内縁の妻が遺族年金を請求するための必要書類まとめ!

内縁の妻が遺族年金を請求するための必要書類まとめ!
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 6

内縁の妻は法定相続人には該当しないので、故人の遺産を受け取ることはできませんが、遺族年金の受給権はあります。
ただし、内縁の妻が遺族年金を受け取るためには、①故人と内縁関係にあったことと②内縁の夫に生計を維持されていたことの証明が必要です。
また、必要書類を揃え遺族年金を請求したとしても、内縁関係にあったかを判断するのは自治体であり、確実にもらえるわけではない点には注意しておきましょう。

本記事では、内縁の妻が遺族年金を請求するための必要書類を解説します。
内縁の妻の相続権については、下記記事をご参考にしてください。

内縁の妻とは?相続時の権利や内縁の妻を選択するメリット・デメリット

1章 内縁の妻が遺族年金を受け取るための要件

遺族年金は内縁関係に合った夫婦も請求できると、法律によって決められています。
ただし、内縁の妻が遺族年金を請求するには2つの要件を満たさなければなりません。

詳しく解説していきます。

1-1 故人と内縁関係にあった

内縁の妻が遺族年金を受け取るには、故人と事実上婚姻関係と同様の関係である必要があります。
内縁関係にあったと認められるには、下記の要件を満たさなければなりません。

  • 当事者同士に社会通念上、夫婦の共同生活であると認められる事実関係を成立させようと合意があった
  • 当事者同士に社会通念上、夫婦の共同生活であると認められる事実関係が存在していた

上記のように、戸籍上の夫婦ではないものの請求者と故人の間に婚姻する意思があり、共同生活を営んでいた状況があれば遺族年金を請求可能です。

1-2 内縁の夫に生計を維持されていた

内縁の妻が遺族年金を請求するには、内縁の夫に生計を維持されていた必要があります。
内縁の妻と故人が生計維持関係にあったと認められるには、以下の要件を満たさなければなりません。

【収入要件:下記のいずれかに該当すること】

  • 前年の収入が年額850万円未満
  • 前年の所得が年額655.5万円未満
  • 一時的な所得があるときは、これを除いた後、前記どちらかに該当する
  • 上記いずれに該当しないものの将来5年以内に定年退職等するにより近い将来(おおむね5年以内)

【生計同一要件:下記のいずれかに該当すること】

  • 住民票上同一世帯に属しているとき
  • 住民票上世帯を異にしているが、住所が住民票上同一であるとき
  • 住所が住民票上異なっているが、同居していて家計を一にしていると認められる、やむを得ない事情で別居しているとき

内縁関係で遺族年金を受給するには、上記のように内縁の妻と夫が原則として同居している必要があります。
ただし、単身赴任や病気療養などが理由で同居できない理由がある場合には、遺族年金を受けられる可能性がありますが、下記を満たさなければなりません。

  • 生活費や療養費などの援助を継続的に行っていること
  • 定期的に訪問を行っていること

内縁の妻が遺族年金を請求するためには、本章で解説した要件を満たしていると証明できる書類を提出しなければなりません。
次の章では、具体的にどんな書類が必要になるのかを解説します。

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2章 内縁の妻が遺族年金を受け取るための必要書類

内縁の妻が遺族年金を請求するためには、遺族年金の請求に必要な書類だけでなく、内縁関係を証明する書類も提出しなければなりません。
具体的には、下記の書類が必要です。

【内縁関係を証明する書類】

  • 健康保険被保険者証の写し
  • 給与簿もしくは賃金台帳の写し
  • 結婚式場などの証明書
  • 葬儀を主菜したことを証明できる書類
【遺族年金の請求に必要な書類】

  • 死亡診断書のコピー
  • 請求者と故人の戸籍謄本・抄本
  • 故人の住民票の除票
  • 請求者および世帯全員分の住民票
  • 請求者の所得証明書
  • 年金手帳や年金証書
  • 通帳
  • 生計同一等申立書

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 内縁関係を証明する書類

遺族年金の請求者と故人が内縁関係にあったと証明できる書類としては、下記のものがあげられます。

必要書類概要
健康保険被保険者証の写し内縁の妻が健康保険の被扶養者になっている場合
給与簿もしくは賃金台帳などの写し給与計算上、内縁の妻が扶養手当の対象になっている場合
他制度の遺族年金証書などの写し内縁の妻が他の制度から故人の遺族給付が行われている場合
結婚式場などの証明書
挙式や披露宴などの実施を証明できる書類
挙式や披露宴などが1年以内に行われている場合
葬儀を主催したことを証明できる書類内縁の妻が故人の葬儀の喪主になっている場合
その他、内縁関係を証明できる書類

  • 連名の郵便物
  • 公共料金の領収証
  • 生命保険の保険証
  • 賃貸契約書の写し
上記いずれの書類も用意できない場合

ただし、上記の書類を用意できたとしても最終的に遺族年金の対象になる内縁関係にあったと判断するのは各自治体です。
そのため、必要書類を用意できたからといって必ず遺族年金を受給できるとは限りません。

2-2 遺族年金の請求に必要な書類

内縁関係を証明する書類とは別に、遺族年金の請求自体に必要な書類も収集し提出しなければなりません。
遺族年金の請求に必要な書類は、下記の通りです。

必要書類取得方法
死亡診断書のコピー死亡届提出時にコピーしておく
請求者と故人の戸籍謄本・抄本請求者および故人の本籍地の市区町村役場
故人の住民票の除票故人の最後の住所地を管轄する市区町村役場
請求者および世帯全員分の住民票請求者の住所地を管轄する市区町村役場
請求者の所得証明書下記のいずれかの書類を用意しておく

  • 源泉徴収票
  • 課税証明書
  • 給与明細書
  • 確定申告書
  • 青色申告決算書
年金手帳や年金証書故人の自宅や持ち物から探しておく
通帳自分名義の通帳を用意しておく
生計同一等申立書日本年金機構HPからダウンロードできる

内縁の妻が上記の書類を収集するにあたり、問題になるのは「そもそも上記の書類を内縁の妻は入手できるか」という点です。

例えば、死亡診断書のコピーは葬儀を前妻の子が行ったケースなどでは入手できない恐れがあります。
戸籍謄本や住民票の除票に関しても、市区町村の対応によっては内縁の妻への発行を認めてくれない可能性もゼロではありません。

このように、内縁の妻は遺族年金の受給権自体は認められているものの請求にあたり必要な書類を集めるのも大変です。
さらに、書類を集めたとしても遺族年金が必ず受給できるとは限りません。

内縁の妻が故人の死亡後も生活に困らないようにするためには、遺族年金だけでは不安が残ります。
故人の死亡後も内縁の妻が金銭的に困窮せず暮らしていけるようにするには、遺言書を作成し財産を遺すのがおすすめです。


3章 内縁の妻にも遺言書であれば財産を遺せる

内縁の妻には相続権がありません。
そのため、故人が遺言書を遺していなかった場合には前妻との子や故人の兄弟姉妹などの親族が財産を受け継ぎます。

内縁の妻に財産を遺したいのであれば、生前のうちに遺言書を作成しておきましょう。
遺言書を作成しておけば、相続権がない内縁の妻に対しても自分の財産を遺せます。

ただし、内縁の妻に財産を遺す遺言書を作成するときには、いくつか注意しなければならない点があります。
次の章で詳しく見ていきましょう。

自分で遺言書を作成する方法!文例付きで書き方や注意点を簡単解説

4章 内縁の妻のために遺言書を作成するときの注意点

内縁の妻に財産を遺すために遺言書を作成するのであれば、遺言執行者の選任と遺留分対策に注意しなければなりません。
それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 専門家を遺言執行者に選任しておく

遺言書作成時には、遺言執行者も合わせて選任しておきましょう。
遺言執行者とは、遺言書に記載された内容を実現するために各種手続きをする人物です。

遺言執行者を選任しておけば、法定相続人と内縁の妻が共同で相続手続きを進める必要がなくなり、遺言執行者が単独で手続きを進められます。
特に、内縁の妻に財産を遺そうとすると他の相続人とのトラブルが予想されますので、相続に精通した司法書士や弁護士などを遺言執行者に選んでおくと安心です。

遺言執行者とは|誰がなれる?選任方法や仕事内容を徹底解説【完全版】

4-2 遺留分対策をしておく

内縁の妻に財産を遺す遺言書を作成する際には、遺留分対策も同時にしておきましょう。
遺留分とは、故人の配偶者や子供が遺産を最低限度受けとれる権利です。

遺留分は遺言書の内容よりも優先されるので「内縁の妻に全財産を遺す」と遺言書に書いてあったとしても、故人の子供が内縁の妻に対し遺留分侵害相当額の金銭を請求できます。
内縁の妻と相続人の間に遺留分トラブルが起きてしまう可能性もありますので、下記の遺留分対策をしておきましょう。

  • 生命保険などで遺留分を払うための資金を用意しておく
  • 生前贈与などで相続財産そのものを減らしておく
遺言よりも遺留分が優先される!【効果的な5つの遺留分対策とは】

まとめ

内縁の妻には相続権はありませんが、遺族年金の受給は認められています。
ただし、内縁の妻が遺族年金を受給するためには、遺族年金請求の書類とは別に内縁関係を証明する書類の提出も必要です。
また、内縁の妻は遺族年金の請求に必要な故人の戸籍謄本を発行できない恐れがある点にも気を配っておかなければなりません。

結論としては、内縁の妻が一人になったときに遺族年金のみを当てにするのはリスクがあります。
自分が亡くなった後も内縁の妻に経済的な負担を強いたくないと考えるのであれば、遺言書を作成し財産を遺しておくのが良いでしょう。

遺言書は自分でも作成できますが、内縁の妻と相続人でトラブルが起きる可能性もあるので、相続や遺言書作成に詳しい司法書士や弁護士に依頼するのがおすすめです。

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よくあるご質問

内縁の妻は遺族年金をもらえる?

下記の要件を満たせば、内縁の妻も遺族年金を受け取れます。
・故人と内縁関係にあった
・内縁の夫に生計を維持されていた
▶内縁の妻が遺族年金をもらえるか詳しくはコチラ

内縁の妻が遺族年金をもらうときの必要書類とは?

内縁の妻が遺族年金をもらうには遺族年金請求の書類とは別に内縁関係を証明する書類が必要です。
▶内縁の妻が遺族年金をもらうときの必要書類について詳しくはコチラ

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