遺産の使い込みの時効は3~10年!証明するのが難しい理由と対処法

遺産の使い込みの時効は3~10年!証明するのが難しい理由と対処法
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 5

親と同居している親族や通院や生活の面倒を見ていた親族が、親の預金を管理するだけでなく使い込みをしてしまうケースは少なくありません。
また、親が亡くなった後に遺産を引き出し、相続人の1人が使ってしまうケースもあるでしょう。

このような遺産の使い込みに対しては損害賠償請求や不当利得返還請求権を行使できますが、それぞれ時効が設定されています。
遺産の使い込みの時効は3~10年なので、使い込みに気付いたら早めに証拠集めなどの準備や相手方との交渉を進るのが良いでしょう。

本記事では、遺産の使い込みの時効や使い込みを証明することが難しい理由を解説します。
親の預金の使い込みについては、下記の記事もご参考ください。

親の預金の使い込みは罪に問える?調査方法や取り戻す方法について

1章 遺産の使い込みの時効は3~10年

家族や親族が亡くなった人の遺産を使い込んでいた場合の時効は3〜10年です。
遺産の使い込みに対しては、損害賠償請求および不当利得返還請求権の行使によって返還を要求できますが、それぞれ時効が異なるのでご注意ください。

遺産の使い込みの時効について、詳しく見ていきましょう。

1-1  不法行為による損害賠償請求の時効は3年

不法行為にもとづく損害賠償請求権の時効は、損害及び加害者を知ってから3年間です。
遺産の使い込みが発覚してから3年と考えておくと良いでしょう。

1-2 不当利得返還請求権の時効は5年または10年

不当利得返還請求権の時効は、権利行使できると知ったときから5年もしくは権利の発生時から10年間です。
遺産の使い込みの場合、時効は下記のように設定されます。

  • 使い込みが発覚してから5年以内
  • 使いこみがあってから10年以内

遺産の使い込みが行われて時間が経っている場合には、時効を迎えている恐れがあるのでご注意ください。

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2章 遺産の使い込みを証明するのが難しい理由

家族や親族による遺産の使い込みは、発覚しても証明するのが難しいことが多いです。

理由は、下記の4つです。

  1. 発覚する可能性自体が低い
  2. 使い込みの証拠が見つかりにくい
  3. 使い込まれた金額を特定しにくい
  4. 使い込みをした遺族が事実を認めない可能性が高い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 発覚する可能性自体が低い

親など近しい家族の遺産を使い込んでいた場合、そもそも発覚自体しない場合も多いです。
生前から親の預貯金を子供が管理していたケースなどでは、下記の理由で使い込みに気付きにくいからです。

  • 親が認知症で判断能力を失っていれば預金の引き出しに気付かない
  • 親が子供に預金の引き出しや支払いを依頼していた場合、多めに引き出されていたとしても気付きにくい

使い込みをしていない子供が記帳済みの故人の通帳を見たとしても「故人の生活費や医療費を支払ったんだろう」と思って何も言わない可能性もあるでしょう。
もしくは、使い込みが疑われるケースでも「世話をしてくれたんだから、これくらいは仕方ない」と相続人が追求しない恐れもあります。

2-2 使い込みの証拠が見つかりにくい

遺産の使い込みが発覚、疑われたとしても証明するための証拠を集めるには、手間と時間がかかります。
例えば、故人の預貯金を使い込んでいたと証明するには、下記の書類などが必要です。

  • 銀行が発行する取引履歴
  • 親が通っていた病院のカルテや診断書、介護記録
  • 親の通院や各種支払いにかかった金額

医療機関の記録に関しては病院での保管期間が決まっており、古すぎる記憶は処分されている恐れもあるのでご注意ください。

2-3 使い込まれた金額を特定しにくい

遺産の使い込み自体は明らかであるものの使い込まれた金額を特定できないケースも多いです。
例えば、下記のケースでは使い込みの金額を特定するのは難しいでしょう。

  • 使い込みをしていた子供が親と同居していた
  • 家族や親族が故人の生活をサポートしており、預金の引き出しも日常的に行っていた

2-4 使い込みをした遺族が事実を認めない可能性が高い

使い込みの事実や金額に関する証拠を見つけたとしても、使い込みをしていた本人が事実を認めない可能性も高いです。
遺産の使い込みの場合は口座名義人が死亡しているため、下記の主張をされても完全に否定することは難しいでしょう。

  • 亡くなった人から頼まれたから預金を引き出しただけ
  • 多めに預金を引き出していたのは「手間賃」として受け取って良いと亡くなった人に言われていた

当事者のうち片方が亡くなっているため、完全に否定することはできず、使い込みを疑ったまま裁判を起こせないケースも多いです。


3章 遺産の使い込みが疑われるときの対処法

相続人の1人が遺産を使い込んでいたことが疑われる場合は、使い込まれた時期や金額の調査を行いましょう。
遺産の使い込みといっても、口座名義人が亡くなった後に行われるだけでなく、生前のうちに行われる場合もあるからです。

続いて、遺産の使い込みの時期を特定できたら、口座名義人の当時の判断能力を調査しなければなりません。
それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 遺産が使い込まれた時期・金額を調査する

まずは、遺産が使い込まれた時期や金額を調査しましょう。
亡くなった人の預金が引き出されていたとしても、生活費や入院費用を引き出していた可能性もあるからです。
他には、相続発生後にまとまった金額が引き出されていたとしても、遺された家族の生活費や葬儀費用の支払いに充てていたケースもあるでしょう。

一般的には、下記のケースは遺産の使い込みが行われている可能性があります。

  • 頻繁に預金が引き出されている
  • おろされた金額が高額である
  • 預金引き出しの時期が親が亡くなる直前もしくは死亡後

その一方で、引き出している金額が少額である場合や口座名義人が亡くなった後の引き出しでも使用目的が明確な場合は、使い込みの可能性は低いです。

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3-2 遺産が使い込まれたときの故人の判断能力を調査する

口座名義人以外が預金を引き出しているなど、使い込みが疑われるケースを見つけたら、使い込み当時の故人の判断能力を調べましょう。
というのも、口座名義人が家族や親族に預金の引き出しを頼んでいるケースは、遺産の使い込みには該当しないからです。

一方で使い込み当時に、口座名義人が認知症を発症しており判断能力がないケースでは遺産を使い込まれた可能性があります。
ただし、家族や親族が「当時は認知症だった」と主張しても裁判で認められる可能性は低く、裁判で認められるには医師の診断書やカルテなどの証拠が必要です。

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4章 遺産の使い込みが発覚したときの対処法

遺産の使い込みが明らかになったときや使い込んだ遺産を返還してほしい場合は、損害賠償請求や不当利息返還請求などを行えます。
しかし、裁判での争いは最終手段であり、まずは当事者間での話し合いや遺産分割調停による解決を目指すのが良いでしょう。

遺産の使い込みが発覚したときには、下記の対処法をお試しください。

  1. 当事者間で話し合う
  2. 遺産分割調停を行う
  3. 相続人が損害賠償請求・不当利得返還請求を行う

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 当事者間で話し合う

相続人の1人が遺産を使い込んでいたとしても、いきなり裁判を起こすのではなく、まずは当事者間による話し合いで解決を目指しましょう。
使い込みをした本人から事情を聴き、使い込んだ金額を返還してもらえば解決できます。

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4-2 遺産分割調停を行う

遺産の使い込みをした本人が認めない場合や返還に応じない場合は、遺産分割調停を行いましょう。
遺産分割調停とは、相続人同士で解決が難しい場合に家庭裁判所で調停委員を交えて話し合い、解決を目指す手続きです。

遺産分割調停では第三者を交えながら話し合いができるので、当事者間のみの話し合いよりも感情的にならず落ち着いて話し合いを進められます。
一方で、遺産分割調停はあくまでも話し合いであり裁判所が判決を下すわけではなく、不成立になる可能性もあります。

遺産分割調停が不成立になった場合は、裁判所に損害賠償請求や不当利息返還請求を行うことも検討しましょう。
遺産分割調停の申立て方法および必要書類は、下記の通りです。

申立てする人
  • 相続人
  • 法定代理人
手続き先相手方の住所地を管轄する家庭裁判所
手続き費用
  • 収入印紙:1,200円
  • 連絡用の郵便切手:1,000円程度
必要書類
  • 調停申立書(裁判所用と相手方の人数分)
  • 遺産目録
  • 相続人関係図
  • 故人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • ほかに相続人がいないことを証明する戸籍謄本類(ケースバイケース)
  • 相続人全員の住民票もしくは戸籍附票
  • 遺産の資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、査定書、預貯金通帳の写し、残高証明書、株式の資料など)
    など
遺産分割調停とは?手続きの流れや必要書類・専門家の活用法まで解説

4-3 相続人が損害賠償請求・不当利得返還請求を行う

残念ながら遺産分割調停が不成立になった場合は、遺産の使い込みによる損害賠償請求や不当利得返還請求を起こすことも検討しましょう。
遺産分割調停とは異なり、損害賠償請求や不当利得返還請求を行う際には地方裁判所に申し立てを行います。

損害賠償請求や不当利息返還請求を行う際の注意点は、下記の通りです。

  • 損害賠償請求や不当利息返還請求には時効がある
  • 請求や相手方との交渉を自分で行うのは難しい
  • 裁判所が使い込みを認めるだけの証拠が必要である

相続人が自分で損害賠償請求や不当利息返還請求を行うのは難しいので、相続トラブルに強い弁護士に相談するのがおすすめです。
専門家に相談すれば、証拠集めのサポートや裁判をして勝てそうかどうかの判断もしてもらえます。

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まとめ

遺産の使い込みの時効は3~10年なので、使い込みが疑われる時点で証拠集めや当事者との話し合いを行う必要があります。
ただし遺産の使い込みはそもそも発覚しにくく、発覚したとしても証拠を集めるのが難しい点には注意しなければなりません。

遺産の使い込みを疑ってしまうと、相続人同士のトラブルにも発展する恐れがありますし、解決しても相続人同士に遺恨が残り元の関係性に戻らない可能性も高いでしょう。
このような事態を防ぐには、相続が発生する前の段階で相続対策をしておくことや司法書士や弁護士に相続手続きを依頼し不正が行われない工夫をすることも大切です。

グリーン司法書士法人では、相続対策や相続手続きに関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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