
- 離婚後にDNA鑑定して親子関係がなかったときの取り扱い
- 不貞行為による慰謝料請求の時効
- 不貞行為による慰謝料の相場
離婚後にDNA鑑定を行った結果、子供との間に血縁関係がないと判明するケースは珍しくありません。
このような場合、元配偶者の不貞が原因と考えられるため、慰謝料請求できる可能性があります。
一方で、血縁関係がないとわかっても、子供の養育費の支払い義務がすぐになくなるわけではないのでご注意ください。
本記事では、DNA鑑定結果が離婚後に判明したときの取り扱いについて解説します。
目次
1章 離婚後にDNA鑑定して親子関係がなかったときの取り扱い
妻と離婚した後に子供とDNA鑑定を行い、親子関係がないとわかった場合 、過去に不貞行為があったとして元妻に慰謝料を請求できる可能性は高いでしょう。
一方で、DNA鑑定の結果のみでは子供との法律上の親子関係が解消されるわけではないのでご注意ください。
本章では、離婚後にDNA鑑定して親子関係がなかったときの取り扱いについて詳しく解説していきます。
1-1 慰謝料を取れる可能性は高い
離婚後に、父親と子供がDNA鑑定をした結果、血縁関係がないと判明した場合、元夫から元妻に対して慰謝料請求できる可能性が高いでしょう。
妻と当時婚姻関係にあったにもかかわらず、父と子に関係がないということは、妻が不貞行為をしていたと考えられるからです。
また、慰謝料請求は元妻に対してだけでなく、不倫相手に対しても可能です。
1-2 時効を迎えている場合には慰謝料を請求できない
不貞行為による慰謝料請求には、以下のような時効が設定されているのでご注意ください。
- 不倫の事実と相手(加害者)を知ったときから3年
- 不倫があったときから20年
不貞行為による慰謝料請求を考えた場合、できるだけ早く慰謝料請求や夫婦問題に精通した弁護士などに相談することをおすすめします。
1-3 DNA鑑定の結果のみでは養育費の支払い義務は免除されない
DNA鑑定により、父と子に血縁関係がなかったと判明した場合でも、自動的に養育費の支払い義務がなくなるわけではないので注意しましょう。
婚姻している妻に生まれた子供は、法律上は夫の子と扱われる嫡出推定という規定があるからです。
嫡出推定の効力は強く、DNA鑑定で血縁が否定されても、その結果だけで直ちに養育費の支払い義務が消滅するわけではありません。
1-4 親子関係不存在確認の裁判が認められれば養育費の支払義務がなくなる
法律上の親子関係を消滅させ、養育費の支払い義務をなくすには、①嫡出否認の訴えや②親子関係不存在確認の訴えを起こし、家庭裁判所に認めてもらう必要があります。
| 制度 | 概要 |
|---|---|
| 嫡出否認の訴え |
|
親子関係不存在確認の訴え |
|
いずれの手続きをするにせよ、親子関係の解消を家庭裁判所に認めてもらうまでは、養育費の支払いを勝手にやめないようにしましょう。
また、法律上の親子関係が解消されたとしても、過去に支払った養育費については返還してもらえない可能性が高いことも理解しておきましょう。
2章 不貞行為による慰謝料の相場
不貞行為による慰謝料相場はケースバイケースですが、100〜300万円程度であることが一般的です。
ただし、別居の有無や婚姻期間、不貞の期間・態様、子供の有無、悪質性などによっても金額は変わってきます。
慰謝料が増額されやすいケースは、主に以下の通りです。
- 婚姻期間が長い
- 未成年の子供がいる
- 不貞が長期・反復・悪質
- 不貞が離婚・長期別居の直接要因に近い
- 被害者の精神的打撃・社会的影響が大きい
反対に、婚姻関係が既に破綻していた場合や不貞行為が短期間だった場合には、慰謝料が相場より少なくなる場合もあります。
まとめ
DNA鑑定により離婚後に親子関係が否定されても、直ちに養育費の義務がなくなるわけではなく、裁判手続きを経て法的に親子関係を否定する必要があります。
また、不貞行為に基づく慰謝料請求には時効があるため、早めに専門家に相談することが大切です。
このように、離婚後に父と子供のDNA鑑定を行う場合、鑑定結果がどのように影響するかを理解し、適切に対処する必要があります。
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