資産形成や相続対策を目的として、土地活用に挑戦したいと考える人もいるのではないでしょうか。
ただし、土地活用をする際には自己資金の用意や利回りなど考慮すべき点がいくつかあります。
これらのことや周辺地域の土地需要を理解しないまま活用を始めてしまうと、土地活用に失敗してしまう恐れがあります。
これから土地活用を始める人はあらかじめ失敗例を活用しておき、対処法を確認しておくのがおすすめです。
本記事では、土地活用および不動産活用ごとに失敗例をまとめました。
これから土地活用や不動産活用をする人は、ぜひご参考にしてください。
相続対策で土地活用を検討している人は、下記の記事で詳しく解説しているので合わせてお読みいただけますと幸いです。
1章 土地活用の失敗例
土地活用をする際には、ある程度の自己資金が必要ですし、節税対策だけを意識していると肝心の利回りが悪くなってしまい想定よりも利益が出ない恐れがあります。
土地活用の失敗例は、主に下記の通りです。
- 自己資金が不足していた
- 節税対策を意識しすぎてしまった
- 地域の土地需要や賃貸需要を把握していなかった
- 利回りを追求しすぎてしまった
- 修繕費や建築費の相見積もりをしなかった
- 土地活用の方法を狭めすぎてしまった
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1 自己資金が不足していた
土地活用をする際には、自己資金が必要です。
自己資金が不足しておりフルローンで活用を始めてしまうと、借入金の返済額が大きくなってしまいます。
その結果、借主が見つからない、災害が発生し修繕費用がかかるなどの不測の事態が発生したときに、資金繰りが難しくなってしまう恐れがあります。
自己資金の不足による資金繰り悪化を避けたいのであれば、投資額の3割程度は自己資金で用意しておくのがおすすめです。
特に、相続した不動産で活用を始める場合、不動産購入が必要ないため資金繰りに余裕が生まれると錯覚してしまうケースがあります。
一方で、相続不動産による土地活用は自分で活用タイミングを選べないので、自己資金は十分にあるか、資金繰りに問題はないかシミュレーション必要があるでしょう。
1-2 節税対策を意識しすぎてしまった
「相続した土地を放置していても管理コストや固定資産税がかかるから、活用を始めた方が良い」と考える人もいるのではないでしょうか。
確かに、土地を所有しているだけではコストがかかり続けるだけであり、活用した方が節税につながります。
しかし、土地活用を始め青色申告特別控除などを適用し節税効果を得られたとしても、土地活用自体に利益が出ていなければ不動産経営が立ち行かなくなってしまいます。
そのため、土地活用を始める際には節税効果だけでなく、将来的な利回りまで考慮して始める必要があります。
特に、相続した不動産で土地活用をする場合、土地を所有しているだけで管理費用がかかってしまうため、急いで土地活用を始めてしまいがちです。
しかし、将来的に赤字になることが予測されるのであれば、活用ではなく売却を視野に入れる、自分で活用するのではなく建築会社やデベロッパーとの等価交換を検討するなどの対策も必要です。
1-3 地域の土地需要や賃貸需要を把握していなかった
土地活用を始める際には、周辺地域の土地需要や賃貸需要を把握しておかなければなりません。
自分で土地を購入し活用を始める場合は、周辺地域のニーズも当然把握している人が多いですが、相続した不動産で土地活用をする場合は注意が必要です。
相続不動産での土地活用は自分で土地を購入するわけではなく、立地を選ぶことができません。
したがって、相続した土地に合う方法で活用をする必要があります。
例えば、相続した土地が田舎にあり賃貸需要がない地域では、アパートやマンションを建築しても利益が出る可能性は低いでしょう。
そういった地域では、周辺にある企業に土地を貸す、太陽光発電を行うなど別の活用方法を検討するのがおすすめです。
1-4 利回りを追求しすぎてしまった
土地活用時に利回りは重要ですが、利回りのみを追求すると不測の事態が発生したときに対応できない恐れがあります。
例えば、利回りを追求して賃料を上げすぎてしまい借主が見つからない、アパートやマンションの建築費用を抑えてしまい修繕が必要になるなどのリスクもあります。
土地活用をする際には初期費用を抑えても利回りを維持できそうか、表面利回りだけでなく実質利回りまでシミュレーションしておくことが大切です。
1-5 修繕費や建築費の相見積もりをしなかった
土地活用をする際にアパートやマンション、その他の建築物を建てることもあるでしょう。
活用を始めるにあたり、建築や修繕をするのであれば複数の業者に見積もり依頼を出し、相見積もりを取るようにしましょう。
相見積もりを取れば建築会社や施行会社と交渉をしなくても、建築費用や修繕費用を安く抑えられます。
建築費用や修繕費用を安く抑えられれば、その分だけ借入費用を減らし資金繰りに苦労しなくてすむはずです。
1-6 土地活用の方法を狭めすぎてしまった
土地活用を始めるときに選択肢を狭めすぎてしまい、土地需要を把握せず建物を建ててしまうのも失敗例としてよくあるケースです。
「土地活用=アパート、マンション経営」と考えてしまいがちですが、実際には土地をそのまま貸す方法もありますし、オフィスビルや保育園、介護施設の建築なども選択肢としてあります。
例えば、土地の面積が広いものの賃貸需要が少ない地域では、アパートやマンションを建てるよりも介護施設などの方が需要がある可能性もあるでしょう。
ただし、自分で周辺地域の土地需要を理解し、適切な活用方法を選択するのは非常に大変です。
そのため、相続した土地の活用を検討しているのであれば、信頼できるハウスメーカーや不動産会社を見つけ相談してみるのが良いでしょう。
2章 アパートやマンション経営の失敗例
相続した土地にアパートやマンションを建てた場合、不動産活用に関する知識が浅く賃料すべてが手取りになると誤解してしまい大規模リフォームが必要になったときに対応できないリスクがあります。
他にも、アパートやマンション経営で失敗してしまうケースは、主に下記の通りです。
- 賃料すべてが手取りになると誤解していた
- ニーズを把握できず借主が見つからなかった
- 初期費用を削りランニングコストがかかってしまった
- 契約内容を確認せずサブリース契約を結んでしまった
- リスクを考慮していなかった
- 2階以上を店舗区画にしてしまった
- 一棟貸しの借主選びをミスしてしまった
- 原状回復定義をあいまいにしていた
- 建物を大きくしすぎてしまった
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 賃料すべてが手取りになると誤解していた
アパートやマンション経営でよくある失敗例は、不動産活用に関する知識が浅く、賃料すべてが手取りになると誤解してしまうケースです。
アパートやマンション経営をしていると、下記の費用が発生します。
- 所得税や住民税、固定資産税などの税金
- アパートやマンションのメンテナンス費用
- 管理会社支払う費用
- アパートやマンションの修繕費用
- 借入金の利息
税金や管理会社に支払う費用などのように定期的に発生する費用もありますし、アパートやマンションの場合は数年に一度、大規模リフォームが必要になります。
借主が支払った賃料をすべて手取りだと考えて使い切ってしまうと、後から費用を支払えず資金繰りが悪化してしまう恐れがあります。
アパートやマンション経営をする際には、どんな費用が発生するのか把握し、表面利回りだけでなく実質利回りまで考慮して始めることが大切です。
2-2 ニーズを把握できず借主が見つからなかった
アパートやマンション経営をする場合、周辺の賃貸需要を把握しておく必要があります。
賃貸需要の有無やどんな入居者が多いのかを把握していないと、建築するアパートの規模や間取りの選択を間違えてしまう可能性があります。
例えば、学生や独身サラリーマンが多い町にもかかわらず、ファミリー向けのアパートやマンションを建築してしまうと借り手は見つかりにくいでしょう。
アパートやマンションを建築する前には、必ず周辺地域の賃貸需要を調べることが多いです。
2-3 初期費用を削りランニングコストがかかってしまった
アパートやマンション経営をする際には費用がかかりますが、自己負担や借入金額を抑えるために建築費用を削ってしまうと、かえってランニングコストが増える恐れがあります。
例えば、建築費用を抑えてしまうと早い段階で外壁や屋根の大規模リフォームが必要になってしまう可能性もありますし、エアコンやトイレの費用を抑えると故障しやすい可能性もあるでしょう。
このようにアパートやマンションの建築や内装設備を整えるときには、初期費用だけでなくランニングコストまで考慮する必要があります。
2-4 契約内容を確認せずサブリース契約を結んでしまった
アパートやマンション経営をする際に、サブリース契約を結ぶのであれば契約内容をしっかり確認しておきましょう。
サブリース契約とは、入居者がいなくても家賃保証を受けられる契約です。
サブリース契約を結べば家賃保証を受けられるので収入が安定するように感じますが、借主が見つからないと家賃を下げられてしまい当初の保証額を受け取れなくなってしまいます。
家賃を下げられた結果、借入金の返済ができない、当初の予定より利回りが下回ってしまう恐れがあるのでご注意ください。
2-5 リスクを考慮していなかった
アパートやマンション経営では、下記のように様々なリスクがあり、状況によっては利回りが維持できない、資金繰りが悪化し借入金を返済できない恐れがあります。
- 空き室リスク
- 入居者とのトラブルリスク
- 家賃滞納リスク
- 災害リスク
相続した土地にアパートやマンションを建築する場合、土地の立地を選べないため災害リスクが高い可能性もあります。
その場合は火災保険や地震保険に加入しておく、アパートやマンション経営以外の活用方法も検討しましょう。
2-6 2階以上を店舗区画にしてしまった
店舗と賃貸の併用住宅を建てる場合、店舗区画を2階以上にすると失敗する可能性があります。
というのも、店舗に関しては2階以上や地下階だと需要が下がるので借り手が見つかりにくくなるからです。
例えば、賃貸マンションの1階および2階を店舗区画にした場合、1階は借り手が見つかったものの2階はいつまでたっても借り手が見つからず収入につながらない恐れもあります。
2階にある店舗区画の需要を上げるには直通エスカレーターを設置するなどの工夫が必要であり、コストがかかります。
そのため、店舗と賃貸の併用住宅を建てる場合は、店舗区画を1階のみにするのが良いでしょう。
2-7 一棟貸しの借主選びをミスしてしまった
建物の一棟貸しをする場合、借主選びを間違えてしまうとすぐに退去されてしまい、安定収入につながらない恐れがあります。
一棟貸しとは名前の通り、建物一棟をひとつの事業者に貸すことです。
一棟貸しは借り手が一度見つかれば退去されない限り、収入が安定するのがメリットです。
一方で借り手が退去する、見つからない状態では賃貸収入が0円になってしまいます。
一棟貸しで借り手がすぐに退去してしまう、借り手が見つからないことを防ぐのであれば、長期的に借りてくれる人物に貸すことが大切です。
具体的には、借り手が支払ってくれる賃料のみで選ぶのではなく、借り手の事業内容や経営状態などを確認し総合的に判断をして借り手を決めるのが良いでしょう。
2-8 原状回復定義をあいまいにしていた
アパートやマンション経営をする際や一棟貸しをする際に、原状回復定義をあいまいにしてしまうと、借主と貸主の間でトラブルになってしまう恐れがあります。
特に一棟貸しでは着工前に借り手が決定し、借り手の要望を反映する形で建物が建築されることも多いです。
また、一棟貸しでは竣工後も看板設置や小規模な修繕を借り手側が行うケースが多いです。
そのため、原状回復に関する取り決めを曖昧にしていると、どこからどこまでが借主の資産になるのかがわかりにくくなってしまいます。
借主と貸主の資産区分があいまいになると、修繕費用を誰が負担するのか、借主が退去する際にどこまで原状回復費用を負担するのかで揉めてしまいがちです。
そのため、一棟貸しする際やアパートやマンション経営をする際には、原状回復について書面で取り決めを決めておくのが安心です。
2-9 建物を大きくしすぎてしまった
土地に対して大きな建物を建てすぎてしまう、エレベーターを設置せず5階以上の建物を建ててしまうケースも、アパートやマンション経営で失敗しやすいのでご注意ください。
エレベーターなしで5階以上の建物を建ててしまうと、高齢者や小さい子供がいるご家庭の入居者を獲得しにくくなってしまいます。
結果として、空き室が増えてしまい利回りが悪くなってしまう恐れもあるでしょう。
また大きな建物を建ててしまうと、部屋数もそれだけ多くなってしまい、空き室が発生しやすくなってしまう可能性もあります。
土地活用をする際には容積率をできるだけ高くして物件を建築するのではなく、ある程度余裕を持たせて建築することもご検討ください。
3章 駐車場経営の失敗例
相続した土地を駐車場にすれば、賃料や利用料金を得られますし、駐車場の規模によってはアパートやマンションを建築するよりも初期費用を抑えられます。
ただし、駐車場経営でも市場調査をしないと利用者を予測できず失敗してしまう可能性もあります。
駐車場経営で失敗してしまう原因は、主に下記の通りです。
- 市場調査やニーズの把握を怠った
- 近隣に競合となる駐車場ができてしまった
- 駐車場にしたことにより固定資産税が上がってしまった
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 市場調査やニーズの把握を怠った
駐車場経営は初期費用も少なくてすむ土地活用方法ですが、市場調査やニーズの把握を怠ると失敗してしまう可能性があります。
例えば、住宅地にコインパーキングを作ってもそもそも利用者が集まらず、赤字になってしまう恐れがあります。
住宅地にて駐車場経営をするのであれば、自宅の駐車スペースが足りない人向けに月極駐車場を経営するのが良いでしょう。
一方で、繁華街や観光地で駐車場経営をするのであれば、月極駐車場よりも一時貸しのコインパーキングの方が需要が高いはずです。
相続した土地で駐車場経営をする場合、土地の立地を選べないので、自分で周辺地域やニーズの調査を行いどんな駐車場経営をするか戦略を立てる必要があります。
3-2 近隣に競合となる駐車場ができてしまった
駐車場経営はアパートやマンション経営と比較したときに、周辺地域にある駐車場との価格競争が激しい点に注意が必要です。
自分がコインパーキングや月極駐車場を利用したいと考えたときも、立地と価格くらいしか意識していない人も多いでしょう。
そのため、駐車場経営を始めた当初は利用者が多く利回りが良かったとしても、周辺地域に安い駐車場ができてしまうと、客を取られて利回りが悪くなる恐れがあります。
とはいって、客を取り戻すために駐車場の料金を下げてしまうと利回りが下がり、資金繰りや借入金の返済に影響を及ぼすこともあるはずです。
3-3 駐車場にしたことにより固定資産税が上がってしまった
相続した実家を解体し駐車場経営をする場合、実家解体前より土地の固定資産税が上がってしまう恐れがあります。
固定資産税には住宅用地の特例が用意されており、住宅が建築されている土地の固定資産税は最大6分の1まで軽減されるからです。
実家を更地にしたことで、固定資産税の金額が上がり思ったよりも駐車場経営にコストがかかってしまうケースもあるでしょう。
そのため実家を解体し駐車場経営をする場合は、解体後の固定資産税もシミュレーションしておくと良いでしょう。
4章 太陽光発電の失敗例
田舎にあり賃貸需要の少ない地域で土地活用をしたい場合、アパートやマンション経営ではなく太陽光発電をしようと考える人もいるでしょう。
太陽光発電による投資や土地活用は一時期はやっていたため、儲かるイメージをお持ちの人もいるかもしれません。
太陽光発電の失敗例は、主に下記の通りです。
- 過去に儲かった人の話を聞いて始めてしまった
- 収益シミュレーションを行っていなかった
- 太陽光発電の撤去費用を考慮していなかった
- 自然災害で設備が壊れてしまった
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1 過去に儲かった人の話を聞いて始めてしまった
太陽光発電による土地活用は、国が行っている固定価格買取制度(FIT制度)を利用して、発電した電気を買い取ってもらい収入を得る仕組みです。
固定価格買取制度の開始当初は国が太陽光発電の普及を後押しする目的で、買取価格を高く設定していました。
しかしながら、徐々に買取価格は下がり太陽光発電の収益性も下がってきています。
2012年度から2022年度までの太陽光発電の10kW以上の買取価格は、下記のように推移しています。
年度 | 買取価格(税抜き) |
2012年度 | 40円 |
2013年度 | 36円 |
2014年度 | 32円 |
2015年度 | 27~29円 |
2016年度 | 24円 |
2017年度 | 21円 |
2018年度 | 18円 |
2019年度 | 14円 |
2020年度 | 13円 |
2021年度 | 12円 |
2022年度 | 11円 |
上記のように、2012年度と2022年度では買取価格に30円近くの差があるため、過去に太陽光発電をしていた人の話をうのみにしてしまうと、思ったより太陽光発電で利益が出ず赤字になってしまう恐れがあります。
太陽光発電に限らず、土地活用を行う際には過去にやっていた人の話をすべて参考にするのではなく、収益が発生する仕組みやリスク、利回りなどを理解した上で始めることが大切です。
4-2 収益シミュレーションを行っていなかった
先ほど解説したように、太陽光発電の買取価格および収益性は年々きびしくなっているのが現状です。
そのため、2024年時点では土地の固定資産税が安く日照条件が良い土地でない限り、太陽光発電を黒字化するのは難しいでしょう。
特に、金融機関で借入を行って太陽光発電の設備を建築すると、金融機関に支払う利息もコストとして上乗せされるのでご注意ください。
太陽光発電を行う際には、収益がいくらになるのか、初期費用およびランニングコストはいくらになるのか計算した上で始めましょう。
4-3 太陽光発電の撤去費用を考慮していなかった
太陽光発電を行う際には、発電装置を建築する費用だけでなく、将来の撤去費用まで用意しなければなりません。
しかし、2024年時点の買取価格では建築費用および撤去費用を回収するのは簡単ではありません。
国による買取が終了した段階で撤去費用を用意できていないと、太陽光発電の撤去および違う形での土地活用が難しくなってしまいます。
4-4 自然災害で設備が壊れてしまった
台風による土砂崩れなどが発生し太陽光パネルなどが損傷してしまうと、費用の回収が難しくなってしまいます。
近年では気候変動の影響もあり、大規模災害のリスクも考慮しておく必要があるでしょう。
太陽光発電では太陽光パネルに太陽光を当てる必要があるため、雨風をしのぐ屋根などをパネルの上に設置することは難しいです。
そのため、自然災害の影響を受けやすい点もあらかじめ理解しておきましょう。
5章 土地活用を成功させるコツ
土地活用を成功させるには、自己資金の割合を増やし借入金をできるだけ小さくする、活用予定の土地の特徴や周辺地域のニーズを調査しておくなどの対策が必要です。
具体的には、下記を行うのが良いでしょう。
- 投資額の3割を自己資金として用意しておく
- 活用する土地の特徴や近隣エリアのニーズを把握する
- 収益をシミュレーションしておく
- 土地活用のリスクや費用も把握しておく
- 信頼できる不動産会社や担当者を見つける
それぞれ詳しく解説していきます。
5-1 投資額の3割を自己資金として用意しておく
相続した土地を活用する場合、土地の購入費用がかからない分、自己資金を3割用意しておくと資金繰りをしやすくなります。
自己資金が多く借入金額を減らせれば、その分だけ返済リスクや利息の負担を軽減可能です。
なお、自分で土地を購入して不動産活用をする場合、土地の購入費用も借り入れてしまうと費用を回収できない可能性があります。
そのため、土地の購入費用に関しては自己資金で購入することを目指しましょう。
5-2 活用する土地の特徴や近隣エリアのニーズを把握する
土地活用をする際には、活用予定の土地の特徴や周辺地域のニーズや賃貸需要を把握しておきましょう。
周辺地域の環境やニーズによっては、駐車場やアパート、マンションの需要が少ない可能性もあるからです。
また賃貸需要がある地域でも、借り手の家族構成や年齢を把握していないとアパートやマンションの設備選びや間取りに失敗する恐れがあります。
相続した土地を活用する場合、立地を自分で選べない分、土地の特徴および周辺地域の状況をよく理解することが大切です。
調査の結果、活用が難しい土地であるとわかった場合は売却も視野に入れて行動するのが良いでしょう。
5-3 収益をシミュレーションしておく
土地活用をする際には収益や利回りのシミュレーションもしておきましょう。
不動産会社やハウスメーカーに相談すれば利回りを計算してくれますが、業者や専門家のいうことをうのみにするのではなく、自分で計算してみることも大切です。
また利回りを計算する際には、表面利回りだけでなく実質利回りまで計算しておきましょう。
表面利回りが物件の購入価格に対する家賃収入の割合であるのに対し、実質利回りは「(家賃収入-諸経費)÷(建築費用+諸経費)×100」で計算可能です。
上記のように、実質利回りはランニングコストを引いた利益をもとに計算しているため、より正確な利回りを計算できます。
加えて、より正確な利回りを計算するのであれば空室率や家賃の下落リスクについても考慮しておくのがおすすめです。
5-4 土地活用のリスクや費用も把握しておく
土地活用を始めるのであれば利回りや節税効果などのメリットだけでなく、リスクや費用についてもきちんと把握しておきましょう。
例えば、アパートやマンション経営をする際に空き室リスクや災害リスク、家賃滞納リスクなどを考慮しなければなりません。
災害リスクに対策したいのであれば、火災保険や地震保険に加入する、家賃滞納リスクや入居者とのトラブルリスクを軽減したいのであれば信頼できる管理会社と契約するなどが必要です。
相続した土地を売却、活用する際には亡くなった人から相続人へ名義変更手続きをすませなければなりません。
土地の名義変更手続き時には、法務局にて相続登記をする必要があります。
相続登記時には「登録免許税」と呼ばれる税金を納める必要があり、税額は「固定資産評価額の0.4%」で計算可能です。
例えば、2,000万円の土地を受け継ぎ相続登記する場合は8万円と登録免許税がかかります。
このように相続した不動産を活用する際には、必要な初期費用に相続登記の費用もかかるので事前にシミュレーションしておきましょう。
5-5 信頼できる不動産会社や担当者を見つける
土地活用をする際には自分ですべて調査や手続きをするのではなく、信頼できる不動産会社や担当者、専門家を見つけることも大切です。
活用予定のエリアに詳しい不動産会社やハウスメーカーであれば、土地や地域のニーズに合った活用方法を提案してくれます。
他にも、相続に詳しい司法書士であれば、相続した土地の名義変更手続きも対応可能です。
相続した土地の活用を検討している場合は、司法書士に相談し名義変更手続きをすませ、不動産会社やハウスメーカーを紹介してもらうのも良いでしょう。
まとめ
土地活用にはリスクがありますし費用もかかるので、始める前には代表的な失敗例を調べておき、同じ失敗を繰り返さないようにしましょう。
失敗原因として多いのは、自己資金が不足しており借入金の返済が難しくなるケースや土地の特徴や周辺地域のニーズ調査を怠り収益を確保できないケースなどです。
相続した不動産で土地活用をすると、自分で立地や土地活用のタイミングを選ぶのが難しくなるので、自己資金の用意や十分な市場調査を行った上で始めることを意識しましょう。
また、相続した土地を活用、売却する際には、事前に亡くなった人から相続人に名義変更手続きをすませる必要があります。
相続登記は自分で行うこともできますが、司法書士に数万円程度で依頼することも可能です。
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