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遺言執行者に支払う報酬相場はいくら?金額の決め方や誰が支払うのか解説

遺言執行者に支払う報酬相場はいくら?金額の決め方や誰が支払うのか解説
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 6

遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を実現するために、相続財産の管理や手続きを行う人物です。
遺言執行者は相続人が就任することもできますが、司法書士や弁護士といった専門家へも依頼できます。
そして、遺言執行者を専門家に依頼した場合の報酬相場は相続財産の1~3%程度となる場合が多いです。

遺言執行者の報酬に関しては遺言書に記載しておくこともできますし、相続発生後に遺言執行者と相続人で協議を行い決定することも可能です。

本記事では、遺言執行者に支払う報酬相場や報酬を支払ってでも遺言執行者を指定するメリットを解説していきます。                                                                       


1章 遺言執行者に支払う報酬相場は相続財産の約1~3%

遺言執行者に支払う報酬に決まりはなく、遺言執行者と相続人間の協議によって決まります。
また、遺言書作成時点で遺言執行者に支払う報酬金額を決めておくことも可能です。

遺言執行者に支払う報酬相場は、相続財産の約1~3%となっています。
ただし、どの専門家に依頼するかによって報酬相場は変わってきます。
遺言執行者に支払う報酬相場について詳しく確認していきましょう。

1-1 専門家に依頼する場合

遺言執行者を司法書士、弁護士、銀行にそれぞれ依頼した場合の報酬相場は、以下の通りです。

遺産総額司法書士弁護士銀行
5,000万円以下30~50万円40~60万円60~100万円
1億円以下50~100万円60~130万円100~150万円
3億円以下100~250万円130~300万円160~500万円

上記の表を見てわかるように、遺言執行者を専門家に依頼した場合、専門家の中でも司法書士が比較的費用が安めです。
専門家の中でも銀行の報酬相場が1番高いのは、依頼したとしても実務を行うのは司法書士や弁護士といった有資格者であり、外注費用がかかるからです。
また、遺産に不動産があるときは、弁護士や銀行も不動産登記手続きのプロである司法書士へ外注することが多いので、初めから司法書士へ依頼するのが良いでしょう。

1-2 相続人が遺言執行者になった場合

遺言執行者は司法書士や弁護士といった専門家だけでなく、相続人も就任できます。
相続人が遺言執行者となった場合には、報酬に関して定めず、報酬はもらわないケースが多いです。
しかし、遺言執行者となった相続人に報酬を与えることは問題ないので、必要であれば遺言書に記載しておきましょう。

また、次の章で詳しく解説しますが、遺言書に記載されていなくても家庭裁判所に申立を行えば遺言執行者の報酬を定めてもらえます。

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2章 遺言執行者に支払う報酬の決め方

遺言執行者に支払う報酬の決め方は、以下の3通りです。

  1. 遺言書に記載しておく
  2. 遺言執行者と相続人で話し合って決める
  3. 家庭裁判所にて報酬を決めてもらう

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 遺言書に記載しておく

遺言書で遺言執行者を指定する際に報酬額に関しても記載しておけます。
生前のうちに遺言執行者を指定するのであれば、報酬もあらかじめ決めておき、遺言書に記載しておきましょう。
報酬額まで記載されていれば、遺された家族の負担を更に減らせます。

ただし、遺言書に記載された遺言執行者は強制ではなく、就任を拒否できます。
後から、遺言執行者に就任を拒否されないためにも、遺言書に記載するのであればきちんと遺言執行者として指定する方と報酬面等の話し合いをしておきましょう。

遺言執行者の指定を含めた遺言書の作成は自分でもできますが、ミスなく法的に有効な遺言書を作成したいのであれば、司法書士などの専門家への相談がおすすめです。

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2-2 遺言執行者と相続人で話し合って決める

遺言書に遺言執行者のみ記載されていて、報酬が記載されていない場合には、遺言執行者と相続人で話し合い、報酬を決めます。

2-3 家庭裁判所にて報酬を決めてもらう

以下のケースでは、家庭裁判所にて遺言執行者の報酬を定めてもらえます。

  • 遺言執行者と相続人間で報酬に関する協議がまとまらなかった場合
  • 家庭裁判所にて「遺言執行者選任申立」をして遺言執行者を選任した場合

上記の場合には、家庭裁判所にて遺言執行者に対する報酬付与申立を行えば、遺言執行者の報酬を決めてもらえます。
遺言執行者に対する報酬付与申立の概要や必要書類は、以下の通りです。

申立する人遺言執行者
申立先遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
申立費用
  • 遺言書1通につき収入印紙800円分
  • その他、家庭裁判所が手続きを行う際に使用する郵便切手
申立時期遺言執行が完了した後
必要書類
  • 遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本
  • 遺言執行者の住民票もしくは戸籍附票
  • 遺言書の写しもしくは遺言書の検認調書謄本の写し
  • 遺言執行報告書
  • 財産目録や遺産に関する資料

裁判所に納める郵便切手の数と種類や必要書類に関しては、各家庭裁判所で若干異なる場合があります。
申立を行う際には、事前に確認しておくのが良いでしょう。


3章 遺言執行者の報酬を支払う人と支払うタイミング

続いて、遺言執行者の報酬を支払う人と支払いを行うタイミングについて解説していきます。

3-1 遺言執行者の報酬を支払う人

遺言執行者への報酬は、相続人が支払います。
ただし、相続人が自己資金で報酬を支払うというよりも、相続財産の中から遺言執行者への報酬を支払い、残った財産を遺言書の内容に従って遺産分割を行うケースが多いです。

3-2 遺言執行者への報酬を支払うタイミング

遺言執行者への報酬を支払うタイミングは、遺言執行の内容が完了してからです。
万が一、遺言執行者が途中で役割を自ら放棄した場合は、報酬を受け取ることはできません。


4章 報酬を払ってでも遺言執行者を指定する4つのメリット

司法書士や弁護士といった専門家に遺言執行者を依頼した場合には、相続財産の約1~3%程度の報酬が発生します。
報酬を支払う必要があるなら、遺言執行者を指定する必要はないと考えた方もいるかもしれません。

しかし結論としては、遺言書を作成するのであれば報酬を支払ってでも、遺言執行者を指定しておくのがおすすめです。
遺言執行者を指定するメリットは、主に以下の4つです。

  1. 遺された家族の相続手続きの負担を減らせる
  2. 相続人が遺産をスムーズに取得できる
  3. 相続人が遺言執行人にならなくて良い
  4. 遺言書の作成からワンストップで依頼できる

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 遺された家族の相続手続きの負担を減らせる

遺言執行者を指定しておけば、遺された家族が相続手続きを行わず遺言執行者に任せられます。
遺言執行者を指定していないと、相続人が協力して遺言内容の実現をする必要があるため非常に手間と時間がかかります。

例えば、金融機関や法務局は平日昼間しか窓口が空いていないので、相続手続きのたびに仕事を休まなければなりません。
また、遺言執行者は法的な立場であるため、法律で決まっている手順に沿って手続きを行う必要があり専門家以外が行うのは、なかなか大変です。

例えば、就任時に行わなければならない「遺言執行者就任通知」や業務も完了したときに行う「遺言執行完了の業務報告」などです。
遺言執行者がいれば、相続人のかわりにこのような面倒で複雑な手続きを進めてくれるので、遺された家族の精神的、時間的な負担を減らせます。

4-2 相続人が遺産をスムーズに取得できる

遺言執行者を指定しておけば、相続手続きをスムーズに進めやすくなります。
逆に、遺言執行者がいない場合には、遺言書で指定された相続人全員が協力して手続きを進めなければなりません。

以下のような相続人がいる場合、相続手続きが完了し遺産を受け取るまでに時間がかかる可能性があります。

  • 忙しくなかなか連絡が取れない相続人
  • 遺言書の内容に不満があり手続きに協力的でない相続人

また、上記のような相続人がいない場合でも、相続に関する専門知識が少ない方が自分で相続手続きを行うのは非常に大変であり、時間がかかります。
そのため、相続人全員が協力的なケースでも、専門家を遺言執行者に指定しておけば相続をスムーズに完了させられます。

4-3 相続人が遺言執行人にならなくてすむ

法律の知識がない相続人であっても、遺言執行者に就任できますが、実際には、遺言執行者の業務範囲は広く、相続に関する知識がない方が就任するのは難しいケースもあります。
また、相続人の一人が遺言執行者になった場合には、以下のトラブルに発展するケースもあります。

  • 他の相続人が遺言内容や遺言執行者に対して不公平感を持つ
  • 他の相続人から遺言執行者が遺産の一部を隠したのではないか、と疑われる
  • 他の相続人から「相続手続きが遅い」と文句を言われる
  • 遺言執行者となった相続人が結局自分では手続きを完了させられず、後から専門家に依頼する必要が出てくる

上記のトラブルに発展してしまうと、遺言執行者となった相続人には精神的な負担がかかりますし、せっかく相続トラブルを避けるために作成した遺言書の意味も薄れてしまいます。

また、トラブルに発展しないとしても他の相続人より財産を多くもらう人が遺言執行者になると、自分で他の相続人に「遺言の開示や説明」をしなければならず、心苦しいという声も多いです。
自分が多く財産をもらって「すこし気まずいな」と思う方は、遺言する人に、遺言執行者は専門家を指定しておいてもらうようお願いするのが良いでしょう。

4-4 遺言書の作成からワンストップで依頼できる

司法書士や弁護士は、遺言執行者の業務を行うだけでなく、遺言書の作成も可能です。
遺言書の作成依頼をした司法書士や弁護士にそのまま遺言執行者を依頼できれば、相続手続きがよりスムーズに進められます。

専門家に遺言書の作成を依頼するのであれば、ぜひ、遺言執行者の指定も合わせて行うことをご検討ください。

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まとめ

遺言執行者に支払われる報酬は、相続人が遺言執行者になる場合と専門家に依頼する場合で異なります。
相続人が遺言執行者になる場合には、報酬に関しては定められないケースが多いです。
一方で、司法書士や弁護士といった専門家が遺言執行者に就任する場合には、相続財産の1~3%程度が報酬としてかかります。

なお、遺言執行者に支払う報酬に関しては、遺言書に記載可能です。
遺言執行者の指定と合わせて報酬に関しても記載しておくと、遺された家族の負担をより減らせます。

また「報酬を支払ってまで遺言執行者を専門家に依頼する必要はない」と考えるかもしれませんが、専門家を遺言執行者に依頼しておけば、相続人が自分で相続手続きを行う必要がなくなります。
相続人の負担も減らせますし、よりスムーズに相続手続きが完了するので、遺産をより早く相続人が取得可能です。

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