半血兄弟とは、父もしくは母どちらかのみが同じである兄弟です。
一般的には異母兄弟や異父兄弟という名称が使用されるケースが多いです。
また、両親ともに同じである兄弟を全血兄弟と呼びます。
亡くなった人の兄弟姉妹として法定相続人になるケースでは、半血兄弟は全血兄弟の半分の割合でしか財産を相続できません。
一方で、亡くなった人の子供として相続人になるケースでは、半血兄弟であっても故人と法律上の親子関係があれば他の兄弟姉妹と変わらない割合で相続できます。
平成25年に非嫡出子の相続割合に関する法律が改正されたことにより、半血兄弟の相続割合も改正されたと勘違いされている人もいるようです。
非嫡出子とは、結婚していない男女の間に生まれた子供です。
本記事では、半血兄弟の法定相続分や半血兄弟との相続トラブルを避ける方法について解説します。
相続トラブルの代表的な例は、下記の記事でも解説しています。
目次
1章 半血兄弟の相続分は改正されていない
本記事冒頭でも解説したように、半血兄弟の法定相続分に関する法律は改正されていません。
なので「全血兄弟の半分の割合」でしか財産を相続できません。
平成25年に改正されたのは、非嫡出子に関する法定相続分についてのみです。
- 改正前:非嫡出子は嫡出子の2分の1しか相続できない
- 改正後:非嫡出子も嫡出子と同じ割合で相続できる
非嫡出子とは、法律上結婚していない男女の間に生まれた子供であり、内縁の妻が生んだ子供などが当てはまります。
非嫡出子と嫡出子との関係や半血兄弟と全血兄弟の関係は、一般的になじみのない言葉が多く使用されていることもあり、非常にわかりにくいです。
亡くなった人に異母兄弟や異父兄弟、非嫡出子がいる場合、相続人調査や遺産分割協議にかかる手間が増えると予想されます。
相続トラブルや相続手続きにかかる負担を減らすためにも、このような相続が発生した場合には相続に詳しい司法書士や弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。
2章 半血兄弟の相続分は全血兄弟の半分(2分の1)になる
父親もしくは母親の片方が同じである兄弟姉妹の相続人になる場合、両親共に同じ兄弟姉妹の相続分の2分の1しか遺産を受け継ぐことができません。
下記の具体例と共に実際の相続分を確認してみましょう。
【条件】
- 故人に配偶者および子供はいない。両親祖父母もすでに他界している
- 法定相続人は、兄Aと弟B(故人とは異母兄弟)
法定相続人は兄弟姉妹のみであり、遺産は本来であれば兄弟全員で当分します。
ただ、弟Bは半血兄弟なので、兄Aの2分の1しか相続権を持たず、法定相続分はそれぞれ下記の通りとなります。
- 兄A:全財産の3分の2
- 弟B:全財産の3分の1
3章 半血兄弟も親の相続人になる場合の相続分は変わりない
半血兄弟が全血兄弟と法定相続分が異なるのは、故人の兄弟姉妹として相続人になるケースのみです。
そのため、半血兄弟が故人の子供として法定相続人になる場合には、全血兄弟と変わらない割合で遺産を相続できます。
具体例で確認していきましょう。
【条件】
- 亡くなったのは父親
- 後妻は死亡している。
- 法定相続人は、長男A(前妻との子)、次男B(後妻との子)、長女C(後妻との子)
上記のケースでは、長男Aと次男B、長女Cは異母兄弟であり、相続分に違いが出るのではないか、と考える人もいるかもしれません。
しかし、長男Aも次男Bも長女Cも故人と親子関係にあることは変わらないので、全員が遺産を3分の1ずつ相続できます。
4章 半血兄弟との相続トラブルを避ける方法
法定相続人に半血兄弟がいる場合、相続人同士の関係が悪い、疎遠などの理由で相続トラブルが起きる可能性があります。
また、相続トラブルまで発展しなくても関係性の薄い半血兄弟が相続手続きに非協力的で、遺産分割協議などの相続手続きがスムーズに進まないケースもあるでしょう。
このようなトラブルを避け、遺された家族の負担を軽減するためには、以下の方法で相続対策をしておくのがおすすめです。
- 遺言書を作成する
- 生前贈与をする
- 家族信託を活用する
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1 遺言書を作成する
遺言書を作成すれば、自分が希望する人物に財産を受け継げます。
また、遺言書を作成しておけば遺産分割協議を行わなくてすむので、半血兄弟と全血兄弟が相続について話し合う必要もなくなります。
相続対策として遺言書を作成する際には、以下の点に注意しておきましょう。
- 家族に遺言書を作成したことや保管場所を伝えておく
- 遺留分対策をしておく
- 遺言執行者を選任しておく
なお、相続対策に使用できる遺言書には3種類ありますが、信頼性が高く偽装、隠ぺいリスクを減らせる公正証書遺言が最もおすすめです。
遺言書に記載した内容を確実に実行したいのであれば、遺言執行者の選任がおすすめです。
遺言執行者とは、言の内容を実現するために手続きを行う人物であり、選任するメリットは下記の通りです。
- 相続手続きがスムーズになる
- 相続人同士のトラブルを防止できる
半血兄弟の相続では、相続人同士の関係が疎遠な場合も多く、遺言書を作成していたとしてもトラブルが発生する可能性はゼロではありません。
トラブルのリスクを避け、相続手続きの手間を減らすには遺言執行者の選任をご検討ください。
4-2 生前贈与をする
生前贈与をすれば、自分が希望するタイミングで財産を受け継げます。
年間110万円を超える贈与を受け取った人は贈与税がかかりますが、贈与の目的や贈与者と受贈者の関係によっては様々な控除や特例も適用可能です。
4-3 家族信託を活用する
家族信託とは、信頼できる家族に自分の財産の管理や運用、処分を任せる制度です。
認知症対策のひとつとして使用されることが多い家族信託ですが、相続対策としても有効です。
というのも、家族信託では自分が亡くなったときの相続人と、その次の代の相続先も決められます。
- 自分が亡くなったときには、生前あまり面倒を見られなかった前妻の子に不動産を受け継ぐ
- 前妻の子が亡くなったときには、孫(後妻との子が産んだ子供)に不動産を受け継ぐ
上記のように、決めておけば関係性の薄い親族に不動産がわたることを防ぎつつ、自分が希望する相続を実現可能です。
まとめ
半血兄弟の相続分については改正されていません。
そのため、半血兄弟が故人の兄弟姉妹として法定相続人になる場合には、全血兄弟の半分しか相続権を持ちません。
非嫡出子の相続分に関する改正が平成25年にあったので、誤解されている人がいるのだと考えられます。
一方で、半血兄弟や非嫡出子が故人の子供として法定相続人になる場合には、全血兄弟や嫡出子と同じ割合を相続可能です。
半血兄弟に関する相続分は法律によって決められているものの、相続人同士の関係が悪い、疎遠などの理由で相続トラブルが起きやすいのが現状です。
相続トラブルを回避したい、遺された家族の相続手続きの手間を少しでも減らしたいのであれば、遺言書の作成や生前贈与、家族信託などで相続対策をしておきましょう。
グリーン司法書士法人では、相続対策に関する相談をお受けしていましょう。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
半血兄弟とは?
半血兄弟とは、父もしくは母どちらかのみが同じである兄弟です。
一般的には異母兄弟や異父兄弟という名称が使用されるケースが多いです。
▶半血兄弟について詳しくはコチラ半血兄弟の相続分はどのくらい?
半血兄弟が亡くなった人の兄弟姉妹として法定相続人になるケースでは、半血兄弟は全血兄弟の半分の割合でしか財産を相続できません。
▶半血兄弟について詳しくはコチラ