大切な家族が亡くなったとき、気持ちの整理が付かず遺品整理を行うのがつらいと感じることもあるでしょう。
他にも、形見として遺す品と処分する品の区別をつけるのが難しい、遺品が多いなどの理由で遺品整理がつらいと感じることもあります。
遺品整理がつらいときには、自分の悲しい気持ちを受け入れ、状況に応じて遺品整理を遅らせることも検討しましょう。
本記事では、遺品整理がつらいと感じてしまう理由や対処法を解説します。
なお、家族や親族が亡くなると遺品整理以外にも様々な手続きが必要です。
家族や親族が亡くなったときの手続きの流れは、下記の記事でも解説しているのでご参考にしてください。
1章 遺品整理がつらいと感じてしまう理由
家族が亡くなったことに対して気持ちの整理が付かない、遺品の量が多いなどの理由で遺品整理を行うのがつらい、難しいと感じてしまうことがあります。
遺品整理がつらいと感じる理由は、主に下記の通りです。
- 家族の死について整理できていない
- 形見・処分の区別をつけられない
- 遺品の量が多く遺品整理に時間がかかる
- 遺品整理や相続手続きの期限が迫っている
- 遺品整理を業者に依頼するお金がない️
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1 家族の死について整理できていない
家族や親族が亡くなったことを受け止められていない、気持ちの整理が付かない場合は、遺品整理が辛くなってしまう人も多いです。
特に交通事故などで突然家族が亡くなってしまった場合、遺品整理を行うのがより一層辛くなるでしょう。
気持ちの整理が付かない場合は、遺品整理を始めるのを遅らせ、落ち着いてから行うことも検討しましょう。
1-2 形見・処分の区別をつけられない
遺品整理の際に処分すべきものと保管すべきものの区別がつかず、遺品整理を進めにくいと感じる人もいます。
遺品の中には価値が高いものもありますし、骨とう品や貴金属は相続財産として扱われるからです。
また、相続財産に該当しない遺品だとしても、勝手に処分してしまい他の遺族とのトラブルに発展する恐れもあります。
遺族の関係性や遺品の量、種類によっては遺品整理が難しい場合もあるでしょう。
1-3 遺品の量が多く遺品整理に時間がかかる
遺品の量が多い場合、遺品の仕分けや不用品を捨てる作業の負担が大きくなり、遺品整理を辛く感じてしまうこともあるでしょう。
また、遺品の中には家具や家電も含まれるため、処分や自宅から家具や家電を運び出すのも重労働です。
このように、遺品整理には肉体的な負担もかかるため、辛いと感じてしまうときもあるはずです。
1-4 遺品整理や相続手続きの期限が迫っている
家族や親族が死亡したときには様々な手続きが必要であり、中には期限が決まっているものもあります。
例えば、相続税申告などの手続きを行う際には、事前に遺品整理を行い相続財産について調査しておく必要があります。
葬儀や法要の手配、これらの相続手続きに追われ、時間的な余裕がなく焦ってしまう人も多いです。
また、亡くなった人が持ち家ではなく賃貸住宅に住んでいた場合、遺品整理を行い退去手続きをしないと家賃の支払いが続き、遺族の金銭的な負担も多くなってしまいます。
1-5 遺品整理を業者に依頼するお金がない
遺品整理は遺族が行うのではなく、業者に依頼も可能です。
しかし、遺品整理業者への費用を工面できず、遺族が行わざるを得なく負担に感じるケースもあります。
遺品整理を業者に依頼した場合の間取り別の費用相場は、下記の通りです。
間取り | 費用相場 |
1R・1K | 3万円から |
1DK | 6万円から |
1LDK | 7万円から |
2DK | 9万円から |
2LDK | 11万円から |
3DK | 15万円から |
3LDK | 17万円から |
4LDK以上 | 19万円から |
上記はあくまでも相場であり、作業員の人数や遺品の量によって費用が変わってくる可能性があります。
また、遺品整理業者に依頼する場合、信頼できる業者を見つけるのも大変です。
遺品整理業者の中には悪質な業者もおり、作業後に高額な追加請求をされるなどのトラブルも発生しているので注意しなければなりません。
2章 遺品整理がつらいと感じるときの対処法
本記事の1章で解説したように、遺品整理がつらいと感じる理由は複数考えられます。
遺品整理がつらいのであれば、無理をせず下記の方法を試してみましょう。
- 自分の悲しい気持ちを受け入れる
- 同じ悲しみを経験した人に話を聞いてもらう
- カウンセラーなど専門家に相談する
- 自分で行うのが難しい場合は業者に遺品整理を依頼する
- 遺品整理を行う時期を遅らせる
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 自分の悲しい気持ちを受け入れる
大切な家族が亡くなったことを受け入れられない、遺品整理をしていると悲しくなる場合は、まずは自分の今の悲しいという気持ちを受け入れることから始めましょう。
大切な家族や親族が亡くなったときに悲しいと思うのは当たり前のことです。
悲しい気持ちに蓋をして遺品整理や相続手続きを進めてしまうと、心身に影響が出てしまう恐れもあります。
法要や遺品整理、各種手続きで忙しいと感じるはずですが、自分の気持ちに寄り添い対処していきましょう。
大切な家族や親族が亡くなったときには、下記の流れで気持ちを整理できると言われています。
- 否認:家族や親族が亡くなったことに「そんなはずがない」と拒絶反応をしてしまう
- 絶望:家族や親族がこの世からいなくなったことに絶望や深い悲しみを味わう
- 脱愛着(受容・回復):気持ちの整理を進め、少しずつ今の現実を受け入れ、心を回復させていく
上記のように、心が回復していく脱愛着を迎えるには、自分が納得いくまで絶望のプロセスを経験しなければなりません。
とことん泣く、悲しい音楽を聴いて感情を受け入れるなどの方法で、自分の悲しみを受け入れましょう。
2-2 同じ悲しみを経験した人に話を聞いてもらう
自分の悲しみに対処する際には、1人で対応するのではなく同じ悲しみを経験した人や乗り越えた人に話を聞いてもらうのも効果的です。
同じ悲しみを経験した人であれば、あなたの感情に寄り添ってもらえるはずですし、あなたも自分の感情に蓋をせずに話せます。
2-3 カウンセラーなど専門家に相談する
家族や親族を失った悲しみが大きいのであれば、専門家に相談しグリーフケアやカウンセリングを受けるのも良いでしょう。
グリーフケアとは、悲しい気持ちの人を支え寄り添うための活動です。
話を聞くプロである心理カウンセラーに相談すれば、話しているうちに自分の気持ちも徐々に整理されていくのではないでしょうか。
2-4 自分で行うのが難しい場合は業者に遺品整理を依頼する
気持ちの整理がつかず自分で遺品整理を行うのが難しい場合や遺品の量や種類が多く自分で行えない場合は、遺品整理業者への依頼も検討しましょう。
遺品整理業者に依頼すれば、遺品の仕分けや処分を行ってもらえます。
大型家具や家電の搬出も行ってもらえますし、買取まで行っている遺品整理業者に依頼すれば価値の高い不用品を買い取ってもらえます。
遺品整理業者に依頼するメリットおよびデメリットについては、本記事の4章で詳しく解説するのでご参考にしてください。
2-5 遺品整理を行う時期を遅らせる
気持ちの整理がつかず現時点では遺品整理を行うことが難しい場合は、遺品整理を行う時期を少し遅らせるのも良いでしょう。
家族や親族が亡くなってすぐは悲しくて遺品を見ることもできなくても、時間の経過によって向き合えるようになることもあるからです。
また、遺品整理は自分1人で行うと遺族の間でトラブルが発生しやすくなりますし、作業も大きな負担となります。
そのため、四十九日法要など遺族が集まるタイミングで一気に行ってしまうのもおすすめです。
遺族の間で遺品整理を行う時期やタイミングを決定すれば、気持ちも整理しやすく、作業を行いやすくなることもあるでしょう。
次の章では、遺品整理を行うタイミングについて詳しく解説していきます。
3章 遺品整理はいつから始めるべき?
遺品整理を行う時期について、明確な決まりはありません。
ただし、相続手続きに支障がでない時期に行う必要があること、可能であれば親族が集まるタイミングで行った方が良いことを理解しておきましょう。
遺品整理を行うタイミングは、主に下記の通りです。
- 葬儀が終わってすぐ(死亡後7日以内)
- 相続・役所の手続きを行ってから(死亡後2週間以降)
- 四十九日法要後(死亡後2ヶ月後以降)
- 相続放棄の期限を迎える前(死亡後3ヶ月以内)
- 相続税の申告期限を迎える前(死亡後10ヶ月以内)
- 家族や親族の気持ちが落ち着いてから
遺品整理が遅れると、相続税申告までに相続財産調査や遺産分割協議が間に合わなくなる恐れがあるのでご注意ください。
また、亡くなった人が賃貸住宅に住んでいた場合、遺品整理を行わないと退去手続きができず家賃がかかり続けてしまいます。
4章 遺品整理を業者に依頼するメリット・デメリット
本記事で解説してきたように、遺品整理は専門業者に依頼できます。
遺品整理を業者に依頼すれば、大型家具や家電などの搬出を任せられるため手間がかからないメリットがあります。
一方で、遺品整理を業者に依頼すると費用がかかりますし、中には悪質業者もいるので注意しなければなりません。
本章では、遺品整理を業者に依頼するメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
4-1 メリット
遺品整理を業者に依頼すれば、自分たちで作業を行う必要がなくなるため、負担を軽減できます。
家族や親族が亡くなったときには遺品整理以外にも行うべき手続きがたくさんあります。
そのため、遺族が高齢な場合や遠方に住んでいる場合は、作業が大変な遺品整理は業者に任せてもしまうことも検討しましょう。
高齢化に伴い遺品整理の需要は年々高まっており、遺品整理専門の業者も増えてきています。
遺品整理の専門業者であれば、遺品の供養や特殊清掃、車やバイクの処分などのオプションにも対応していることもあります。
4-2 デメリット
当たり前ですが、遺品整理業者に依頼すれば費用がかかります。
遺品の量が少ない場合は「業者に依頼せずとも自分たちでやればよかった」と感じてしまうケースもあるかもしれません。
また、遺品整理を請け負っている業者の中には、悪徳業者もいるので注意しなければなりません。
遺品整理業者との間に起きやすいトラブルは、主に下記の通りです。
- 見積もりを安くし、作業完了後に高額請求を追加される
- 見積もり・キャンセルに高額な費用を請求される
- 貴重品や現金を持ち逃げされる
- 価値のある品を安く買い叩かれる
- 遺品を乱暴に扱われる
上記のようなトラブルを避けるためにも、遺品整理業者に依頼するのであれば、複数の業者に見積もり依頼をして比較検討しましょう。
まとめ
大切な家族や親族が亡くなった場合、遺品整理を行うのがつらいと感じる人も多いです。
また、遺族が高齢な場合や遠方に住んでいる場合は遺品整理の作業自体が負担になってしまうこともあるでしょう。
遺品整理がつらい場合には、原因に合った対処をすることが大切です。
例えば、気持ちの整理がつかず遺品整理を行えない場合は、まずは自分の悲しみと向き合いましょう。
遺品整理の作業自体を負担に感じている場合には、遺品整理業者への依頼もご検討ください。
また、家族や親族が亡くなると遺品整理以外にも様々な手続きが必要です。
気持ちの整理がつかず相続手続きを行えない、何から始めればよいかわからない場合は、相続に詳しい司法書士や行政書士に相談することをおすすめします。
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