亡くなった方が生前に暮らしていた家がある場合、小規模宅地の特例が適用され、相続税を計算する際の土地の評価額を80%まで減額することができます。
小規模宅地の特例が適用されるには「亡くなった人が居住していた家が建っている土地」という要件がありますが、原則として、亡くなった方が老人ホームに入居していたとしても、小規模宅地の特例は適用されます。
しかし、適用されるには一定の要件があるため、事前に確認しておく必要があるでしょう。
この記事では、亡くなった方が老人ホームに入居していた場合に、小規模宅地の特例が適用される要件について解説いたします。
なお、小規模宅地の特例について詳しくは、以下の記事で解説しております。併せてご確認ください。
目次
1章 故人が生前に老人ホームに入っていて小規模宅地の特例が適用されるための要件
原則として、亡くなった方が生前に老人ホームに入っていたとしても、小規模宅地の特例は適用されます。
しかし、適用されるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 被相続人が要介護認定・要支援認定を受けている
- 老人ホームが一定の要件を満たしている
- 老人ホーム入居中に賃貸にしていない
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
1−1 被相続人が要介護認定・要支援認定を受けている
故人が、亡くなった時点で、要介護認定、または、要支援認定を受けている必要があります。
元気ではあるものの、「1人で生活するのは難しい」といった理由で老人ホームに入居しているようなケースでは、小規模宅地の特例は適用できません。
なお、要介護認定・要支援認定には心身の状態に応じて、状態区分1・2・3とがありますが、どの区分であっても問題ありません。
1−2 老人ホームが一定の要件を満たしている
小規模宅地の特例が適用されるためには、老人ホームも要件を満たしている必要があります。
とはいえ、有料老人ホームのほとんどは、その要件を満たしています。
一方、届出をせず営業している老人ホームもゼロではありません。きちんと届出がされているかどうかは、市区町村のHPなどで確認することができます。
適用されるための老人ホームの要件は以下のとおりです。
なお、この要件は少し難しい内容ですので、適用しているかどうかは直接老人ホームに問い合わせるのがよいでしょう。
イ 介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定若しくは同条第2項に規定する要支援認定を受けていた被相続人又は介護保険法施行規則第140条の62の4第2号に該当していた被相続人が次に掲げる住居又は施設に入居又は入所をしていたこと。
- (イ)老人福祉法第5条の2第6項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、同法第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム又は同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム
- (ロ)介護保険法第8条第28項に規定する介護老人保健施設又は同条第29項に規定する介護医療院
- (ハ)高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅((イ)の有料老人ホームを除きます。)
ロ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第21条第1項に規定する障害支援区分の認定を受けていた被相続人が同法第5条第11項に規定する障害者支援施設(同条第10項に規定する施設入所支援が行われるものに限ります。)又は同条第17項に規定する共同生活援助を行う住居に入所又は入居をしていたこと。
(注)被相続人が、上記イの要介護認定若しくは要支援認定又は上記ロの障害支援区分の認定を受けていたかどうかは、特定事由により被相続人居住用家屋が被相続人の居住の用に供されなくなる直前において、被相続人がその認定を受けていたかにより判定します。
(引用)国税庁|No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3307.htm
1−3 老人ホーム入居中に賃貸物件として貸出していない
亡くなった方が、老人ホームに入居している間、該当する土地を他の用途に利用していないことが要件の1つです。
他の人に賃貸として貸し出しているような場合には小規模宅地の特例は適用されません。
なお、老人ホーム入居後に、生計を一にする親族が、賃料などを支払うことなく暮らしている場合はこの限りではありません。例えば、仕事で他の地で暮らしていた子供が、その家に帰ってきた場合などは、問題ないということです。
2章 小規模宅地特例について分からないことがあれば専門家に相談しよう
小規模宅地の特例が適用されるか分からないときは、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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