夫婦で贈与税が発生するケース/しないケース【不動産贈与は特例あり】

夫婦で贈与税が発生するケース/しないケース【不動産贈与は特例あり】
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 4

旦那さんが奧さんに生活費を渡しても、贈与税はかかりません。

このように夫婦間でお金を受け渡しても、一般的には「税金が発生する」とは思わないものです。

しかし、夫婦間でのやり取りであっても「贈与税」が発生するケースもあるので注意が必要です。

特に不動産の購入資金の贈与や不動産の名義変更は、高額な贈与税を課税される可能性があります。

今回は、夫婦間で贈与税が発生するケース/しないケース、さらには夫婦間で贈与税を発生させずに贈与する方法を、専門家が解説していきます。


1章 夫婦間で贈与税が発生するかどうかはケースバイケース

1-1 贈与税が発生するかどうかは個別事情の検討が必要

夫婦間でお金や不動産などのやり取りをしたとき、贈与税が発生するかどうかはケースバイケースです。つまり、そのケースにおける個別の事情により、贈与税が発生したりしなかったりします。

現金だから贈与税が発生しない、不動産だから発生する、など財産による基準もありません。現金でも不動産でも生命保険でも、贈与税が発生する可能性がありますし、しないケースもあります。

1-2 贈与税とは

贈与税とは、財産を「贈与」したときに発生する税金です。贈与を受けた側が、贈与された金額に応じて税務署へ申告・納税する必要があります。

贈与とは「無償で財産を譲り受けること」なので、夫婦間でも無償で財産を受け取ったら、基本的に贈与税を払わねばなりません。

1-3 贈与税が発生するかどうかの分岐点

贈与税が発生するかどうかは、以下の3つの要素によって決まります。

  • 無償で財産をもらったか
  • 贈与税の控除制度が適用されないか
  • 生活資金のやり取りではないか

基本的には財産を「無償でもらったかどうか」によって決まります。無償であれば発生しますし、有償なら発生しません。

ただしそれだけの要素では決まりません。贈与税には「控除」の制度があるからです。控除が適用される範囲内であれば、無償で財産をもらっても贈与税は発生しません。

また夫婦間の場合、生活費や教育費のための資金であれば、お互いにやり取りをしても通常は贈与税の課税対象になりません。

このように、夫婦間で贈与税が発生するかどうかについては上記のような事情を総合的に考慮して決定されます。次章では、具体的に贈与税が発生するケースを確認しましょう。

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2章 夫婦間で贈与税が発生するケース

夫婦間でも贈与税が発生するケースにどのようなものがあるのか、みてみましょう。

2-1 生活費以外のお金の移動

夫婦間の場合、家賃や食費など日常生活に通常必要な資金の移動であれば、贈与税はかかりません。

しかしそれ以外の場合であれば、贈与税がかかる可能性があります。

たとえば投資のために相手にまとまった現金を渡した場合や、特に意味もなく相手名義の口座に数百万円のお金を振り込んで貯蓄に回した場合などには、贈与税が課税される可能性があります。

2-2 資金を出していないのに、購入した不動産を共有名義にする

不動産を購入して「共有名義」にするときにも注意が必要です。共有名義にしても贈与税がかからないのは、共有持分に応じて夫婦が資金を出している場合です。資金を出していないにもかかわらず不動産の持分を取得すると、相手から「資金を出してもらった」ことになるので贈与税の課税対象になります。

たとえば5000万円の不動産を購入するとき、夫が全額資金を出したとします。このとき、全部夫名義にしたら贈与税はかかりませんが、妻の名義を半分入れると、夫から妻へ2500万円分の贈与をしたことになるので、贈与税が発生します。

2-3 過大なプレゼント

夫婦間で誕生日や結婚記念日などにプレゼントをしても、通常は日常生活に附随するものとして贈与税の課税対象にはなりません。ただしプレゼントとしてあまりに過大な場合には、贈与税が発生する可能性があります。

たとえば誕生日プレゼントで1000万円もする高級外車をプレゼントしたら、贈与税が発生する可能性が高くなります。

2-4 配偶者特例を受けられないケース

居住用の不動産を贈与する場合や居住用不動産の購入資金を贈与する場合でも、配偶者控除の特例を受けられなければ通常一般と同様に贈与税が課税されます。

(贈与税の配偶者控除については4章で詳しく解説しています。)

たとえば婚姻期間が20年未満の夫婦には配偶者控除が適用されないので、家を相手名義に変えたら高額な贈与税がかかります。


3章 夫婦間で贈与税が発生しないケース

夫婦間で贈与税が発生しないケースとしては、どういった場合があるのでしょうか?

以下で具体例をみていきましょう。

3-1 生活費や教育資金のやり取り

夫婦の場合、生活費や教育費のための資金の移動は日常的にやむを得ないものとして認められます。このようなものにまでいちいち贈与税が課税されると、世の中で夫婦が普通の生活を送るのが困難となってしまうからです。

そこで生活費や子どもの教育資金についてのやり取りがあっても贈与税は課税されません。

たとえば以下のような場合、贈与税の課税対象外です。

  • 夫が毎月妻に生活費を30万円渡している
  • 家具を購入するために200万円を渡した
  • 子供の学費のため、500万円を相手の口座に振り込んだ
  • 夫が妻に、買い物などの普段使いの自家用車を買い与えた

ただし「生活費や教育費のため」とは言ってもそれが「過大」であれば、通常必要な部分を超過する部分に贈与税がかかる可能性があります。

また生活費や教育費として支払われたにもかかわらず、実際にはへそくりで貯蓄にまわしたり投資したりしたら、贈与税の課税対象になる可能性があります。

3-2 これから行う結婚式費用などの一元管理

近々結婚式を行うので、夫婦のどちらかの名義の口座に資金をまとめて一元管理する場合などには、預けただけなので贈与税はかかりません。

3-3 1年に110万円以内の贈与

夫婦間で贈与する場合であっても、年間110万円分までなら贈与税はかかりません。たとえば預貯金や保険、貴金属や自動車などいろいろな財産の種類がありますが、どのようなものでも1年に110万円以内の評価額であれば無税で贈与できます。

住宅 贈与税

これを暦年贈与と言います。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【暦年贈与とは】相続税をしっかり節税!概要と効果を分かり易く解説

3-4 不動産の贈与で配偶者控除を受ける場合

夫婦間で居住用の不動産を贈与するときには「配偶者控除」を受けられるケースがあります。その場合、2000万円分までの評価額であれば、無税で不動産を贈与できます。

配偶者控除の特例は上記の110万円の基礎控除と併用できるので、2110万円分までの不動産であれば贈与税がかかりません。

贈与税の配偶者控除は本当にお得なの?メリットデメリットを徹底解説

3-5 不動産の購入、建築資金としてお金を贈与して配偶者控除を受ける場合

夫婦間で「居住用不動産の購入、建築資金」を贈与するときにも、配偶者控除を利用できる場合には2000万円までは無税でお金を贈与できます。110万円の基礎控除と合わせると、2110万円の贈与までは贈与税がかからなくなります。


4章 不動産の贈与は「配偶者控除2000万円」の特例制度を利用しよう

上記でも少しご紹介しましたが、配偶者間で不動産を贈与するときには「贈与税の配偶者控除」を利用する方法がオススメです。これを適用すると、最大2000万円まで(基礎控除と合わせると2110万円まで)の不動産や不動産購入資金の贈与が無税になるからです。

以下で贈与税の配偶者控除制度について、詳しく説明してきます。

4-1 配偶者控除2000万円の特例とは

贈与税の配偶者控除2000万円の特例とは、いったい何なのでしょうか?

これは、20年以上連れ添った夫婦間で居住用不動産やその購入・建築資金を贈与するとき、最大2000万円分までが無税になる制度です。

夫婦が長年連れ添っていると、お互い年も取ってきてどちらかが先に死亡する可能性も現実化します。そんなとき、残される配偶者としては、できるだけ家を確保したいと考えるでしょう。

そこで、生前であっても家を配偶者に贈与しやすくするため、配偶者間であれば2000万円まで贈与税を課税しないという特例を設けています。

配偶者控除の適用対象になるのは、以下のような贈与です。

  • 居住用不動産そのものの贈与
  • 居住用不動産を購入する資金の贈与
  • 居住用不動産を建築する資金の贈与

不動産をそのまま贈与した場合に限らず、資金贈与のケースでも控除対象になります。

贈与税の配偶者控除

4-2 特例が適用されるための条件

贈与税の配偶者控除が適用されるには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 夫婦の婚姻期間が20年を超えている
  • 居住用不動産の贈与または居住用不動産を取得するための金銭の贈与である
  • 贈与を受けた翌年の3月15日までに、贈与を受けた配偶者が対象の不動産に現実に住んでいて、その後も引き続き住み続けること
  • 居住用不動産が国内に存在すること
  • 同じ配偶者からの贈与では、今回、初めて配偶者控除を受けること

4-3 配偶者控除特例を利用する方法

配偶者控除の摘要を受けるには、以下の書類を添付して「贈与税の申告」をしなければなりません。申告は、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までに税務署にて行います。

(必要書類)

  • 贈与を受けて10日以降に作成された戸籍謄本または抄本
  • 贈与を受けて10日以降に作成された戸籍の附票
  • 居住用不動産の登記事項証明書(贈与を受けた人の名義になっている必要がある)

4-4 贈与税の配偶者控除を受ける際の注意点

贈与税の配偶者控除を受けるためには、きちんと夫婦間で「贈与契約書」を作成しておくべきです。そうしないと「贈与があったこと」を証明しにくくなるからです。

また贈与税申告に際しては、不動産が贈与を受けた人の名義になっている必要があります。そのため、贈与税の申告前に不動産の名義変更を完了しておかねばなりません。しかし自分たちだけで贈与にもとづく不動産の名義変更登記をするのは大変です。

司法書士にご相談いただけましたら、夫婦間の贈与で必要な贈与契約書の作成から贈与にもとづく不動産の所有名義変更登記まで、一括してスムーズに対応させていただけます。

特例を適用して最大2000万円(基礎控除と合わせると2110万円)分の贈与を無税にしてもらえると大変助かりますので、夫婦間の贈与をご検討ならば、ぜひともご相談下さい。

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まとめ

当司法書士法人には、夫婦間の生前贈与の契約書作成、不動産登記業務を多数行ってきた実績があります。夫婦間で不動産贈与や購入資金の贈与を検討されておられるなら、確実に特例を適用するため、お気軽にお問い合わせ下さい。

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