
- 独身者が50代で終活を始めるべき理由
- 50代の独身者が行うべき終活
- 50代の独身者が終活をする際の注意点
50代は会社勤めをしている方も多く、終活と聞いてもまだ自分には早いと感じるかもしれません。
しかし、50代の独身者にとって「終活」は決して早すぎる準備ではありません。
終活とは、自分の最期や亡くなった後の準備をしておくことです。
50代は体力や判断力が十分にあり、第二の人生設計を考えやすい時期でもあります。
元気なうちから終活を進めておき、いざというときに困らないようにしておくことをおすすめします。
終活といっても、エンディングノートの作成や生前整理、相続対策など様々なものがあるため、まずは自分にとってやりやすいものから始めてみるのがおすすめです。
本記事では、50代独身者が取り組むべき終活の具体的な内容と注意点を解説します。
1章 独身者が50代で終活を始めるべき4つの理由
独身者は自分に何かあったときのために、元気なうちから終活をしておくことが非常に重要となってきます。
終活を始める年齢に決まりはありませんが、以下のような理由から50代から始めておくのがおすすめです。
- 体力と気力が十分にあるから
- 判断力があるから
- 第二の人生を想像しやすいから
- 老後資金の工面をしやすいから
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1 体力と気力が十分にあるから
終活は「高齢者がするもの」というイメージを持つ方も多くいますが、実際には体力や気力が十分にある50代のうちに始めるのが良いでしょう。
50代から取り組めば、資料整理や役所への手続き、専門家への相談、不用品の処分などを自分で積極的に進めやすいからです。
特に、独身の方は、サポートしてくれる配偶者や子供がいないため、自分で動ける時期に準備しておくことが非常に重要です。
体調を崩してから慌てて取り組もうとしても、思うように進まず、結果的に親族や友人に負担をかけてしまうリスクがあります。
1-2 判断力があるから
終活の中には、遺言書の作成や任意後見契約の締結などといった法的手続きも含まれます。
これらは判断力があるうちに行っておく必要があり、認知症になってからでは、手続きできない恐れがあるのでご注意ください。
遺言書を作成していなければ、兄弟姉妹や甥・姪が相続人となり、相続手続きや遺産分割協議を負担に思う可能性もあります。
他にも、任意後見制度を利用していないと、自分が認知症になったときに、財産の管理や処分を行えず、介護費用をすぐに捻出できない恐れもあります。
このような事態を防ぐためにも、元気なうちに遺言書の作成や任意後見制度の利用を検討しておくことを強くおすすめします。
1-3 第二の人生を想像しやすいから
50代は、仕事や生活の基盤がある程度固まり、これからの「第二の人生」をどう過ごすかを現実的に考えやすい年代でもあります。
独身者であれば、誰とどのように関わりながら老後を過ごすのか、生活の拠点をどこに置くのかといった点を具体的に描いてみるのが良いでしょう。
終活は単なる死の準備ではなく、これからの人生を前向きに設計する作業でもあります。
例えば「余生は趣味を楽しみたい」「海外移住を視野に入れたい」などの希望があるなら、それを踏まえて財産計画や医療・介護の備えを整えておくことが大切です。
1-4 老後資金の工面をしやすいから
老後資金については、60代以降になってから考えると手遅れになるケースが少なくありません。
50代であれば、まだ働き盛りの時期であり、収入や貯蓄、投資の見直しを通じて老後資金を計画的に準備できるからです。
一方、60代になってから老後資金が不足していることに気付いても、対処が難しい場合もあります。
独身の場合、介護や医療費を自分で賄う必要があるため、必要額は想像以上に大きくなることもあります。
早めに、自分が所有している資産の種類や金額を確認して、老後資金が足りているかを調べましょう。
万が一、老後資金が不足しそうであれば、節約を心がけて生活費を下げたり、定年退職後も再就職をして年金だけに頼らない生活を考える必要があります。
2章 50代の独身者が行うべき終活
終活といっても様々なものがありますが、50代の独身者は、以下のようなことを行っておくのが良いでしょう。
- 不用品の処分・断捨離をする
- 財産を整理する
- エンディングノートを作成する
- 遺言書を作成する
- 身元保証サービスの利用を検討する
- 死後事務委任契約の利用を検討する
- 認知症対策をする
- 葬儀やお墓の準備をする
- 医療や介護の希望を考える
- 残りの人生をどのように過ごしたいか考える
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 不用品の処分・断捨離をする
終活の第一歩として取り組みやすいのが、不用品の処分や断捨離です。
独身者の場合、身の回りの整理を自分1人で行わなければならないため、後回しにすると体力的に大きな負担となります。
そのため、50代で体力や気力のあるうちから衣類や家具、長年保管している書類や写真などを整理しておくことをおすすめします。
不用品を処分することで、遺族の負担を減らせるだけでなく、自分もすっきりした環境で暮らせるようになり生活の質を向上させられるはずです。
2-2 財産を整理する
不用品の処分と併せて、資産状況の確認や整理も行っておくと良いでしょう。
預貯金や株式、不動産、保険などといった自分が持つ資産をリスト化して整理しておくと、自分に何かあったときの遺族の負担を減らせます。
故人が独身者の場合、相続人と生前疎遠なこともあり、相続財産調査が難しい場合もあるからです。
遺族が「どこにどのような財産があるかわからない」とならないように、自分の資産を整理しておきましょう。
2-3 エンディングノートを作成する
独身者に限らず、終活をする際には、エンディングノートを作成しておくと良いでしょう。
エンディングノートは法的効力を持つものではありませんが、自分の意思を家族・親族や友人に伝える有効な手段となります。
例えば、以下のような情報を記載しておけば、自分に何かあったときに親族が対応に迷わずに済むでしょう。
- 医療や介護に関する希望
- 葬儀や納骨の方法
- 親しい人へのメッセージ
- 遺品の整理、処分方法
- デジタル資産の内容、処分方法
特に、独身者の場合、「誰に連絡してほしいか」「SNSやデジタルデータをどう処理するか」といった点も具体的に記載しておくとより安心です。
2-4 遺言書を作成する
財産の承継方法を指定する場合、エンディングノートだけでなく、法的に効力を持つ遺言書の作成が必要不可欠です。
独身者が遺言を用意せず亡くなると、法定相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。
加えて、法定相続人がいない場合には、最終的に財産が国庫に帰属する可能性もあります。
大切な友人やお世話になった団体などに財産を受け継いでほしいのであれば、必ず遺言書を作成しておきましょう。
50代は判断力もあり、自分の希望を明確に表現できる時期でもあります。
遺言書にはいくつか種類がありますが、公正証書遺言にしておけば、信頼性も高く、原本の紛失や改ざんリスクもなくせるのでおすすめです。
2-5 身元保証サービスの利用を検討する
近年、独身者や子供のいない夫婦を中心に注目されているのが身元保証サービスです。
身元保証サービスとは、入院や介護施設への入所の際に、専門家や団体、法人が身元保証をしてくれるものです。
独身者の場合、緊急連絡先や身元保証人を求められても、頼れる親族がおらず対応が難しい場面もあります。
身元保証サービスを利用していれば、頼れる家族や親族がいなくても、安心して医療や介護を受けられます。
2-6 死後事務委任契約の利用を検討する
独身者であれば、死後事務委任契約の利用も検討しておきましょう。
死後事務委任契約とは、名前の通り、自分が亡くなった後の手続きや身辺整理を依頼する契約です。
独身者の場合、親族がいても遠方に住んでいたり、そもそも関係が薄かったりするため、葬儀や埋葬、役所への届出などの様々な手続きを頼める人がいないケースも珍しくありません。
そのようなケースでは、元気なうちに死後事務委任契約を結んでおき、自分が亡くなった後の手続きを第三者や専門家に依頼しておくのも良いでしょう。
2-7 認知症対策をする
終活をする際には、相続対策だけでなく認知症対策もしておきましょう。
認知症になり判断能力を失うと、自分で財産管理や契約行為を行えなくなるからです。
認知症対策にはいくつかありますが、独身者の場合は任意後見制度が有効です。
任意後見制度とは、自分が元気なうちに信頼できる人を後見人として指定し、将来、認知症などで判断力が衰えた際に財産管理や生活支援を任せられる制度です。
任意後見制度は家族や親族だけでなく、司法書士や弁護士を後見人として指定できます。
そのため、身寄りがいない方であっても、信頼できる専門家に自分が認知症になったときの財産管理を任せられます。
2-8 葬儀やお墓の準備をする
何かあったときに備えて、葬儀やお墓の希望を整理したり、具体的な準備をしたりするのも良いでしょう。
「自分の葬儀は簡素でよい」と考える方も多いですが、具体的な希望を残さなければ、周囲が判断に迷い、葬儀の規模やトラブルになることがあります。
葬儀の規模や形式、宗教的な希望、遺影や遺品整理の方針など、可能な範囲で意思を示しておきましょう。
また、近年は埋葬についても永代供養墓や樹木葬、散骨といった選択肢も広がっているため、葬儀と同様に自分の希望するお墓も考えておく必要があります。
2-9 医療や介護の希望を考える
病気やケガで判断能力を失った場合に備え、医療や介護の希望を事前に整理しておくことも重要です。
具体的には、以下のようなことについて、自分の希望を整理しておくと、いざというときに遺族の負担を減らせます。
- 延命治療を希望するのか
- 在宅介護か施設入所どちらが良いのか
- 希望する施設はあるのか
独身者の場合、日頃から家族や親族に口頭で上記の希望を伝えることが難しい場合もあるでしょう。
そのため、上記の内容はエンディングノートなどに記載しておくと安心です。
2-10 残りの人生をどのように過ごしたいか考える
終活は「死の準備」だけでなく、「残りの人生をより豊かに過ごすための準備」でもあります。
独身であれば、将来のことを考えると孤立や不安を抱えることがある一方で、自分の価値観や希望を優先しやすいメリットもあります。
自分の希望に正直に生きやすい独身者こそ、「どのような人と関わりたいか」「どんな暮らしを送りたいか」をあらためて見直すことが大切です。
旅行や趣味、学び直し、ボランティアなど、やりたいことをリスト化し、計画的に実行することで、心豊かな老後の生活を実現できるでしょう。
3章 50代の独身者が終活をする際の注意点
50代の独身者が終活を始める際には、最初から完璧を目指さずに、以下のようなことを意識しておくと良いでしょう。
- 自分が取り組みやすいところから始める
- 遺言内容やエンディングノートは定期的に見直す
- 家族や親族に相談しておく
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 自分が取り組みやすいところから始める
終活を始める際には、自分が取り組みやすいところからスタートしていくのがおすすめです。
終活という言葉を耳にすると「大掛かりで大変そう」と感じてしまう方も少なくありません。
特に、独身者は相談できる配偶者がいないため、1人で計画を立てることに不安を覚えることもあるでしょう。
しかし、終活は一度にすべてを終える必要はなく、やりやすいところや自分にとって重要なところから始める形でも構いません。
また、50代で終活を始めるのであれば、60代や70代になったときには状況が変わってくることも大いにあるでしょう。
小さな作業からコツコツと始め、必要に応じて更新していく意識を持つことが重要となってきます。
3-2 遺言内容やエンディングノートは定期的に見直す
遺言書やエンディングノートを作成した場合、定期的に見直し、内容に変更すべき点がないか確認しておきましょう。
遺言書やエンディングノートを一度作成したからといって、その内容がずっと有効であるとは限らないからです。
特に、資産状況、交友関係、健康状態などは年齢とともに変化していくものです。
例えば、不動産を売却したり、信頼していた友人と疎遠になったりすれば、以前に記した内容が現状に合わなくなることもあります。
特に、遺言書については、古い内容のままにしておくと、相続人や受遺者の間でトラブルを引き起こす可能性があります。
少なくとも数年に一度は内容を確認し、必要に応じて修正しておくことが望ましいでしょう。
3-3 家族や親族に相談しておく
独身者であっても、終活をする際には、家族や親族に相談しておくことをおすすめします。
自分の意見や感情のみで終活を進めてしまうと、「そんな話は聞いていない」と家族や親族とトラブルになる恐れがあるからです。
例えば、葬儀や埋葬について希望がはっきりしており、生前のうちに準備しておくこともあるでしょう。
そのようなケースでも、親族などに一切伝えずに準備を進めてしまうと、遺族がいざ手続きを進める際に戸惑ってしまうこともあります。
特に、独身者は相続人が兄弟姉妹や甥・姪といった範囲に及ぶことが多く、関係が希薄であればあるほどトラブルになりやすいので注意しなければなりません。
あらかじめ自分の考えを共有しておくことで、親族も安心し、手続きに協力してくれるでしょう。
まとめ
50代の独身者が終活を進めることは、将来の不安を減らし、残りの人生をより豊かにするために大切です。
終活を始めるのであれば、不用品や財産の整理から始め、遺言や死後事務委任契約など法的な備えを組み合わせていくのが良いでしょう。
遺言書でカバーしきれない範囲については、エンディングノートなどに自分の希望をまとめておくのもおすすめです。
相続対策や認知症対策には様々な方法があり、それぞれ家族や資産状況によってベストな対策は変わってきます。
自分に合った対策をしたいのであれば、相続に精通した司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。
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