音信不通の相続放棄|連絡が取れない親族がいる場合の期限と手続き

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長年音信不通だった親族の訃報が突然届いたり、遺産分割協議を進めたいのに連絡が取れない相続人がいたりする場合、相続手続きは複雑化します。
特に「相続放棄」を検討する際には、期限や手続きの方法について多くの不安が生じます。

この記事では、音信不通の相続人が関わるケースを2つの状況に分け、それぞれの手続きと対処法、注意点を具体的に解説します。


目次

音信不通の相続で直面する2つの代表的な状況

音信不通の相続問題は、大きく分けて2つのパターンが存在します。
一つは、遺産分割協議を行いたいのに、相続人の一部と連絡が取れず手続きが停滞してしまうケースです。
もう一つは、長年交流のなかった親族が亡くなったという知らせを受け、自身が相続人として借金などを引き継ぐリスクに直面するケースです。

どちらの状況に当てはまるかによって、必要な手続きや対処法は大きく異なります。

状況1:他の相続人が音信不通で遺産分割が進まない

遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。
そのため、相続人の中に一人でも連絡が取れない者がいると、預貯金の解約や不動産の名義変更といった手続きを一切進めることができなくなります。
他の相続人が勝手に手続きを進めても、その遺産分割協議は法的に無効とされてしまうため、行方不明の相続人を無視することはできません。

この状況では、まずその相続人の所在を調査し、法的な手続きを通じて協議に参加してもらう必要があります。

状況2:音信不通だった親族が亡くなり、自分が相続人になった

亡くなった親や兄弟など、長年音信不通だった親族の死亡を役所や債権者からの通知で初めて知るケースです。
この場合、亡くなった方の財産状況が全く分からず、プラスの財産よりも借金の方が多い可能性もあります。
相続は借金などのマイナスの財産も引き継ぐため、関わりたくない、あるいは借金を背負いたくないと考えるなら、相続放棄の手続きを検討する必要があります。

期限内に手続きをしないと、単純承認したとみなされ、すべての財産と債務を引き継ぐことになります。

相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

【自分が放棄したい方向け】音信不通だった親族の相続を放棄する手続き

疎遠だった親族が亡くなり、借金を相続するリスクを避けたい場合、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う必要があります。
たとえ亡くなった方と長年連絡を取っていなくても、法律上の相続人である限り、手続きをしなければ自動的に相続することになります。
ここでは、ご自身が相続放棄をするための具体的な手順や重要な期限について解説します。

相続放棄の期限は「自分が相続人だと知った時」から3ヶ月

相続放棄の期限(熟慮期間)は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内です。
音信不通だった場合、親族が亡くなった日(相続開始日)ではなく、死亡の事実や自分が相続人であることを知った時点から期間のカウントが始まります。

例えば、亡くなってから1年後に債権者からの通知で初めて死亡の事実を知った場合、その通知を受け取った日から3ヶ月以内であれば、相続放棄の手続きが可能です。

死亡日から3ヶ月以上過ぎていても相続放棄が認められるケース

親族の死亡日から3ヶ月が経過していても、相続放棄が認められるケースは少なくありません。
具体的には、「死亡の事実を知らなかった」「自分が相続人になることを知らなかった」「財産が全くないと信じていた」などの正当な理由がある場合です。
例えば、債権者からの督促状で初めて借金の存在と親族の死亡を知った場合などがこれに該当します。

こうした事情を家庭裁判所に説明することで、熟慮期間の起算点が死亡日ではないと判断され、申述が受理される可能性があります。

亡くなった方の財産が不明な状態でも手続きは進められる

長年音信不通であったため、亡くなった方の財産や借金の状況が全く分からないという場合でも、相続放棄の手続きは進められます。
財産の全容が不明であること自体が、相続を承認するか放棄するかを判断できない正当な理由にもなります。
相続放棄をすれば、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継ぐことがなくなるため、詳細な財産調査が困難な場合には、相続放棄を選択することが有効なリスク回避策となります。

家庭裁判所に提出する相続放棄申述書の書き方と必要書類

相続放棄は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄申述書」と必要書類を提出して行います。
申述書には、申述人(自分)と被相続人(亡くなった方)の情報、相続の開始を知った日、放棄の理由などを記載します。
必要書類は、被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本や住民票の除票、申述人自身の戸籍謄本などです。

関係性によって必要書類が異なるため、事前に裁判所のウェブサイトで確認するか、専門家に相談することが確実です。


【他の相続人が不在の方向け】連絡が取れない相続人がいる場合の対処法

遺産分割協議を進めるためには、相続人全員の参加が不可欠です。
しかし、相続人の中に連絡が取れない者がいる場合、法的な手続きを踏んで対処する必要があります。
行方不明者を無視して手続きを進めることはできず、問題の解決には段階的な対応が求められます。

ここでは、その具体的なステップについて解説します。

ステップ1:戸籍の附票を取得して現在の住所を調査する

まず、音信不通の相続人の現在の住所を調査します。
その人の本籍地が分かれば、役所で「戸籍の附票」を取得できます。
戸籍の附票には、その戸籍が作られてからの住所変更の履歴が記録されているため、現在の住民票上の住所を特定できる可能性があります。

たとえ疎遠な親族であっても、相続関係を証明できる戸籍謄本などがあれば、利害関係人として戸籍の附票を請求することが可能です。

ステップ2:現住所が判明したら内容証明郵便で連絡を取る

戸籍の附票で現住所が判明したら、その住所宛に手紙を送付します。
この際、普通郵便ではなく「内容証明郵便」を利用することをお勧めします。
内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛に差し出されたかを郵便局が証明する制度です。

相手が受け取った記録も残るため、遺産分割協議の案内を送ったという客観的な証拠になります。
それでも相手からの返信がない、あるいは受け取りを拒否された場合は、次の法的な手続きを検討します。

ステップ3:行方不明の場合は「不在者財産管理人」の選任を申し立てる

住所を調査しても居場所が分からない、または手紙を送っても応答がない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てます。
不在者財産管理人とは、行方不明者に代わってその人の財産を管理する人で、通常は弁護士や司法書士などの専門家が選任されます。

この管理人は、家庭裁判所の許可を得て、行方不明の相続人の代理人として遺産分割協議に参加できます。
これにより、相続人全員の合意形成が可能となり、手続きを進められます。

ステップ4:7年以上行方不明なら「失踪宣告」を検討する

もし、音信不通の相続人が7年以上もの間、生死不明の状態が続いている場合は、家庭裁判所に「失踪宣告」の申立てを検討します。
失踪宣告が認められると、その人は法律上、7年の期間が満了した時点で死亡したとみなされます。

その結果、その人は相続人ではなくなり、残りの相続人で遺産分割協議を進めることが可能になります。
また、失踪宣告を受けた人に子がいれば、その子が代襲相続人となります。

注意点:音信不通の相続人を無視して遺産分割協議はできない

最も重要な注意点は、連絡が取れないからといって、その相続人を無視して遺産分割協議を進めてはならないということです。
相続人全員の署名と実印がなければ、遺産分割協議書は法的に無効です。
一部の相続人だけで作成した協議書を使って預金の解約や不動産登記を行おうとしても、金融機関や法務局は受け付けません。

必ず、不在者財産管理人の選任など、法律に定められた正式な手続きを踏む必要があります。


相続放棄の期限(3ヶ月)に間に合わない場合の期間伸長手続き

相続財産の調査に時間がかかる、相続人が多数で連絡調整が難しいなどの理由で、3ヶ月の熟慮期間内に相続放棄の判断ができない場合があります。
このような状況では、家庭裁判所に申し立てることで、熟慮期間を延長してもらえる可能性があります。
この手続きを「相続の承認又は放棄の期間伸長」といいます。

家庭裁判所へ「相続の承認又は放棄の期間伸長」を申し立てる

熟慮期間の延長を希望する場合は、3ヶ月の期間が満了する前に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ期間伸長の申立てを行います。
申立ては、利害関係人(相続人など)または検察官が行うことができます。
申立書には、期間の延長を必要とする具体的な理由を記載する必要があります。

通常、3ヶ月程度の延長が認められるケースが多く、必要であれば再度の延長申立ても可能です。

期間の延長が認められやすい正当な理由とは

期間伸長の申立てが認められるためには、3ヶ月以内に相続放棄の判断ができない「正当な理由」が必要です。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
相続財産の種類や数が多く、調査に時間がかかる場合
債務の存在が疑われるが、その詳細な調査が終わらない場合

相続人が全国各地に散らばっていたり、音信不通の相続人がいたりして、連絡や協議に時間を要する場合
財産評価が複雑で、専門家の鑑定などが必要な場合


音信不通の相続放棄に関するよくある質問

音信不通の相続人がいる場合の相続放棄手続きについて、多くの方が抱く疑問にお答えします。

不在者財産管理人の選任にはどのくらいの費用がかかりますか?

不在者財産管理人の選任申立て自体には数千円しかかかりませんが、管理人の報酬や経費を賄うための「予納金」を家庭裁判所に納める必要があります。
この予納金は、不在者の財産状況によって異なり、数十万円から100万円程度になることもあります。
予納金は、手続き終了後に残金があれば申立人に返還されます。

債権者から突然督促状が届いた場合、どう対応すればよいですか?

まずは相続放棄を検討している旨を伝え、安易に支払いに応じないことが重要です。
借金の一部でも支払ってしまうと、相続を承認した(単純承認)とみなされ、相続放棄ができなくなる恐れがあります。
督促状が届いたことで初めて死亡の事実や借金の存在を知った場合は、そこから3ヶ月以内に相続放棄の手続きを進めましょう。

他の相続人から「相続放棄してほしい」と頼まれたら応じるべきですか?

安易に応じるべきではありません。
特定の相続人に財産を集中させたい、事業を承継させたいといった理由で依頼されることがありますが、一度相続放棄をすると撤回はできません。
ご自身の法定相続分を失うことになるため、なぜ放棄を求められているのか理由をよく確認し、納得できない場合は応じる義務はないと理解しておきましょう。

相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

まとめ

音信不通の相続人が関わる相続放棄は、状況に応じて適切な対応が求められます。
自分が放棄する場合は、「相続を知った時」から3ヶ月という期限の起算点が重要です。
他の相続人が音信不通で手続きが進まない場合は、戸籍の附票による調査や、不在者財産管理人制度などの法的な手続きが必要です。

いずれのケースでも、期限内に判断や手続きが難しい場合は、家庭裁判所への期間伸長申立ても検討しましょう。

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