固定資産税とは、土地や建物を所有している人に対してかかる税金です。
固定資産税を支払うのは「その年の1月1日時点で土地や建物の所有者として登記されている人物」です。
そのため、二世帯住宅では建設費用を子供が負担していても親が登記上の所有者であれば、固定資産税は親が支払う義務があります。
また、二世帯住宅にかかる固定資産税を節税するのであれば、単独登記や共有登記ではなく区分登記して親と子それぞれの住宅に対して固定資産税の軽減措置を適用するのがおすすめです。
一方で、親から子供に名義変更した土地に関しては、1月1日時点で子供が名義人となった年以降から固定資産税が課税されます。
本記事では、二世帯住宅の固定資産税は誰が払うのか、節税方法や納税時の注意点を解説します。
目次
1章 二世帯住宅の固定資産税は誰が払う?
固定資産税はその年の1月1日時点で土地や建物を所有している人が支払います。
ただし、二世帯住宅の場合は家の建設費用を負担した人物と登記上の家主が異なる場合があります。
そのようなケースでも固定資産税を支払う義務があるのは、その年の1月1日時点で土地や建物の所有者として登記されている人物です。
例えば、登記上の所有者は子供であるものの親が建設費用を負担した建物は子供が固定資産税を払わなければなりません。
また、親子が共有名義で二世帯住宅を所有している場合は連帯納税義務が生じ、名義人全員がそれぞれ固定資産税の納税義務を負います。
そのため二世帯住宅を建てる際には、固定資産税を毎年払い続けられる人を名義人として登記しておきましょう。
なお、二世帯住宅を区分登記できれば、軽減措置が適用され固定資産税を節税できる可能性があります。
次の章では、二世帯住宅の固定資産税を節税する方法を見ていきましょう。
2章 二世帯住宅の固定資産税を節税する方法
二世帯住宅にかかる固定資産税を節税方法とは、複数ある登記方法のうち「区分登記」を選択する方法です。
二世帯住宅の登記方法は、下記の3種類があります。
登記の種類 | 概要 |
単独登記 |
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共有登記 |
|
区分登記 |
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上記のうち、区分登記は二世帯住宅が2戸の住宅として扱われるため固定資産税の軽減措置も2軒分適用できます。
住宅に対して適用される固定資産税の軽減措置は下記の通りです。
不動産の種類 | 概要 |
土地 | 【200㎡以下の土地(小規模住宅用地)】 固定資産税が6分の1となる 【200㎡を超える土地(一般住宅用地)】 固定資産税が3分の1となる |
建物 | 床面積50㎡以上280㎡以下の新築住宅は、下記の年数まで固定資産税が2分の1に減額される
|
二世帯住宅が区分登記されている場合、親が所有している住宅と子供が所有している住宅それぞれに上記の軽減措置を適用可能です。
例えば、土地の場合は合計400㎡まで小規模住宅用地の軽減措置を適用でき、固定資産税を大幅に軽減できます。
ただし、区分登記できるのは二世帯住宅の中でも親世帯と子世帯の共有スペースがない完全分離型のみとなっています。
そのため固定資産税の節税を考えたいのであれば、二世帯住宅の建築や購入前に区分登記できる二世帯住宅を探していることを不動産会社やハウスメーカー担当者に伝えるのが良いでしょう。
3章 二世帯住宅の固定資産税を払うときの注意点
本記事の2章で紹介した固定資産税の軽減措置を適用するには、自治体への申請が必要です。
また、固定資産税を払うときには下記の3点にも注意しましょう。
- 固定資産税の軽減措置の適用は申請が必要
- 固定資産税の支払い期限を過ぎると延滞税がかかる
- 名義人死亡後は相続人全員に固定資産税の納税義務が発生する
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 固定資産税の軽減措置の適用は申請が必要
固定資産税の軽減措置は自動的に適用されるわけではなく、原則として不動産の所有者が自治体役場に申請しなければ適用されません。
申請を忘れてしまうと固定資産税が軽減されず、負担が重くなってしまうのでご注意ください。
固定資産税の軽減措置の申請方法は、下記の通りです。
申請する人 | 不動産の所有者 |
申請先 |
|
申請期限 | 不動産を所有、新築した翌年の1月31日 |
必要書類 | 住宅用地等申告書など |
ただし、自治体によって必要書類や申請方法が異なる場合もありますし、自治体の担当者が資料や家屋調査を行うため申請不要な場合もあります。
そのため、二世帯住宅を建てた後はお住いの地域の自治体にて固定資産税の軽減措置の申請方法について尋ねておくのが良いでしょう。
3-2 固定資産税の支払い期限を過ぎると延滞税がかかる
固定資産税の支払い期限は自治体ごとに異なりますが、期限を過ぎてしまうと延滞税がかかるのでご注意ください。
令和5年12月31日までの延滞税の税率は下記の通りです。
延滞期間 | 税率 |
納税期限の翌日から1ヶ月を経過する日まで | 2.4% |
納税期限の翌日から1ヶ月を経過した日以降 | 8.7% |
上記のように、納税期限から1ヶ月以上過ぎてしまうと延滞税の税率が上がってしまいます。
3-3 名義人死亡後は相続人全員に固定資産税の納税義務が発生する
不動産の名義人が固定資産税を納税する前に亡くなった場合は、相続人全員に対して固定資産税の連帯納税義務が発生します。
- 親が所有する二世帯住宅に長男が同居していた
- 土地および建物は親が所有していた
- 親が亡くなり相続が発生し、長男および次男が相続人となった
例えば、上記のケースでは親の死亡後に長男が二世帯住宅に住み続けていたとしても、相続人である長男および次男に対して固定資産税を納税する義務が発生してしまいます。
二世帯住宅に住んでもいない次男からしたら不公平に感じますし、固定資産税を払いたくないといった感情を持つはずです。
固定資産税の連帯納税義務を解消するには、土地や建物を相続する人物へ名義変更手続きを行わなければなりません。
なお、相続発生後の不動産の名義変更手続きは法務局にて登記申請を行う必要があります。
これまで相続登記は義務化されておらず、相続人の意思によって行うとされていました。
しかし、2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。
なお、相続登記の義務化は過去に発生した相続においても適用されます。
そのため、まだ相続登記がおすみでない土地をお持ちの人は早めに手続きをすませましょう。
相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で代行可能です。
グリーン司法書士法人でも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
二世帯住宅の固定資産税を払うのは建設費用を負担した人物ではなく、土地や建物の所有者として登記されている人物です。
なお、二世帯住宅を所有している人が亡くなった場合、不動産を相続する人が決まり名義変更手続きが完了するまでは相続人全員に固定資産税の連帯納税義務が発生するのでご注意ください。
二世帯住宅の固定資産税を節税したいのであれば、区分登記して親と子それぞれの住宅に対して固定資産税を軽減措置を軽減しましょう。
固定資産税の軽減措置や登記方法については専門的な知識が必要なので、専門家に相談しながら行うのがおすすめです。
グリーン司法書士法人では、相続登記などをはじめとする登記手続きに関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですのでまずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
二世帯住宅の固定資産税は誰が払う?
固定資産税を支払うのは「その年の1月1日時点で土地や建物の所有者として登記されている人物」です。
二世帯住宅では建設費用を子供が負担していても親が登記上の所有者であれば、固定資産税は親が支払う義務があります。
▶二世帯住宅の固定資産税について詳しくはコチラ子供に100万円贈与すると税金がかかる?
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