生前整理と遺品整理の違いとは?メリット・デメリットや費用相場

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司法書士山中泉

 監修者:山中泉

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生前整理は、本人が元気なうちに自分の老後や亡くなったときを見据えて、身の回りを整理することです。
それに対して、遺品整理は家族や親族が亡くなった後に自宅や持ち物などを整理することです。

生前整理と遺品整理は身の回りの片付けという点では共通していますが、行う人物や実行するタイミングが異なります。
生前整理を行えば家族や親族の負担を軽減できますし、合わせて相続対策を行えば、自分が希望する人物に財産を残す準備も可能です。

本記事では、生前整理と遺品整理の違いや生前整理を行うメリットとデメリットを解説します。
生前整理をはじめとする終活については、下記の記事でも詳しく解説しているのであわせてご参考にしてください。

終活とは?お墓の準備や老後資金対策などやっておきたいこと【まとめ】

1章 生前整理と遺品整理の違い

生前整理は自分で老後を見据え身の回りを整理するのに対し、遺品整理では家族や親族が亡くなった人の持ち物を処分、整理します。
生前整理と遺品整理の違いは、主に下記の通りです。

生前整理遺品整理
目的遺族に負担を掛けないように
自分の持ち物を整理、処分する
家族などが亡くなった人の
遺品を整理、処分する
タイミング相続発生前(生前)相続発生後
行う人物自分亡くなった人の家族や親族

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1 目的

生前整理は、遺族に負担を掛けないように行っておこうと考える人が多いです。
元気なうちに自分の身辺整理を進めることで、スッキリとした環境で老後を過ごせる、自分の価値観や葬儀や相続の手続きを整理できるなどのメリットもあります。

一方で、遺品整理は相続発生後に亡くなった人の持ち物を整理することが目的です。
亡くなった人が住んでいた自宅の片付けや処分、形見分けや相続手続きに必要な書類を収集する目的で行われることが多いです。

1-2 タイミング

生前整理は名前の通り、相続が発生する前、すなわち生前に行います。
一方で、遺品整理は相続発生後に行われます。

1-3 行う人物

生前整理をメインで行うのは自分自身であるのに対し、遺品整理を行うのは亡くなった人の家族や親族です。
なお、生前整理や遺品整理を行う際には、すべて自分たちで行う必要はなく、大型家具の搬出や処分などを業者に依頼できます。

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2章 生前整理を自分でやるメリット・デメリット

生前整理を自分で行えば、無理のないペースで作業できるなどのメリットがあります。
一方で、高齢の人が生前整理を自分で行う場合、体力がなくなかなか進められないなどのデメリットがあります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 生前整理を自分でやるメリット

生前整理を自分で行う場合、費用がかからなくてすみますし、自分のペースで行えます。
生前整理を自分でやるメリットは、主に下記の通りです。

  • 業者に依頼する費用がかからない
  • 自分のペースで生前整理を行える
  • 自分の人生を振り返る良い機会になる
  • これからの人生を前向きに考えられるようになる
  • 相続対策も含めた生前整理を行える

不用品を処分するだけでなく、自分の残りの人生の過ごし方や死後に財産を受け継いでほしい相手などを考えたい場合は、自分で生前整理を行うのも良いでしょう。

2-2 生前整理を自分でやるデメリット

自分で生前整理を行う場合、思い出の品を見ると処分できない、不用品の処分に疲れてしまうなどの恐れがあります。
生前整理を自分で行うデメリットは、下記の通りです。

  • 思い出の品や大切にしていた品を見てしまうと、処分を進められない
  • 不用品の量が多く処分に手間と時間がかかる
  • 不用品の処分に費用がかかる

自分で生前整理を行うのが難しいと感じたら、一部だけでも業者に依頼するのもおすすめです。
次の章では、生前整理を業者に依頼するメリットとデメリットを解説します。


3章 生前整理を業者に依頼するメリット・デメリット

生前整理を業者に依頼すれば、手間や時間をかけずにすみますし、自分では判断が難しい品物も処分しやすくなるはずです。
一方で、生前整理を業者に依頼すると、費用がその分かかってしまいます。

生前整理を業者に依頼するメリット、デメリットを詳しく見ていきましょう。

3-1 生前整理を業者に依頼するメリット

生前整理を業者に依頼すれば、大型家具の処分など自分でするのが難しい作業を行なってもらえます。
高齢で身体を動かすのが難しい場合や体力が低下してきたと感じる人は、業者に依頼しても良いでしょう。

他にも、業者に依頼すれば処分すべきか判断しにくい品物に関しても、冷静な立場からアドバイスしてもらえます。

3-2 生前整理を業者に依頼するデメリット

生前整理を業者に依頼すると、費用がかかってしまいます。
次世代に財産をできるだけ多く遺したいと考える場合や資産に余裕がない場合は、自分で生前整理を行った方が良いケースもあります。

また生前整理を行い、不用品の処分や買取り、相続対策を依頼しようと考えた場合、ひとつの業者では対応しきれない可能性が高いです。
不用品の処分や買取りについては生前整理を専門にした片付け業者や不用品回収会社に依頼し、遺言書の作成や生前贈与などの相続対策は司法書士や弁護士に依頼しなければならないケースもあります。

そのため、依頼したい内容によってそれぞれ専門家や業者を見つける必要があり、業者選びだけでも大変と感じる人もいるかもしれません。



4章 遺品整理を自分でやるメリット・デメリット

家族が亡くなった後に、遺品整理を自分たちで行えば、遺品整理業者に支払う費用を抑えられます。
また、自分たちのペースで遺品整理を行えるのもメリットといえるでしょう。

一方で遺品整理を自分たちで行うと、遺族が高齢だと作業が大変になる、気持ちの整理がつかず遺品整理を行えないなどの恐れもあります。
本章では、相続発生後に遺品整理を自分で行うメリットやデメリットを解説します。

4-1 遺品整理を自分でやるメリット

遺品整理を亡くなった人の家族や親族が行えば、業者に支払う費用を節約できます。
遺品の種類によっては、自治体の家庭ごみや粗大ゴミとして出せてしまうので、自分たちで遺品の仕分けと処分をすれば費用を大幅に抑えられます。

遺族に若い人や男性など体力のある人がいる場合や親族が集まり一気に遺産整理を行える場合は、自分たちで行っても良いでしょう。

4-2 遺品整理を自分でやるデメリット

遺品整理を自分たちで行うと、故人のことを思い出してしまい精神的にきつい、遺族が高齢であり作業自体が困難であるケースもあるでしょう。

他にも、亡くなった人がいわゆるゴミ屋敷に住んでいた場合や孤独死していて部屋の特殊清掃も必要な場合は、自分たちで行うのが難しい状況も考えられます。


5章 遺品整理を業者に依頼するメリット・デメリット

遺品整理を業者に依頼すれば、大型家具の搬出や処分なども行ってくれます。
遺品整理専門業者であれば、特殊清掃や遺品の供養に対応してくれる業者もあります。

一方で、遺品整理業者に依頼すると費用がかかりますし、中には悪徳業者もいるので注意しなければなりません。
遺品整理業者に依頼するメリットとデメリットを解説していきます。

5-1 遺品整理を業者に依頼するメリット

遺品整理を業者に依頼すれば、自分たちで作業を行う必要がなくなり負担を軽減できます。
家族や親族が亡くなったときには遺品整理以外にも行うべき手続きがたくさんあるので、遺族が高齢な場合や遠方に住んでいる場合は、作業が大変な遺品整理は業者に任せても良いでしょう。

高齢化に伴い遺品整理の需要は年々高まっており、遺品整理専門の業者も増えてきています。
遺品整理の専門業者であれば、遺品の供養や特殊清掃、車やバイクの処分などのオプションにも対応していることもあります。

依頼したい内容に合う業者を見つけられれば、コスト以上に満足を得られる可能性もあるでしょう。

5-2 遺品整理を業者に依頼するデメリット

遺品整理を業者に依頼すれば、当たり前ですがその分費用がかかります。
遺品の量が少ない場合は「業者に依頼せずとも自分たちでやればよかった」と感じてしまうケースもあるでしょう。

また、遺品整理を請け負っている業者の中には、悪徳業者もいます。
実際に、独立行政法人国民生活センターにも、遺品整理業者とのトラブル例が報告されており、注意喚起をしています。

遺品整理業者とのトラブル例は、主に下記の通りです。

  • 見積もりを安くし、作業完了後に高額請求を追加する
  • 見積もり・キャンセルに高額な費用を請求する
  • 貴重品や現金を持ち逃げされてしまう
  • 価値のある品を安く買い叩かれてしまう
  • 遺品を乱暴に扱われてしまう

上記のようなトラブルを避けるためにも、遺品整理業者に依頼するのであれば、複数の業者に見積もり依頼をするのがおすすめです。


6章 生前整理・遺品整理業者の費用相場

遺品整理業者に依頼したときにかかる費用は、部屋の間取りや広さ、作業時間によってある程度決まってきます。
部屋の間取りごとにかかる依頼費用の目安は、下記の通りです。

間取り費用相場
1R・1K3万円から
1DK6万円から
2DK9万円から
2LDK11万円から
3DK15万円から
4LDK以上19万円から

上記はあくまでも相場であり、作業員の人数や遺品の量によって費用が変わってきます。
そのため、遺品整理業者に依頼する際には3社以上に見積もり依頼をして相見積もりを取得しましょう。



7章 生前整理・遺品整理業者の選び方

生前整理や遺品整理を依頼する業者を選ぶ際には、料金プランが明確な信頼できる業者を選ぶことが大切です。
他にも、遺品整理の場合は遺品の扱いや相続手続きで使用する重要書類の捜索を得意としている遺品整理専門業者に依頼するのもおすすめです。

生前整理や遺品整理業者を選ぶときには、下記を意識しましょう。

  • 料金プランが見積もりが明確な業者を選ぶ
  • 遺品整理士が在籍している業者を選ぶ
  • 不要となった遺品の回収・処分先が適切な業者を選ぶ

それぞれ詳しく解説していきます。

7-1 料金プランが見積もりが明確な業者を選ぶ

遺品整理を業者に依頼する場合、料金プランや見積もりが明確な業者を選びましょう。
例えば、ホームページ上に料金表などを明記している業者を選べば、費用の見通しも立てやすくなります。

また、遺品整理業者の中には悪徳業者もいるため、下記のようなトラブルに注意しなければなりません。

  • 見積もりだけで料金を請求された
  • 見積もりになかった費用を後から請求された

上記のようなトラブルを避けるために、見積もりや料金プランが明確な業者をお選びください。
他にも、3社以上の業者に相見積もりし、料金の内訳や業務内容を比較検討することも大切です。

7-2 遺品整理士が在籍している業者を選ぶ

遺品整理を依頼する業者を選ぶ場合、遺品税理士が在籍している会社を選ぶのがおすすめです。
遺品整理士とは、遺族に代わって遺品整理を行うための資格であり、遺品の取り扱いに関する知識や相続手続きに必要な書類についての知識を持っています。

なお、遺品整理士認定協会が優良事業所として指定している業者は遺品整理士が在籍しています。
そのため、遺品整理士が在籍している業者を選びたいのであれば、地域の優良事業所の中から選びましょう。

7-3 不要となった遺品の回収・処分先が適切な業者を選ぶ

遺品整理業者を選ぶ際には、遺品の回収、処分を適切に行ってくれる業者を選びましょう。
遺品の買取や処分をするには、下記の許可が必要です。

許可・免許の種類概要
一般廃棄物収集運搬業許可家庭から出る不用品を回収するのに必要な許可
古物商許可
  • リサイクルショップなどのように販売目的で不用品を購入できる許可
  • 古物商許可だけでは不用品の買取は行えるが、廃棄の依頼はできない
産業廃棄物収集運搬許可
  • 工場や事業所などから出る廃棄物を処理するときに必要な許可
  • 産業廃棄物収集運搬許可だけでは、家庭から出る廃棄物を回収できない

上記の許可を取得していない業者が不用品回収や買取を行うのは違法なので、ご注意ください。

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まとめ

生前整理を行えば、自分が亡くなったときの遺族の負担も減らせますし、スッキリとした気持ちや環境で老後を過ごせるようになります。
高齢になると体力もどんどん落ちてきてしまうので、元気で動けるうちに生前整理を始めるのもおすすめです。

生前整理をする際には、あわせて自分の資産を整理し相続対策をしておくことをおすすめします。
相続対策をしておけば、希望の人物に財産を受け継いでもらえますし、相続トラブルが起きるリスクを減らせます。
相続対策には複数の方法があるため、自分に合う方法を知りたい場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談することをご検討ください。

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