相続に所得税がかかる場合とかからない場合を解説!確定申告は必要?

相続に所得税がかかる場合とかからない場合を解説!確定申告は必要?
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 4

遺産を相続するとなると気になるのは相続税。しかし、中には相続によっては所得税がかかる場合もあるということを知っていますか?

相続税や所得税と聞くと「税金税金…ってそんなのアリ!?」と心配されることでしょう。相続で損をしないためにも、相続した財産に相続税がかかる場合や所得税がかかる場合を把握しておく必要があります。

この記事では、相続に所得税がかかる5つのケースと確定申告が必要な事例を解説していきます。


1章 所得税は相続した遺産そのものにはかからない!

結論から言うと、ほとんどの場合相続した遺産に対する所得税はかかりません。

しかし、相続や遺言によって一定額の財産を受け継いだ場合「相続税」という税金の対象になるため、相続税を申告し支払う義務があります。

ただし、相続税は誰しもが払う必要はなく、一定額以上の遺産があった場合のみ対象となります。

3,000万円+600万円×法定相続人の数=基礎控除額

出典:国税庁

こちらの計算式で、基礎控除以下だった場合は課税されません。92%の方は相続税の対象外と言われており、相続税がかからないケースがほとんどです。

相続税ばかりよく耳にすると思いますが、よほどの財産がない限りはそこまで心配する必要がないのです。

1-1 所得税と相続税の違い

そもそも、所得税と相続税の違いを知っていますか?

所得税とは

所得税とは、個人の所得に対してかかる税金のことです。

1年間の全ての所得から所得控除を差し引いて、残りの課税所得に税率を適用して税額を計算します。身近なところだと、年末調整によって所得税が多く払われた分が戻ってきたり、確定申告後に所得税を振り込んだりしているのではないでしょうか。

相続税とは

相続税は、亡くなった人の遺産を無償でもらうことでかかる税金のことです。

相続や遺言によって一定額の財産を受け継いだ場合にかかります。

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2章 相続に所得税がかかる5つのケース

先述のとおり、相続した財産に必ずしも所得税はかかりませんが、一定のケースにおいては所得税がかかります。

本章では、所得税がかかる代表的なケースを5つ紹介させていただきます。

  1. 被相続人に所得があったケース
  2. 相続した遺産に固定収入が含まれているケース
  3. 不動産や株式などの遺産を売却したケース
  4. 継続的に一定額を分割で受け取るケース
  5. 死亡保険金を受け取るケース
  6. 未支給年金を受け取るケース

①被相続人に所得があったケース

若くして亡くなってしまった自営業の叔父の仕事を引き継ぐようになった。

自営業など自分で確定申告が必要な方が亡くなり、仕事を引き継ぐ場合は所得税を払う必要があります。

今後の所得税だけでなく、被相続人が亡くなった年の1月1日から亡くなった日までに収入があればその収入に対しての所得税がかかるため、相続人は被相続人に代わり確定申告を行い所得税を納税する必要があります。

基本的に確定申告は2月中旬から行われますが、被相続人の確定申告(正式には準確定申告といいます)は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に税務署に申告し納税する必要があるので注意しましょう。

②相続した遺産に固定収入が含まれているケース

亡くなった父が持っていたアパートを引き継いだので、家賃収入が毎月振り込まれる。

このように、被相続人の財産を引き継いだ後、自分の手元に定期的に収入が入る場合は所得税がかかります。

こちらも①のケースと同じく、被相続人が亡くなった年の1月1日から亡くなった日までに収入がある場合被相続人に代わって確定申告を行う必要があります。

また、不動産所得などを複数人で分け合う場合や、誰が相続するか決まっていない場合はそれぞれが確定申告を行う必要があります。

不動産所得の金額は以下の計算式で算出されます。

不動産所得額の計算式

総収入金額-必要経費=不動産所得の金額

出典:国税庁

③不動産や株式などの遺産を売却したケース

亡くなった祖父が持っていた持株を全て売却して現金化した。

不動産の土地や株式などの遺産を売却し、利益が出た場合は利益に対しての所得税がかかります。こちらは通常の確定申告の時期と同じで、売却日の翌年の確定申告の期日までに申請する必要があります。

ただし、事業用の商品などの棚卸資産や山林などの譲渡による所得は、資産の譲渡による所得になりません。

課税譲渡所得金額は以下の計算式で算出されます。

課税譲渡所得金額の計算式

収入金額-( 取得費 + 譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額

出典:国税庁

また、特別控除額については国税庁のホームページに掲載されております。

  1. 収用等により土地建物を譲渡した場合:5,000万円
  2. マイホームを譲渡した場合 :3,000万円
  3. 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合 :2,000万円
  4. 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合 :1,500万円
  5. 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合:1,000万円
  6. 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合:800万円
  7. 低未利用土地等を譲渡した場合:100万円

④継続的に一定額を分割で受け取るケース

祖母の死亡保険金を分割にして毎月継続的に受け取っている。

このように、死亡保険金など死亡後に受け取るお金を一括ではなく、分割で毎月もらっている場合は相続人の所得扱いとなり所得税が課せられます。

年金型保険は分割でもらうことで一括で受け取るよりもお得になる人気のプランですが、一括で受け取った場合は相続税の非課税枠が利用できるため、どちらが長期的に得するのか見極める必要があります。

⑤死亡保険金を受け取るケース

母が亡くなったので、自分の名義で加入していた母の死亡保険料を受け取った。

死亡保険料を払っていた方と保険金の受取人が同じ人物の場合、一時所得または雑収入として課税されます。一時所得とは、継続的に発生しない所得のことです。

よくあるケースとしては、配偶者に死亡保険をかけており亡くなった後に保険金を受け取る場合などが想定されます。そういった際、一時所得となるため所得税がかかります。

一時所得の金額は以下の計算式で算出されます。

一時所得の金額の計算式

総収入金額-収入を得るために支出した金額(注)-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額

出典:国税庁

⑥未支給年金を受け取るケース

亡くなった父親が、生きていた月までの年金を受け取った。

被相続人が受け取る予定の未支給年金も相続人の一時所得になるため、確定申告が必要となります。

年金は偶数月の15日に振り込まれます。例えば、4月の場合は2月と3月の分の年金が振り込まれます。

4月3日に亡くなられた場合、15日の年金の受け取り前に亡くなってしまったので2月と3月分の年金は生きていたにもかかわらず支給されないことになります。この年金を「未支給年金」といいます。

未支給年金の分は被相続人が受け取るため一時所得となりますが、一時所得は最高50万の特別控除額があるため貰える額よりも一時所得の金額は少なく見えます。


3章 相続後の所得税の確定申告2パターン

2章で相続の内容によっては、確定申告の必要があることが分かったと思いますが、確定申告の対象は2パターンあります。

  1. 亡くなった人の確定申告(準確定申告)をするパターン
  2. 相続人が自分の確定申告をするパターン

ここからは、相続後の所得税の確定申告を解説していきます。

3-1 亡くなった人の確定申告(準確定申告)

  • 被相続人に所得があったケース
  • 相続した遺産に固定収入が含まれているケース
  • 亡くなった方が前年の確定申告をしていないケース

被相続人に収入があった場合に、相続人が代わりに行う確定申告を「準確定申告」といいます。ただし、亡くなった方が公的年金などの収入金額が400万円以下、もしくは所得が20万円以下の場合には準確定申告をする必要はありません。

亡くなった方が前年の確定申告をしていない場合、相続人の方は死亡を知った翌日から4ヶ月以内に前年分の準確定申告をする必要があります。もし、提出期限までに準確定申告を行わなかった場合は無申告加算税や延滞税などのペナルティーが課されるため注意しましょう。

また、亡くなった方が死亡の日までに支払った医療費や社会保険料の額によっては、準確定申告によって所得税が還付されることがあります。長期的に入院していた場合や、病院に通われていた場合は明細書を確認しておきましょう。

3-2 相続人が自分の確定申告

  • 不動産や株式などの遺産を売却したケース
  • 継続的に一定額を分割で受け取るケース
  • 死亡保険金を受け取るケース

こちらは、被相続人の死亡後に相続人の収入になったもののため、自分個人の確定申告が必要となります。

注意点としては、家賃収入や駐車場収入、月額制の死亡保険金など継続的にお金が入る場合は所得の対象となりますので確定申告が必要です。しかし、同じ確定申告でも生命保険の満期保険金などその場限りの所得で、継続的に発生しないものは一時所得となり特別控除額も異なるため注意が必要です。

ただし、一時所得の場合は「得た収入から収入を得るために払った金額(毎月の保険料など)を引いて50万円以下」であれば、税金はかからないため確定申告の必要はありません。

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4章 まとめ

この記事では、相続に所得税がかかる場合とかからない場合を解説いたしました。

銀行口座に入っている預金以外の財産を引き継ぐ場合、所得税がかかる可能性があります。「収入がたくさん入ると言って喜んでいたら所得税がかなりかかってしまった…」というケースも珍しくありません。

相続を決断する前に、引き継いだら毎年どれくらい所得税がかかるのかを把握して進めることをおすすめします。

当メディアを運営するグリーン司法書士法人では、相続税や所得税についての無料相談を行っています。「相続するか悩んでいる」「相続税や所得税で結局いくら手元に残るのか」など、不安に思うことがあればぜひお気軽にご相談ください。

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