財産を受け取ってしまったら相続放棄できない?受け取れる財産とは

財産を受け取ってしまったら相続放棄できない?受け取れる財産とは
facebookでシェアする Twitterでシェアする このエントリーをはてなブックマークに追加する LINEでシェアする
司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 5

亡くなった人が多額の借金を遺していたケースでは、遺された家族は相続放棄を検討することも多いでしょう。

相続放棄をする際には、亡くなった人が遺した財産を勝手に処分してはいけません。
相続財産を受け取り勝手に処分すると、「相続する意思がある」とみなされ相続放棄できなくなってしまうからです。

一方で、受取人が亡くなった人以外と指定されている死亡退職金や死亡保険金、葬式の際に受け取った香典は相続財産にあたらないので受け取っても相続放棄の手続きを行えます。

本記事では、財産を少しでも受け取ったら相続放棄できないのか、どんな財産なら受け取っても問題ないのかを解説します。
相続放棄については、下記記事で詳しく解説しているのでご参考にしてください。

相続放棄はどんな効果がある?いつから効力が発生するのかも解説!

1章 相続財産を受け取ってしまったら相続放棄できなくなる

相続財産を受け取り使用する行為は単純承認とみなされ、相続放棄が認められなくなってしまいます。
間違って相続財産を受け取ってしまった場合は、絶対にその財産に手を付けずに元に戻しましょう。

亡くなった人の銀行口座を解約しているなどの理由で戻せない場合は、使用していないとわかるように保管しておく必要があります。
また、間違って受け取ってしまった相続財産を保管する際には、自分が普段使用している銀行口座以外の口座で保管しておくのがおすすめです。

なお、家族や親族の死亡が原因で受け取れるお金の中には、相続財産に該当しないものもあります。
相続財産に該当しない財産を受け取っても、相続放棄には影響しないのでご安心ください。

次の章では受け取っても相続放棄に影響のない財産について詳しく紹介していきます。

相続放棄を検討中の方必見!事例を交えて単純承認を詳しく解説します
相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

2章 受け取ってしまっても相続放棄できる財産

家族や親族の死亡が原因で受け取れるお金の中には、香典など相続財産に該当しない金銭もあります。
相続財産に該当せず、受け取っても相続放棄に影響を与えない財産は、主に下記の通りです。

  1. 受取人が故人以外の死亡保険金や死亡退職金
  2. 香典
  3. 仏壇やお墓などの祭祀財産
  4. 葬祭費や埋葬料
  5. 遺族年金や未支給年金

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 受取人が故人以外の死亡保険金や死亡退職金

受取人が指定されている死亡保険金や死亡退職金は、相続財産ではなく受取人固有の財産として扱われます。
そのため、遺産分割の対象にもならず受け取ってしまっても相続放棄の手続きに影響を与えることはありません。

一方で、死亡保険金や死亡退職金の受取人が下記のケースでは、受け取ってしまうと相続放棄が認められなくなるのでご注意ください。

  • 受取人が故人と指定されている死亡保険金や死亡退職金
  • 就業規則や退職金規定で受取人が指定されていない死亡退職金

受取人が指定されていない場合は死亡退職金は故人の財産として扱われてしまいます。
そのため、死亡保険金や死亡退職金が支払われた際には、故人が加入していた生命保険の保険証券や勤務先の就業規則や退職金規定を確認しましょう。

相続放棄をしても生命保険金は受取り可!例外と受け取りにかかる税金

2-2 香典

葬儀の際に受け取る香典は亡くなった人に対して支払われるのではなく、喪主に対して支払ったものとして扱われます。
そのため、亡くなった人の葬式を行ったときに香典を受け取っても、相続放棄の手続きは問題なく行えます。

香典は喪主のもの!余ったら相続人で分配しなければだめ?

2-3 仏壇やお墓などの祭祀財産

仏壇やお墓など先祖の供養に用いられる財産は祭祀財産と呼ばれ、相続財産には含まれません。
そのため、亡くなった人が遺した仏壇やお墓を引き継いだとしても、相続放棄を認めてもらえます。

一方で祭祀財産の承継は遺産分割とは関係がないので、お墓を継ぎたくないからといって相続放棄をしても意味がないのでご注意ください。

祭祀財産とは?相続上の取り扱いと承継方法。相続税の節税対策になる?

2-4 葬祭費や埋葬料

亡くなった人が加入していた健康保険の種類や組合によっては、葬祭費や埋葬費が支給されます。
葬祭費や埋葬費は亡くなった人の相続財産には含まれず、遺族に対して支給されるものです。

そのため、葬祭費や埋葬費を受け取っても相続放棄を行うことが可能です。

なお、国民健康保険の葬祭費請求は故人の死亡から2年経つと時効となり、請求できなくなってしまいます。
忘れずに葬祭費を受け取るためい、国民健康保険証の返還手続きとあわせて行うのが良いでしょう。

喪主が葬儀後にやることリストまとめ【法要・相続の手続きについて】

2-5 遺族年金や未支給年金

家族の収入を支えていた人が亡くなった場合に支給される遺族年金や故人が受け取らずに亡くなった未支給年金は、遺族が受け取るものとして扱われます。
そのため、相続財産には該当せず受け取っても相続放棄を行えます。


3章 受け取ってしまったら相続放棄できない財産

相続放棄をする際には、故人の財産に一切手をつけてはいけないと決められています。
故人の財産を勝手に処分すると「相続する意思がある」と判断され、相続放棄が認められなくなってしまいます。

故人が遺した財産のうち、下記の財産を受け取る、処分してしまうと相続放棄を行えなくなるのでご注意ください。

  1. 故人の預貯金や不動産など
  2. 受取人が故人の死亡保険金や死亡退職金
  3. 高額療養費の還付金
  4. 税金や健康保険などの還付金
  5. 故人の未払い給与

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 故人の預貯金や不動産など

亡くなった人が所有していた現金や預貯金、株式や不動産はすべて相続財産であり、相続人が勝手に処分すると相続放棄が認められなくなってしまいます。
相続財産については、下記の記事で詳しく解説していますのでご参考にしてください。

相続財産とは?【簡単】正しく理解するために知っておくべき基礎知識

3-2 受取人が故人の死亡保険金や死亡退職金

亡くなった人を受取人とする死亡保険金や死亡退職金、もしくは受取人が決められていない保険金や退職金は相続財産として扱われます。

死亡保険金や死亡退職金の他にも、下記の保険金は原則として被保険者が受取人となっています。

  • 入院給付金
  • 通院給付金
  • 手術給付金

そのため、故人の死亡後に入院給付金や通院給付金が支給された場合、受け取ってしまうと相続放棄できなくなる恐れもあるのでご注意ください。

保険金の取扱いに悩んだ場合や相続放棄したいときの故人の財産の管理、処分については専門的な知識が必要です。
自分で判断するのが難しい場合は、相続放棄について詳しい司法書士や弁護士に相談するのも良いでしょう。

3-3 高額療養費の還付金

相続放棄をするのであれば、1ヶ月で支払った医療費が一定額を上回る場合に支払われる高額療養費の還付金の受け取りにも注意しなければなりません。
高額療養費の還付金は、下記の人物に対して支払われます。

加入している健康保険支払われる人
国民健康保険・後期高齢者医療制度世帯主
勤務先の健康保険被保険者

亡くなった人が世帯主もしくは被保険者だったケースでは、高額療養費の還付金は相続財産となります。
相続放棄を検討する場合は、高額療養費の還付金が誰に対して支払われたものか確認しましょう。

3-4 税金や健康保険などの還付金

各種税金や健康保険の還付金は納税、納付した人が受け取るお金として扱われます。
そのため、故人が支払った所得税や住民税の還付金や保険料の還付金は相続財産に含まれるので、相続人が勝手に受け取る、処分することは絶対にやめましょう。

3-5 故人の未払い給与

企業に勤めていた家族や親族が亡くなり相続放棄を検討している場合は、未払い給与の受け取りに注意しなければなりません。
未払い給与の取扱いは死亡退職金と同様に、亡くなった人の勤務先の就業規定に従います。

  • 未払い給与の受取人が亡くなった人とされている
  • 未払い給与の受取人が指定されていない

上記のケースでは、未払い給与は相続財産として扱われ、相続人が勝手に受け取り処分すると相続放棄を行えなくなってしまいます。

相続放棄するなら故人が遺した借金を払ってはいけない

相続人が故人の財産を処分すると「相続する意思がある」と判断され、相続放棄が認められなくなってしまいます。
故人の財産の処分には「債務の弁済」も含まれるのでご注意ください。

故人が遺した借金を相続人が一部でも支払ってしまうと債務の弁済をしたとみなされ、相続放棄できなくなる可能性があります。

  • 故人の死亡後に突然債権者がやってきて借金の取り立てをしてきた
  • 債権者に「払える分だけで良いから払ってほしい」と頼まれた

上記のような事態が起きても、自己判断で借金を返済せず相続放棄する予定であることを伝えるだけに留めるのが得策です。

故人の債権者への対処法に悩んだときには、相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談しましょう。


4章 相続放棄したいのに相続財産を受け取ってしまったときの対処法

故人が多額の借金を遺しており相続放棄を検討しているにもかかわらず、相続財産の一部を受け取ったときには速やかに適切な対処をしなければなりません。
誤って受け取ってしまった相続財産を使わずに自分の財産とは分けて保管する、専門家に相談し今後の対応を教えてもらうなどの対処が必要となります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1 使わずに保管しておく

相続人が相続財産を受け取り使ってしまうと単純承認にあたり、相続放棄の手続きが認められなくなってしまいます。
そのため、間違って相続財産を受け取ったときは使用せずに保管しておきましょう。

保管する際には、普段から自分が使用している口座ではなく故人名義の口座もしくは新たに開設した口座に保管しておくのがおすすめです。

4-2 専門家に相談する

相続放棄したいにもかかわらず相続財産を受け取ってしまったケースは、できるだけ早く専門家に相談するのがおすすめです。
相続放棄に詳しい司法書士や弁護士であれば、相続財産の処分にあたるかも判断できますし、その後の相続放棄の手続きや故人が遺した財産や借金の取扱い方法についてもアドバイス可能です。


まとめ

相続放棄をすれば亡くなった人の借金の返済義務を負わずにすみますが、相続財産を受け取り処分してしまうと相続放棄が認められなくなるのでご注意ください。
一方で、亡くなった人以外が受取人となっている死亡保険金や死亡退職金は相続財産に該当しないので、受け取っても相続放棄を行えます。

このように、財産によって受取可能かどうかの判断が変わってくるので、相続放棄を検討する際には故人の財産受け取りに慎重な判断が必要です。

自分で判断するのが難しい場合や確実に相続放棄したい場合は、相続放棄に精通した司法書士や弁護士に相談すると安心です。

グリーン司法書士法人では、相続放棄に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

よくあるご質問

相続放棄の際にしてはいけないこととは?

相続財産を受け取り使用する行為は単純承認とみなされ、相続放棄が認められなくなってしまいます。
自己判断で遺産を使用、処分することはやめましょう。

相続放棄後も受け取れる財産は何?

下記の財産は相続放棄をしても受け取り可能です。
・受取人が故人以外の死亡保険金や死亡退職金
・香典
・仏壇やお墓などの祭祀財産
・葬祭費や埋葬料
・遺族年金や未支給年金

無料相談フォーム

あなたの相続のお悩み
お聞かせください!

1/7
必須

お名前

必須

メールアドレス

必須

相談希望日

第一希望日

第二希望日

必須

電話番号 ※ハイフン無し

必須

お住いの都道府県

必須

ご相談項目

メッセージ本文

遺産相続の無料資料請求

この記事を読む およそ時間: 5

遺産相続の無料資料請求

  • 遺産相続の流れ
  • 相続人調査
  • 相続関係説明図の作成
  • 要注意の相続のケース
  • 遺産分割協議書の作成
  • 名義変更手続の方法
  • 相続税の申告
  • 遺言書の作成
  • 後見について
  • 贈与について

相続について話し合うきっかけに!

グリーン司法書士法人作成の遺産相続ガイドブックのイメージ

生前にする相続対策、亡くなってからの相続手続について、わかりやすく解説させていただいております。遺産相続ガイドブックが相続を自分の問題と捉えて、対策を始めるきっかけになったり、相続手続の手助けとなれば幸いです。

無料ダウンロードはこちら

相続放棄を検討中の方へ。実績がある、経験がある。だから確実でスピーディー。

不安なことは、
グリーン司法書士法人にご相談ください。
一緒に、最適な相続対策を考えていきましょう。

グリーン司法書士法人の強み

01
過去5年間の相続相談実績は約5,000件!
日本有数の実績で安心して任せられる。
02
サポート内容の広さと相談窓口の一元化を実現!
独自のネットワークでどこよりも早い迅速対応!
03
蓄積されたノウハウを元に相談者一人一人にあった提案が可能!

70名を超える相続のプロが徹底サポート

  • ・相続手続きといっても何から始めればいいのかわからない
  • ・しっかりとした遺言書を作成したい
  • ・認知症などの生前対策をしておきたいけどよくわからない

グリーン司法書士法人では相続に関する悩みや疑問をしっかりとお聞きし、理想の相続実現をサポートします。

相続に関して少しでも不安や疑問があればお気軽にお問い合わせください。

お電話での無料相談はお気軽にお問い合わせください。無料相談予約受付ダイヤルは0120-002-110

※「記事をみた」とお伝えください。

365日24時間いつでもメール無料相談