私はこれまで司法書士として、様々な相続対策にかかわってきました。
中でも印象に残っているのは、遺言書の作成により相続トラブルを未然に防いだ事例です。
詳しく紹介していきます。
相談者様との出会い
相談に来られたのは60代の男性でした。
子供は2人いるもののそのうち、長男がお金にだらしなく職も続かなくて困っているとのことでした。
遺産についても自分の近くに住み面倒を見てくれた長女に多く遺したいが、対策をしておかないと長男が出てきて揉めることが予想されるとお話されていました。
実際に「もう一度大学に通うから援助してくれ」「結婚式の援助をしてくれ」「今月は生活が苦しいからお金を貸してくれ」など長男からはたびたびお金を無心されていたようです。
問題の分析
初回相談時に、ご相談者様の資産および家族の状況について整理いたしました。
長男に財産をできるだけ遺さず、長女に遺したいとのご希望でしたので、公正証書遺言の作成を提案しました。
遺言書の作成
公正証書遺言は遺言書の中でも信頼性が高いこと、遺言書を作成する際には遺留分を侵害しないように注意が必要なことなどを説明させていただき、正式に依頼を受けました。
依頼を受けた後は、公正証書遺言の内容を提案し、公証役場での作成にも証人として同行いたしました。
加えて、遺言内容が確実に実行されるように遺言執行者の選任についてもアドバイスいたしました。
長女が遺言書の内容で長男から責められるのを避けたい、兄妹はできるだけ関わらないようにさせたいとのことでしたので、私が遺言執行者になり責任をもって遺言内容を実現することになりました。
相談者の反応
公正証書遺言の作成が完了したとき、ご相談者様はホッとされていたようでした。
その後、遺言執行者としてご相談者様の長男、長女と会う機会があったのですが、遺言書を作成していなかったらトラブルが発生して泥沼化していただろうと感じました。
公正証書遺言および遺言執行者の選任をしていたおかげで長男もしぶしぶといった様子ではありましたが、遺言内容に従ってくれました。
まとめ
遺言書は専門家に依頼せずとも自分で作ることができますが、相続トラブルを回避したい、希望の人物に財産を遺したいなどを確実に実現するためには、様々な可能性や法律を考慮しなければなりません。
今後も司法書士として、ご相談者様の希望を反映した遺言書の作成に努めたいと感じました。