大幅に抑えられます。
ただし、手続き自体に手数料がかかります。
具体的には、申述人1人につき収入印紙代800円分、裁判所からの連絡用として使う郵便切手代(数百円程度)、そして必要書類である戸籍謄本などの取得費用(1通300円〜750円程度)が必要です。

これらの実費を合わせると、数千円程度の費用を見込んでおくとよいでしょう。

STEP2:戸籍謄本などの必要書類を収集する

相続放棄の申述には、複数の公的書類が必要です。
主に、被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本や住民票の除票(または戸籍の附票)、そして申述人自身の戸籍謄本が求められます。

また、相続関係を証明するために、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)が必要になる場合もあります。
これらの書類は本籍地の役所で取得するため、収集には時間がかかることもあります。

STEP3:相続放棄申述書を作成する

必要書類が揃ったら、次に「相続放棄申述書」を作成します。
申述書の書式は、裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。
書式には、被相続人の情報、申述人の情報、そして「申述の理由」を記載する欄があります。

「申述の理由」では、「債務超過のため」など、相続放棄を選択した具体的な理由を簡潔に記入します。
記入漏れや間違いがないよう、慎重に作成しましょう。

STEP4:家庭裁判所へ申し立てを行う

作成した相続放棄申述書と収集した必要書類一式を、家庭裁判所で提出します。
提出先の裁判所は、申述人の住所地ではなく「被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」です。
管轄の裁判所がどこになるかは、裁判所のウェブサイトで確認できます。

書類の提出は、裁判所の窓口へ直接持参するほか、郵送でも受け付けています。

STEP5:家庭裁判所からの照会書に回答し返送する

申述書を提出してから1〜2週間ほどで、家庭裁判所から申述人の自宅へ「照会書(回答書)」という書類が郵送されてきます。
これは、相続放棄が申述人本人の真意によるものか、遺産を処分していないかなどを確認するための質問状です。
照会書の内容に沿って事実を正直に記入し、署名・捺印の上、指定された期限内に返送してください。

STEP6:相続放棄申述受理通知書を受け取る

返送した照会書の内容に問題がなければ、家庭裁判所は相続放棄の申述を受理します。
その後、申述が正式に受理されたことを証明する「相続放棄申述受理通知書」が自宅に送付されます。
この通知書を受け取った時点で、相続放棄の手続きは完了です。

この書類は、債権者などに相続放棄した事実を証明する際に必要となるため、大切に保管してください。


自分だけで相続放棄する際に知っておくべき注意点

自分一人で相続放棄の手続きを進める際には、手続きの流れ以外にも、いくつか法的な注意点が存在します。
これらのポイントを見過ごしてしまうと、相続放棄が認められなくなったり、意図せず相続したとみなされたりするリスクがあります。
確実に相続放棄を成立させるため、以下の注意点を必ず確認しておきましょう。

相続開始を知ってから3ヶ月の期限を厳守する

相続放棄の手続きには、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という厳格な期限(熟慮期間)が定められています。
この期間を1日でも過ぎてしまうと、原則として相続放棄は認められず、単純承認した(遺産を相続した)とみなされます。
被相続人の死亡を知った日からすぐに手続きの準備を始めることが重要です。

遺産の一部でも処分すると相続放棄できなくなる

相続財産を一部でも使ったり、売却したりする行為(処分行為)を行うと、相続する意思があるとみなされ(法定単純承認)、その後に相続放棄を申し立てても受理されません。
例えば、被相続人の預貯金を引き出して自分のために使ったり、不動産の名義変更をしたりする行為がこれに該当します。
相続放棄を検討している間は、遺産には一切手を付けないように徹底してください。

遺産分割協議での「相続分なし」は法的な放棄ではない

相続人の間で行う「遺産分割協議」において、「私は一切の財産を相続しません」という内容の合意書を作成することがあります。
しかし、これは相続人どうしの内部的な取り決めに過ぎず、法的な「相続放棄」とは全く異なります。

この方法では、債権者に対して借金の支払い義務を免れることはできません。
借金を相続しないためには、必ず家庭裁判所での手続きが必要です。

相続放棄をしても財産の管理義務が残る場合がある

相続放棄をした後でも、特定の状況下では相続財産の管理義務が残ることがあります。
民法の改正により、相続放棄時にその財産を現に占有していた場合、他の相続人または相続財産清算人に財産を引き渡すまでの間、その財産を保存する義務を負います。

例えば、被相続人と同居していて空き家となった家を管理していた場合などがこれに該当します。


相続放棄に関するよくある質問

ここでは、自分だけ相続放棄を検討している方から寄せられることの多い質問とその回答をまとめました。
兄弟関係や手続きの進め方、借金の扱いなど、具体的な疑問を解消するための参考にしてください。

兄弟のうち一人だけ相続放棄することはできますか?

はい、可能です。
例えば3人兄弟の場合でも、他の兄弟の同意は不要で、自分1人の意思で相続放棄の手続きを進められます。
相続権は各相続人に個別に認められた権利であるため、他の相続人の状況に影響されることはありません。

相続放棄の手続きを他の相続人に内緒で進めても問題ないですか?

法的な手続き上は問題ありません。
他の相続人に知らせずに相続放棄の申立てを行うことは可能です。
しかし、自分が放棄することで他の共同相続人の相続分が増えたり、次順位の親族へ相続権が移ったりするため、後のトラブルを防ぐためにも事前に連絡しておくことが強く推奨されます。

相続放棄をしたら、被相続人の借金はどうなりますか?

相続放棄が正式に受理されると、初めから相続人ではなかったとみなされるため、被相続人の借金に対する支払い義務は一切なくなります。
ただし、その支払い義務が消滅するわけではなく、他の共同相続人や次順位の相続人に引き継がれることになります。

相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

まとめ

相続放棄は、他の相続人の同意を得ることなく、自分一人の意思で手続きを進めることが法的に可能です。
手続き自体も、家庭裁判所のウェブサイトなどを参考にすれば、専門家に依頼せず自力で行えます。
しかし、自分だけが放棄することで、他の共同相続人の相続分が増加したり、次順位の親族に相続権が移ったりするなど、多大な影響を及ぼすことを理解しておく必要があります。

特に借金などの負債がある場合は、知らないうちに親族がその返済義務を負うことになりかねません。
後のトラブルを回避するためには、相続放棄の意思を固めた段階で、関係する親族へ事前に連絡し、状況を説明することが極めて重要です。

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